第0-プロローグ-表
どーも不定期投稿です
東区Street-B 221B。
そこは、20世紀を思わせる通りの一角にある自室で少年は頭を抱えていた。
ただ、それは下の階に住む探偵の部屋から聞こえる発砲音のためではない。というかそれ自体は数分前には止み今は同居人のどなり声が聞こえる。
少年はもっと違うことで悩んでいた。
「金が無い...」
実際切実な問題だ。次の給料日まではまだ数日ありはっきり言って素材等々を買うっていうのが出来ない状況。それでもなんとか気を取り直した彼は上着を羽織り仕事場へ駆けていった。
「ヤバイ、追いつかれる...。」
というわけで、現場のフラムです。
現在、ギルド会館の開館8分前という遅刻確定な時間なのにもかかわらず、街中を走るハメになっています。
しかもその後ろから追っかけてくる複数の怒鳴り声...。
この5分前、あと少しで仕事場に着くはずだったのに先程ぶつかったチンピラに追っかけられました。しかもその上、追っかけてきている人数がいつの間にか増え今では10人になっています。
(「というか、いつの間に増えたんだよ!」)
「止まれこのクソ餓鬼ッ!」
「止まれって言われて止まる奴いません!」
しかし体格の差もあり、チンピラ達はだんだんと距離を詰めてくる。そして、ついにチンピラに掴まれたと思った瞬間、体が宙に浮く感覚がして屋根の上の人物を見た次の瞬間、視界が暗転しました。
◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇
フラムが目を覚ますとそこは見知らぬ部屋だった。
「おっ、気づいた〜」
という能天気な声の方を向くと赤毛の少女がニカッと笑ながらこっちを向いていた。年はだいたい16だろうか?ベットに横になってるため分からないが背は高い方だろう。
「いや〜ごめんね〜壁に叩きつけたっぽい」
そうなのか、いや ちょっと待て。
「ん、どうかしたの?そんな顔して」
「叩きつけたって?」
何かおかしな一言が聞こえたので追求しようとした僕の一言に、彼女は慌てたのか、目を泳がせ話題を変えるように自己紹介を始めた。
「私は音無 彩女 基本には冒険者だけど、たまにこういう依頼もこなす。今回はあなたを仕事に連れて来いって感じね。」
さっきまでの雰囲気はどこに行ったのか、今じゃ仕事人の空気だ。それにしても...。
「仕事に連れて来いってなんなんですか?」
「あぁそれね、いや なんか、あんた魔術派の中で結構強いのに。しばらく見当たらないっていう事で見つけて来いとね。」
「僕は行方不明者か何かか。ん、いや別に。魔術自体上手い訳じゃ無いですし。」
「え、でも何か亜竜種倒したらしいじゃん?」
「せいぜい下級のを数体、自作の魔導銃で撃ち落とした程度だったし。そもそもホーミングかかってましたし。」
その言葉に彩女は顔をしかめながらありえないという目で見てくる。
何か問題でもあるのだろうか?
「はぁ....。あなたソロの魔導師よね?そもそも、一人での討伐で下級数体を落としてる時点で魔力量おかしいし、魔道銃なんてのを作れる技術力がおかしい。本当に事務員なの?あんた。」
「失敬な、これでも一応ギルドの受付事務い...って遅刻したッ!」
「あ、それはもう大丈夫連絡しといた。」
手際良すぎるだろ。
「中々面白い小僧じゃな。」
突然の言葉に体が固まる、誰か居たか?てか気配...と考えながら振り向くとトカゲっぽい奴が一匹。
「どうかしたかのぅ?」
トカゲっぽい奴がもう一度言葉を発した。
「あ...え......エ?」
「ちょっとファフこの人固まってるんだけど?」
彩女が飽きれた目で僕とトカゲっぽい奴を交互に見る中、申し訳なさそうにトカゲモドキは彼女を見ている。一体コイツは何だ。
「そんな目を向けるでない、わしは ファフニール 使い魔の龍で属性は無じゃ。その小童とは10年前から契約を結んでおる。」
どうやら音無 彩女は召喚術師だったようです。
そんな意外な彼女の正体に気づかないのも無理はない。
この世界には魔術派と科学派という2種類の人間がいる。違いはたった一つ、魔力を使うかどうかだ。
そこから人々は"とある解釈"を作り上げた。
神に与えられし力を扱い神々に挑む者達
最弱の編み出す知恵により神々に挑む者達
(要するに天性の能力で戦うか学んだ知恵で戦うかということだ。多分。実際昔の人の解釈だし、僕が知るわけない。)
というものである。実際これはどうでもいいのだが、これがこの世界の"ヘリと絨毯が一緒に空を飛ぶような"ちぐはぐ感の原因であり、討伐対象の怪物の一部に見られる機械のデカブツの元というのは今は気にしないでいただきたい。
ともかく、そんな魔術派の者は
付与師
妖術師
森呪師
召喚術師
医療術師
などの系統に分かれるのだが、召喚術師というのは生物や物を召喚のため魔力の大部分を召喚物にとられ感知出来る魔力量が少ないのが特徴で、並大抵の人には魔力が無いように感じれるからだ。
それに対して自分は付与師で
物に魔法を付与することで
魔法だけでは出来ない、もしくは、不便な事を簡単に出来るようにする魔法具または、魔道機械を作る。という加工専門の魔術師なのだ。(なので、科学派と共同研究をしていることも多い。)
そのためか、放出系の魔法が苦手という面が存在する。
にしても羨ましい。
だって竜ですよ?ある意味憧れではないか。
そんな風に思考で時間が流れる中彼らは楽しそうにじゃれあっていたが、ふとファフニールの方が気づいたように言った。
「仕事の話はしないのか?」
「ああ、そうね。私も呼ばれてるんだけど、ちょくちょくある"大量発生"の討伐の要請よ。依頼主はルケーノ...テオ?魔術派のお偉いさんね...。メンバーは他にもかなりいるようだわ。」
こんなのに巻き込まれるとは、なんて悪運だ。
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