ガンゲイル・オンライン
九品目は《ソードアート・オンライン オルタナティブ ガンゲイル・オンライン》になります。
※異世界アニメではありません。
※VRMMO、ゲーム世界での銃を使ったバトルアニメになります。
(故郷の北海道を離れ、東京の女子大に通い始めて三ヶ月。最初は東京に来れば何か変わるかも?なんて期待したけど、北海道にいた頃と状況は代わりなく。もちろん、この身長が縮むわけなく。
いいなぁ、可愛くて、ちちゃくて。私もあの子達みたいな身長だったら……きっと)
(私がVRMMOに興味を持ったのは夏休みの帰省中、あるニュースを見た事がきっかけでした)
ニュース
『新世代、VRマシーン。ナーブギアを用いた、世界初のフルダイブ型VRMMORPG、ソード・アート・オンライン。2022年、正式サービス開始当日に、ログインしていた一万人のプレイヤーが、VR世界に閉じ込められたこの事件は二年の歳月と、四千人もの犠牲を経て、解決しました。
多くの人々が、VRマシーンの危険性を感じたことは記憶に新しいと思います。ナーブギアは全て回収、破棄されましたが、次世代機、アミュスフィアとライセンスフリーの運営パッケージ、ザ・シードによって、状況は一変します。ザ・シードを用いたゲームが次々にリリースされ、その数はSAO事件の危険性を忘れたかの様に増加の一途を辿っています。
五感で楽しめるゲームはプレイヤーを現実とは違う人生に誘う。その魅力に囚われたユーザーは加速度的に増えています』
『現実とは、違う人生……』
その言葉に魅力を感じる、小比類巻香蓮。高身長がコンプレックで、小さくて可愛い子に憧れています。
ゲーム好きの友達、篠原美優にオススメのゲームを紹介してもらうも、キャラクターが高身長で、気に入らない。コンバート機能という、キャラクターを他のゲームに移す機能を使い、理想のキャラクターを探す事になります。
『これで三七ゲーム目。お願いです、お願いです、お願いです。
見つけた……見つけた!見つけた、ついに見つけた!可愛い!この子、可愛い!』
子供並みの低身長が特徴的な女の子のアバター。香蓮は理想のキャラクターに出会います。
『ところでこれって、どんなゲームだっけ?』
キャラ名はレン。キャラクター探しに必死でゲームの概要を知らないレンはチュートリアルを受ける事になります。
NPC
『よく来たな、ゴミ虫!ゴミ虫でなければ、父親と母親の何から生まれたクソ虫だ!
いいか、クソ虫!この世界には異形のモンスター、狂った機械、殺人も好むプレイヤーが跋扈している。
今から私がこの劣悪な環境で生きていくすべを、お前に叩き込んでやる。クソ虫、お前は何の為に此処に来た?』
『可愛い、女の子になる為……』レンは恥ずかしいそうに答え。
NPC
『生き残る為だ!その為に必要なものはコレだ!クソ虫、コレが何だか言って見ろ?』
『銃です』拳銃を頬に押し付けられたレンが答えます。
NPC
『クソ虫のくせに、少しは知能があるようだな。セオリーとして、対モンスター戦に光学銃、対人戦に実弾銃だ』
一際ハードな世界感と、剣ではなく、銃を用いた対人戦で、コアな人気を博するVRゲーム、不毛の荒野に轟く銃声が乾いた疾風となって吹き荒れる。そのゲームの名は……ガンゲイル・オンライン。
(私はガンゲイル・オンラインを続ける事にしました。可愛いレンとなって街を歩くのもいいけど、せっかくゲームを始めたんだし、思い切ってモンスターを狩に行ってみました。
ゆっくりとだけど確実に経験値は上がっていって)
その経験値はアジリティ(俊敏性)に極振り。自身の武装と砂漠エリアがピンクである事から、待ち伏せPKをする様になり《ピンクの悪魔》と噂される様になります。
そしてPK、プレイヤーキルを続けていた矢先、レンは頭に拳銃を突きつけられます。
