力量の違い
その日の昼、僕は稽古に誘われた。
浅田に言われるまま庭へ出て、浅田と対峙する。
「お前、熱を込めて能力を発動してみろ」
「え? でもそれだと浅田死ぬんじゃないの?」
「はっ! 何を馬鹿な。私が死ぬだと? 誰に殺されるんだ?」
「え、いや、僕に」
「自惚れるなよ、素人が」
僕は少し腹が立ち、能力に感情を込めて、浅田が死ななそうな程度に重力をかけた。
「ふん」
浅田は鼻を鳴らして平然と立っている。
僕はおかしく思い、少し重力を強めてみた。
しかし浅田は難なく立っている。
「おい」
僕が慌てていると、浅田が声を掛けてきた。
「圧倒的な力量の差と言う物がある」
「……力量の差?」
「そうだ、いくらお前の能力が素晴らしい物だとしても、それを扱う力が未熟なんだ」
僕は浅田の次の言葉を待つ。
「能力の特性に関してはお前の方が上だったとしても、私はお前に力量で勝っている」
「だからいくらお前が私に重力をかけた所で、私の肉体強化でそれを相殺して、さらにお前に一撃を加える事もできる」
「これは基礎技術も何も無い、純粋な力の差だ」
得意気に話す浅田に、僕は少し悔しくなった。
「じゃあ、どうすれば僕の力は強くなるの?」
浅田はすぐに答える。
「能力の強さは精神と肉体の強さと比例する。つまり、肉体の鍛錬を積めば、能力も強くなる」
考えてみれば、僕は、運動などした事がない。
だから僕は浅田に敵わないのだろうか。
僕は浅田に問いかけていた。
「じゃあ、僕を鍛えたり、してくれない、かな……?」




