クリスマスのぬいぐるみ
ぬいぐるみ。
いっしょにいるだけで、あったかい。
ぬいぐるみ。
つらいときも、いつもいっしょ。
くろいはだの子、しろいはだの子、あかいはだの子、いっぱいいるね。
世界じゅうから来た、子どもたちだ。
みんな、ぬいぐるみのお友達といっしょだ。
「キミ、お名前はなんて言うの?」
キミはなんてこたえる?
あの子たちに名前を言ってみよう。
★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★
「いい名前だね!」
キミの右手には、キミの好きなぬいぐるみが、キミの手をにぎろうと、せのびしている。
手をとってあげよう!
「ありがとう!キミはやっぱりやさしいね!」
キミは少してれくさそうに、わらう。
★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★
「ぼくはシモン。よろしくね」
くろいはだの子が名乗った。
「こっちはヤギのニアラ」
ちいさな、ヤギのぬいぐるみだね。
「メエメエ鳴くよ!」
「おれはクリス!よろしくな!」
しろいはだの子がにっこりわらう。
「コイツはあいぼうのウィリー!」
おおきなおおきな、クマのぬいぐるみだね。
「どんなヤツだってたおしてくれるんだぜ!」
「あたしはエビン。よろしくね」
あかいはだの女の子がやさしく話す。
「コッチはウマのペサル」
エビンの横に、クマのウィリーよりはちいさく、ヤギのニアラよりはおおきい、ウマのペサラがいた。
「みんなを乗せて速くはしれるよ!」
みんなの自己しょうかいが、おわった。
★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★
「みんなはどこにいくの?」
キミは他の子どもたちにたずねる。
「山の向こうにある、クリスマス・ツリーをめざすんだ!」
クリスが、山の方を指さす。
「クリスマス・ツリーが、ぼくたちのねがいごとを叶えてくれるんだ!」
大きな大きな、山がキミの目の前にあるね。
ひとりでこえていくには、とてもたいへんそうだ。
「みんなでいけば、だいじょうぶだよ!」
エビンが、山のほうへウマのペサルとかけてゆく。
「あっ!まてよ!」
クリスは、クマのウィリーといっしょにエバンをおいかける。
「おいてかないでえ!」
シモンは、ヤギのニアラを手にかかえて走っていく。
「ワタシたちもいそごう!」
キミは、キミのぬいぐるみに引っぱられて、みんなの方へ向かっていく。
★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★
くらあい、くらあい、やみの中……
木々(きぎ)にかこまれて、あたりは夜のよう。
ここはくらいくらい森……
人食いオバケでも出てきそうな、そんなふんいき……
「こわいよう」
シモンはヤギのニアラとだきあいました。
「へっ、なにか出てきたらウィリーがたおしてくれるさ」
そう言って自信がるクリスも、足がふるえてました。
「みんな、うたをうたいましょ!」
エビンはていあんしました。
「うたって、なにうたうんだよ?」
「みんなすきなうたをそれぞれうたうの!」
「いいねそれ!」
くらいくらい森のなか、子どもたちはうたをうたうことにしました。
シモンは、シナゴーグ(ユダヤきょうのきょうかい)でうたうおうたを、うたった。
クリスは、チャーチスクール(キリストきょうのきょうかい)でうたうおうたを、うたった。
エビンは、モスク(イスラムきょう)でうたうおうたを、うたった。
みんなバラバラ!だけど、それでいい!
「キミも、うたってみよう!」
キミのぬいぐるみといっしょに、うたおう!
「じょうずじょうず!」
キミのぬいぐるみは、キミのうたをほめてくれた!
ほめられるのって、あったかいね。
★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★
くらいくらい森をぬけると、こんどは山のふもとについたよ!
「こわかったあ」
シモンはそのばにたおれこみました。
「メエエエエエ」
「フフ、ヤギのニアラもないてるね!」
「あれ?いまのはニアラの声じゃないよ!?」
「えっ!?」
あたりをみまわすと、ニアラのすがたがどこにもいません。
「もしかして、もりのなかではぐれたのかも!」
「うそ!?またもりにもどるのはイヤだよ!!」
「なくな!おれがさがしにいってやる!」
キミはクリスを引きとめる。みんないっしょにいないと、ピクニックはきけんだ。
ひとりでうごいちゃ、ダメだもんね!
