二十六話 巨樹の宝物庫《バビロニア・ロート》
遅れました二十六話です
次回もまた遅くなると思います
「『地に眠る、巨樹に守られし宝物庫よ、我を討ちし者の前に現れよ。巨樹の宝物庫!』」
地面が揺れ、地割れが起きる。
そして、その中から木の根とそれに刺さったなにかが現れる。
その何かとは、多種多様な武器だった。
西洋剣から始まり、槍や斧、特殊なものでトマホークのようなものから鎌などと様々な形状の武器が刺さっていた。
禍々しい雰囲気のあるものも神々しい程美しいものもある。
霜に覆われたものや根を燃やしながらな刺さっているもの、果ては木の根を腐らせるほどの瘴気を纏っている剣もある。
そんな素人目から見ても言ってしまえば国宝級の価値があると理解できる武器を見て一番最初に反応したのは、それまで魔人のような姿になっていたクロガネに少しだけ警戒していたフィリアだった。
「これは……!!!すごいですよティシス様!ほぼ全ての武器が魔力を内包していて、特殊な物になっています!!!しかもどれもが伝説に出てくるような武器と張り合えるようなものです!!!」
興奮気味に木の根に近づこうとするフィリア、だがその進行を阻むように番兵のように立ちふさがってくるのは、先ほど地を割って出てきた木の根と比べ数倍の太さをもった根っこだった。
「そこの人間、それ以上近づかないほうがいいぞ。巨樹の宝物庫は私の許可を出さぬ者が近づくと攻撃するようになっている魔法器だからな」
『Q・ベヒモス』から出た言葉に自分の知らない言葉が混じる。
魔法器とはなんだろうか。少しだけ疑問符を浮かべるとスルリと寄ってきた影がそれに応える。
「魔法器というのは、一定の素質を持つ媒体に魔力を与えることで能力を付与させた道具の事です。
巨樹の宝物庫は多分木の根に魔力を与えた物でしょう」
「そういうものがあるのかフィリア」
「ええ、ありますよ。とは言ってもそれを作られる人が限られるためそんなに出回ってはいないのですけどね」
希少価値の高いものらしい、ならば見かけなかったのは当たり前だろう。
さて、疑問も解消されたことだし一番聞かなければならないことを聞こう。
「それで、『Q・ベヒモス』。なんでそんなもんを出したんだ?武器でもくれるのか?」
「ん?よくわかったな。その通りだよ。貴様にこの中から一本だけ好きな武器をやろう」
当たっていたらしい。しかし、好きな武器といきなり言われてもこの無数にある武器からどうやって選べというのだろうか。まぁもらうこと自体には忌避感はない。
さっきの戦闘で俺の使っていた剣は真っ二つどころか錆になって消えていったからどこかで武器を調達しなければならなかったからだ。
ここで貰えるというのなら貰っておいたほうが得というものだろう。
「貰えるのはありがたいが、俺は武器の良し悪しなんてわからないんだが?」
「安心しろ、そもそも好きなものとは言ったがお前自身には選ばせる気は毛頭なかった」
毛頭ないらしい。ならばどうやって武器を選別するのだろうか、奴が俺に渡すのなら一本取りだして俺に渡せばいいだけだからあいつが選ぶっていうのはないだろう。
ならばティシスか?フィリアか?だが、あいつが許可しない限り宝物庫に近づけないらしい。
はてさて、どうするのやら。
「武器は巨樹の宝物庫が選別するんだよ。
お前は木の根を持って魔力流してるだけでいいのさ」
「魔力を流すだけでいいのか?」
「ああ、あとは全部『ロート』が選んでくれる。さぁ、そこらにある根っこを掴みな」
そういって顎をしゃくり、行動を促す。
俺は一番近くにあった先の丸まった木の根に手を置いた。
そして目を瞑り魔力を流す。
「頭ン中にパズルみたいに言葉が出てきたら、それを組んで読むんだ
あとは勝手に動くようになる」
そう言われて少し集中すると、頭に呪文がバラバラになって浮かんでくる。
それを整理し並び替えると俺の意思とは関係なく口から言葉となり出てくる。
その声は自分のものではなく、どこか、今も苦しんでいるであろう幼馴染を思わせた。
「『我は宝物に相応しき者を選ぶ、選定者なり。
彼の者に与えられし伝説の武器よ、我が呼び声に応じ、彼の者の手に納まれ。
全ては黒と白の運命のままに。』
来い!『神刀【白縫】』!!!」
俺の手に武器が握られているのが分かる。
目を開けることなく、それを抜刀し、一閃。そして目を開ける。
そこに在ったのは、黒と白で彩られた刀だった。
柄は黒地に白の木が描かれ、刀身は白く輝く中で黒の東洋龍が昇っていた。
鞘はどこにでもあるようなものだったが、漆のようなもの塗られているのだろう。刀身に相応しい色合いの鞘だ。
「これが新しい俺の武器.......か」
そう呟き鞘に納める。
それと同時に巨樹の宝物庫が地面へと潜り、割れた地面元に戻る。
「さて、武器も獲得したことだ、次なる試練へと赴け。
貴様らが無事にここから出られることを願っているぞ」
『Q・ベヒモス』はそう言って森の中へと去って行く。
あっさりとしたものだなと思うが引き留めることなく『Q・ベヒモス』を見送る。
奴の姿が見えなくなったところで傍にいる二人に声をかけた。
「んじゃあ、ティシスにフィリア次の試練に行くぞ。さっさと終わらせなければな」
二人は頷き次の階の扉へと向かう......ことなく俺に質問を投げ掛けてきた。
「クロガネ。貴様は魔人種なのか?
先ほどのあの皮膚の色はなんなんだ?」
やはり、とおれは心の中で顔をしかめる。
だが、予想してはいた。直ぐに用意していた答えを発する。
「魔人種ではないよ。ただの魔力圧縮の副作用だ」
「......。そうか、貴様がそういうのならば今じゃそれで納得しておこう。
だが、クロガネよ。もしお前はティシス様に悪意を向けるのなら、私は容赦はせんぞ。」
納得はしてくれたようだ。だが、警戒は解除されていない。不振な動きをすれば即刻俺を斬るつもりでいるのだろう。
俺はティシスからも何か言われるかと思いそちらに目を向ける。
「私は、クロガネ様が魔人種ではないことは分かっております。クロガネ様が持つ魔力は魔人種の持つ魔力ではないですから。それに、クロガネ様のお姿が見えるわけでもないので」
それだけ言うと彼女は口を閉ざす。
分かっていてもこれまで通りには接してもらえないようだ。
まぁ、ほぼほぼ予想していたことだが、現実は予想よりも少しだけ厳しかったようだ。
そのまま何もないまま、三人で次への扉を開く。
扉の先の魔法陣に乗り、魔力を流す。
次なる試練へと挑むために。
取り合えず第一回の試練終了です
一回だけでこんなに掛けてしまった。。。。
もうしわけないです。はい
次は今回よりも早く終わる。。。はず。。。




