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伝統の異世界召喚のくだり

初投稿なので、慣れていない前提に見てくれれば幸いです

「...え?」


 ある晴れた日の秋。衣替えの季節が終わりそろそろ肌寒くなってきていた

 俺はその日も学校に来て授業を受けていた。

 この俺こと、夏樹貴は高校二年生だ。勉強も運動も平均的で、顔も平凡にちょっと毛が生えた程度である。

 だがそれも、目の下の隈と目つきが鋭いことで意味がなくなっている。というかマイナスになっている程である。

 それ故に友達がいないわけではないが少ない。だが数少ない友達がオタクなので自然と俺もその路線に乗っかってしまった。


 そんな俺が...いや俺達の周りが急に光り始めて戸惑っている。

 クラスメイトと教師がその異常事態に混乱している。、


「おいおい、どうなってんだ!?」

「なによこれ!誰の仕業よ!」

「zzz...」

「皆さん!まずは落ち着いてください!」

「おい!足下に変な模様があるぞ!なんだこれは!」

「魔方陣...?まさかこれって...!?」

「きゃああああああああああ」


 その間にも光の強さが増してきている。

 俺はその光景を困惑はしているが、少し冷静になり分析する。


(なんだこの魔方陣は...?これは...文字か?模様にも見えるが......しかし、この後の展開は容易に想像できる。つまりあれだ異世界召喚だ)


 教師は咄嗟に「生徒の皆さん!まずは廊下に出ましょう!」と叫んだがそれはもう遅かった。

 クラスメイトのほとんどが腰を上げた時にそれは起きた。


〈めのまえがまっしろになった〉



 ______________________________



 まぶしくて目を閉じていた俺は、周りのざわざわとした気配を感じてそっと目を開き、辺りを観察した。

 まず目についたのは、10m位はあるであろう巨大な女性に天使の翼のようなものが生えた像だった。

 素材はなんだろうか...なめらかで光沢がある...大理石だろうか?


 そしてその足下には神父やシスターのような服装をしている人達が巨大な像に向けて跪き祈っているようだった。

 さらにその周りに兵士らしき人が十数名、姿勢のいい状態で待機していた。

 上を見ると天井はあるが結構な高さらしく、とてつもなく大きな建物にいるようだ。


 やがて、それらの団体はこちらに気がつくと、驚いたような喜んだような表情をした。

 次の瞬間、その兵士の一人が「陛下に!陛下に勇者が召喚されたと伝えろ!」と叫んだ。

 そして兵士の一人が階段を駆け上がっていった。


 俺は周りを再度見渡した。

 クラスメイトや教師が呆然と周囲を観察している。

 どうやらあの時、教室にいた全員がこの状況に巻き込まれているようだった。


 そこで俺は、団体の一人がこちらに歩いてくるのを見た。

 どうやら70代半ばくらいの老人のようだが、ただ、着ている物が他の人達と比べると特に豪奢で顔にも覇気があり、只者ではないと悟った。

 そんな彼が3m程手前まで来ると好々爺然とした微笑をし、落ち着いた声でこう言った


「ようこそ、御出でになさいました。勇者様方。私は、勇神教教会の教皇の地位に就いております。名はランド・ヒューマリンと申します。以後お見知りおきを」


 クラスメイトが困惑した表情で聞いていると、先程の階段を駆け上がった兵士が戻ってきた。


「陛下の御前へ勇者様方をご案内致します」



_______________________________



 そうして時が経ち、現在俺らは王がいるらしき部屋の大扉の前で待たされていた。

 クラスメイトが混乱している中、落ち着いた様子で周りを宥めているのは、先生と学級委員長の女の子と2年の中では人気のある男と女二人の計5人だった。


 やがて学級委員長が俺の目の前へ来ると心配してなのかこう言った。


「灰佐くん、大丈夫ですか?」

「え...あぁ...大丈夫だ。えっと...川田だっけか?」

「川田じゃなくて川谷ですよ!...まだ名前覚えてないんですか?」

「あぁ...悪い」

「これを気に覚えてください。川谷玲奈です」

「あぁ覚えたよ」

「今度は間違えないでくださいね...では他の方にも声をかけてきます」

「おう」


 そう言って彼女は他の人へ声をかけに行った。


(...そういや、このクラスになってフルネームを覚えたの初めてじゃないか...?)


 俺はそう思い、他のクラスメイトを見た。

 見た感じ、かろうじて苗字が分かるのが4名いた。

 それは学年で人気がある男と女二人のうちのの片方と去年のクラスメイトの二人だ。


(えーと、確か...男が神埼で...女が天木で...あとは成宮と山本だったかな?)


