ピザ
いろんなタイプのが、好きです。
かりっとはしていても 地が薄くて軽い
そんな連中を揶揄するわけでもないが
肉厚で おのれのふちをとり囲むように
へりを持つ一枚でありたい
ルビーのような果肉から うまれ出でた赤と
とけて 尾を引く 雪崩のような白の
塗りつぶしあいの舞台になろうとも
そのうえで踊る具たちごと支えきる
礎でありたい
いびつに歪むことなく
かどを立てることもなく
四方 八方に かたよりないひろがりをもって
きれいに円を描きたい
孕む熱をさましても なお
かみしめれば にじみ出るような
味わいを湛えていたい
おのれの身を幾つにも 割いたとしても
手をのばすひとに わけへだてなく与えてやりたい
そして 耳たぶのほんのかけら
ひとつのこさず 失せたあとも
口にしたひとの笑顔をつくるくちびるに
このおもかげと余韻をのこしたい
もし ゆるされるのなら 願わくば
もし 叶うのならば おそれながら
そういうピザに私はなりたい
生地は厚すぎないほうが好きですが。