君
ずっと君に憧れてたんだ。
君の真っ白な肌も、君の目も鼻も唇も。
絵に描いたような美しさで、いつも僕に笑いかけてくれた。
ずっと君が欲しかったんだ。ううん君になりたかったんだ。
それに君は頭も良いだろう?成績だって上から数えたほうが早いし、
僕なんてほら、人から憎まれる人間だから、
ずっと君に憧れてたんだ。すっごく君は優しいね。
だから僕は君になることにしたんだ。君みたいになりたくて。
手始めに顔を変えてみた。
どうかな?綺麗になったかな?
君の写真を持っていって先生に頼んだんだ。
「君にしくださいって。」そしたら先生酷いんだよ。
「君風にはできるけど。君自身にはなれないって」
なぜ?
僕は君自身になりたいのに。
でもできるだけ近づけてもらった。何回も何回も。そしたらどうなったと思う?
君になれたんだ!その日はすごくうれしくて君の名前をちょっと借りちゃった。
でもいいよね?僕は君なんだから。
その次は君みたいに勉強も頑張ったんだ。君の行ってる学校にも入れるくらいに。
その内、学校で双子なんて言われるかもね!
でも僕は双子なんてやだな。
勉強ができるようになったら、ますます君に近づけたんだ!
君のファッション、君の人気、君の彼氏、君の家族、君を手に入れることができたよ。
なんで君はそんなにおびえてるの?僕もおびえなきゃいけないじゃないか。
なにが怖いの?僕も君みたいにかわいく怖がりたいよ。
かわいい顔で笑いかけてよ!
僕のお手本じゃないか!
そんな!家から出てきてよ・・・
それじゃなきゃ君みたいになれない。君がわからなくなってしまう。
君の存在になれないかな?
いやなれるよ・・・こうすれば君自身になれる。
さようなら僕。こんにちわ私。