<副会長視点> 私立桜町第一高校その2
どうも、2番バッターに選ばれた十六夜神月です。
果たして僕を知っている人はいるのでしょうか…
Mr.あいう先生のパスを出来るだけ生かせるように頑張りましたが、
結局はミスった感が否めません。
しかも、次の人にキラーパスしてしまったぽいし。
まぁ、1人でも多くの方に楽しんでいただければ、
これほど嬉しいことは有りません。
それでは、文才皆無の僕が書いた回、見捨てずにお楽しみください。
「これは、一体どう言う事でしょうか?」
良く通る凛とした美声に、生徒会長、釘宮蓮が視線を上げる。
その視線の先に佇んでいたのは、微笑を浮かべた一人の男子生徒。
180cmほどの高身長に、スラリとバランスの取れた華奢な体。
扉が無いせいで入ってくる微風によって靡く、ブラウンの髪。
内心を読めない微笑に、さらに拍車をかける涼しげなブラウンの瞳。
「む、気配を消して近づくのは感心しないよ、真崎副会長」
そう、この美少年こそが、桜町第一高校の副会長、『真崎蒼空』である。
「気配を消したいお年頃なのですよ」
「どんなお年頃よ」
「ですから、こんなお年頃です」
そう言って、自分を指差す蒼空。
それを見て、一瞬呆れた顔になった蓮だが、
すぐに呆れ顔を消すと、最初の蒼空の問いにちゃんと答える。
「最初の質問の答えだけど、書類の束を抱えてて、
手が塞がってたの。それで、扉を開けられなかったから蹴破った」
全く悪びれる様子も無く言う蓮。
それを見て、蒼空は数秒黙考した後、
「とりあえず、学校の扉を全て自動ドアにすべきですね」
蓮と思考回路は大して変わらなかった。
「あ、それ私も思った」
それに対し、蓮が可笑しそうにしながら答える。
「ふむ。まぁ、それはさて置いて。お久しぶりですね、釘宮蓮」
蒼空の表情が相変わらずの微笑ながら、少々真剣味を帯びる。
それに対し、蓮も少しだけ真剣な顔になり返す。
「そうだね、何年ぶりだろう?」
「何年振りでしょうか?」
そう、この2人、過去にあったことがあるのだ。
蒼空から見れば、蓮がかなり恩人になるような形で。
まぁ、それには蒼空の過去が色々と関係してくるのだが、
蒼空は過去を知られることを極端に嫌うため、
蓮を含め、極少数の人間しか蒼空の過去は知らない。
今は、聞いて楽しいような内容では無いとだけ言っておこう。
「うーん、まぁ、もう過ぎたことだし」
「そうですね、もう過ぎたことです。なので今日からは、
私立桜町第一高校2年2組。真崎蒼空♪生徒会副会長として、
これから1年、よろしくお願いします。」
その言葉と共に、右手を蓮に向けて差し出す蒼空。
「うん、よろしくだね!副会長!!」
それに対して、満面の笑みで左手を差し出す蓮。
2人の手が、暖かな日の光の中重なった。
「さてと」
この『ドア木端微塵事件(命名僕)』の真相も分かったことですし、
久しぶりの再会も果たせましたし。
本格的に学校中のドアを全て自動ドアにする準備を、
ん?
「会長、何をニヤニヤしているんでしょうか?」
「え?」
僕がそう問いかけると、何故か少々挙動不審になる。
普通は気にも留めないような些細な変化だが、確実に挙動不審である。
「なになに?スタント部部費明細、ですか」
「あ」
会長がニヤケながら見ていた書類を盗み見る。
「確か、スタント部は毎回、部費が結構少なかった筈では?
それが何故、そんなに多額になっているのでしょうか?」
僕がそう言うと、会長の挙動不審ぶりにさらに拍車がかかる。
「えっとね、…そう!スタント部なのに、
地味なスタントばかりじゃダメだと思って――」
「なるほど、火薬の取引ですか」
「ばれてる!?」
「花火を見れば皆どうとか聞こえてましたからね」
「あー、えっと」
「ならば、さっさとやらないと、他の役員も来てしまいますよ?」
「だって、花火を見れば皆―え?」
「いえ、ですから、さっさと終わらせないと他の役員も来ますよ?」
「そうなんだけど、止めたりとかしないの?」
「何故です?副会長の仕事は主に、会長の補佐や会長の間違いの修正です。
しかし僕は、間違いの修正をする気はありません。
まぁ、明らかに間違いだと思った場合はちゃんと修正するつもりですが、
その部費の割り振りは、我が生徒会に任された仕事。
そしてこの生徒会の長は会長、あなたです。
全校生徒から選ばれた、貴方なら任せられるという人が会長です。
会長が正しいと言えば、間違いではなく正しいのです。
僕は生徒会副会長、あくまで会長の補佐として判断した結果です。
少々私利私欲が混ざってる気がしないでもないですが、
まぁ、許される範囲でしょうし、
なにより、スタント部はスタントする部ですからね」
僕が長い話をなんとか話しきると、会長が目を輝かせ
「だよね!!よーし!それなら決定だね!!」
そう言って、再びペンを走らせ始める。
釘宮蓮、色々と考えが常人離れしている所があるが、
根は物凄くいい人である。
僕も昔恩があることだし、できるだけ力になろう。
それにしても、全く無駄の無い、綺麗なペンの動きである。
そんな変な所で感心していると、会長の手が止まる。
「あー」
そして、少々残念そうな声を上げる。
恐らく、会長も気付いたのだろう、この生徒会室に接近する新たな気配に。
そして、蓮と蒼空の感覚を裏付けるように、
靴音が、確実に生徒会室に接近してくる。
残念そうにしながらも、新たな仲間を、顔に笑みを浮かべ待つ蓮。
相変わらず内心がほとんど読めないながらも、
いつもより幾分か深い微笑を浮かべる蒼空。
そしていよいよ、3人目の個性的メンバーが、生徒会室に姿を現す。
次の作者様は時計堂さんです。
キラーパスですね。
後で謝罪しておきます。
それでは、よろしくお願いします。
こんな感じでお願いします!!