 そうこうしているうちに、やがて扉が開いた。


「勇者様方、入られよ!」


 と兵士が大きな声でそう言った。

 入ってみると赤い絨毯で道が作ってあり、そこを通れといってるかのように傍には貴族のような身なりの人達が立っていた。                 

 その奥には王冠をかぶった王らしき人物が玉座に座って待っていた。

 そしてその傍らには王女らしき14,5才ほどの少女が立っていた。

 俺達が本物の王族を目にして、やはり混乱した。

 王女らしき少女は少し前へ出てこう言った。


「よくぞ御出でになられました勇者様方。どうか人族を救ってくださいませ」


 そこからは、王女の説明が始まった。


 要約するとこうだ。


 まず、この世界はガーランドと呼ばれている。そしてガーランドには3つの種族がいる。人族の人間、亜人族の獣人、エルフ、海人、魔族の魔人、悪魔である。人族は主に大陸の東側を、西側に魔族として悪魔、魔人が、亜人族とされる他の種族は広い地域に分布しておるが北に獣人の国が南の海に海人族の国があるらしい。

 エルフと海人族は人族とは中立的だが獣人と魔族とは敵対してるとのこと。

 

 そして魔物は種族に含まれず、この世界では害獣だということ。

 

 数百年も前から人族と魔族は戦争をして、長く拮抗状態だった。

 しかし、40年程前から魔物が大量発生し始め、なぜ急にと調査した結果、魔族の国からおびただしい魔力があふれ出ており、おそらく魔王が誕生したのだろうとのことだ。その影響で弱い魔物は本能的にこちらへ逃げてきたとのこと。

 さらには強い魔物を使役する魔族が増え、戦争が防戦一方であるとのことだ。

 

 それで人族は勇者を召喚し、人族のために戦ってほしいとのこと。

 

 3行にまとめると


 この世界は多種族がいる

 たくさんの種族に狙われている

 負けそうなので勇者助けて


 だそうだ。


 話が終わり、一段落したところで先生が質問した。

 

「どうすれば、帰れるんですか?」

「私たちは勇者召喚魔法しか知らないのですわ。古い文献によれば魔王が帰還の術を知っているとのことですわ」


 その言葉に大半のクラスメイトが反応し口々に文句や罵倒等の言葉を投げかけた。


「ふざけんな!帰れないってなんなんだよ!」

「は!?来年には受験なのよ!さっさと帰してよ!」

「この世界の人は勝てないからって、他の世界の人を拉致するのか...」

「戦争なんてするわけねぇだろ!勝手に呼びやがってよ!」


 ほとんどの生徒がパニックの中、俺はこのあとの展開を想像出来た。おそらくは30人もいれば1人はいるであろう人物だ。それは...


「みんな、冷静になれ!」


 パニックが納まらない中、神埼が一際大声で叫んだ。

 全員がが注目するのを待ってから、ワンボリューム声の大きさを落として話し始めた。


「皆、この世界の人々に文句を言っても仕方がない!俺らの世界だって努力をしても叶えられないような事があっただろう!それはこの世界でも一緒だ!理不尽だ!...でも!この世界に勇者として呼ばれたんだ!ならこの世界の理不尽くらいなら何とかなるんじゃないか!?そんな理不尽をぶっ飛ばして!この世界の人々を救えたなら!俺達は最高にカッコよくないか!?」

 

 と演説し、大半の生徒がかつての夢を思い出したかのように賛同した。そう、つまりはヒーローになりたいらしい。

 

「そう...だな。そうだ俺達は勇者として呼ばれたんだ!」

「そうよ!なんだって倒せるはずだわ!」

「あぁ!魔王なんて倒してみせるさ!俺達ならな!」


 と演説に乗せられたクラスメイトのほとんどが「魔王を倒して、世界を救う」と息巻いている。

 クラスメイトの一人が王女に質問をした

 

「王女様、前の勇者は帰還できたのでしょうか?」

「ぇ、ええ!古い文献には帰還を望むものは帰還魔法で転送したと書いてありましたわ」

「聞いたか!帰れるんだ!魔王を倒して俺達は帰るぞ!」


『おおおおおおおおおっ!!!』


 そうして俺達は、魔王を討伐して元の世界に帰ることが決定した。決定してしまったのだ。


 そんなこんなで勝手に盛り上がってるクラスメイトを見ているとそれをつまらなそうに見ているクラスメイト二人と先生を見つけた。


 見られていることに気づいたクラスメイトの一人がこっちに寄ってくる。

 やけに身長の高い男だ。近くに来たので小声で質問を投げかけてみた。


「で、実際のとこ倒せると思うか?」

「いや、無理だろうね。ゲーム感覚でやっている人には多少の恩恵が会ってもいずれは死ぬだけだろうし」


 ですよねー...俺も同感だよ。

 その男の名前は、佐々木達也と言うそうだ。

読んでくださりありがとうございました

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