告白
「でもな、そんな時でもお前の笑顔を思い浮かべると、私は、絶対に生き延びて見せると、そういう風に諦めないでいる事ができたんだ」
「お前の事が好きだ、内山」
萎れたように頭を垂らしながらの言葉。
僕は驚きから何も考える事ができなくなってしまう。
辺りは静まり返って、浅田は動かず、次の言葉を紡ぐ事もしない。
「浅田……」
僕は少しずつ回り出す頭の中で、僕の浅田への想いはどういう物なのか、という事を自分に問いかける。
浅田は良い人間だ。僕の憧れで、生きる道を教えてくれた。
正直で、勇ましく、威厳があって、いつも美しい。
そして、再会してからの間に、人間らしい弱い所も知った。
僕は浅田にどこまで、何を懸ける事ができるだろう。
浅田の為に命を懸ける事ができるだろうか。
できる。
浅田の為に命を懸ける事はできる。
浅田にはその価値がある。
ならば、命を懸ける事ができるのに、応えられない要求とは何があるだろう。
何もない。浅田の為ならどんな事でもできる。
僕は浅田の事を愛していた。
命を懸けても良いと思えるほどに愛していた。
いつの間にか、気付かぬ内に、浅田の事を好きになっている。
僕は浅田の事が好きだ。
今まで、そういう目で見てはいけないと思っていた。
しかし、浅田の方から好きだと言ってくれるなら、僕も浅田の事が好きだ。
浅田は僕の全てを懸けても良いと思える存在だ。
「僕も、浅田の事が好きだよ」
浅田は、しばらく身動きしないでいて、そして、少ししてから横に倒れて寝転がった。
「そうか」




