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第二話

おはようございます。第二話のお届けです。悪の適性検査が行われます。合格者は出るのか?そしていつもの怪人飲み会へ!お楽しみに!


 「悪のアジトの片隅で」

         (第二話)


          堀川士朗


「これより抜き打ちの怪人適性検査を行う。イカゾルゲー、例のモノを!」

「ははっ」


王女ジャイマンデルに命じられてイカゾルゲーが段ボール箱を運んできた。

ん?ん?ん?となる怪人たち。


「さあっ!容赦のない残忍な悪の化身たちよ。この箱の中身の生き物を蹴るのよっ!」


中にはとてもかわいらしい赤ちゃん子猫が三匹入っていた。

みゅんみゅんみゅんとか細い声で鳴いている。


「さあっ!蹴ってみせなさい早くっ!」


王女ジャイマンデルが指示する。

ついでにその豊かな胸をプルンッと揺らした。そこら辺があざとい。


「そんな……」

「そんなかわいそうな事は出来ません」

「まだ赤ちゃん」


ゴキゾルゲー、カラスゾルゲー、アリゾルゲーが言った。


「俺には出来ねえ」

「無理ですぅ」


オオカミゾルゲー、カメムシゾルゲーが言った。


「ふがいない。何という事……ええい、ならば我が配下イカゾルゲー、見事子猫を蹴ってみせなさい!」

「無理です」

「は?」

「だって、だってつぶらな瞳」

「この……」

「猫吸いなら喜んでします」

「たわけっ!」


全員不合格となる。

来月から怪人たちの給料がちょっと減らされる事となった。

落ち込むオール怪人メンバーたち。



夜になった。

喜多区寂尊商店街の中にあるやきとん居酒屋、てっちゃん。

ギラギラゾルゲーの怪人たちが奥座敷で飲み会中である。

オオカミゾルゲーの姿はない。


「ジャイマンデル様、篠咲あいんちゃん、ほんとは韓国人でキムアンミって名前らしいぜ」

「そうなの?」

「ジャイマンデル様、グラビアアイドルやってるじゃん?こっちがオフの日に、篠咲あいん名義で。そんでこないだ7ちゃんねる見たら篠咲あいんは韓国籍だってスレッド立ってて、ある事ない事書かれてた、かわいそうに」

「でも韓国人の女は情が深いからな。良い女多いし」

「そうだね」

「整形してなきゃ良いけどな」

「そうだね。整形はやだよね」

「かわいけりゃ良いじゃんね整形してても。化け物みたいな顔になんなきゃ」

「そうか~?」

「あのコスチューム最高だな!ジャイマンデル、いやキムアンミちゃんのブッルンバッルンのおっぱいに俺、欲情してきちゃったっ!」

「何でやねんっ!この市川男汁郎が!」

「え」

「何だよお前、イカゾルゲー。ジャイマンデル様の直属の配下のくせに。人としてクズだな」

「良いもん~。俺~。怪人だし~」

「お前なんて臭作くささくじゃねーか」

「えあ?お前だって臭作じゃねーかカメムシゾルゲー!」

「イカゾルゲー、お前のは刺激臭だからな」

「うるせえっ!お前こそ臭いのやめてもらえないですかね?100メートル先からでも臭うんですよ先輩っ!」

「イカ臭菌!」

「カメ爆弾臭!」

「ああんっ?」

「やめなよ二人とも。虚しいよ、すごく」

「飲め飲め。このハイボールの豊潤な味わい。五臓六腑にしみわたる」

「ったく、イカゾルゲー。お前の頭の中覗いてみたいよ」

「グロい脳ミソがあるだけだよ」

「もう無いだろ。改造されたから」

「ああ。そうか。もう、無いのか。俺はもう、人間では無いのか……そうか」

「そうだよ」

「風俗で発散しろよ」

「風俗行こうにも、俺は怪人だから出入り禁止だよ……」

「そうか。悲しいさだめだな、俺たち」

「カラスゾルゲー、米と麦だったらどっち好き?」

「麦~!サファリパークスッ!」

「ははは ( ´∀`)」

「でもこの、ユルユルと時が流れていてこうして美味しいお酒を楽しんでいる感じ好きよ。ずっと、こうあってほしい」

「そうだなアリゾルゲー」

「僕たちにとって、今が青春時代なのかもしれないね、ゴキゾルゲー」

「そうかもしれないな」

「鐵ちゃんのやきとん美味しいなあー。モグモグ」

「確かに。感動する味ってわけじゃないんだけど、ここのやきとんはほっこりするよな。酒に合う」

「スライストマト、ジューシー」

「……俺何で嫌われてんだろ」

「ん?カメムシゾルゲー」

「嫌われてるのなんかあんま気にしない方が良いよ。俺なんか飲食店に絶対いちゃいけないのに、こうして酒を楽しんでいる」

「そうだな。ゴキゾルゲー」

「どうせこの世は酔生夢死だから」

「言いたいだけだろ」

「鐵ちゃんはほんと良い店だよ」



           つづく



ご覧頂きありがとうございました。また来週土曜日にお会いしましょう。

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