2-2 今後の方針を決めようか
いつの間にか40万PVと評価ポイント7000超えてました。
皆様、いつもありがとうございます。
【レイちゃんねる】
【第6回 これからのことを考える】
「第2回!じゃしん会議はーじまーるよー!」
「ぎゃう~!」
・イエーイ!
・どんどんぱふぱふ
・待ってました!
・ワールドクエストクリアおめでとう!
・写真買いました!
ワールドクエストがクリアされた翌々日、1日メンテナンスを挟んだ『ToY』にて、レイは配信を行っていた。
「お~!みんなありがとう!でも写真は買わなくてもいいからね」
・それはちょっと…
・嫌だ!
・だが断る
「ちぃ、見つけ次第回収してやるからね…」
軽口をたたきながらも配信の雰囲気を思い出したレイは、それはそれとして本題へと入る。
「タイトルにある通りなんだけど、これからどうしようかな?そろそろ次の街とか行ってもいいんだけど」
・次か〜
・いいんじゃない?
・どこ行くか悩むよね
・レベル上げはもういいの?
「そうなんだよね~、どこにでもいけるから余計に……あ、そういえばこの前のワールドクエストでレベル上がったよ」
レベルの話題が上がるとそういえば報告していなかったなとレイは思いだし、そのことについて説明した。
・マジ?
・おぉ、おめ!
・この前の7時間は一体…
・ステータス見せて
「ん、ちょっと待ってね」
お祝いの言葉に感謝の言葉を返しつつ、レイは言われた通りステータスを表示して視聴者に見せる。
・SPスキルあるの羨ましすぎる…
・分かる、俺も一個もないわ
・ステータスはほぼ変わらずか
・称号ってなんぞ?
・効果なかなか良くね?
・本は…何だこれ?
「でね、アイテムの方も手に入れたんだけどちょっとこれ見てよ」
ステータスを見ながら考察して盛り上がるコメント欄に今度はアイテム欄を操作したレイは黒色の銃を取り出した。
・あれ?因幡?
・かっこよ
・レイちゃん好きそう
「そう!もう一目惚れレベルで見た目がドストライクなんだけど、それだけじゃないんだよね!」
興奮しているのか少し早口になると、ドヤ顔で視聴者にその性能を見せつけた。
・つっよ!
・え、銃の中なら最強レベルじゃない?
・スキルも見たことないな
・さすがワールドクエスト
「スキル【黒月弾】は着弾点にブラックホールを生み出して敵を飲み込む特殊弾を放つって感じ!ステータス的にまだ撃てないけど使えるようになるのが楽しみなんだよね!」
【Crescent M27】を絶賛する声にニヤニヤとした笑顔をしていたレイだったが、やはり鋭い人はいるようでとあるコメントがコメント欄に流れた。
・あれ?でもさっき外せない武器装備してなかった?
「……勘のいいガキは嫌いだよ」
その言葉を見た瞬間、急に現実に引き戻されたレイはスッと真顔になって俯く。
・あ~あ泣かした~
・ちょっと男子~?
・さいて~
・待て!俺のせいなのか!?
コメント欄では原因になった人物がイジられており、その様子にクスリと笑うと気を取り直して言葉を続けた。
「冗談だよ。極寒の吹雪の中でやっと家を見つけたと思ったら殺人鬼が住んでたくらいの絶望感だからさ、大したことないよ」
・まぁまぁ致命傷で草
・酷すぎるwww
・大したことないことはない
・大丈夫?その発言病んでない?
冗談を言ったつもりのレイだったが、3割くらいに本気で心配されておりあれ?と首を傾げた。
一応嘘嘘と否定しながら次のコメントに目を通していく。
・でも本の方もなんか厨二感強くてカッコ良くね?
「それはある……けど、これ何も書いてないんだよね」
・え?
