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6-35 装備を整えて

★書籍第一巻発売まで残り残り三日★

クリスマスは執筆がはかどりますね^^


・レイちゃん大丈夫?

・強過ぎだろあの武器

・しょうがないよ


「ぎゃう……」


 俯いて震えるレイを慮ってか、リスナーは励ますような声を投げかける。ただ隣にいるじゃしんだけは違和感を持っているようで、不審げな視線を送っていた


 そんなレイの第一声は。


「――あーもうむかつくっ!」


・え?

・あれ

・そっちかぁ


「ぎゃう~」


 怒りに身を任せたように空に向かって咆哮する姿に視聴者は呆気にとられ、隣にいたじゃしんは『やっぱりな』と言わんばかりに手で耳を覆う。


「なにあの顔っ!全部予定通りみたいな顔しちゃってさ!いやまぁ確かにしてやられたんだけど!あーもう、くぅ……!」


 一通り感情を吐き出したものの、それでも収まらないのか地団太を踏むレイ。そして、縮こまって大きなためをつくった後、息を荒げながらも、顔を上げる。


「取り敢えず!次は絶対泣かせる!」


・心配して損した

・それでこそレイちゃんやで!

・また行くってこと?


「当たり前でしょ!勝つまでやれば負けはないから!」


 じゃしんと同じように呆れたようなコメントが流れれば、レイは全く落ち込んだ様子を見せずに力強い視線を返す。


 そのままメニュー画面を開いて、〈フレンド〉を選択すると、フレンド欄の一番上にいた人物へと連絡を取る。


「あ、ロックス?今どこにいる?」


『今は【叡智の書庫】だ。連絡が来たということは、お前も……』


 数コールの後に応答したロックスは、レイの声を聞いて悔しそうな声を上げる。だが、レイはそれを微塵も考慮する気がないのか、強気で言葉を返す。


「うん、残念だけど。でもこのままじゃ終わらないよね?」


『――ふっ、そうだな』


 さも当たり前だと言わんばかりのセリフに、ロックスは思わず口の端を歪める。その雰囲気を感じ取ったレイも同様に笑うと、簡単に用件を告げる。


「ひとまず【ブラウ】の入り口で待ってるからさ、早く来てよ」


『了解』


 集合場所を口にすれば、すぐさまコールが切れる。時間にして約二分、脳内で先ほどの戦いを思い浮かべていれば、遠くから駆け足でこちらに向かってくるプレイヤーの影が見えた。


「待たせたな」


「いや、全然……ってあれ?」


 そこにはロックスだけでなく、ウシワカとベンケイ、それにぺけ丸の姿があった。


 レイが首を捻れば、ウシワカとベンケイが凛々しい顔を浮かべながらレイへと告げる。


「我々も助太刀するでござるよ!」


「あまり期待しないでほしいでありますがな!」


「本当に?助かるよ。……あれ、ツヴァイは?」


「なんでも、『まだその時ではない』と言い残してどこかへ行ってしまったでござる」


「あぁ、なるほど」


・なるほど?

・いや、そうはならんやろ

・何が分かったんだ……?


 ツヴァイの動向を聞いたレイが頷いていると、今度はぺけ丸がレイへと声を掛ける。


「レイさん、これを」


「これって、まさか」


「はい、頼まれていたものですっ!」


「えっ、はやくない?」


 差し出した腕には彼女が預けた時よりも一回り大きな拳銃と、ドレスのような服が乗っており、仕事の速さに思わずレイは目を見開く。


「頑張りましたので!では、まずはこちらをどうぞ!」


WEAPON【RAY-VEN】

黒く染まった銃口は、空を揺蕩う烏の視線のように、狙った獲物を逃すことはない。

要求値:-

変化値:-

効果①:魔法属性の固定大ダメージ(200dmg)

効果②:SKILL【黒月弾(ブラックムーン)


「【RAY-VEN】……」


 それを受け取ったレイは、わなわなと震えつつも隅々まで確認する。


 彼女の手のひらの3倍ほどの大きさに進化した拳銃は、より重く、そしてより黒くなっていた。その中心部分には赤色のラインが入っており、そこに続くように排気口のような空洞が見えている。