『噂以上に小さいのね?初めまして、ピンクの悪魔ちゃん。保護色作戦が思いのほか上手くいって、味しめちゃった?わかる、わかる。PK、楽しいもんね?ゲームだもの、ガンゲイル・オンライン(G G O)だもの。楽しんで何が悪いって、何も悪く無い。でも……気を付けた方がいいわよ?』
『撃た、ないんですか?』レンが問いかける。
『撃たないわよ。噂のピンクの悪魔がどんな奴か、見に来ただけだもん。まさか、こんな小さな女の子だと思ってなかったけど。ねぇ、良かったら、街に戻ってお茶しない?お姉さんが奢るから。数少ない女性プレイヤー同士、仲良くしようよ?』
(それが、私とピトフーイ、ピトさんとの出会いで……私はピトさんとスノードロン、つまりチームを組み、時間が合う時は必ず一緒に狩をしました。
ピトさんは毎日使う銃を変える程の超リッチなガンマニア。でも、それ以外はほとんど謎の人で……)
『ねぇピトさん、趣味は?』レンが尋ねます。
『うん?う……ん。このゲーム以外?無いわ』
『私は音楽鑑賞。クラシックや映画のサウンドトラックをよく聞いてる。歌手だったら今は神崎エルザが一番好き』
『音楽か……私はほとんど聞かないなぁ……』
興味なさげに呟くピトフーイ。
『そうなの?なんか私、勝手だけど、ピトさんは音楽好きに思ってた』
『楽譜すら読めないリアルの私を見たらビビるよ?』
『いや、ごめん。リアルの話はここまで』
ゲーム上でリアルの話を持ち出してしまった事に罪悪感を覚えつつ、話を打ち切ろうとするレン。
『まぁ、レンちゃんとは結構仲良くなったから、リアルでも会って、正体を教えるのもアリかも知れないって、思う事もあるよ?いわゆる、オフ会ってヤツね!
レンちゃんは?その度胸というか、覚悟は?』
『たぶん、ピトさん。ビックリすると思う』
会いたくないというよりは、高身長なのがバレたくない。という思いが、言葉の中に潜む。
『じゃあ、こうしましょう。いつかレンちゃんが私と真っ向勝負をして、勝つ事が出来たら、リアルで会おっか?』
『私がピトさんを倒す?そ、そんなのいつになるか……』
『じゃあ、約束してあげる。それまで己を鍛えて、いつかそのピーちゃん(Pー90)で、見事に私を屠ってみなさい』
『分かりました。いや、わかった!いつか、絶対にピトさんを倒す!』
『うん。いい返事だ。じゃあ、誓いの金打』
『きんょう?』レンは言葉の意味が分からず、呟きます。
『誓いの証に金属をぶつけるのよ。江戸時代に流行ったんだけど?覚えてない?』
『ピトさん、リアルは百七十才以上?』
『まだ秘密。さぁ、私達はいつか、本気で勝負をして、私が負けたらレンちゃんにリアルで会う。女の約束だよ!』
『うん!』二人の銃がぶつかり、《カチン》と音を響かせます。
《2026年1月》
『レンちゃん、明けおめ』
『明けおめ!ピトさん』
『ねぇねぇ、レンちゃん。知ってる?スクワッド・ジャムの事?』
『何それ?』
(私は、スクワッド・ジャムの事を知るのです)
『イカのジャム?』
『うわ!変なもの、想像させないでよ!スクワッドは英語で班とか、分隊って意味。ジャムは元々はぎっしり押し込むって意味』
『あぁ……球が詰まるジャムと一緒か……すると、分隊がごちゃ混ぜ?』
『そう!スクワッド・ジャムはチームを組んでバトルロイヤルをやろう。って大会なの!スクワッド・ジャム、略してS J』
『バトルロイヤルって、皆んなで一斉に戦う、アレでしょ?』
『そう!レンちゃん、S Jに出て!』
『えぇ!私が?ピトさんと組んで?』
『いや、すっごく、すっごく残念だけど。私は駄目なんだ』
嘘っぽい理由でピトフーイは不参加。しかし、レンには出て欲しい様で、やる気無さげなレンを必要以上の熱意で勧誘します。
