<鈴木書記視点> 現代っ子な生徒会その3
こたつ が あらわれない!
そんな家に住んでいます。どうも、時計堂です。
寒い中、熱い話を書くのは変な気分になりました。
いつも通りの駄文ですが、おおらかな気分で見てくださったら嬉しいです。
普通に飛び降り、平然と歩き出す真崎を見て思わずため息をつく。とりあえずは、人間ミートソースなどは見ずに済んだようだ。それにしても、窓から飛び降りる方が楽だという結論を導き出す奴の脳は不良品としか思えない。いや、俺ごときには理解できない、はかり知れない計算があるのか?
「……やめよう」
第一志望は小市民。平凡平和が看板の俺が、踏みこんで良い領域ではない気がする。
会長が細い顎に手を当て、小さく唸る。その様子も、美少女ならではの美しさがあふれ出て……と評価しかけたところでパッと顔を上げ、閃いたと言わんばかりに軽快に指を鳴らした。
「よし! みんなの体を鍛えよう!」
「は?」
その爽快感あふれる思いつきに、思わず間抜けに返してしまう。
嫌な予感は、きっと外れていない。
「そりゃまたどうして」
「窓から飛び降りれるように」
「どこの集団自殺だ!」
輝く瞳からは、冗談の文字は欠片も見つからない。……こやつ、本気だ。背中を一筋の、冷たい物が流れる。全校生徒の移動が、窓からの飛び降り……一種の怪奇現象じゃねえか。
しかし、会長の方は一番の考えだと言わんばかりに何度もうなずいていた。
「確かに楽だし、移動も早いし、勉学のための体力を温存できるよ」
「それ以前に命を温存したい!」
「鈴木書記、体力作りと言えば何かな?」
「へっ? ええと……」
いきなり真面目に返してくる。突飛な目的のための質問でも、真剣に考えてしまう俺って偉い。今度はこっちが顎に手を当て、唸る番だった。
今まで俺が実践してきたのは、あまり一般的じゃあないよな……。
ここは妥当に、マラソンとか? それとも、球技大会とか。いやいや、海の近くだし、それを利用した方がいいかもしれない。釣り……は体力使わないから、水泳でどうだろう。水泳には今はちょっと早い気がするが、寒中水泳なるドMな競技も存在する。その線で行こう。うん、それがいい!
「それじゃっ! 私はみんなにこの素晴らしき計画を伝えてくるよ!」
「俺的には水泳……って行くんかい! ちょ、それって俺の意見聞いた意味あるのか……って、行っちゃったよ」
軽いタイフーンを巻き起こしつつ、しゅたっと手を上げて教室を飛び出していく様子は野生の兎にも見える。目の前に残されたのは、水滴のついた空っぽのティーカップ。熱風がひと吹きして、机の上の書類が一枚だけ宙に舞った。
清々しいというより熱々しい青空の下、どこからか「気合いだ――――!」と叫んでいる運動部の声が聞こえた。
額を流れる汗をぬぐい、手を太陽にかざしてそっと目を細める。思わず、ため息が出た。
……皆さん、元気がよろしいようで。
つなぎを生かしきれなかったっ……。
お次は椎名さんです。下手なつなぎですみませんが、よろしくお願いします。