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魔界の勇者~魔界で勇者として幼馴染みと冒険します~  作者: ろくみっつ
第二章 試練のダンジョン
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十九話 大猪大討伐。

更新遅れて申し訳ありません。

また三日後あたりに更新出来ればと思います。

「ダンジョンの内部でこれほどまでに魔獣との遭遇率が低いというのは本当に素晴らしいことだな」


 ダンジョン二階層目の草原よりも少しだけ草花の多くなった道でフィリアが声をかけてくる。


「まぁそうだろう、魔獣ってのは本来なら人を見かければ襲ってくるはずだが、それを今、俺が『威圧』を使ってるからか少しでも『威圧』を感じれるほどの能のある魔物はほとんど寄ってこない」

「これほどダンジョンの攻略に便利な能力はほかにないでしょうね。襲い掛かってくるのはその能力を認知できないほど弱い魔物ですし、ダンジョンに潜って半日ほどで二階層も終わりに差し掛かっているのは異常ともいえる速度です」


 そう、俺たち三人は既に二階層目も攻略間近まで来ているのだ。

 秘境ボスと違い階層ボスは一度倒されると復活することがないため、ほぼほぼ次の階層へ一直線で移動してはいたのだが、魔物とのエンカウント率や補助魔法により底上げされた体力をフル活用しこの速度で到達していた。


「とはいっても、『威圧』は制御を誤ると一緒に行動している奴にも及ぶからな、そこまで便利なものではないんだよ」

「そうなのか、クロガネは簡単そうに使っているからか、イメージしにくいな」

「俺は簡単そうに使っているようで意外と練習したんだぞ、この世界に来てから二、三週間程な」

「二、三週間でそれか、クロガネはすごいな」


 と、だべりつつも一応は周りを警戒しながら進んでいく。

 三階層目への入り口はもう一キロ程度進めば見えてくるだろう。

 次の階層へと続く階段は林に囲まれているのでその中を進むことになる、だからこそできるだけ周囲を警戒し敵からの襲撃に備えなければならない。


 ズンズン、ズンズン


 木々が密集している奥の方の中から地響きが聞こえてくる。


「なぁこの音何かわかるか?いやな予感しかしないんだが」

「ふむ、心当たりはあるな。確率は低いがしかしこれ程の地響きなどあいつしかあるまい」

「あいつ?心当たりがあるなら教えてくれ、やばそうなら癪だが一旦引いて様子を見たいんだが」

「この音の正体は魔物の足音だ、しかも階層ボスクラスだと思う」


 階層ボスクラス、ということは階層ボスではないのだろう。

 だが、それほどの魔物が居ればもう少し事前に情報が入ってきそうなものだが……。


「倒せるようなものか?倒せるならそうしたほうがいいと思うが……」

「倒せるとは思うが……。何分集めてきた情報の中に少しだけあった程度のものだ、私にはわかりかねるのだが……」

「そうか、んでそいつはどんな魔物なんだよ?それがわからないと対応しようがない」

「あー、それなら心配無用だ、すぐにわかるからな」


 そういってフィリアは少し先の木々の密集地に目を向ける。


 ガサガサ!バキバキ!