 何処かメカメカしくもしっかりと銃の姿をしており、おまけに彼女の手に残る確かな重量感。その全てがレイの好きなポイントというのをこれでもかと抑えている様だった。


「レイさん、こちらも着てみてください!」


「あ、うん」


 ぺけ丸の声に返答しつつも、視線は【RAY-VEN】から外れない。それだけでよほど気に入ってもらえたことが伝わったぺけ丸が困ったように微笑みながらもう一つの装備を手渡すば、レイは名残惜しそうにしながらも見慣れた防具へと目を滑らせる。


ARMOR【星空の修道女(ステラ・モニカ)

神に愛され、その身を誓った少女のみが纏うことを許されるドレス。その姿は満天の星にも負けない程鮮やかで、舞踏会に臨む淑女のようであった。

要求値:〈信仰〉500over

上昇値:〈MP〉+300,〈信仰〉+300,〈敏捷〉+100

効果①:SKILL【モードチェンジ】


「性能凄いことになってる……けど見た目は変わらないんだね」


 その性能を見たレイはまたしても目を見開く事となり、驚きの声を漏らす。だが、それだけでは終わらず、ぺけ丸はさらに得意げな表情を浮かべて説明を続けた。


「あの、スキルに【モードチェンジ】があるのが分かりますか?」


「あぁ、うん確かに。これは?」


「このスキルを使うことで、一定時間別形態へと変身することができます!」


「へ、変身……!?」


「はい!メインの効果は<信仰>の値と各種ステータスを入れ替えること!それから、各形態に応じた特別なスキルも使えるようになります!」


「マ、マジ!?」


 その魅惑的な言葉に、レイは【RAY-VEN】を受け取った時と同様の喜びを見せる。夢とロマンが詰まった詳細に感極まったレイは、目の前にいるぺけ丸を思いっきり抱きしめた。


「凄いよ!完璧!ぺけ丸ありがとう!」


「あ、あうあうあう」


 推しに抱きしめられたことで目を回し、顔を真っ赤にしたぺけ丸を開放したレイは、続いてウシワカとベンケイに視線を送る。


「二人も……ってなんで泣いているの?」


「いえ、大切なものを失っただけでござる……」


「コラテラルダメージ、必要な犠牲だったのであります」


「はぁ?」


 意味不明なことを口にしながら涙を流す二人にレイが首を傾げると、背後からこほんと咳払いが聞こえる。


「気にしないでください、お二人にも素材(・・)を提供していただいただけなので」


「う、うん」


 先ほどとはうって変わって、ぺけ丸の笑顔の裏にある圧に気圧されたレイはそれ以上聞くことなく話題を逸らす。


「よし、準備完了かな。時間もないし、さっさと向かうよ!」


「ぎゃう!」


 周囲を見回し、じゃしんの鳴き声と共に全員が頷いたことを確認したレイは、【ブラウ】から旅立つ。


 目指すのは、勿論【バベル】。リベンジに向けて、静かに闘志を燃やしていた。


[TOPIC]

OTHER【星空の修道女強化素材】

①【仄カニ揺ラメク灯火】(【消エヌ炎ノ羽衣】より取得)

②【大海主の滑皮】(【海賊王のコート】より取得)

③【神秘の魔布】(【魔法少女なりきりセット】より取得)


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― 新着の感想 ―
[一言] デスペナ軽いのに何ですぐ死にに行かないんだろ……
[一言] >>③【神秘の魔布】(【魔法少女なりきりセット】より取得) 自分が着るリスクをなくし、レイちゃんに抱きしめられるとは・・・策士!!
[一言] 更新お疲れ様です! 大丈夫ですかレイちゃん…? …大丈夫でしたね!!そりゃあ、レイちゃんならまず反骨心の方が先に浮かびますか… まぁ、今回は完璧になめられてましたもんね…仕返ししなきゃ(使命…
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