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生徒会へ集合っ!  作者: リレー小説家
8/26

<会長視点> お菓子と紅茶と爆弾と

というわけで一周回って戻ってきましたMr.あいうです。

やはり何度やってもトップバッターは慣れませんね・・・


ですが、つたないなりに全力を尽くしたので、どうか見捨てず、できれば楽しんでください。

六月。




今年も律義に梅雨前線はやってきて、天気は頭といわず体まで洗えてしまいそうな土砂降りだった。

まるでテレビの砂嵐のような雑音が校舎の中にまで響き渡り、放課後の廊下に響く。

いつもは穏やかな海も白く泡立って押し寄せては、石垣に当たって砕けるのを繰り返す。



しかし、自分たちの運動場いばしょを奪われた運動部たちは廊下や階段を使って自らの下半身を鍛えているし、中には土砂降りの運動場に繰り出す猛者たちもいる。


結局、そんな雨の中でも桜町第一高校はその熱気を失わず、ただ内に押し込めただけだった。






そんな晴れの日より騒がしい校舎の中。

どこからか、きれいな歌声がきこえてくる。


「し~おかっぜっか~お~る~~~ま~なびっの~そ~ので~~~~、

 か~けっるわ~こ~う~ど~~~れ~きっしっを~つ~く~れ~~~・・・」


学校の校歌という最も面白みの無い歌をご機嫌に歌い上げているらしいその少女こそ、私立桜町第一高校生徒会会長、釘宮 蓮その人だった。

幼馴染の椿 涼太に掃除を押し付けた罪悪感など全く感じず、トテトテと階段を二段飛ばしで上がっていると、階段スクワットをしている学生とは思えない筋肉むき出しの集団と鉢合わせした。


「あ、会長、チワ~ス!」


「「「「チワース!!!」」」


最も筋肉を盛り上げている部長らしい人の挨拶に続き、野太い男達が挨拶を復唱する。


「ん、頑張ってるね~。感心感心」


確実に上級生であろうその集団に対して、少女は何の敬語もなしに手をひらひらさせながら挨拶を返す。

だが、そこには先輩達を軽く見ている様子はなく、ただ『友達』に挨拶を返したという様子。

それが彼女の長所であり短所。彼女の個性だった。


「オラァ!!!あと100周はいくぞぉテメエラァ」


「「「押忍!!ありがとうございます!!!!」」」


己の肉体をみなぎらせながら階段を下りていく集団を一瞥し、彼女はポツリとつぶやく。


「・・・あのノリ、いいなぁ」


彼女は、奇妙な価値観の持ち主だった。













「しりつ~~さくらまっち~だ~い~い~ち~こうこ~~~・・・」


三番までキレイに歌い上げたところで、私は生徒会室にたどり着いた。

私の蹴りで生徒にオープンなフォルムとなった扉(枠のみ)をくぐると、すでに数人待機している。

芳しい紅茶の香りを漂わせるカップを片手に、パッケージにフランス語の書かれたお菓子をつまみながら。

なぞの英国風空間が桜町第一高校の生徒会室に出現していた。

というか、お菓子は私宛の荷物なのだが。


「どうも、会長。届いた荷物、お先に頂いてます」


優雅にお菓子をつまんでいるのは副会長の真崎 蒼空。

いやあ、どこかの貴族の血が流れているんじゃないかと思うほどさまになっている。


「おぉ、会長。しかしこれうめぇわ」


豪快にお菓子のみをむさぼっているのが野生児の久留宮 大空。

ずいぶんなファッションセンスの持ち主で『師匠』と呼ばれる人物のリスペクトらしいが、常にナイフを携帯していたり、バンダナをつけていたりと、一言で言うと全身で個性を主張しているかのような風貌だ。

おまけにどこかの山賊の血が流れているんじゃないかと思うほどガツガツしている。


「会長!何ですかこれ!?何でこんなものが差出人不明で送られてくるんですか!?」


正体不明の人間から送られてくる食べ物に警戒しているのが書記の鈴木 太郎。

反応が普通だ。


「・・・・・・うめぇ」


なんか必要以上に味に感動しているのが顧問の二宮 一人。

根が貧乏なんだろう。


と、そこであることに気づいた。


「ねえ楠木ちゃんは?」


「ああ、なんか少し用事があるとかで、椿君のことは知りませんが」


「ああ、涼太はいいの」


本来二人に割り振られた掃除場所を一人でやらせていることは黙っておこう。


「そうですか。で、会長。やけにご機嫌ですね。昨日までは『火薬がしけって使えない!梅雨なんて嫌いだ!』と自然現象に文句を言っていましたが、どうかしました?」


くそぅ、この副会長、やたら声帯模写がうまい。

すごく似ているのがなんかむかつく。


「いやぁ、それがね・・・・・・」


と、言うが早いか電光石火、唯一人のお菓子を勝手に食べない一般常識を持ち合わせている鈴木に向かってフランス老舗お菓子店の日本円にして軽く五千円はくだらないであろうお菓子を口に詰め込む。


