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0-6 地獄の始まり


 結局、レイが2つ目の【リビングデッドの魂】を手に入れるのに2時間かかった。


 1つ目と合わせると合計3時間30分ほどこもっていたことになり、その事実に肩を落とす。


「嘘……!私のリアルラックなさすぎ……!?」


 少しでも気が紛れるよう、おどけた調子でそう呟いて気持ちを切り替えるレイ。


 流石に疲れたのか、レイは拠点の宿屋に戻っており、現在は召喚の石板についての検証を行っていた。


[【スライムの魂】、【スライムの魂】、【スライムの魂】を使用してモンスターを召喚します]


【召喚可能モンスター】

 ・スライム ★


 手始めにチュートリアルで行うはずだった召喚方法を試してみると【スライム】が召喚されるとのウィンドウが表示される。 


「ここに【リビングデッド】を混ぜると……うん、情報通りだね」


【召喚可能モンスター】

 ・沼の妖精  ★★★

 ・ファントム ★★


 レイは石板による召喚にはいくつかのルールが存在することを既に知っており、対象を入れ替えたことで、予想通りの結果になったことを確認して笑顔になる。そのルールとは以下の通りだった。


・同名モンスターの魂3つの場合、そのモンスターが出現する

・別種モンスターの魂で召喚する場合、最大レア度+最多種類の種族のモンスターと、レア度の平均値+最少種類の種族のモンスターが出現する

・別種モンスターの魂を3つ使用した場合、その3種類以外の種族を持ったモンスターが出現する

・同種モンスターの魂を3つ使用した場合、その種族の使用した魂の最大レア度のモンスターが出現する


 これ以外にも特殊な条件下で召喚されるユニークモンスターも存在するらしいが、基本ルールはこれで間違いない。


 今回の場合だと水棲種の【スライムの魂】2つに対して、不死種の【リビングデッドの魂】を1つ使用しようとしたため、『最大レア度+最多種類』の条件から水棲種である【沼の妖精】、『レア度の平均値+最少種類』の条件からは不死種である【ファントム】がでてきたのだろう。


「辻褄は完全に一致するし間違っているとも思えない。ということは残りの条件も信じてよさそうかな」


 検証を終えてレイはそう呟く。ここまでは上手くいっているようだがもう一つやらなければならないことがあった。


「となるとあとはあれだけか……」


 おそらくここまでの比じゃないくらい苦労することが予想でき素直に喜べない。とりあえずお腹も空いてきたので、一旦休憩しようとログアウトすることにして、問題を先送りにするのだった。



 ◇◆◇◆◇◆


 【死霊術師】になる条件はサモナーかつ不死種のボス――所謂★5のモンスターを召喚することが条件である。


 そのためには少なくとも不死種の★5モンスターの魂を取得することが最低条件となっているのだ。


「危なっ!視覚外から攻撃してくるのズルでしょ!」


 一旦ログアウトして戻ってきたレイは再び【瘴気の下水道】に戻り、通路を全力疾走していた。


 迷路のように入り組んだ構造の通路を右、左と事前に調べ尽くしたルートで走りまわる。


 曲がり角に【リビングデッド】が待ち構えてたり、【ジャイアントバット】が群れをなして襲ってきたりとひやりとする場面はあったが、初期に敏捷に振ったお陰でなんとか逃げ切ることができていた。


「敏捷にっ、振ったのっ、大正解だったなっ!」


 敵Mobの妨害を躱しながら2分ほど走り続けると、やがて直径3mほどの巨大な穴が広がっている場所に辿り着く。


 底が見えないほど暗く入るのにはかなりの勇気が必要だが、目的地はここで間違いなく、この先の展開も分かっているため、彼女は迷うことなく飛び込んだ。


 5mほど落下した後、バシャンと足から着水する。


 暗闇に慣れてきた目で周りを見渡すと、どうやら膝下位まで水で満たされているらしい。動けないことはないがかなり行動が制限されていた。


「Gruuuu……」


 少しすると、どうやらここの主が目を覚ましたようで、水中から唸り声が聞こえてきたかと思うと、その姿が次第に浮かび上がってくる。


[warning!!!]

ボスモンスター出現

・スカルドラゴン ★★★★★


 その姿は御伽噺で出てくるようなドラゴンの姿をしているが、体はとうに朽ち果て肉は削げ落ちている。ただその無駄を極限まで削ぎ落とした白い体は、松明の光で照らし出され恐ろしいまでに美しかった。


「魂、もらいに来たよ……!【懐柔】!」


『【懐柔】に失敗しました』


 レイの記念すべき初チャレンジは失敗に終わる。相手はボスモンスター、当たり前であった。


 ただこれさえ突破すれば憧れの【死霊術師】だと彼女は自分に言い聞かせると、不思議と体の奥からやる気とアドレナリンが湧き出てくるのを感じた。


 一方でスキルを受けた【スカルドラゴン】は煩わしそうにレイを睨めつけ、その巨体をゆっくりと持ち上げた。どうやら敵対モードに入ったらしい。


 だからと言ってレイのやることは変わらない。


「さぁ、勝負と行こうか…!」


 ◇◆◇◆◇◆


[初デスのためデスペナルティの説明をさせていただきます。デスした後の1時間は経験値を取得できません。またエリア内で入手したアイテムも持ち帰ることができず、ドロップしてしまいますのでご注意ください]


「あのしっぽ凶悪すぎるでしょ」


 気づいたらレイは宿屋のベッドの上にいた。どうやら【スカルドラゴン】にやられたようだった。


 1分ほど敵対化した【スカルドラゴン】と対面したレイだったが、正直【懐柔】を当てる隙なんてほぼ無く、それどころか攻撃が早すぎて躱すのすらままならない。


 そのうえ掠っただけで死んでしまうような鬼畜難度のオワタ式であることが判明してしまっただけで、良い事など一つも感じられない。


 レイも予め動画などで調べていたのだが、実際やってみた時のそのギャップの差があまりにも大きく、自分で決めたことにも関わらず、既に心を折られかけている様子だった。


「でも、頑張るしかないよね……」


 諦める、そう口から出そうになるその言葉を飲み込む。やる気とアドレナリンは既に枯れているが、重い足を上げ再び【スカルドラゴン】のもとに向かった。


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 配信タイトル:初配信(2枠目)

 配信時間:03:42:37

 視聴者数:266

 コメント数:457

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[TOPIC]

MONSTER【スカルドラゴン】

とうに朽ち果て肉は削げ落ち、それでも威厳は失わず。


不死種/骨獣系統。固有スキル【再構築】。

≪進化経路≫

<★>ボーンスネーク

<★★>ボーンウルフ

<★★★>スカルタイガー

<★★★★>スカルキマイラ

<★★★★★>スカルドラゴン

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― 新着の感想 ―
[良い点] 一発でクリアとかではなくしっかり苦労していたのが好印象 今後も期待 [一言] まさか作者さんが同士だったとは………!! ナカーマ(ノ゜Д゜)八(゜Д゜ )ノイエーイ
[一言] 小説拝見させてもらいましたブクマ、評価もしたのでこれからも見させてもらいます あと、まさかのかなかな好きとは自分も好きでいつも見てるんですよね同士ですね
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