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第四話

おはようございます。第四話のお届けです。今回は銀行強盗作戦!果たして上手くいくのか?そして今週もあります、怪人飲み会。お楽しみに!


 「悪のアジトの片隅で」

         (第四話)


          堀川士朗



喜多区寂尊きたくじゃくそんの奥深くの地下施設。

ここは悪の組織ギラギラゾルゲーのアジト。

悪の首領ハチマン様がソファーに鎮座している。

その周りを幹部のシャイナル将軍、ザコシュ博士、王女ジャイマンデル、デクスター卿が囲んでいる。

ハチマン様が地獄の底から沸き立つような低い声で言う。


「此度の作戦は、銀行強盗作戦!寂尊このはな銀行を襲い、大金を奪って寂尊銀座商店街を恐怖の渦に叩き落とし込んでやるのだ!行け!怪人たちよ!ぬは。ぬははははははっ!」



銀行強盗作戦……!


徒歩でアジトから寂尊このはな銀行にやってきたいつものオール怪人メンバーたち。

アリゾルゲーはキョロキョロしながら落ち着かない。緊張しているのだ。


「早いとこ、このバッグに現金を詰めな」

「あのー。今、当行では通貨準備高は三万円しか現金置いてないんですよ~」

「へ」

「そんな訳あるかっ!」

「あるんです~。今は何でもかんでもネットバンクの時代でございましょう~?そうでございましょう~。お支払いも電子マネーですし~。銀行は今、冬の時代なんでございます~」

「そんな」

「そうでございましょう~。中央銀行がポンシビリティーの利潤をターンパイクさせているせいで、末端の我々はもうボロボロなんでございます~。そうでございましょう~」

「大変だな……」

「申し訳ございません~お引き取りを~」

「そうか。……あんたも頑張れよ……」

「ありがとうございます~。またのご来店を心よりお待ちしております~。これ良かったらどうぞお使い下さい~」

「ん?」

「特製ポケットティッシュでございます~」



寂尊このはな銀行を出る。

ポケットティッシュだけ持ってアジトへと帰る怪人たち。

徒歩五分圏内にあるアジト。

また失敗だ。

またハチマン様や幹部に叱られる。

怪人たちの少ない給料がまた減らされてしまう。


今回も敵の、正義の味方傍若無人戦隊ヤリタイヨーニヤルンジャーの出番はなかった。

怪人たちの活動を泳がしているのかもしれない。



夜七時。

喜多区寂尊商店街の中にあるやきとん居酒屋、てっちゃん。

ギラギラゾルゲーの怪人たちが奥座敷で飲み会中である。

オオカミゾルゲーはいない。


「さっきたこ焼き買う時小銭さわったから指にお金の匂いが染み付いちゃった」

「どれ、アリゾルゲー。嗅がせてみ」

「ん」

「10円の懐かしい匂いがするな」

「フフフ。後で手を洗わなきゃなあ」

「そうだな」

「お前らホモみたいじゃん」

「……デリカシーないなカラスゾルゲーは」

「あ。今日はこの後、夜九時からワールドカップだ。観なきゃ!」

「ワールドカップ観ないよ。だって俺が観ると必ず日本負けるんだもん」

「あー。ゴキゾルゲーは人間だった頃の記憶が残っているんだね」

「うん。少しね。毎日拭いきれないトラウマに苦しむさえないオッサンだったよ。怪人である今の方が全然充実してるよ」

「そうか」

「うん」

「カラスゾルゲー、無事?」

「無事~!サファリパークスッ!」

「ははは ( ´∀`)」

「話変わるけど俺禁煙しようと思って」

「え、カメムシゾルゲー。何で」

「健康の事を考えて」

「そうか。心底どうでも良い話だな」

「むむ」

「禁煙なんて無理だよ。一本でもタバコなんか吸ったらそれでアウト。もう元には戻れない。肺真っ黒になるよ。タバコは麻薬だ」

「カメムシゾルゲー、悪いけど一生吸い続けてよ」

「むむうっ。いいさ、吸ってやる!」

「何そのライター。高級感あってカッコいいじゃん。銀で」

「ああ、これヤホウショッピングで買った」

「カメムシゾルゲー、ヤホウショッピングするカネなんかあるのかよ?まさか給料俺たちと違うのかよお前?」

「えええ不公平」

「手取りは聞くなよ。お互いのためにも」

「……そうだな。そうだな」



           つづく



ご覧頂きありがとうございました。また来週土曜日にお会いしましょう。

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