「わぁかいちょムギュ・・・・・・うまいですね、これ」


お菓子とともに文句を飲み込ませる。

つまり、これで全員の口に私宛のお菓子がいきわたったわけだ。







「クックック、罠にはまったわね!」


と、生徒会室にいる全員の顔を指差した。

一瞬、気まずい沈黙が流れたが、その気配を察して真崎君がいち早く突っ込みを入れてくれた。


「どういうことでしょう?」


「フッフッフ、良くぞ聞いてくれました!久留宮君!そのお菓子のパッケージにはなんて書いてあった?」


ビシッと真崎君の隣にいる久留宮君を指差す。


「なんか『すごくおいしいお菓子だから食べちゃだめだよ♪』って書いてありましたが」


いきなり振られたのにもかかわらず冷静な切りかえし。

さすが、私が目をつけただけある。


「そう!それこそが私の罠だったの、食べるなといわれたら食べてしまいたくなる人間の心理をついた、完璧な心理トリックなの!!」


「へぇ、すごいですねぇ」


パチパチパチと、真崎君の拍手のみがむなしく響いた。

なんか、思ったより反応が薄いし、心なしか真崎君以外の三人の目が冷たい気がする。

普段は暖かい生徒会室を、なぜかやりきれない沈黙が襲う。

その沈黙を振り払うために普段より大きい声を出す私。


「っで!私のお菓子を食べた代わりに君たち四人にあることを要求したいのよ」


「(はぁ・・・)で、何ですか会長」


「あれ、心なしかかっこの中が垣間見えた気がするよ鈴木君?」


「気のせいですよ、それより、要求したいことって?」


「・・・・・・まあいいわ。そう!それで要求というのはね、今から見るものについて決して他言しないこと、わかったら復唱して!」


・・・・・・誰も復唱しなかった。


「・・・うん、その沈黙はわかったととるね。で、真崎君、そのおかしの箱とって」


「はい、わかりました」


なんか真崎君が必要以上に楽しそうな顔をしている。

まあ、箱はきちんと取ってくれたから別にいいや。


「ありがと、で、この箱実は生徒会メンバーとか税関の目を盗むためにある特殊な仕掛けがしてあってね、ここの、この模様をこすると・・・・・・」


「何で税関の目を盗む必要があるんですか!」


「まぁ、一応非合法だし♪」


「音符をつけてもだめでしょ!」


そんな会話を普通人代表鈴木君としているうちにカチッと音がして、箱の底が開く。

底に入っていたのは軽く飛行機でもジャックできそうな大量の火薬。

あぁ、やっぱりいつ見ても心が弾むなぁ♪



「「ええええええぇぇぇぇぇぇ!!!!!!」」


と、私とはま逆のテンションの久留宮君と鈴木君が同時に叫んだ。

真崎君と二宮先生は普段どおりの顔だけど。


「い、いいんですか先生?」


「え?まあこいつならこれ位するとは思って心の準備しといたし、見過ごした国に責任あんだから俺に通報する責任ねえし」


「え、えぇ~~~」


なおも不満そうな(というか半分泣き目な)小市民。

やがて吹っ切れたのか半分やけくそでこんなことを聞いてきた。


「ていうか、これ誰が送ってきたのかわかってるんですか?」


「うん?お父さんだよ。今ヨーロッパの方で旧ナチスを相手取って義賊してるからね」


「・・・・・・・・・そうですか」


それ以上聞いたらやばいことに片足突っ込みそうな雰囲気を感じたらしい鈴木君。

やがて、最初よりはるかに楽しそうな真崎君がこんなことを聞いてきた。


「で、このティーカップのセットと高級茶葉の袋にはいったいどんな危険物が入ってるんですか?」


「え?それって他の誰かが持ってきたんじゃないの」


「あれ?このお菓子とセットじゃなかったんですか?」


「え?」


「おや?」


「ん?」


「はい?」


それぞれ疑問符を口にしたところで、生徒会室のメンバー全員の声が奇妙に重なった。


「「「「「これ、誰の?」」」」」

書いてる途中でとんだ悪送球だと気づきました。

十六夜神月さんスミマセン!

大暴投ですが、何とか続けていただければ・・・

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