第01 ギルドへ
未完成
side:アヤメ
目覚めたフラムを連れてアヤメはギルドに向かった。
ちょっと後ろを歩くフラムを横目に見ながらアヤメはため息をついた。
何故こんな、頼りなさそうな奴が強いのかが分からない。
でも確実なのは、自力で発明をし、単独で魔物を屠る能力を持っているということだ。
そういったことを考えていると、いつの間にかギルドにたどり着いていた。
ギルドは何故かひっそりと静まり返っていたが、アヤメ達が入ってきた事に気付いた受付嬢が声をかけてきた。
「あ、アヤメさん。ギルマスはさっきお客さんを上にあげちゃったんですけどどうしますか?」
「なら直接乗り込む」
その言葉にすぐ近くにいた冒険者が激しく振り向いてきた事を無視して、受付でなにやら作業していたフラムを引きずりギルマスの部屋へ向かう。
階段を上がってすぐのドアを蹴飛ばし部屋に乱入した二人はそこでカーテンを軽く閉め暗くなった部屋の中で俯いている二つの人影を見た。
「一体何をやってるんですか?ギルマス。弟子を巻き込んで。」
すると人影の片方がカーテンを開けこちらを振り向いた。
「済まないね、ちょと今後の事を考えていたんだ。」
「にしても、客とやらの姿が見えないけど?」
まさしく、華麗なスルーである。
「それならさっき送り返したよ」
「送り返したっていうと魔方陣?それなら下の静けさも納得出来るが。お前は一体どこまで飛ばしたんだ?近場ではアレほど静かになるような"衝撃"は無理だろう?」
「あのぅ、よろしいでしょうか?」
ここにきてやっとセリフのきたフラムである。
話に熱中していた二人と弟子は気まずそうにうなずいた。
「魔方陣を使った転移をすると空間に衝撃がはしるのは有名ですが、空間にとても強い衝撃が走るレベルの転移魔方陣というのはそうそうありません。かなりの距離を転移しているはずですからね。」
フラムは周りを見回し反応を確かめまた話し出す。
「ですが、僕たちが呼ばれたこの時期に"ギルマスが直々"に"魔方陣を使ってでも"連れてくるというのは仙人か異世界人くらいしかいないでしょう。でも、仙人は遥か東方にいると言われますが、その存在自体が不明なので残りの異世界人が妥当と思われます。いかがでしょうか?」
しばらく沈黙が続いた後、ギルマスが口を開く。
「あぁ、当たりだ。彼らはそれぞれ能力を持っているからね。」
その言葉に一番最初に反応したのはアヤメだった。
「能力か、聞いたことがあるわ。こちらに魔方がある代わりに能力と呼ばれる力が向こうにあるっていうあれ?」
その言葉にテオはうなずくと、嬉しそうに話を続けた。
「特にさっき来てたのは一番おもしろい能力でね、向こうじゃどうかは知らないけどこっちの原始的な戦い方ならとんでもないチート能力になるだろうね。」
その話にアヤメとフラムは眉をひそめた
「その能力ってなんなんですか?」
テオはとても楽しそうに、しかし、笑いをかみ殺しながら答えた。
「調和とコントロールの系統の能力だ」
「一体....。」
「実際僕もくわしくは知らないんだ。でも、過去にいた同じ系統の"七日間"と同じかそれ以上らしいよ?」
「確か、"七日間"ってこっちに来た異世界人の一人で戦闘能力皆無の代わりに自分の命を代償に「物の記述を書き換える」能力者でしたよね?」
「おぉ、正解だフラム。今回の彼の能力は本来の名前があまり知られていないから能力自体の推測が出来ないんだよね。」
「つまり、テオ。フラムの話が正しいということはとんでもない能力なんだとはわかる。でも、そんな奴をこっちに呼ぶって向こうにとってマズイんじゃないのか?」
「それなら大丈夫だ。ナージャ、アレを持って来てくれ」
「これですか?」
その手の上には豆腐...
「違う、それじゃない」
それから数分経ちナージャは目的の物を散らかった書類の山から見つけ出した。
「これを見てくれ。」
「これは...契約書?というか掃除したらどうだい?」
「忙しいんだよ。まぁ、彼の所属する傭兵会社に直接 彼への仕事依頼として申し込んだ。」
「なるほど、"雇用する"ということか」
「そう、これなら向こうの邪魔も少ない。」
「それで、今頃なんだが本題に入らないか?」
その言葉にテオは勿論全員がしまったという顔をした。
「そうだったな。話が長くなったので簡単に済ませるとしよう、君達にはその異世界人とパーティを組んで今回の討伐をしてもらいたい」
その言葉の余韻に若者二人が固まった。
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ちなみに話に出てくる七日間って人は能力者で勇者って感じの人です。