「なんだよ!わかったからはなせって!」
キミはクリスのそでをはなす。
★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★
「あっ!あれ!」
エビンの指さす方をみると、たくさんのヒツジのぬいぐるみが、もふもふあるいていました。
「メエエエエエ」
「そうか!さっきのなきごえは、ヒツジのこえだったんだ!」
「ニアラとおんなじこえじゃない。どうしてわかるの?」
「ヒツジのこえは、ニアラの声よりすこしひくいんだ」
「うっそ〜!ちがいがわかんないよ!」
シモンはいつも、ヤギといっしょにいるから、ちがいがわかるんだって。すごいね!
「ヒツジたちにニアラのことをたずねてみよう!」
「ヒツジさんヒツジさん、ちいさなヤギをみなかった?」
シモンはヒツジにはなしかけました。
しわくちゃなおばあさんヒツジがこたえました。
「ああ、なんだって?」
シモンはさっきよりも、うんと大声ではなしました。
「ちいさなヤギを!みなかった!?」
「ここだよここ」
ヒツジの一頭がこたえました。
ヒツジの上に、ヤギのニアラがのってました!
「ニアラ!」
シモンはニアラをだきしめました。
「メエエエエ」
これでよかった。いっけんらくちゃく。
★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★
しばらくあるいていると、クリスが石につまづいて、ころびました。
「だいじょうぶ!?」
エビンがかけよりました。
みると、クリスのひざこぞうがケガしていました。
「こんくらいだいじょうぶだって!」
しかし、みるからにいたそう……
「ばんそうこうはらなきゃ!」
「ねえよ!ばんそうこうなんて!」
ありました。
キミのみぎポケットに、手をつっこんでごらん。
ほうら。
「すげえ!よくもってるな!」
でも、きずぐちはしょうどくしないと!
しょうどくは……
「それは、ツバつけときゃなおるって」
「きたないわよ!」
「ぼくが、しょうどくするよ」
シモンはしょうどくえきをもっていません。いったいどうやって、しょうどくするつもりなのでしょう?
「かわにいくんだ!」
「さっきヒツジさんたちにおしえてもらったんだ!
ひだりのみちをいくと、かわがあるって!」
キミたちは、かわへむかうことになりました。
★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★
「こんなのでほんとうになおるのかよ」
クリスはぎしんあんきです。
「なおるさ!」
かわには、キレイな貝のぬいぐるみがすんでいました。
「あの貝がいるってことは、このかわのみずはキレイだよ!」
シモンはいいきりました。
「すっげーな。よくそんなことがわかるんだな」
「本でよんだんだ!」
シモンは、とてもものしりだね!
シモンは、ぬのでみずをくんで、シモンのひざこぞうにかけました。
「ひ〜〜しみる〜〜」
「うごかないで!」
「たすけてくれえ!ウィリー!」
クマのウィリーは、そっとクリスの手をにぎりました。ふたりは、いつもいっしょ。
クリスがおかあさんにおこられた日も、ずっといっしょでした。
※じっさいのかわのみずは、のんじゃいけないよ!
アウトドアの、きほんだね!
★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★
きた道をもどると、きゅうにどんぐりが空からふってきました!
「いててっ!」
シモンとクリスのあたまにドングリが当たりました!
「なにっ!?」
空をみると、大きな大きな、鳥のぬいぐるみがいました。
「ぎゃっぎゃっ!クリスマス・ツリーにはいかせねえよ!
ここがおまえたちの終点だ!」
鳥の足もとには、ちいさなちいさなネズミのぬいぐるみがいました。せなかには、サンタさんみたいに、おおきなふくろをしょっていました!
「オレはコンドル!」
「オレはネズミ!」
ふたりはなのしれた、きょうあくコンビです!
キミはどうする!?
「ウィリー!やっつけろ!」
ウィリーは、おおきな岩を投げつけました。
それでも、コンドルとネズミにはかすりもしません。
「むだむだ!」
ネズミはふくろをガサゴソあさりました。
こんどは、松ぼっくりを投げるつもりだ!あぶない!
「くらえー!」
あんなのにあたったらケガしちゃう!
キミは、いつもしかってくるガミガミ先生を思い出した。
ガミガミ先生をよんでみよう!
「ガミガミ!コラー!」
「げげっ!ガミガミ先生だ!」
キミがガミガミ先生をおもいだしたら、ガミガミ先生のぬいぐるみが、出てきちゃった!
