7-【公式ストーリー】
七章の後書きを活動報告に記載しております。
また今後の予定も書いておりますので、確認いただければ。
最初は、何の感情もなかった。
私に与えられた使命は、世界を飲み込むほどの大いなる闇に対抗するための力を人々に与えること。
特別人という種族に好意を持っているわけではない。かと言って嫌いというわけでもなく、ただただ守るべき物という認識でしかない。
だから必要以上に関わるつもりもなかったし、平和が訪れればすぐさまお役御免、会うこともなくなるだろうと、彼女達に会うまではそう思っていた。
「今度は蛇か、竜に比べると随分小さく感じるな」
「ちょっと、そんな言い方はないでしょ」
第一印象は最悪。出会い頭、頭の悪そうな男にそんなことを言われたのだ。今でも絶対に私は悪くないと思う。
「え?なにが?」
「これだから能天気馬鹿は……じゃあアンタがいきなりさっきあった奴より弱そうだなって言われたらどう思う?」
「許せん!ブン殴る!」
「そういうことよ」
呆れたようにため息をついた女性に、不躾な男はなるほどと納得してみせると、すぐさま頭を下げる。
どうやらこのパーティ――『勇者』と『聖女』と『賢者』の三人はいつもこの調子らしい。
『勇者』は裏表のない天然バカ。思ったことをすぐ口にする、よく言えば素直、悪く言えばデリカシーのない男。
それを嗜めるのが『聖女』。かなりの苦労人みたいで、『勇者』のやらかしに頭を抱えているのは彼女みたいだった。
そんな二人の姿を一歩引いた場所で見ているのが『賢者』。といっても距離があるわけではなく、時には二人の間に入り、バランサーの役目を担っているようだった。
彼等はコウテイが見つけ出した人材らしく、目的もまた同じだったからか、私は彼女達の旅に同行することになった。
『勇者』とはよく喧嘩し、『聖女』に慰められ、『賢者』には色々なことを教えてもらった。
そうして少しずつ、彼等との旅の中で使命と感情がリンクしていく。あれだけ薄かった人々への興味も、気付けばかけがえのない大切な物に変わっていた。
中でも『聖女』――ラフィアに向けた想いは格別のもので。
友情も愛情も憧れもなにもかも。それこそ家族のように接してくれた彼女に憧れ、いつしか彼女のようになりたいと思うようになっていた。
それは彼女達が見事に役目を果たした後も変わらない。むしろ、その気持ちは増したと思う。だからこそ、離れたくなかった。
正直言えば、三人でずっと一緒にいたかった。恥ずかしいから言わないけれど。ただその願いは叶わない。
『勇者』は恋人との約束を果たすために故郷へと帰り、『賢者』はゴードンと共に世界の観測の役目を果たすらしい。
ラフィアも救国の『聖女』として多くの仕事があった。だけど、そんな中でも時間を見つけては私に会いに来てくれた。
誰も入ってこれない森の中の木の家。そんな二人だけの空間で色々なことをした。ご飯を作ったりやオシャレをしたり、お泊まりしたりとか。
幸せだった。ずっとこんな時が続けば良いなと思った。けれど、残念ながら終わりは訪れる。
時が経つにつれ、ラフィアがやってくる回数がだんだんと減っていく。それは決して私が嫌になった訳じゃなくて、単純に年老いたから。
彼女も人の子だ、私達『聖獣』とは体のつくりも生きる年月も全てが違う。そんなことは重々理解している……つもりだった。
でも毎日会いに来てくれていたのが、二日に一回になり、週に一回、月に、年にと待つ時間のほうが長くなった時、遂に我慢の限界が訪れた。
そうして気づいた時には。私は我も忘れて教会に向かい、ラフィアの体を連れ去ってしまっていた。
全てが終わった今になればあの時動いて本当によかったと思うけれど、我ながらとんでもないことをしたなと思う。でも、それくらい大切な存在だったんだ。
