浅田様式
朝、突然、頭に水をかけられる。
僕は驚きと、水が鼻と口に入った苦しさで声を出せずに辺りを見回す。
そこは庭だった。
目の前には浅田が刀を左手に握って立っている。
「立て」
「え?」
「立てぇえええ!!!馬鹿者がぁぁあ!!!」
僕は浅田の狂気をも感じるその怒声に恐怖すると共に、笑いそうになってしまった。
浅田は鋭敏にそれを察して「貴様、何がおかしい?」
と今度は声を低くして詰問して来る。
「いや、だって、何叫んでんの?」
浅田はすぐにまた狂ったような声をあげた。
「なんだとぉぉ!!? 貴様ぁぁぁああああ!!!」
柄に手を伸ばして、刀を抜いた。
「貴様、今殺しても良いんだぞ?」
今度はまた低い声になる。
僕はその浅田の様子に殺気を感じて、近くにあった物干し竿を重力で引き寄せて、重力で手早く折って丁度良い長さにした。
それを構える。
「良い度胸だ、殺してやる」
浅田は疾風の如き身のこなしで僕に切りかかってくる。
僕は咄嗟に横に大きく飛びのき、その攻撃を交わした。
しかし、大きな隙が出来てしまう。
すぐに浅田が勝利の雄叫びを上げた。
「もらったぁあああああぞぉおおおおおおおお!!!!!らあああああああ!!!!」