ガミガミ先生は、コンドルとネズミを、しかりつけた。
「ガミガミ!おともだちにモノをなげてはいけません!」
「ひぇ〜〜!ゆるして〜〜!」
コンドルとネズミはガミガミ先生につれられて、空のかなたに、きえていきました。
おともだちにものをなげつけるのは、よくないね!
おともだちを、ケガさせちゃうからね。
先生がガミガミするのには、理由があったんだ。と、キミはなっとくする。
★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★
やっとのことで、キミたちは山のてっぺんへとうちゃくする!
「うおおおお!!ついたーー!!!!」
クリスはおたけびをあげました。
「うおおおお!!ついたーー!!!!」
やまのむこうから、へんじがかえってきました。
「うわっ!だれだ!?」
「やまびこさんだよ。やまで大声をだすとへんじしてくれるんだ」
「やっほーーーーーー!!!」
シモンは大声でやまびこをよびました。
「やっほーーーーーー!!!」
しばらくすると、やまびこさんからへんじがかえってきました!
エビンもさけんだ。
「かみさまありがとーーーーー!」
かみさま?と、キミはエビンにたずねる。
「やまのてっぺんにいけば、てんごくのかみさまにこえがとどくかもしれないでしょ?」
かみさまってなんだろう?
キミは、キミのぬいぐるみに聞いてみた。
「てんごくにいる・・・ひと?」
どうやらぬいぐるみも、よくしらないらしい。
やまのしたのほうに、まだクリスマス・ツリーはみえない。
「もっと向こうの方にあるのかも!」
たびは、まだつづくよ。
★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★
やまをくだっていくと、おなかがグーグーなりだした。
「そういや、なんもたべてないなあ」
エビンはふところから、おかしを取りだした。
「はいこれ」
「なんだこりゃ!?」
「あたしのくにでたべる、おかしよ」
「くに?エビンのくにって、どんなだ」
「じゅうをもったこわいひとたちがいるくによ。でも、もともとはこわいくにじゃなかったの。
いつかもとにもどるといいなあ。へいわになってほしいなあ」
「へー。おれのくにには、そんなこわいひとは……うちのとーちゃんは、こわいけどな!」
「おかし、はやくおくれよ。おなかへっちゃう」
シモンはもうおなかぺこぺこです。
「せかさないで、いまはんぶんこするから」
エビンはみんなのぶんのおかしをはんぶんこした。
ぬいぐるみたちにも、わけてあげた。
「おいしい!!!!」
みんなとはんぶんこ、うれしいね。
★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★
またまた、くらいくらい森へ入ることに。
でも山はもう下りざか!あとすこし!がんばって!
「下りざかって、けっこうつらいんだな」
あるいてあるいて、みんなもうヘロヘロです。
キミたちが歩いているのを、森のおくからトロルのぬいぐるみが見つめていました。
トロルは、おおきなおおきな、キミたちのおとうさんやおかあさんよりもはるかにおおきなきょじんです。
「うまそうなこどもたちだ。おなかへってきたな。たべちゃおう」
トロルはドスドスと、じめんをふみならします。
「ん?なんのおとだ?」
クリスがふりむくと、なにかとてもおおきなものがせまってきます!
ドドドドドドドドドドドドドっ!!!!!!
「ぐおおおおおおおおっ!!!!くわせろお!!!」
「うわああああああああっ!!!!!」
トロルはやまんばよりこわあいかいぶつ。こどもならペロッとひとくちでたべてしまいます。
キミたちはひっしでにげました。
つかれていたけど、もういちもくさんに。
「まてええええええ!!!おれのにく!!!!」
トロルもひっしです。
「たすけて!パパ!ママ!ウィリー!」
クリスのこえをきいて、クマのウィリーが、トロルのまえにたちはだかりました。
「なんだ?おれとすもうをしようっていうのか!」
トロルはウィリーにとっくみあいました。がっぷりと!
「ウィリー!いけ!ぼくのヒーロー!」
クリスはおおごえでウィリーをおうえんしました。
「まけないで!ウィリー!」
ウィリーのせなかに、エビンのおともだち、ウマのペサルがあとおししました。
ウマはちからもちです。トロルは少しおされました。
「ぐぐっ・・・・・こしゃくな・・・・!」
トロルは、ちからをふりしぼりました。マズイ!おしかえされました!
