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生徒会へ集合っ!  作者: リレー小説家
11/26

<楠木書記視点> お菓子と紅茶と爆弾とその4

四番手椎名です。

前回のターンに比べても、格段にやばくなってしまった気がしてなりません。

どうか温かい目で見守りください・・・。




「マイスイートシスター!はい、スマイルだよ!」

「消滅する?変態兄」

ドガッ。

バキッ。




「失礼。入るわよ」

会長の都合のせいで、通気性の良くなってしまった入り口の向こうに一声掛ける

と、あたしは遠慮なしに部屋へと入った。

「ああ。楠木書記いらっしゃい………あれ?」

会長がこちらを見て、固まった。

「何か問題でも?」

「いや、問題というか…」

「あんたの用事は一体なんだったんだ!?」

ほら来た。

ツッコミを生き甲斐とする、至って普通人な太郎の声が、あたしと会長の会話を

妨げる。

まぁ。

それも仕方ないかもしれないけど?

今のあたしの服装は、一般的常識のある人間なら、目を剥くこと必至の奇抜なも

のだ。

何故なら、あたしの着ているものは、いわゆるドレスというやつで。

真っ白い生地に、ピンクのドレープたっぷりなふりふりひらひらした、鬱陶しい

ドレス。

所々には、ドレスと共布のリボンが縫い付けられていて、いつものゴシックな制

服と比べても、それはそれは凄いものとなっていた。

ちなみに、頭にはご丁寧にティアラまで乗せられている。

「兄がニューヨークから帰郷してきたの」

「なんで兄が帰郷すると、そんな服になるんだ!?」

「………嫌がらせ?」

「またかあああぁぁっ!また嫌がらせなのかあっ!」

理解しがたいのか頭を抱えて、ぎゃあぎゃあ喚く太郎。

かなり五月蝿い。

「うるさいわ、太郎。これでもあげるから、静かにして」

ちょこんとティアラを乗せてやった。

「いるかああっ!ていうか、これ純金だろ!なんだ、純金百パーの嫌がらせって!!!」

……うるさい。

もう放っておこう。

「本当のところは、何があったんです?」

叫び続ける太郎を無視して中央のテーブルに歩み寄ると、苦笑を浮かべた蒼空が

聞いてきた。

本当のところは、と言われても…。

……………。

…………言えない。

ていうか、言いたくない。

帰ってきた兄に拉致されて、目覚めたらカメラの前で

この姿になってたなんて…。

「…嫌がらせよ」

「あくまでも、それで通すつもりなんですね」

「八割事実」

「二割は何なんですか…」

「個人情報だから、教えないわ」

そうあたしが言うと、蒼空は納得いったようないかないような、複雑な顔をして

から、またいつもの微笑に戻った。

こいつの表情は、読めない。

「それで、皆さんお揃いで何かあったの?」

言いながら、ぐるりとメンバーを見回す。

「いや、それがな…」

皆の視線の先には、ティーセットと、茶葉。

「誰の?なかなかいいセンスね」

思わず手に取って尋ねると、何とも微妙な雰囲気が流れた。

「それが…分かんないんだよ」

「は?」

「差出人不明で送られてきたんだ」

「お願いだ!お願いだから楠木のだ、と言ってくれ!俺飲んじゃったんだよ!」

またも太郎は喚きながら懇願してきた。

目が本気だ。

なるほど、そういう理由ね。

「それは不気味ね。毒でも入っているかもね。ま、あたしは飲んでないから関係

ないけど?」

わざと太郎の不安を煽るようなことを言ってやる。

案の定、ヤツは顔を青くして呻きだした。

カタン。

小さく音がして、会長がこちらに近づいてきた。

手には、紅茶の入ったティーカップを持って。

「な、何よ………むっ!?」

ゴクン。

唐突にティーカップを口に付けられ、思わず一口飲んでしまった。

それを見届けると、にたりと不敵に会長は笑う。

「これで、関係なくはなくなっちゃったねぇ」

「…………っ!?」



緊急会議。

そう大きく書いて、あたしはチョークを置いた。

「それじゃあ、第一回桜町第一高校の会議を始めるよ!」

嬉々とした表情で教卓前に立つ会長。

なにやら会議という物に興味をそそられたらしい。

「……第一回がこんな会議なんて、何かやるせない気分になるわね」

「はい!では、あのティーセットと茶葉について、何か意見がある人!」

なんでそんなに楽しそうなの…?

会長が言うと、パラパラと手が挙がった。

「では来留宮先輩!」

これまた嬉しそうに指名する。

「妖精の仕業」

「それはファンタジーだねぇ。はい、真崎君!」

…ファンタジーで済ませちゃうわけ?

「もう、校長とかからの差し入れってことでいいんじゃないですか?」

良くない。

「投げ遣りになんないでね。はい、二ノ宮先生!」

「旨かったから、別にいいじゃん」

「そうかもねぇ…。はい、涼太」

駄目です!

「落ちてきた、でいいんじゃねぇの?」

だから、だめだって!


~中略~


…もう、なにがなんだか分からない…。

黒板には、取り留めもなく続く馬鹿会議の軌跡がしっかりと残されている。

どこかの部活からの賄賂だとか、去年の生徒会が残していった物だとかいうのは、まだかなりましな方で。

人格を疑いたくなるのは、空から降ってきた、とか宇宙人からのお近づきの印、とかいう意見。

そして、あたしのベスト・オブ・最悪賞に輝いたのは…。



突然変異。



太郎じゃないけど言わせてもらいたい。

何があったのよ。

何がどうしたら、こんな意見が沸いて出るのよ…。

ちなみに、本家ツッコミ役の太郎はこの意見が出た際、

「突然変異!?なんで自然を巻き込むんだよ!大体どんなに変で異様なことが突然

起こったって、ティーセットと茶葉は生まれねえよ!まあ落ち着いてお茶でも飲

め?ってそれは問題のお茶じゃないか!俺を殺したいのか、お前は!は?ならかっ

ぱ巻きは?またかよっ!またかっぱ巻きかよ!なんなんだ!いじめなのか!?だから

飴ちゃんもいらねええぇぇっ!!!」

ご苦労様。

…そんな訳で、謎が解けるのはいつになることやら。



うわっ。

これはやばい!

なんかどうしようもなくなってしまいました・・・。

深くお詫び申し上げます・・・。

そして汐嵐先生、キラーパスをお許しください。


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