・まさか…
・それって…
手に持った本をパラパラとめくっても何も書いていない白紙のページが続くだけであり、何か起きるわけでもない。それを見た視聴者は不穏な空気を感じる。
「そう、もう完全にお飾り。初心者の杖の方がステータス上がった分まだ使えたかも」
・えぇ…
・これは呪いの装備ですわ…
・で、でもレベルが上がると何か強いの使えそうだね!
視聴者はその残念さに落胆の声を上げて、レイを励ますような言葉を書き込む。
「あはは、そうだね。正直言うとあんまり気にしてないよ」
ただ、レイは視聴者の思っているほど気にしてはいなかったようで軽く笑いながら不敵な笑みを見せた。
「寧ろ、これから何が起きるか楽しみかな。だから今後もどんどんレベル上げに励んでいきたいと思う!」
・良かった
・応援してる!
・まーた耐久配信するつもりだよ
・立派になって…
「これからも頑張るから視聴よろしく!あ、チャンネル登録もね!」
「ぎゃう!」
そう言って画面に向けて敬礼するレイと、その顔の近くまで寄ってきて同じポーズを取るじゃしん。
コメント欄に流れる可愛いコメントを見ながら恥ずかしい気持ちを感じつつ、配信者として様になってきたなと少し感慨深くなった。
「さて、決意表明したところで!本当に次どうしようかな?なんかいい場所知ってる?」
・う~ん
・正直どこでも
・行きたいところ行けばいいよ
・そういえばレイちゃんイベント見た?
「イベント?」
そのコメントに首を傾げるレイ。昨日はメンテナンスと聞いてここぞとばかりに睡眠と課題を行っており、完全にネット断ちをしていた彼女は告知されたばかりのそれを知らなかった。
・メニュー開くとお知らせがあるはず
・確かウィンドウの右上辺り
「え~と、あ、これか」
コメントを頼りにメニュー欄の右上を見て【キーロクリエイティブフェスタ開催のお知らせ】と書いてあるバナーを選択する。
「うわっ」
『イベント管理AIのNAVI-003っす!今回のイベントについて説明させてもらうっす!』
その瞬間、レイの目の前に淡く点滅する白い光が出現する。その羽は黄緑色をしていた。
『キーロクリエイティブフェスタは生産職の生産職による生産職のための祭典!開催期間中は『眠らない街キーロ』にて無料で露店を開く事ができるっす!これを機会に自分の作品を売り込んで一躍有名になるっす!』
「え――」
『加えて各分野でコンテストも開催するっす!見事上位入賞を果たしたプレイヤーには豪華報酬をプレゼント!』
「いや、ま――」
『安心するっす!生産職ではない方もパトロンとして生産者を応援できるっす!当然豪華報酬もゲットできるっすよ!ぜひ参加して欲しいっす!』
わざと言葉を遮っているのではと思えるくらい一方的に言い切ったサードは役目は終わったと言わんばかりに消えていく。
一人残されたレイは余りのことにぽかんと固まっていたが、ハッと現実に戻るとコメント欄を確認する。
・装備とかアイテム集めに丁度よさそうって感じ
・レイちゃん防具ないしなんか探したら?
・コンテストも別に任意参加らしいよ
・レイちゃんのパトロンになりたいです!
補足説明をしてくれる(若干変なのも混じっているが)コメント欄を見て内容を補填したレイはうんうんと頷くと高らかに宣言した。
「……それもありだね。よし、じゃあ次の目的地はキーロで!」
「ぎゃう!」
・おっけ~
・俺もキーロ行くかぁ
・会ったら握手して下さい!
かくして、レイの次の目的地は決まった。
舞台は眠らない街キーロ。果たしてどのような物語が紡がれるのだろうか。
[TOPIC]
NPC【イベント管理AI『NAVI-003』】
『ToY』の世界のガイド役として役割を全うする自律型AI。
その中でもイベント関連について担当しているが、滅多にイベントは起きず、今回も併せて2回しか登場していない。