『じゃあ、参加!』言質とったよ!と、言わんばかりのごり押しで話を進めようとする、ピトフーイ。
『ちょっと!どうして、そうなるの?だってチーム戦なんでしょ?私、誰と一緒に戦うの?』
『おぉ、やる気出てきたねぇ?』
『聞いただけ!』
『私の知ってるプレイヤーで、強いのがいるのよ!男だけど。まぁ、変なヤツだけど。ぶっちゃけ頭の中はほとんど犯罪者だけど。悪いヤツじゃ無いから!いいヤツでも、無いけどねぇ……そいつとコンビを組んで宜しく!』
『えぇ、二人だけ?』最大六人までの参加できるチーム戦で、チームと呼ぶには最小限の二人。レンは呆れる様な、戸惑いある返事。
『うん、二人だけ。他に都合が付かなかったからさぁ』
『ピトさん。それで私が、わーい分かりました!なんて言うと思う?』
『ねぇ、レンちゃん。私が思うに、レンちゃんはいろいろ抱えてるでしょ?リアルでなんか、こう……鬱屈とした感情を抱えてるでしょ?だから ガンゲイル・オンライン( G G O)に、よく言えば鬱憤ばらしに来た。悪く言えば、逃げてきた。
なんで分かるの、って顔してるけど?簡単にわかるよ!だって、私がそうだもん。現実で憤る事や、どうしようもない事が多すぎるから、ここで暴れてるの。ここで思う存分、銃を撃ちまくって、モンスターや人を殺してるの』
『ピトさん……』
『どうせ現実に出来ない事をやるんなら、思い切ってやろうぜ!って言いたいのさ!レンちゃん、暴れ様ぜ!』
《1月27日》
神崎エルザのライブチケットが取れたら参加しない予定だった香蓮。しかし、ライブチケットはとれず、その鬱憤をはらす様に、スクワッド・ジャムで暴れる事を決意するレン。
『紹介するね?このバカみたい無駄にデカいのが、今回一緒に戦ってもらうヤツで……ほら、自己紹介しなさい!』
紹介すると言い出したのに、最後まで紹介する気の無いピトフーイに促される大男。
『初めまして、俺は、エムといいます。宜しく』
『初めまして、私はレンです』
『あの。まぁ、緊張しないで、いきましょ。いや、行こう。敬語を使うと、ピトのヤツに後でボコボコに殴られる』
緊張というより、初対面のエムに警戒し、怯えているレンを宥める様に声をかける。
『あ……はい。じゃなくて、うん。それでお願い。参加すると決めた以上。誠意杯やるので、いろいろ宜しく。エムさん』
『こちらこそ、一緒に頑張ろう……レン。呼び捨てでいいか?どうも、ちゃん付けって、苦手なんだ』
《2月1日》
アナウンス
『ガンゲイル・オンラインにログイン中の皆様にお知らせします。本日、十四時よりチーム対抗、バトルロイヤル。スクワッド・ジャムが開催されます』
『エムさん、今日は宜しく』
『俺、ピトのヤツに言われてるんだ。絶対優勝しろって』
『あぁ……ピトさん言いそう』
『できる限りは頑張る。とは答えたレンが戦死したら、降参するかも知れない。とも言った』
『うん。いいんじゃない?』
『二人でどこまで出来るか、楽しんでみよう!』
『了解』
『妙に期待が入っているなぁ……』
『神崎エルザのライブチケットが取れたら、ココには来ないつもりだったけど……』
『取れなかったんだな?』
『だから、ヤッてやる!』
(こうして、私とエムさん、二人だけのチームLMの戦いが始まったのです)
アナウンス
『スクワッド・ジャム、ゲームスタート!』
エムの的確な指示と作戦の元、戦闘のプロを倒し、エムの狙撃の腕で残り二チームになるまで生き残る。
『あ、エムさんさっき、手紙みたいなの読もうとして無かった?いいの?』
『十五時ちょうどに読めと、言われていたんだ』
『警戒してるから』
『頼む』手紙を読み始めるエム。
(あと一つ、これに勝てば、んんん。エムさんの盾と射撃があれば、きっと勝てる。その為なら……)
『レン、すまん』
レンに銃口を向け、発砲するエム。
(殺されて、たまるか!)
