十六話 子供って良いよね?
久しぶりの投稿となります
まだテスト期間ですので、毎日投稿とはいきませんが、合間を縫って書いていきたいと思います。
「ほー、ここがディクティウスねー。意外と大きいし人も多いんだな」
俺たちは三日程かけてディクティウスに到着していた。
本来ならもう少し早く着くこともできたのだが、お姫様であるティシスの体力を考慮し、ペースを落としたため、三日ほどかかることになった。
「ダンジョンというものがそれだけ恩恵の大きいものだということだ。
だが、ディクティウスは迷宮都市の中でも最大規模ではあるがな」
「そうなのか。取りあえず入るとしよう、宿は早めに取らないと無くなりそうだ」
そう言って関所の前にできている大行列に並ぶ。
列は三本ほどある。
一番左が貴族?と思われるものがちらほらと並んでいる。
数が少ないのはそもそも貴族がディクティウスまで来ることが珍しいからだろう。
真ん中は商人の列だ。
これは人よりも荷馬車が多く並んでいる。
たんまりと商売道具が積んである荷馬車がほとんどだ。
そして右の一番長い列が冒険者や一般市民といったところだ。
人が多いせいで騒がしい、前のほうでは順番を抜かされたのなんだのと騒いでるやつらに衛兵が駆け寄っていくのが見えた。行列はどこの世界ではこうなるのだろう……。
「さて、街の中に入ったらとりあえず飯を食いに行ってもいいか?
情報収集もかねて腹ごしらえをしたいんだ。この調子だと中に入れるのは昼あたりになりそうだからな」
「了解した。しかしここには始めてくるがいつもこんなに多いのか……?」
「いやいや、そんなわけねぇだろ嬢ちゃん」
フィリアの独り言のような言葉に反応を示したのは後ろに並んでいる冒険者だった。
「っと、いきなり割り込んできてすまねぇな、だがよディクティウスに入ろうとするやつらはもう少し人数が少ないんだ」
「ほう、ではなぜ今日はこんなに多いんだ?なにかあったのか?」
そう俺が聞くと、後ろの冒険者は驚きの表情をして首を縦に振る。
「知らなかったのか、最近になってダンジョンの第四ボスが倒されたって話だぜ?」
それを聞くとフィリアが納得したような顔をする。
「第四ボスが?長らく倒されていなかったがようやくか」
「あぁ、らしいぜ。なんでも黒髪黒目の女の魔法使いが倒したって話だ」
黒髪黒目の女の魔法使い……。心当たりしかねぇ……。
「なぁ、その魔法使いの名前ってわかるか?」
「あー、なんだったっけな……サキといってたきがするぜ?
名前なんて聞いてどうするんだ?」
「あー、いや俺の知り合いも黒髪黒目だったりするからよ、そいつかなーって思って」
「ふーん、そうか。まぁそういうわけで新階層を目指して各地から冒険者が集まってんだよ」
やはり白木が攻略したようだ。
まだダンジョンの情報を持っていそうなのでそのまま色々と聞いていく。
一時間ほどしてようやくディクティウスに入ることができた。
「さて、フィリア、ティシス。取り合えず冒険者に聞いた宿屋に向かうぞ。
そのあとに。ギルドに寄って詳しいダンジョンについての情報を集めながら昼飯としよう」
「了解だ。たしか宿の名前は『大山羊亭』だったよな」
「あぁ、そうだ。ギルドとダンジョンの真ん中辺りにあるらしい」
「人が多そうな場所ですね。早く行きましょうか」
関所からギルドまでは然程の距離は無く、『大山羊亭』へは十分程でつくことができた。
看板は山羊の上半身に魚がくっついている少し奇妙な看板だったので簡単に見つけることができた。
想像していたよりも大きく、これなら急いでこなくても部屋が埋まることはなかっただろうと思う。
そのままボーっとしていても意味はないので早速中へ入る。
入って直ぐのカウンターには女主人と思われる女性が居た。