「ニアラ!トロルの耳元でないてやれ!」
ヤギのニアラは、トロルの耳元でメエメエなきました。
「うわっ!きがきる!やめろ!」
ふたたびトロルをおしかえしました!
「なめるなあっ!」
トロルがさいごの力をふりしぼり、ぬいぐるみたちをふっとばしました。
もう、だれもトロルにはかてません。
★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★
「まずい、くわれちゃう!」
シモンはニアラをかかえ、いちもくさんににげだしました。
エビンとクリスは、ペサルにのりにげました。
「のせてっておくれよ!」
ペサルのおしりにシモンをのせ、3人と2頭のぬいぐるみは、いってしまいました。
ウィリーは、みんなをまもるためにのこりました。
キミも、キミのぬいぐるみも。
「ワハハハハハ!!たべられにのこってきたか!!」
「たべられてやるもんか!」と、キミのぬいぐるみは
トロルにかえします。
「うまそうなこどもだ!どれ、ペロリとたべてやる!」
トロルは、キミにおそいかかります!あぶない!
パァンッ!
そこへ、まめでっぽうをもったかりうどさんがやってきました。
「ぶじか!?」
かりうどさんは、山のおまわりさんです。
「さっきあったこどもたちによばれてきたんだ。『おともだちがとりのこされているから、たすけて』ってな」
「おおおおこしゃくな!!!かりうど!!おまえもくってやる!!」
「くわれてやるものか!」
かりうどさんは、まめでっぽうをうちました。
パァン!パァン!パァン!
かりうどさんのうったまめでっぽうで、トロルはハトのぬいぐるみにかわりました。
「ポッポウ!ポッポウ!」
そうして、ハトはどこかへとんでいってしまいました。
かりうどさんは、山になくてはならないそんざいだね。
★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★
かりうどさんにつれられて、キミとキミのぬいぐるみとウィリーは、みんなとごうりゅうできました!
「ごめんな!おいていって!」
「だいじょうぶ?ケガはない!?」
「ケガがあったらおしえて!」
みんな、キミやぬいぐるみ、ウィリーをおいていったことをあやまってくれた。
「もうひとりにはしないから!」と、
4人と、ぬいぐるみ4頭はちかいあった。
「じゃあ、わたしはようじがあるからこれでしつれいするよ」
かりうどさんは山のほうへもどろうとした。
「まって!クリスマス・ツリーって、この先に、ほんとうにあるの?!」
エビンがかりうどさんにたずねました。
「ああ、あるはずだとも。このみちを、まっすぐ、いくんだ」
かりうどさんが指さす道は、ほそい道でした。
「よりみちは、したらいけないよ。さっきみたいなトロルがでてくるかもしれないからね」
もうさっきみたいなこわいめにあうのはゴメンです。
キミたちは、かりうどさんにおれいをいって、ほそいみちをたどりました。
★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★
ほそいみちをたどって、しばらくすると
みちのさきに、なにか大きな大きな木が、みえてきました!
「あっ!あれはクリスマス・ツリーだ!!!」
シモンがさけびました。
ようやく、もくてきのクリスマス・ツリーがみえてきたのです!
「やったあ!!」
みんなはいちもくさんにかけていきました。
もうクリスマス・ツリーまであとすこし!
そこへ
ドオオオオオオオオッ!!
ドスゥン!!!
キミたちのめのまえに、きょだいなぬいぐるみがおちてきました!
さっきのトロルより、ばいはデカいです!!
「なっ、なんだあっ!?」
「グワハッ!!」
きょだいなぬいぐるみは、しゃべりだしました。
でっかいでっかい、ドラゴンのぬいぐるみです!
「オレサマはニーズ・ヘッグ。クリスマス・ツリーにはいかせないぞ。ここはとおさない!あきらめろ!」
「どうして!?」
「おまえたちはクリスマス・ツリーでねがいごとをかなえてもらうつもりだろう?」
「わるいことはいわん。あきらめろ。ゆめはあきらめろ」
「いやだ!!ここまできて、あきらめきれるか!」
「そうだそうだ!」
「ききわけのない子どもたちだ。ならば、ふきとばしてやる!!」
ドラゴンは、羽ばたきでキミたちをふっとばそうとします!
「うわああああああああっ!!」
ものすごい風が、キミたちをおそう!
「あきらめろ!あきらめろ!」
ウィリーが、みんなをヒシッとつかみ、とばないように、まもります!