 木々を倒して進む音が聞こえてくる。

 俺たちがまず見たのは木々を軽々と倒して悠々と進む大型の魔物だった。


 外見は一言でいうと未熟な角を持つ肩高がだいたい2.5mほどの巨体をする猪型の魔物だ。

 耳の少し上や顔の側面には少し曲がりかかった角。背骨が突き出たように生える角。

 未熟ながらも鋭利な体のあちこちから生えていた。


「ブルルゥゥ」


 猪が嘶き、突進の構えを取ってくる。

 それを見て俺は剣を抜く。


「いきなり攻撃モーションってどうだよ……。やるしかないか、フィリア、こいつの名前と特徴、弱点は?」

「こいつは『ベビーベヒモス』名前の通り『ベヒモス』という三階層目の秘境ボスの子供だ」

「なんだってボスの子供がこんなとこうろついてんだよ……。っとくるぞ、横に飛んで避けろ!」


『ベビーベヒモス』は一直線に俺目掛け飛び出してくる。

 タイミングを見計らい横へ飛ぶ。


「そいつの特徴はあの突進と、あと土の魔法だ!弱点は突進後にできる隙だが、案外皮膚が固いから気をつけるんだ!」

「了解!てか、あの猪は魔法も使えんのかよ、厄介だな」


 さて、弱点も分かったことだし攻めに入るとしよう。

 そう思い『ベビーベヒモス』に向き直る。奴はもうすでに攻撃のモーションへと入っていた。

 後ろ足で土を蹴りながら嘶く。


「『ブルッフゥゥゥゥ!!!』」


 今度は突進ではなく土の魔法を放つようだ。

 奴の体の周囲に人の頭程の土の礫が四つ出現する。その礫はそれぞれが俺たちに矛先を定める。

 礫が回転し始め、一気に射出される。俺には弐本ずつ、残りはティシスとフィリアに一本ずつだ


「こんなのでやられるわけにはいかないっての!」


 一歩踏み出しながら両サイドから襲い来る礫を切り弾く。

 横目で二人を確認すると、フィリアは剣で礫を弾いていた。ティシスに向かった土の礫は1m圏内に入ったかと思うと一瞬でそれが霧散し砂へと姿を変えていた。


「私に魔法の類はほぼほぼ効きませんよ、魔力を見て供給源を断つことができますので」

「ティシス!それはどのくらいの範囲でできる?」

「そうですね……。大体で3m程でしょうか、それ以上となると少し難しいかと」

「了解。ならティシスは『ベビーベヒモス』をその圏内ギリギリに入れてくれ、フィリアはティシスを守っていてくれ!」

「了解した!」


 そう言ってフィリアが動く。

 それを『ヘビーベヒモス』は目で追うがすぐに俺に視線を戻す。

『威圧』によりヘイトが溜まっているのだろう。


「さぁて、あとは突進を止めるだけだが・・・・・・。側面から叩けばいけるか?」


『ベビーヘビモス』の隙を窺いながら攻め方を考える。

 突進を避け様に足に攻撃を、出来れば剣の腹で叩くような一撃を加えれば倒れるだろう。

 その隙を今か今かと待ち構える。段々地面を蹴る足に力が入ってきた。


「よし、こいよ。さっさと片付けてやるから」

 これを『ベビーヘビモス』は挑発と受け取ったようだ。

 一気に前へ走り出す。

「『ブルフゥゥゥゥゥ!!!!』」

 走りながらも土の礫を形成しようとする、が一瞬で霧散する。


「魔法を使わせないようにするのが役目ですので」


 ティシスの魔法阻害が使われたようだった。

 それでも奴の突進は止まらない。始めから魔法を使ってなかったように変わらず寧ろ速度が少し上がったように見える。

 だが、俺はそれでも動かない、ギリギリのところへ来るまで引っ張る。


「ブルウウウウ!」


『ベビーヘビモス』はそれを怯えとみなしたのか、牙の生える口を釣り上げる。

 そして、奴が大型トラック並の速度で俺に近づき、あと1mで俺にぶち当たる。そんな距離で、


「っとぉ!くらえよ!」


 右に飛びながら、その勢いを利用し剣で足を払うように叩く。


『ブフゥゥ!』


 突然の足の痛みに耐えかね体を止めようとするが、叩かれた右の前足が言うことを聞かない。

 勢いのままに背中から前転するように倒れそうになる。

 俺はすぐに無防備な腹に向かい攻撃を仕掛ける。


「おら!!」


 グリュゥという音と共に腹へと剣がめり込む。

 だが、なにか固い物に当たった感触があり、すぐに引き戻す。

 しかし、それだけで倒せるような魔物ではないのはわかっているので、数回別の場所にも剣を刺す。


「ブ、ブルゥ・・・・・・。」


『ベビーヘビモス』が背から地面に打ち付けられるころには大量の血が噴き出し、腹が真っ赤になっていた。


「ふぅ。とりあえずは片付いたか?」

「ええ、地面から微量に吸い出していた魔力が消えているので、おそらくは」


 これで、一件落着と言ったところだろう。


「流石にこれほどの大きさの魔物をほぼ一人で倒すとは・・・・・・。

 これなら一人でも秘境ボスあたりなら軽く倒せるんじゃないか?」

「さぁな、それはわかんねぇよ。今回はあの土魔法を防いでくれたティシスが居たからやりやすかっただけかもな。

 てか、こいつどうすればいいんだ?このまま放置してても大丈夫なのか?」


 地面に血を噴き出しながら事切れている『ベビーヘビモス』を指しながら聞く。

 正直なところはここに放置してはやく次の階層に行きたいところではあるが、それでは後々面倒なことになりそうだ。


「ふむ、こういうときは基本的にはこいつを解体し、売れる部分とこいつを倒した、という証明となる部位を持ってギルドか入り口の衛兵に渡すという手順となる」

「やっぱりか・・・・・・。まぁいいか、それじゃあさっさと解体して持ってくぞ。

 三階層目にいったん入ってから入り口に戻ろう」

「了解だ」


 そう言って、各自で動き出す。

 ティシスにはとりあえず休憩をしてもらう。一応は俺の補助魔法で体力は上がってはいるが、それと精神的な疲労は関係ないだろう。

 フィリアには解体を手伝ってもらう、というかやってもらう。

 俺は動物の死体の解体をする、なんていうのはここに来てからも、そして地球にいたときもしたことはなかった。指導が必要なのは言うまでもないだろう。


 解体で二時間ほど時間を取り、各部位を持って三階層目へと到達する。

 この状態で魔物に襲われると面倒になるので、これまで以上に『威圧』を展開する。

 二人にも影響は出てしまうが少しばかり我慢してもらう。



 そして、転移装置を使い、衛兵へ『ベビーヘビモス』の討伐証明部位を渡すと、その衛兵は目を丸くして口をあんぐりと開けていた。

 それを見た周りの人がそのことを騒ぎ立て、少しの間ちょっとした騒ぎが起こったのは予想外のことだった。

「いい加減帰らせてくれよ・・・・・・。」

 この言葉が響くのは騒ぎが広がりギルドの役員がくるまでの小一時間ほどのことだった。


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