明るい茶色を高い位置で結んで目が少し釣り上がっているのでなんだか厳しそうな雰囲気がある。
「いらっしゃいませー。何名様で何泊の御予定しょうか?」
「あー、三人で大体10日くらいで頼む出来ればな二部屋用意してくれ」
「朝夕はお食事の用意が出来ます。昼は御一人500G程頂けますとお弁当をご用意しますがどうしますか?」
「分かった。弁当の方も頼む」
「それでは三名様、二部屋の十日間なので宿泊代が10000Gとお弁当三つ分で1500G
計11500Gとなります」
10000ちょっとで済んだ。結構良心的な値段だなーと思いながら料金を払う。
女主人は金を受けとると後ろのドアに顔だけ突っ込んで人を呼ぶ。
「マーチ!お客さんを部屋に案内して頂戴!」
「はーい!お母さん!」
返ってくる声はまだ幼い子供の声だった。
少しするとドアから小学三年くらいと思われる男の子がでてくる。
返事から察するが女主人の子供なんだろう。
「それではお客さま、お部屋に案内いたしますので、ついてきてください」
「あ、あぁ頼む」
男の子__マーチは意気揚々と俺達を先導する。
二階の端辺りに着くと、こちらに振り返り、
「お客さまのお部屋は、こちらの二部屋となります。
鍵はこちらとなっていますので、絶対になくさないようおねがいします。
もしもなくされた場合は、2500Gほどいただくことになりますので、ご了承ください」
一生懸命説明してくれるマーチに少しだけほっこりしながら差し出された鍵を受け取る。
「それでは、ごゆるりとお過ごしください!」
説明を終えたマーチは一階に戻ろうとする。
俺はそれを制止するように声を掛ける。
腕は腰の金の入った袋を触っていた。
「ちょっとまってくれ、マーチ。少しいいか?」
「?なんでしょうか、お客さま」
「駄賃だ、これ使って好きな物でも買え」
「え?え?いいのお兄ちゃん!?」
驚きのあまり口調が年相応のものに戻る。やっぱり年相応の子供なんだなぁ。とほっこりする。
「あぁ、取っといてくれ。おまえくらいの年でこうもきちんとしてるのは駄賃をやる価値くらいあるからな」
「ありがとうございます!」
「おう、じゃあな、これからも良い子にするんだぞ?」
マーチはニコニコと満面の笑みを浮かべながら足早に階段を下りてくる。
それほどうれしかったんだろう。こういう、良い子を見るとこっちまでほおが緩む。
「クロガネ様は児童趣味でもお有りなのでしょうか?」
「は?何言ってるんだよティシス。そんなわけないだろ」
「はぁ・・・・・・そうですか。まぁいいですけど」
「なにを勘違いしてるのかしらんが、俺はああいう子供が親の手伝いをするっていうのが珍しかっただけだ。
前の世界では、あのくらいの子供はガキって言葉が全く持ってお似合いなやつしかいなかったからな。
和むんだよ。うん」
「そうですか。では、そうしておきましょうか」
これは何を言っても無駄な気がするのであきらめよう。
そう思い片方の鍵をフィリアに渡して、部屋に入るように促す。
「それじゃあ、荷物を必要な物以外は置いてさっさとギルドにいくぞ。腹が減った」
「了解だ。十分ほど待ってくれたらすぐいこう」
「わかった、十分後に下のホールに集合な」
そういって部屋に入る。
俺は荷物が言うほどあるわけでも身支度をしなければならない程外見に気遣っているわけではないので
荷物を置くと、そのままホールに向かう。
女主人にはお駄賃のことでお礼を少し言われたほど位で、ほかには特に何もなくティシスたちを待つことになった。
良い子供ってすごくいいですよね。
戯れてると心の闇とか汚れが浄化されていく気分です。
職業体験でも幼稚園に行ったのですが、終わった後のスッキリ感がやばかったですb