散髪
「本当か」
「うん」
「そうか」
その後は何も話さず、浅田は少し嬉しそうな顔をして温泉に浸かっていた。
浅田との暮らしを再開して少し経ったある日、浅田が髪を切ってくれると言って来た。
「髪の毛とか切った事あるの?」
「ある、まかせろ」
浅田は最初、伸びきった僕の前髪を一気に切り落とす。
そして何かが違うというような表情をする。
手に持たされていた鏡を見ると、前髪が一直線に切り揃えられていて、かなり不自然になっていた。
僕は不安になり始める。
しばらく大人しくしていると横髪、後ろ髪も同じく一気に切られる。
また、かなり不自然になった。
浅田は物置から手動のバリカンを出してきて、油を差して、結局、僕の頭は丸刈りになった。
「男なら丸刈りだ」
浅田はそういって僕の肩を叩く。
僕は丸刈りが嫌なわけではなかったから、大人しく受け入れる事にした。
「ねぇ」
僕は、胡坐をかいて庭を見つめている浅田の背中に話しかける。
「なんだ?」
「この刀、使ってみて思ったんだけどさ」
「ん?」
「刀が無い方が楽なんだけど」
「まぁ、お前の能力だったらそうだろうな、私の場合は攻撃範囲が広がるから有用だ」
「じゃあ、返すよ」
「いや、実は鬼の体内に吸収されていた古刀を勝利の暁として手に入れてな、それはお前にやる」
「でも僕には使い道ないんだけど……」