銃弾を避け。肉薄しながらエムに迫り、銃にロックをかけて、エムの首筋に銃口を突きつける。
『動いたら、引き金を引くよ。エムさん、安全装置の事、教えてくれてありがとう。役に立ったよ。その上で聞きたいんだけど?なんで、殺そうとしたの?せっかくここまで来て、最後まで残ったのに!なんで?訳も分からずに殺されるのは納得いかない!続行出来ないなら、相談してくれればいいじゃない?違う?答えてくれないならいい!私一人で戦って……』
レンが発砲する直前、エムが突如土下座を敢行。そして、大泣きしながら告げます。
『嫌だ一一一一一一!!死にたくない!どうか、待ってください。どうか、お願いします。撃たないで下さい!嫌だ、やめて下さい。お願い、致します』
『理由を聞くまでは絶対に撃たない。つまり、教えてくれなければ、撃つ』
『死んてしまいます』
『まぁ。そうね』
『僕は、死んでしまうのです……』
『敬語はやめて。まさか、プレイヤー変わってない?』
『こっちが自の僕です。そして、貴方が撃ったら、僕は死にます。死んでしまいます。そりゃ、ゲームのなかでは……』
『そうじゃ無いんです!』
『どういう事?』
『僕がS Jで死んだら、リアルの僕も、本当に死んでしまうのです』
『ソード・アート・オンラインじゃ無いんだから……お、エムさん。さっきの手紙、何が書いてあったの?』
手紙の内容
『やっほー、エム。奮戦中かね?一時間経ったら読む様に言いつけておいたけど、破っていたら、殺すよ?私の代わりに参加してるんだから、存分に楽しみなさいよ?これはゲームであって遊びなんだからね?不甲斐ない死に方をしたら、ぶち殺すからね?
でも、二人で一時間以上残ったのなら、本当に凄いよ!頭、なでなでして褒めてやるよ!その後死んだら。やっぱり殺すけどね?自殺もダメね?なんとしても生き残りなさい!バトルは緊張感がないとやっぱり楽しめないよね?さぁさぁ、存分に楽しめ!生を感じなさい!以上』
『これ、聞くまでも無いけど、ピトさんよね?』
『そうです』
『いかにも、あの人が書きそうな事だけど。殺すとかって、ゲームの話でしょ?』
『は、は、は!アンタは何もわかってないんですよ!ピトフーイの頭のおかしさをーー!ピトフーイは殺します。殺すと言えば、本当に殺しますよ!ゲームの話?は、は、は、そんな甘い訳がないでしょ!リアルで殺すって事が僕にわかるんです!そして、あの女はそれを絶対に分かっていて、その手紙を書いたんですよ!
楽しめとか言っておいて、これだ!やっぱり、デスゲームに憧れているんだ!あの女はいまだに心を囚われている!イカれてるんだ!あはははは、あの女らしいなぁ!』
『つまり、S Jで戦死したら、リアルの貴方はリアルのピトさんに殺されてしまうと?』
『さっきから、そう言ってるでしょう!!』
レンは理由に納得したのか?納得はいかないが、この場ではこれ以上問い詰めたところで理解は出来ないと判断したのか?エムから銃口を外す。
『ありがとうございます』
『じゃあ、なんで私が殺されなくちゃならないのよ?』
『レンが死ねば、リーダーになれる。降参が出来ます』
『ふん。私を甘くみたね?』
『黙って、グレネードを投げれば良かったです』
『まぁ、いいか。エムさん、もういいから。ここからは私一人で戦う。エムさんはどっかで、隠れていて。私が倒されたら降参すれば良い。今までありがとう。じゃあね……』
(私の利点を最大限に活かすには、どうすればいい?そんなの、そんなの決まってる!よっしゃー走るぞ!)
