やべぇ! 暁光帝がノリノリみたい! どうする? どうなる? 瓦礫街!?
平和な海水浴場に襲来した怪物ども、フォモール族もついに残り1頭だけです。
けれども、この1頭がかなぁり強敵!?
分厚い頭蓋骨から直に手足が生えた構造で心臓もそのちっぽけな脳みそもガッチリ守られています。
こいつが何も悪いことをしていない無垢な美少女を…襲っていたら盛り上がるんですけどね。
まぁ、今の所は何の瑕疵もないおっさんどもを追いかけています。
ピンチです。
大ピンチです。
なので、我らが主人公♀暁光帝がさっそうと登場、おっさんどもを追い回す邪悪な怪物を挑発しました。
ほら、ファンタジーMMOで定番の“挑発”ですよ。
FF11じゃ何故か胸を突き出す不思議なポーズでしたが、まぁ、モンスターを引きつけることは出来てましたね。
さぁ、どうなるのでしょうか。
お楽しみください。
キャラクター紹介&世界観はこちら〜>https://ncode.syosetu.com/n2816go/
トドのように肥えた肉体を仰向けに横たえ、カッポーニさんは目を回している。膨れ上がった三段腹が上下しているから命が助かったことは間違いない。
パチャパチャ
相当、参っているのだろう。肉に波が当たってやかましく水音を立てているものの、起き上がる気配はない。普段、偉そうにしているカイゼル髭も波に濡れてだらしなく垂れている。
「ハァハァ…あぁ、よかった、よかった……」
何とか逃げ出したカッポーニさんを見てマッチョッキさんもホッと一息つく。いや、自分だって息も絶え絶えなのだが。
カッポーニさんが食われなかったので自分も最後から2番目にならなかった。
おかげで最後の1人を見捨てた卑怯者にならずに済んだ。
これで明日からの商売にも差し支えない。
だから、安堵している。
そして、アスタのことは心配していない。
別に童女が食われても問題ないからだ。アスタはここにいるおっさんどもと違い、商売仲間ではなく、食われたところで『かわいそうに』とワニの空涙を流しておけばよろしい。
そんな軽い存在なのだ。
「このまま食われてくれればお終いなんだがな……」
マッチョッキさんは考える。
この騒動、本質的には商売仲間を危機なのだ。だから、怪物に狙われた最後の1人がアスタになってくれればありがたい。商売仲間の誰も悪人にならずに済んでこの危機は終わる。
それが最も望ましい展開だ。
恥知らずにも、いい大人が必死で子供に助けを呼んだ。
みっともない。
それでもマッチョッキさんは死にたくなかった。海水浴場で怪物の昼飯になって果てたなど末代までの恥さらしだ。御免こうむる。
“ブタよりも小さい”と珍妙な形容までしながらアスタに助けを求めたにもかかわらず、助けてもらったことに恩義を感じてはいない。
向こうで怪物どもがアスタに退治されたことをマッチョッキさんは知らない。
だから、童女のことは只の無鉄砲な子供だと思っている。
だから、怪物に挑んで食われるだろうと思っている。
それでいい。
それが商売仲間と相互の関係にとって理想的な解決の形だ。
アスタは食い殺されるだろうが、無謀な子供が幻獣の犠牲になるなどままあることだ。
商売仲間の名誉は守られる。
我々は安定して商売を続けられる。
そう踏んだ。
「早く帰って熱いシャワーを浴びたいものだ」
異形妖族はすでに3頭が倒されている。目の前の大頭フォモール族もアスタを齧っている間に兵士がやってきて退治されることだろう。つまり、ここから先のでき事は単なる消化試合。自分は何もしないで見ているだけでいい。
「ふぅ……」
息子達にとって頼れる父であり、妻を守る誠実な夫であり、神の敬虔な信徒であり、正直に商う商業ギルドの上級会員である。
そんな自分は報われるべきだ。
そのためなら無鉄砲な子供の一匹くらいは犠牲になってもやむを得ない。
