表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
25/36

変化

自嘲を込めるその言葉。

「けん兄、変わっちゃったんだ」

あきらは呟くように言葉を漏らす。

「けん兄は変わらないと思ってたのになぁ……」

あきらは空を見上げて、涙を流す。

「私、変わっちゃう人って嫌なんだ、ずっと変わらない人が、好きで、それで、けん兄は、変わらなくて、それで、それで、」

僕はあきらを抱きしめる。

「僕は何も変わってない。ずっと、メイドカフェの事だって忘れなかったでしょ」

「……ホントに?」

「変わってない、いつもどおり気持ち悪い顔してるでしょ」

僕がそういうと、あきらは体を離して僕の顔を見つめる。

あきらの目は涙で真っ赤になっていた。

「ホント、だ、気持ち悪い……」

あきらは笑顔を作りながら涙をさらに溢れさせる。

「僕は変わってないよ……」

その実、僕は変わっていた。

浅田との過激な日々の中で、精神を矯正されてしまっている。

なにより、今ではあきらよりも浅田への想いの方が強い。

しかし、それは僕からすれば“変化”ではなく“成長”だった。

でもそれはあきらにしてみれば「変わってしまった」事に他ならない。

僕は成長した自分を隠して行くしかないのだろうか。

 「うん……」

あきらは僕の胸に顔を埋め、涙をこすり付けている。

 浅田と出会う前は、僕の大切な人と言えばあきらだった。

僕は年の離れたあきらがとても可愛く、我侭でもなんでも聞いてあげたいと思っていた。

しかし、あきらの為を思うとある程度の厳しさは必要で、僕はその匙加減に四苦八苦していた。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