『めい一杯暴れてやる!!』
(ラストバトル、やってやるぞ!ま、できるところまでは……)
アマゾネス集団、シンクとの激闘の末、スクワッド・ジャムで優勝を勝ち取るチームL M。
《数日後》
第二回、スクワッド・ジャムの開催が決定。
レンこと、小比類巻香蓮はエムさんとはその時限りのチームだったし、やり切った感がある事から、参加を辞退する予定だった。しかし、小比類巻香蓮のマンションに訪れた男により、セカンド・スクワッド・ジャムに出場する事になります。
『小比類巻香蓮さんですよね?』
『はい?そうですけど?ひゃー』男は不審者なのかも?と疑ってしまう香蓮。
『叫ばないでください、レン。僕ですエムです』
『エムさん?まさか、本当に?』ゲームの世界の知り合いが、訪れるとは全くの想定外。
『はい。僕がエムです』
『あの、貴方がエムさんだとして、どうして、私がレンだって、分かったの?』
『後で説明します。とても重要な話があって、会いに来ました。ここではマズイので……どこでもいい。落ち着いて話が出来る場所に行きたいのですかが』
『もし、断ったら?』エムと名乗る男に不信感がある。出来ればお断りを……
『第二回スクワッド・ジャムの夜に、人が死にます』二人はロビーの様な空間に移動して、話を再開します。
『と、その前に、貴方は誰さん?』
『あぁ、すみません。申し遅れました。僕の名前は阿僧祇豪志です』
『じゃあ、豪志さん、って呼ぶけど?』
『香蓮さん!どうか、助けてください。世界中で香蓮さんにしか出来ない事があります。香蓮さんの助けがない場合い、二人の人間が死ぬことになります』
『二人?』死人が出るとは聞いていたが、二人とは聞いていない香蓮は疑問文の様に呟く。
『一人は僕。もう一人はピトフーイのリアルです!』
『何それ?S Jで、言ったよね?ピトフーイのリアルに殺されるとか?あの流れ?』
『そうです。僕は言いましたよね?ピトがイカれていると。セカンド・スクワッド・ジャム(S J 2)にピトは参加します。僕と、今集めているメンバーとで』
『エムさんとピトさんが組めば、そりゃあ、優勝狙えるよ』
『ピトはもちろん、優勝を狙っています。そして、リアルの彼女は僕にこう言いました。《優勝出来なかったら、またはゲーム中に殺されたら、私、自殺するからね》と。そして僕も死にます。自殺しなければ、彼女に殺されます。そして、あの女はヤルと言ったら本当にヤります』
『豪志さんを殺すよ。って、脅した時みたいに?』
『はい』
『はーーあ、豪志さん。ピトさんはどうしてそんな変な事を課すの?ゲームの中で死んだら、自分や他人を殺すとか……』
『彼女は死という物に心を囚われています。命を懸る勝負というものに憧れ続けているのです』
『どうして……』
『ソード・アート・オンラインを知っていますか?ゲームから抜け出せなくなったプルイヤーキャラが、ゲーム内で死ぬとリアルでも死んでしまう、SAO事件の事を』
『って。まさか、ピトさんはSAOに参加して?』
『いいえ。ピトはSAOに囚われて生き延びた、俗に言うサバイバーではありません。その逆です』
『逆って?』
『言うなれば、ピトはSAO失敗者、ルーザーなのです』
『SAOルーザー?』
『ピトのリアルはベーターテストの時からSAOをやり込んで、それこそ、狂った様に遊び続けていました。当然、正式版も開始と同時に遊ぶつもりでいました』
『でも、出来なかった……』SAOルーザーと言っていた事から。そう思考する香蓮。
『その日、どうしても外せない用事が入ってしまったんです。それこそ一生に一度の、その後の人生を決めるほどの用事が……さんざん泣き腫らした末に、ピトはこれからの人生を取る決断をしました。懸命にも』
『でもお陰で、SAOに囚われずに済んだんだよね?ラッキーだったんじゃない?』
『普通はそう考えます。でも、ピトは違う。SAOが本物のデスゲームになったと知った瞬間。ピトは怒り狂いました。参加出来なかった自分の運命を呪い、叫び、嘆き、泣き、暴れました。昔から抱いていた。死への憧れ、絶好のの機会を逸したのです。ピトはひとしきり泣き叫んで、暴れまくって、落ち着いたのか、仕事に邁進しました。今はかなりの成功を納めています』
『ピトさんって、会社の社長か何か?』
『えぇ、そうです。そして、VRゲームが再開されてからは仕事以外の時間を全部注ぎ込んで、遊びまくりました。ですが……本当に死なないゲームは、彼女の血を心の底から、滾らせてはくれませんでした』
(滾らなくて良いじゃない!普通で良いじゃない?死んだらダメじゃない?)
