二十八話 第二、第三の試験 2
遅くなりましたが、今年最後(時間的に)の投稿となります
よろしくお願いいたします
黒鉄の第二の試験が始まろうとするころ、残る二人_ティシスとフィリアの二人も第三の試験の間に転移していた。
黒鉄とは違う場所に転移したことに先に気が付いたのは、『魔力を視る能力』を持つティシスだった。
彼女は覚醒後すぐに、黒鉄のあの特異な魔力を感じることが出来ず、もし、先にいたのならば少しは残る魔力の残滓すら感じられないことから、自分たちとは別の場所に転移したことを悟った。
「フィリア、クロガネ様は私たちとは別の場所に転移させられたようですよ」
そう、フィリアに告げると、彼女は警戒を先程、黒鉄と一緒にいたときよりも一層引き上げた。
彼が居ない、ということは、自分たち二人で、この先に待ち受けているであろう試験に臨むことになるだろうと、考えたからだ。
「そのようですね。ティシス様、私よりも前に出ないようにお願い致します。それと、頼りたくはないのですが、いつもの″アレ″もいつでもできるようにしてくれていたら助かります」
「大丈夫ですよ、フィリア。私たちはいつもそうやって危機を乗り越えてきたのですから」
そう言って、ティシスはフィリアの肩に、魔力の籠った手を当てる。
その後直ぐに二人は歩き始める。
目の前に広がる、四角錘の建物_黒鉄がいれば、ピラミッドと呼んだであろう建物へと。
「これは、遺跡でしょうか……?魔力の残滓はありますが、すごく古いものだと思えます
一番近い魔力の質を考えると、ここは私たちが知り得るなかでも最も古い時代の遺跡ではないでしょうか?」
「そのようですね。これほどの古い遺跡、初めてですね。これをしっかりと調べれば今までわからなかった時代がどのようなものだったのか解明できそうですね」
「ですね。……っ!ですが、あちらはその気はないように思えます。あの扉の奥から非常に濃い魔力があります。しかも、これまでの道には全く残っていなかった魔力ということから、アンデットのような魔物だと思います。注意しましょう、フィリア」
「わかりました。ティシス様、しかし、なぜ私たちだけこの地に転移させられたのでしょうか……。」
「さて、私には少し分かりかねます。でも、それはあちらに聞けば良いことだと思いますよ?」
「それも、そうですね。今は目の前の問題を解決することが先ですからね」
二人はそう話しながら、これまで来た道を振り返ることなく、ほぼ一直線の道を歩く。
そして、先程からずっと膨大な魔力をあふれさせ続けていた扉の前にたどり着いた。
禍々しい、何かの帯のようなもので巻かれた人の彫刻が施されたその扉は、天井に届くほどの高さだった。
その扉を二人で押し、開ける。
少し開いただけで、ティシスの顔が険しくなる。
それほどまでに濃い魔力が扉の先にある一室から漏れ出てくる。つまり、この部屋の中にいる何者かが強大な力を持ち、長く閉ざされた部屋の中で生きていた、ということだろう。
ティシスはその魔力に耐えながら、扉を開き、フィリアは前より開いた扉からもっとわかりやすく流れてくる魔力に耐えながら、扉を押す。
そして、開いたその扉の先に見えた影は、この世界では未だ知られることのなかった種類の魔物だった。
犬のようなもっと野生的な顔、それが付いているのは、人間の体だが、全身は頭のてっぺんから爪先まで真っ黒だった。金の装飾の着いた麻のような色合いの服を着て、槍のような得物を持ち、こちらを睨むその魔物の名を、その魔物自身が名乗った。
やはり、これも黒鉄がこの場にいれば正解を導き出しただろう。その魔物の名を。
「ワレハ、アヌビス。このイセキのシュゴをカミよりオオせつかった、シュゴシンなり」
と。そして、こうも続けた。
「ワレのヤクワリは、このチへとアシをハコぶモノをハイジョすること、そして、このチへとトばされたシケンをウけしモノをタメすことだ」
つまり、このアヌビスと名乗った魔物がこの二人を試験するものだということとなる。
それを聞いた瞬間、二人は臨戦態勢へと移行した。
来年度もよろしくお願いします。
時間が空いたときにでも設定()を適当に綴らせてもらいたいと思っています
次回もご期待していただければ、幸いです。
ではノシ




