二十四話 選ぶべきモノは?
遅くなってすいません!二十四話です!!
もう数十分も『Q•ベヒモス』と激しく剣と拳をぶつけ合っている。
しかし、無駄に俺の体力が削られるだけで、『Q•ベヒモス』には全くと言っていいほど効いているようには見られなかった。
俺には『業物』という能力があるため、幾度となく『Q•ベヒモス』が拳に纏う"なにか″と打ち合っても全く刃こぼれすることはないため、武器が無くなる、ということはなかったが、それがなんだというのだろうか。
最低でも奴の拳に纏う″なにか″を対処しなければ傷をつけることすらできないだろう。
例えば、相手が拳で剣を弾くことができないような速度で斬りつける。
例えば、相手の行動を阻害し、身動きの取れないようにする。
例えば、拳に纏う″なにか″を破る。
だが、どの方法をとっても、いや取ろうとしてもすぐに対処されてしまう。
速度を上げようにも経験と動体視力そして、野生の勘でも働いているかのように全て払われる。
行動を阻害しようと、『威圧』を使っても全く怯む様子もない。
″なにか″を破ろうとするが、どうしても地力が足りない。
このままでは、先に体力が尽きて負ける。
だが、一つだけ希望はある。
『制限解除』を使うのならば、打開できる、かもしれない。
問題は、それをティシスやフィリアに見られることだ。
あれを使うと俺の姿は魔人種のようになってしまう、それを見た二人が何を思うかは、想像に難くない。
だが、ここで使うのをためらえば、必ず負ける。
負ければ、死にはしないだろうが奴は「この程度か・・・・・・。鍛え直してやろう」とか言いそうだ。
それでは、間に合わなくなってしまう。俺のすべきことはこんな場所で他人に誤解されるのを忌避して特訓コースへと送られることではなく、白木の洗脳のような何かを解いて白木にそんなことをした奴を八つ裂きにすること、それとついでに魔界の危機を回避させることだ。
ならば、手段を選んでいる暇はない。
ただ、このままでは後ろにいる二人にも影響が及んでしまう。それは避けるべきだろう。
振り替えずに後ろへと声を掛ける。
「ティシス!フィリア!限界まで後ろに下がってくれ!」
「なにをするんだ!こっちまで影響が及ぶものなのか!?」
フィリアからの返答が聞こえる。
俺はそれに対して声ではなく頷くことで肯定の意を示す。
納得してはいないだろうが、二人の気配は後ろへと下がっていった。
「何をするつもりだ?ふふふふ、楽しみだな!!」
『Q•ベヒモス』は俺の行動をおもしろそうに観察するような眼で見てくる。
俺はそれを一瞥してから詠唱に入る。
「『我が背に宿りしは、88の天体。
星の力をわがものとせん
制限解除』‼‼‼‼‼‼」
その言葉と共にまず解放されたものは、今まで自分の枷として機能させていた魔力だった。
解放された魔力は俺の体は爪先から頭の先まで青黒く、魔人種のように変化させ、その後まだ余った魔力を体外へと放出していった。
後ろで少し息をのむ音が聞こえた。魔力を見ることができるティシスには少しばかり目に悪いものだろう。
その次に解放されたのは、魔力にて押し込められ、封印状態にあった肉体だった。
魔力の飽和により青黒くなった体は、普通ならば既に四散していてもおかしくないほどの負荷が掛けられているが、それをも許容するほどの身体能力を発揮する。
そして、全ての封印が解かれた後に、体外に放出された魔力を僅かずつ消費しながら、補助魔法が発動する。俺の体が夜空にでもなったかのように星座を模っている『魔法陣』が煌めく。
この姿を見た二人と一体の反応は三者三様だった。
ティシスは、膨大な魔力を目に入れたことで、眩暈を起こし、フィリアに抱きかかえられる。
フィリアは、ティシスを守るように抱き留めながらもこちらへの警戒を怠ることはない。
『Q•ベヒモス』は、観察するような眼からこちらを見定めるような、険しい眼を向けてきた。
「それは……。≪黒≫ではないが、それに近しいもの……?
面白い、だが、生半可なものでは私には勝てんぞ!」
奴はそう言って、足を前後に開き腰を落とし、右拳を顔の近くに、左拳を体の前に置く構えを取った。
全身からは、先ほどまでとは桁違いの闘志ともいえるような威圧感を持つ何かを纏っていた。
暫しの静寂が場に響き、どちらかが先という訳でもなく、動き出す。
この試験という名の闘いに決着が付くのはもうすぐそこのようだ。
遅くなって大変申し訳ないです。
次回はできれば明日~明々後日辺りにできればと思っています。
感想酷評ブクマ評価等々色々と待ってますので!!