『そして、仕事とVRゲームに生きた二年が過ぎた頃、SAO事件が解決。サバイバーの口から語られるゲーム内の様子が漏れ伝わってきて、ピトは再び、爆発しました。そこにはキャラクターを意図的に殺す。プレイヤーキラーがいたと、そして、そんなギルドがあったと』
『本物の殺人じゃない!』
『そうです。中には他のキャラクターを殺す事に生き甲斐を見出したプレイヤーもいたそうです。彼らに殺された、そして彼らを殺した正当防衛も含めると、かなりの数のプレイヤーが殺されていたことになります』
『信じられない』
『僕も人殺しプレイヤーの正気を疑いましたが、ピトは全く違いました。SAOをやっていれば、そんな人殺しプレイヤーになれたのにという悔しさと、そいつらを正義の名の下にぶち殺す事が出来たのに、という二つの悔しさが彼女を支配したのです』
『どうかしてる』
『何度もそう言ったでしょ?あの女はSAOという狂ったゲームに心を奪われているいるんです。それでも、ここ何ヶ月かは治っていました。 G G Oが良いガス抜きになっていたのでしょう。しかし、S Jに参加出来なかった事で病が再発してしまったんです』
回想シーン ピト
《なんで分かるの、って顔してるけど?簡単にわかるよ!だって、私がそうだもん。現実で憤る事や、どうしようもない事が多すぎるから、ここで暴れてるの。ここで思う存分、銃を撃ちまくって、モンスターや人を殺してるの》
『つまりピトさんは、S J 2を自分の命をかけたデスゲームにしようと目論んでいて、それを豪志さんは阻止したいと思ってる』
ピトフーイの死を止める為、豪志さんに話詳細を聞く香蓮。
『さっき言ったよね、私がピトさんを助ける事が出来るって』
『それが本題です。今、僕がここにいる理由てす』
『私にそんな事が出来るの?』
『SJ 2で真っ向勝負をして、ピトを倒してください』
『はぁ?ピトさんを倒す?』ピトフーイの優勝のためにチームに参加してくれではなく、ピトさんを倒してくれと言い始め豪志に口調が強くなる。
『はい、容赦なく、殺してください。そうすれば、彼女は絶対に自殺をしませんし、僕も殺されずに済みます』
ピトさんを助ける為の協力の筈が、何故かピトフーイをレンが殺すという話に変わる。
『どうして、頭おかしくなったの?』
『僕がまともではないのは分かっています。でもこれが唯一無二の解決策なのです。だからSJ 2に出て、ピトを倒してください!当然、ピトも僕も本気で戦います』
『え、エムさんはピトさんを倒す支援とか、お膳立てとか、してくれるんじゃないの?』
『それでは真っ向勝負にならないでしょう!卑怯です。ズルです。それではダメです!約束が……』
『約束……』
回想シーン ピト
《いつかレンちゃんが私と真っ向勝負をして、勝つ事が出来たら、リアルで会おっか?
それまで己を鍛えて、いつかそのピーちゃん(Pー90)で、見事に私を屠ってみなさい。
女の約束だよ!》
『豪志さん、わかった。S J 2出るよ!』
(そして、私がピトさんを倒す!)
仲間探しに行き詰まる中、篠原美優。ゲーム好きの友達から連絡があり、セカンド・スクワッド・ジャム(SJ2)に参加して貰う様に交渉する。
『頭の可笑しい女社長を救う為に、彼女を殺すのを手伝って欲しいの!他に頼れる人は居ないの!美優どうか!お願い!』
『フカ次郎はこの春、 G G Oで大暴れかぁ……手加減しないとなぁ。勢い余って、そのピトフーイって奴を、私が殺しちゃわないように!』
レンとフカ次郎のチームL F。
ピトフーイとエムのチームPM4。
《2026年4月4日》
アナウンス
『本日、十三時より。チーム対抗バトルロイヤル。セカンド・スクワッド・ジャムが開催されます。一チーム最大六名、全三十チームが出場。荒廃した世界で生き残れるのははたしてどのチームか?』
ピトフーイがレンを見つけて、話かけてくる。
『やぁ、レンちゃん!前回優勝おめでとう』
『ありがとう』明るい握手を交わすも、すぐに真剣な表情へ。
『今回は本気で!』
『ピトさん。頑張りますから!期待していてください。約束忘れないでくださいね?』
『ん?よくわかんないけど。まぁ、わかった。他に言いたい事は?』
『絶対に殺す!!』
『あは!』
『行くぜ相棒!』レンがフカ次郎に告げ。
『おうよ、相棒!』フカ次郎がレンに返します。
ピトフーイの命を賭けた死闘、セカンド・スクワッド・ジャムが始まります!デスゲームを制するのはどちらのチームなのか!激闘にご注目ください!