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1-【公式ストーリー】


 "スーゼ平原の兎には手を出してはいけない"


 ホワイティアの街に住む人々は幼少期からそう教え込まれる。


 勿論、魔物である兎から子供達を守る意味もあるがそれだけではない。


 大人たちは知っていた。スーゼ平原は彼らの縄張りであるということを。


 満月の夜に現れ、それでいてその全てを手中に収めている。


 中でも首領ラビカポネ率いる者達は真の力を解放すれば龍をも凌ぐと噂されていた。


 彼らの名前は『ムーンライトファミリー』。この街の陰の支配者であり、守護者でもあった。


 ◇◆◇◆◇◆


「ハクシ教だと?」


 今から3年ほど前だろうか。ある日、組織のNo.2であるラビー・アルカッドはとある噂を耳にする。


「ハイ、ドウヤラコノ街デ何カ企ンデイルヨウデス」 


 部下から渡された写真を見て彼は眉を寄せる。確かに写真の男にはハクシ教の証である悪魔の紋様のタトゥーが刻まれていた。


 ハクシ教、その存在をラビーも知っている。曰く、邪神なる存在を崇めており、世界を滅亡に導こうとしている集団であると。


「まぁ、ほっとくわけにはいかねぇよな」


「行クンデスカ」


 立ち上がったラビーは部下からの問いに頷いて返す。


「ナラ首領ニ連絡ヲ――」


「必要ねぇだろ」


 彼は鼻で笑うとその提案を一蹴する。


 それは自信の表れであり、最大の慢心であった。


 ◇◆◇◆◇◆


「リング!プルパ!」


「ゴフッ……オ逃ゲ……下サイ……」


 その日、ラビーは初めて敗北した。


 手の中には敵の凶刃で倒れる部下達の姿がある。


「まさかちょっと誘導しただけでこのザマとは。伝説と言っても所詮獣なのですね」


「いえ!枢機卿が素晴らしいのですよぉ!」


 彼の眼前には神父の格好をした優男と紫色のローブを着た男が談笑しており、その背後には百人を超えるハクシ教の信者が無表情で立っていた。


「まぁここまですれば大丈夫でしょう。フェディさん、後は任せても?」


「えぇ!えぇ!勿論ですとも!」


 そう言うと神父の男は踵を返してこの場からいなくなる。


 それを見送ったローブの男はぎょろりと狂った瞳をラビーたちに向けた。


「さて、あなた達には邪神様の偉大なる破滅への一歩となっていただきましょうかぁ!」


「チッ……」


 戦えるものはラビー一人。


 前方には未だ100を超える軍勢が見えており、どう考えても絶望的な状況だった。


「俺達ガ……時間ヲ稼ギマス……」


「モウボロボロッスケドネ……」


 その時倒れ込んでいた部下の二人が息も絶え絶えな様子でラビーを庇うように立ち上がる。


「なっ!お前らを置いていくなんて――」


「イイカラッ!行ケ!」


「恰好ツケサセテ下サイッス」


 当然拒否しようとしたラビーだったが、遮られた言葉とその強い視線に思わずたじろいだ。


「……クソッ!」


 そして覚悟を決めた彼は振り返ることなく全力でその場から離れていく。


 後ろから聞こえる銃声は嫌に頭に響いていた。


 ◇◆◇◆◇◆


 それから彼は後悔の日々を過ごすこととなった。


 あの時何故大丈夫と思ったのか、何故首領に声をかけなかったのか、何故俺はこんなにも弱いのか……考えても考えても答えは出ない。


「……奴らは必ず潰す」


 その中で彼の頭に残ったものは復讐の2文字だった。


 ほかの仲間達を巻き込まないように姿をくらませたラビーはホワイティアの街のならず者を集めフェンガリ組を立ち上げる。


 あっという間に裏の街を取り仕切ったラビーは彼らにハクシ教の情報を集めさせ、復讐の準備を整えていく。


「あとは仲間だけ、か……」


 ラビーの思っている以上に敵は強大であった。


 同じ轍を踏まないためにも、彼も対抗できる仲間を探そうと考え、そして最近増えている『探索者』に目を付けた。


「できれば兄貴に認められるような奴がいいな」


 有望そうな人材を探すのは既にフェンガリ組の奴らに託してある。


 あとは来るべき時を待つだけだと、静かに心の中の炎を高める。


 手元の信頼の証である『三日月の首飾り』を眺めながら。


 ◇◆◇◆◇◆


「首領!兄貴ヲ探シニ行カセテクレ!」


 赤い兎の叫びが彼らのアジトに反響する。


「だめだ」


「ドウシテ!」


「レド、イイ加減ニシロ」


 目を瞑ったまま中央に座る白い兎――首領ラビカポネは否定の言葉を吐く。


 それでもまだ問い詰めようとしていた彼だったが、今度は青い兎に窘められた。


「オ前ハ、兄貴ガ心配ジャネェノカヨ!?アァ!?」


「ソンナワケアルカ。冷静ニナレッテ言ッテイルンダヨ」