でも、連れ帰ってきたラフィアは信じられないほど弱々しくなっていた。それこそ、今にも旅立ってしまいそうな雰囲気に、ゾッとしたのを覚えてる。
「ミーアかい……?最後に会えて良かった……」
しかも、しわくちゃの手を私の頬に伸ばして、そんなことを言うんだよ。そんなお別れみたいな言葉を聞いて冷静でいろというのが無理な話だった。
彼女を失うわけにはいかない。そんな感情に支配された私は『聖獣』の力を使い、ラフィアに力を与える。
それによって今にも折れそうだった枯れ葉のような体は生気を取り戻し、再び彼女の体に血が通い始める。瞳にも光を灯し、やがて彼女は起き上がって、困惑した様子で呟く。
「ミーア……一体なにを……」
「ラフィア!良かったわ!」
それを掻き消すように歓喜の声を被せて、彼女に抱きつく私。ごめんね、悪い子で。全部気付いていたよ、ラフィアが悲しい目をしていたこと。
でも、全部気付かないフリをしたんだ。だって気付いてしまったら、アナタは優しく拒絶するでしょう?それはどうしても耐えられなくて。
だから、ラフィアが何か言おうとしても全部無かったことにしたんだ。いつからかなにも言わなくなったけど、もしかしたら嫌いになっちゃったのかな。
……ううん。そんなこと言うと、また怒られちゃうわね。だってそれを言っちゃうと、最後のアナタの言葉まで疑ってしまうことになるもの。
ねぇ、ラフィア。
やっぱり私、まだまだアナタみたいになることはできないみたい。でもいつか大人になったら、きっと。
「ラフィアにも負けない、立派な淑女になるわ!だから、ちゃんと見ててね!」
不安はある。でも迷いはもうない。
彼女との思い出が詰まった部屋で一人、思い出の写真に宣言をしてから外に出れば、穏やかなそよ風が顔に当たる。
飛んでいかないよう押さえた大きな白い帽子には、ピンクの花飾りが揺れていた。
[TOPIC]
【攻略チャート】
【聖者を継ぐ祭祀に偲ぶは】
[教会ルート]
A-1.教皇より試練を授かる
1-1.『リーベ教』に入信する
1-2.【聖女】及び【枢機卿】のジョブを獲得
1-3.教皇よりクエスト【神域へと至る道】を受諾
A-2.『迷いの森の魔女』の捕縛依頼
2-1.クエスト【神域へと至る道】をクリアする
2-2.教皇より『聖女』の話を聞く
2-3.【へティス大森林】にいる魔女を探す
[聖獣ルート]
B-1.『聖獣』ミーアとの遭遇
1-1.【へティス大森林】を探索
※【道なき道のコンパス】を使用、もしくは【聖女の手記】第七章を参照する
1-2.【へティス大森林】深部へ、ミーアの警告
1-3.それを無視して奥へ進む
B-2.ラフィアの納品依頼
2-1.一定期間(ゲーム内で一週間)経過後、ラフィアより依頼
2-2.対象アイテムを納品(【曇りなき黒眼】、【不可視の極糸】、【一角獣の直角】)
2-3.アイテム作成に入る
3.ワールドクエスト発生
3-1.[教会ルート]発生後、ラフィアを捕縛し教皇に差し出す
3-2.ミーアが教会に現れる
※[聖獣ルート]が発生していない場合、ミーア単騎
3-3.【聖女】(【枢機卿】)、ミーア、教皇が揃うと、ワールドクエスト発生
4.黒い大蛇の出現
4-1.大蛇がミーアを狙う
※ミーアのみ取り込まれたタイミングで、ワールドクエスト終了
→邪神化し、レイドクエスト【???】が発生
4-2.ミーアと共に大蛇の体内へ
4-3.教皇との対面
※以下[聖獣ルート]のプレイヤーのみ
4-4.【狡猾な堕天使】との戦闘
4-5.一定時間経過後、ミーアが『魂』を取り返す
4-6.ミーアから力を付与。大蛇の体内から脱出
4-7.聖なる力で黒い大蛇を浄化
4-8.クエストクリア




