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0-7 歓喜⇒反転⇒燃え尽き症候群


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 スカルドラゴンチャレンジ1日目

 懐柔回数:372

 デス数:300


 とりあえず、挑戦回数とデス数をメモして残すことにした。

 現段階では開幕に1回【懐柔】いれてデスルーラがほとんどである。

 今後のため躱せるようになっていきたい。


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 スカルドラゴンチャレンジ2日目

 懐柔回数:312

 デス数:215


 あのしっぽマジで見えない。

 予備動作なさすぎる上に範囲広いとかクソ過ぎませんか?

 もうすでに辞めたくなってきているんですけど。


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 スカルドラゴンチャレンジ3日目

 懐柔回数:832

 デス数:440


 やりすぎたねむいからねる


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 スカルドラゴンチャレンジ4日目

 懐柔回数:422

 デス数:85


 カナリナレテキタ。

 ミテカラカワセルヨウニハナッタガマダマダミジュクナノデショウジンシタイ。


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 スカルドラゴンチャレンジ5日目

 懐柔回数:56

 デス数:2


 集中力きれた。もうまじ無理。別ゲーしょ…


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 スカルドラゴンチャレンジ6日目

 懐柔回数:102

 デス数:3


 出た出た出た出た!!!!!!

 やっときた!!!!FOOOOO!!!!!


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 ◇◆◇◆◇◆


「時は来た…」


 もはや親の顔より見なれてしまった寂れた宿屋の一室で、レイは口元が緩みそうになるのを必死で抑えていた。


 この一週間で挑戦回数2096回、デス数に至っては1045回と、この1週間で誰よりも死んだとレイは自信をもって言える。


 その上【スカルドラゴン】に至っては、攻略動画を出せるくらい行動パターンを把握している自負があった。もう二度とやりたくはなかったが。


 レイは手元にある紫色の宝石――【スカルドラゴンの魂】を見つめる。それだけで目が潤み泣きそうになった。


 自分で考えたプランであったが、正直ここまでかかるとは彼女自身予想していなかった。むしろ良く諦めなかったなとレイは自分を褒めたい気持ちでいっぱいだった。


「よし、じゃあ始めますか!」


 レイはアイテム欄から【召喚の石板】と【リビングデッドの魂】を2つ取り出す。


 これでようやく【死霊術師】になって冒険を始めることができると思うと感慨深い気持ちになるレイ。


 ようやく長い長いチュートリアルが終わる、そう思うとまたもや涙が出そうになる。


[【スカルドラゴンの魂】、【リビングデッドの魂】、【リビングデッドの魂】を使用してモンスターを召喚します]


【召喚可能モンスター】

 ・スカルキング ★★★★★

 ・デュラハン  ★★★★★

 ・じゃしん   ★★★★★


「よしよし、不死種の★5いるね……って、ん?」


 必要なアイテムを選択して【召喚の石板】に浮かび上がってくる文字を見てみると、なにやら見慣れないモンスターが記載されていることに気付く。


「じゃしんって何だろ?多分モンスターだと思うけど……まさかユニーク?」


 まさかの出来事にかなり悩んだレイだったが、結局プラン通り不死種の★5を選択することに決める。


 彼女がここまで頑張れたのはあくまでも死霊術師になりたいという思いが強かった。そのためもったいないとは感じつつも、じゃしんを選ぶ気にはなれなかった。


「となるとどっちかだけど……せっかく【スカルドラゴンの魂】を使っているし、あやかって【スカルキング】にしようかな」


[【スカルキング】を召喚いたします。取り消すことはできませんがよろしいですか?]


「む、そういうこと言われると悩んでくるな……」


 念を押すような選択肢に思わず決心が揺らぐ。


 もう一度考え直そうといいえを押して召喚選択画面に戻った。


【召喚可能モンスター】

 ・スカルキング     ★★★★★

 ・デュラハン      ★★★★★

 ・じゃしん【ユニーク】 ★★★★★


「【ユニーク】?こんなのついてたっけ?……ま、いいか」


 先ほどと違う選択肢に少し首を捻るが、結局気にしなことにしたレイ。


「…うん、【デュラハン】に変えよう」


 厨二病的観点からすると鎧の騎士というのはレイの心にかなり刺さっていた。やはり好きなキャラをと思い直し、【デュラハン】に決める。


[【デュラハン】を召喚いたします。本当に後悔しませんか?]