「やめろ。お前らまで失いたくねぇんだ」


 分かってくれと懇願するように言うラビカポネの言葉に、一触即発寸前だった彼らは急激に熱を冷ましていく。


 その様子を見たラビカポネは葉巻を咥えると一度大きく吸い込み、大量の煙を吐き出しながら続けた。


「ただお前らの気持ちも分かった。フットの奴を呼んで来い」


「アイツニ行カセルンデスカ?」


 その指示に今まで黙っていた黄の兎が確認を取るように尋ねる。


「あぁ、ついでにこれを持って行ってもらう。その方が早いだろう?」


「ソレハ……イインデスカ?大切ナモノデショウ?」


「四の五の言ってる場合じゃねぇからな」


「デモアイツガ負ケテソレヲ奪ワレタラ――」


「それならそれで、何か知ってるやつが出てくるだろうよ」


 それでもまだ何かを口にしようとする彼らに一度鋭い目を向けるとどすの利いた声を出す。


「これは決定事項だ。覆ることはない」


 有無を言わせない一言で押し黙った彼らを見てラビカポネは心が痛む。


「ったく、あのバカは何してやがるんだ……」


 杯を交わした兄貴分として、ここにはいない彼のことを思う。


 手元の親愛の証である【欠けた満月の首飾り】を眺めながら。


 ◇◆◇◆◇◆


 そして、彼らは再び邂逅する。


「もう3年くらいか?久しぶりだな」


「そう、だな……」


 すべてが終わった後、2つの墓標がある小高い丘の上で彼らの間に気まずい沈黙が流れている。


 先に切り出したのはラビカポネの方だった。


「なんで相談しなかったんだ?」


「それは……」


 ラビーは言葉を詰まらせる。


「怒られるとでも思ったのか?馬鹿だなお前も」


 ラビカポネはそう言って近づくとその顔を思いっきりぶん殴った。


「怒るに決まってるだろうが!テメェのせいでリングとプルパは死んじまったんだぞ!」


 襟首をつかまれ引き寄せられたラビーはその怒りに思わず唇を震わせる。


「テメェの!軽率な行動で!大事な仲間がやられたんだ!本当にわかってんのか!?あぁ!?」


「すみません……でした……」


 俯きながら謝ることしかできない様子にラビカポネはため息をつく。


「俺達はお前にとって何なんだ?足手まといか?それとも守ってやらなきゃいけない存在なのか?」


「ち、違う!」


 呆れるような言葉にラビーは全力で否定する。


 それを聞いてラビカポネは乱暴に突き放した。


「じゃあ態度で見せろ。情けねぇお前はここで殺していけ」


 冷たい言葉だったが、ラビカポネの視線は我が子を見守るように暖かい。


「……アイツらの墓の手入れは全部お前の仕事だ。分かったな?」


 そう言って酒を1瓶取り出すと座り込んでいるラビーの横においてその場から立ち去っていく。


 一人残された彼は涙でぐしゃぐしゃになった顔で墓標に向き直るとその度数の高い酒を呷る。


「悪い……すまなかった……」


 その慟哭は闇夜に浮かぶ満月だけが聞いていた。


[TOPIC]

QUEST【月の光に激しく昂る】

[攻略チャート]

【月の光に激しく昂る】

1.フェンガリ組の組員と会話

 1-1.ホワイティアの裏路地にて遭遇する

 1-2.何度か取引(商人はアイテム、その他は依頼)を行う

 1-3..20回目の取引後にボス(ラビー)と接触可能

 1-4.ラビーからハクシ教について聞かされ、【三日月の首飾り】を渡される

2.【欠けた満月の首飾り】を入手

 2-1.スーゼ草原にてビッグフットを撃破

(リボッタはこれが手に入れられなかった)

3.【満月の首飾り】を使用

3-1.2つのアイテムを合体させて【満月の首飾り】を作成

3-2.満月の夜にスーゼ草原で【満月の首飾り】を装備

3-3.朧月のアジトへの道が開かれる

4.ムーンライトファミリーとの遭遇

4-1.朧月のアジトに入り、レドと遭遇

4-2.首領ラビカポネとの会話

4-3.アルカッドの様子を説明し、【満月印の養命酒】を獲得

(レイは知らなかったので会話のみ)

5.VS【月喰龍】

5-1.再びラビーの元へ訪れる

5-2.瘴気の下水道へ向かう

5-3.ハクシ教の男と対面(BOSS戦)

5-4.第1形態(魔法陣を破壊)を突破すると第2形態

5-5.その時ラビカポネを呼んでいれば助っ人として登場

(今回はじゃしんが呼んできたため登場した)

5-6.月喰龍を撃破する

⇒満月状態でなくても相応の火力があれば撃破可能(ただかなり厳しい)

⇒じゃしん結界を使用せずとも、【月喰龍】のブレスを天井に複数回当てれば満月が見えるというギミックが存在

6.クエストクリア

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