<会長視点> 現代っ子な生徒会
どうも、Mr.あいうです。
夏といえば暑い!
そんなイメージしかわかなかった残念な想像力で書き上げた作品です。
よろしければどうぞ。
7月。
今年の梅雨もようやく終わりを告げ、まるで昨日までの雨が嘘だったかのように照りつける日の光。
快適というには若干暑すぎるこの日和にも、桜町第一高校はその動きを止めない。
それもそのはず、この海沿いの私立高校最大の売りはかなり行き過ぎている感もある部活への大幅なバックアップである。
なにせ全部室にエアコンが完備されているうえ、地球に厳しいまさかの18℃設定OKだ。
しかも運動部には惜しみないスポーツドリンクが配布される。
そんな現代っ子万歳なこの学校にも、唯一快適ではない空間が残念ながら存在していた。
しかしそれはむしろ、自業自得というべきなのだが。
「生徒会長ただいま参上!」
と、そんな名乗りを上げながら私は生徒会室に入った。
これは私が恥ずかしいやつだからではなく、おそらく暑さでうだっているであろう他のメンバーに対するちょっとしたエールでもあったのだが。
結果、私は少し恥ずかしいやつとなってしまった。
「ああ、どうも会長。お元気そうで何よりです」
このくそ暑い中湯気が立っている紅茶のカップを片手によく通る美声で私を迎えてくれたのは副会長の真崎 蒼空君。
私のよき理解者でありこの生徒会一優秀な人材だ。
「………暑い、というか熱い、あ、会長何でやねん」
おそらく温度計があったら30度の大台に乗るという中でも自分の立ち位置を忘れずに律義に突っ込みを入れてくれているのは書記の鈴木 太郎君。
普通に来ていた。
以上、生徒会室のメンバー。
「あれっ!なんか足りないと思うよ!?」
何故か生徒会室には二人しかいなかった。
くそぅ、なんかさっきの掛け声が無性に恥ずかしい。
ツッコミが弱いというのもそれはそれで嫌なものだ。
「ああ、そういえば会長。生徒会の他のメンバーからの伝言です。楠木さんは生徒会を一瞥するなり『暑い、無理』だそうで、椿君は『………ちょっと俺エアコン完備の剣道部いってくるんで、蓮にそう言っといてくださいッス』といっていて、二宮先生は『うわっ、暑………そういや、職員会議あったわ。じゃ』そして大空君は『………登山部に顔出してくる』だそうです」
超高級紅茶セットという手土産の効果で見事生徒会準メンバーの地位を獲得した(私の一存での決定の為、現在職員室に許可要請中の)一名含め全員の声帯模写を完璧にこなすという特技を披露した真崎君。
というか全員暑さでダウンって………
「なんか、私のせい?」
「ええ、おそらくは」
実際この生徒会室がエアコン禁止なのにはすごく納得できるわけがある。
というのも五月の頭頃ようやく生徒会が始動するといったその時期に私は生徒会をもっと生徒にオープンな空間にしたいといった名目でドアを蹴破ったのだ(理由後付け)。
そのため室内は直接廊下とつながっており、エアコンをつけても涼しい空気が全部廊下に逃げてしまうのだ。
いくらエコロジーという言葉を知らないのかという勢いのこの高校でも、校舎全体を18度に設定するお金はない。ということで生徒会室にはエアコン禁止令が出されていたのだ。
というわけで、生徒会のメンバーも逃げていく結果となったのだが。
なんか、すごく納得がいかない。
「………真崎君、全員の電話番号知ってる?」
「ええ、調べればわかりますけど、どうしました?」
「私はたるんでると思うんだよね!仮にも生徒の代表として選ばれた生徒会メンバーが暑さを理由に生徒会室にも来ないなんてたるんでるよ!そもそも生徒会というものは~~~以下略~~~何で私だけ暑い思いをしなきゃならないの!」
「ていうか、最終的に愚痴じゃないですか………」
私の素晴らしい演説を一言でまとめてくれやがった鈴木君は置いておいて私はこう高らかに宣言した。
「緊急招集よ!桜町第一高校生徒会からは決して逃げられないことを教えてやるんだからっ!」
それに皆と一緒に居たいしね♪と心の中でまとめて、
うだるような暑さの中、道ずれを求めて生徒会が始動した。
次は十六夜神月さん。
よろしくお願いします。