「むむむ……」


 優柔不断なレイは再び問いかけられて揺らいでしまう。

 

「その考えなら別に【スカルキング】でも問題ないな…」


 厨二病(レイ)的観点からすると骨の王者というのもレイの心にかなり刺さっており、正直どっちでもいいなという結論に至る。

 

「…よし!やっぱり【スカルキング】でいこう!」


 結局、最初に決めた【スカルキング】にしようと召喚選択画面に戻る。


【召喚可能モンスター】

 ・スカルキング ★★★★★

 ・デュラハン  ★★★★★

 ・☆オススメ☆じゃしん【ユニーク】 ★★★★★


「……」



 またもや変化した選択肢だが、今度は見なかったことにして、レイは何も言わずに【スカルキング】を選択した。


[じゃしんを召喚いたします。よろしいですか?]


「はいっと……って危なっ!?」


 なぜかじゃしんが召喚されそうになり慌てていいえを選択する。


 選択間違えたか?と狐につままれたような思いをしながらも、再度選択画面に戻って――。


【召喚可能モンスター】

 ・☆オススメ☆じゃしん【ユニーク】 ★★★★★

 ・☆オススメ☆じゃしん【ユニーク】 ★★★★★

 ・☆オススメ☆じゃしん【ユニーク】 ★★★★★


 そこでレイは絶望した。


「なんでやねん!!」


 あまりの出来事に関西人でもないのに突っ込みの言葉が出てしまう。それと同時にレイは手に持っていた石板を地面に叩きつけた。


 ふぅふぅと肩で息をしながら落ち着くように心がける。ただ残念なことに、この『ToY』というゲームはそれを許してくれるほど甘いゲームではなかった。


[じゃしんを召喚いたします]


「え?ちょ――」


 床に転がった石板から最悪のアナウンスが響き渡り、レイは必死で手を伸ばして止めようとする。だがそんなレイをあざ笑うかのように、無情にも召喚の石板から魔法陣が発生した。


 いくつもの幾何学模様が重なったそれは赤、青、緑と7色に変色しながらその光を増していく。やがて光が収まると、そこには一匹のモンスターが宙に浮いていた。


 ――その大きな瞳は煮えたぎるマグマを連想させるほどに赤く。


 ――その鋭い爪と角は宝石のような輝きを見せている。


 ――全体的に黒く藍色のような体毛に覆われた体は確実に人ならざるものであった。


 ――背中には悪魔のような羽が生え、その下には蛇のような尻尾を携えている。


 ――その顔はどこか犬っぽくも、全長は50cmほどの3等身の姿はとても愛くるしい。


 ――いや、マスコットじゃん。どこがじゃしんだよ。


「ぎゃう!」


 レイと目があったじゃしんは『よっ!』と気楽に挨拶するかのように右手を挙げる。


[じゃしんが召喚されました]

[メイン職業を【邪教徒】に変更いたします。なお、じゃしんを召喚獣に指定している場合変更することは出来ません]

[職業が【邪教徒】のため、ボーナスポイントを信仰に振り直します。今後入手するボーナスポイントも自動的に信仰に割り振られます]

 

 情報過多によって思わずフリーズする。脳が理解することを拒否したレイはそれに返事することなく、真っ白に燃え尽きたかのようにログアウトを選択した。


 それが大勢の人間に見られている事に気付かずに……。


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 配信タイトル:初配信(9枠目)

 配信時間:54:03:58

 視聴者数:10932

 コメント数:19656

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[TOPIC]

MONSTER【じゃしん】

『尊キ御方』を崇めよ。『尊キ御方』を信じろ。『尊キ御方』はすべて正しい。


神種/系統なし。固有スキル【じゃしん】

《召喚条件》

1000回以上死亡し、かつ合計レベルが3未満で★5モンスターを召喚。

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― 新着の感想 ―
合計レベルが星3未満ってなんぞ……?
[一言] かなかなの配信見ちゃうのわかる。 面白いよね!! 僕は原神やってるけど...
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