ペサルも、かべになってみんなをとっぷうからまもります。
「ええい!ならば!」
ニーズ・ヘッグは、おおきな火の玉をはきだしました!!
「あ、あつい!!」
このままでは、みんなやかれてしまいます!!
どうする!?
「かみさまたすけてー!!」
「パパー!ママー!」
「かみさまー!!」
キミのぬいぐるみが、とつぜんひかりだしました!!
「!?」
「キミのすきなひっさつわざを、つかうんだ!!」
キミのひっさつわざで、火の玉をふっとばそう!!
「うおおおおおおおおおおっ!!!!」
キミとキミのぬいぐるみのひっさつわざをくらい、ニーズ・ヘッグの口からわたがとびだしました。
「あわわっ」
ニーズ・ヘッグはみるみるうちにちいさくなりました。
「あっ、かわいい」
なんと、あんなにおおきかったニーズ・ヘッグが、ヤギのニアラよりもちいさくなりました。
「よし!やっつけてやる!」
クリスはこぶしをふりあげました。
「まって!ぼうりょくはよくないよ!」
シモンが止めました。
すると、ちいさくなったニーズ・ヘッグがしゃべりだしました。
「うらやましかったんだ……ゆめをもつ子どもたちが……だから、こうしてじゃまをしたんだ」
ニーズ・ヘッグは、しょんぼりとしました。
「ゆめがないなら、つくればいいじゃないか」
キミのぬいぐるみは、ニーズ・ヘッグにかたりかけました。
「ゆめをつくる?もうオレサマには、ゆめはないさ」
「ゆめがなくなったら、またあたらしくつくればいいんだ」
「たとえばなんだ?おまえのゆめは?」
「おともだちと、いつもいっしょにいること!」
「おともだち・・・・」
ニーズ・ヘッグは、うなだれました。
ニーズ・ヘッグには、ずっとおともだちがいなかったからです。
「なあ、オレサマも、クリスマス・ツリーへいって、いいか?こんどはもうじゃましないからさ」
「いいよ!いこう!」
キミのぬいぐるみは、ニーズ・ヘッグをなかまにして、クリスマス・ツリーへたどりつきました。
★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★
やっとたどりついたクリスマス・ツリー。
「とうとう、たどりついたんだ・・・」
「ああ、ながかった、しんどかった」
「でも、たのしいたびだったな」
みんなは、クリスのことばにウンウンとうなずいた。
クリスマス・ツリーの根元に、だれかすわっています。
「あれっ?だれだろう?」
キミたちは、その人に声をかけてみました。
「おうい!だれですかあ〜〜?」
ツリーにすわっていた人は、ニッコリわらいかけました。
「よくきたね。キミ、シモン、クリス、エビン」
「それに、キミのぬいぐるみ、ヤギのニアラ、クマのウィリー、ウマのペサル、ドラゴンのニーズ・ヘッグも」
「ええっ。どうしてオレたちのなまえ知ってるの!?」
「知ってるとも。だってわたしは、イエス・キリストなのだから」
「ええっ!?イエスさま!?」
イエスさまは、クリスマスをつくった、かみのこです。
「だってイエスさまって、てんごくにいるんじゃあ・・・」
「クリス。わたしがいない場所なんて、ないんだよ」
「じゃじゃあ、さっきトロルがきたときも、ドラゴンがきたときも、たすけてくれよイエスさま!」
「たすけたじゃあないか。げんに、いまキミたちは生きている」
「きょうはクリスマスだ
キミたちがのぞむプレゼントをあげよう」
「じゃあ、おれはベンツのおもちゃがほしい!」
クリスはいいました。
「アタシは、アタシのくにがへいわなくににもどってほしい!」
エビンがないてさけびました。
「ぼくは……おとうさんやおかあさんと、ずっといっしょにいたい。本もたくさんよみたいな!」
シモンがもじもじ言いました。
キミのねがいごとはなに?
ねがいごとを、イエスさまにいってみよう!
「わかった、かなえよう」
イエスさまは、ひかりかがやいた。
★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★
めをさますと、キミはベットの中。
きょうはクリスマスだね。
サンタさんのためにぶら下げたくつ下の中には、プレゼントがはいっていた!!
やったね!!
ゆめのおはなしを、シモンやクリスやエバン、ヤギのニアラにクマのウィリーやウマのペサルのはなしを。
おとうさんとおかあさんに、せんせいに、おはなししてみよう!