浅田凜
「まぁ、良い」
少女はあまり気にして無いように話し始める。
「まず、お前にも破魔の能力を使う事は可能だ。これは単なるコツだから2、3日でできるようになる」
「それと私の名前は浅田だ、浅田凜だ、浅田と呼べ」
少女は僕の目を見る。
「お前の名前は?」
「あ、僕は内山、内山健吾、僕も内山って呼んで」
少女は深く頷いてから、腕を組んだ。
「お前の考えている事は大体分かる、大方、自分の能力をもっと強くしたいと思っているんだろうな」
僕は黙って頷いた。
「分かる、お前は昔の私のようだ、私も、ただ強さを追い求めていた」
「目的も、無く、な……」
その言葉を発する時、少女は少し、横目で見るように、窺がうように僕の顔を見た。
そして少女は黙ってしまった。
気まずい沈黙の時間が流れる。
それから少しして少女は思い出して言った。
「私の能力は体と体に触れている物の強化だ」
肉体の強化。
その能力で僕の重力の影響から逃れられるとは到底考えられない。
少女は僕の表情からその考えを察した。
「まぁ、すぐ教えてやるさ」
その言葉の後は、あまり喋らずに、食器を片付けて、布団は離して敷いて、寝てしまった。