一息吐いて、童女と怪物を眺める。観客気分のマッチョッキさんであった。
他のおっさん達も似たようなもので、皆、安心した表情で佇むのであった。
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そびえ立つ怪物の巨体が大地を踏みしめる。
「ググゥ?」
不気味な唸り声には当惑の色がある。
ギョロリ
巨大な1つ目が眼前の童女を睨む。
最後に残ったフォモール族は大頭から直に手足が伸びる構造をしている。胴体がなく、身体が頭なのだ。だから、でかい口から漏れ出る唸り声は大きい。
そのせいか、こいつは頭が悪い。
胴体が頭であるせいか、頭が胴体であるせいか、いずれにせよ、考える機能も物事を憶える機能も劣っているのだ。その分、でかくて強いから、仲間内ではとにかく戦場の最前線に飛び込んで全力で暴れまくることが求められてきた。
それ故、物事を深く考えない。目の前の童女アスタが全く魔気力線を放っていないことには気づいていた。けれども、魔力が0gdrであることの異常さとその意味までは考えない。
どう戦うか、それ以外は考えない。自分の10分の1にも満たない、小さなアスタをどうやって逃さずに食うか、それだけが悩みごとである。
双頭のフォモール族が異常過ぎる童女におびえて連接棍棒を振り回すことしかできなかったのとは対称的だ。
対峙するアスタも不安の色は見せない。
輝く金属線が群れて踊り、紫の雲を成す。黄色い子供用ビキニの薄い胸を思いっきり張って。
「フフ…」
不敵な笑みを浮かべる。
周りのおっさん達、観客が安堵の表情を浮かべていることも観察して気分がいい。
実際はおっさん達に見捨てられていて、『無鉄砲な子供がどうせ死ぬだろう』と思われているわけだが、気づかない。当の本人は『強くて超かっこいいアスタさんが今から大活躍するのだ』『これは目が離せない!』と期待されているつもりなのである。
「よし、ちょっとだけサービスしちゃおうかな」
童女はニヤリ笑うと。
スッ!
かがんで両手を砂地に着ける。
顔を上げて相手を睨めつける。
すると、愛らしい美少女の顔が醜く変形してゆく。
白い肌に亀裂が走り、口が耳まで裂ける。
クヮッ!
顎が外れたかのように大きく開いて、白く透き通った半透明の牙がズラリ並んで姿を現す。
紫色に輝く金属線、ロングヘアーが大きくたなびいて背後を踊る。
そして、虹色の瞳がスッと引き絞られて小さな点のように縮む。
化け物と化した童女の眼光が鋭くフォモール族を睨んだ。
それは人化した超巨大ドラゴンにふさわしい、二目と見られぬ凶相、まさしく怪物の顔だった。
「きしゃぁぁぁっ!!」
人間の口から発せられたとは思えない、恐るべき咆哮が天地を揺るがす。
「うわぁっ!!」
「何だ、あいつは!」
「化け物だ!」
震え上がったおっさん達から悲鳴が上がったものの、幸いなことにそれは一部に留まる。
1つ目の巨大な怪物と小さな童女では注目の度合いが違うからである。
今、怪物と童女の戦いが始まろうとしていた。
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見つめていた2人の大人、為政者であるナンシーとビョルンは青ざめている。
「アスタ、手を地面につけて……」
「ええ。うずくまってますね……」
2人とも童女の行動が意味するものがわかっていた。
だから、言葉が続かない。
先ほど、四足で駆けて来た童女を見て思い知ったのだ。
湧き立つ砂煙が渦巻いたのは瞬きの数回。とんでもない速度で、目にも止まらぬとはこの事。二足で走るより遥かに速い。
やはり、アスタの本気は四足なのだ。
だから、わかる。
「あの姿勢……」
妖精人が顔をしかめて目を細める。
「間違いありません。あれは……」
博物学者も理解していた。
人間が四つん這いで地に伏したら、諦めか、敗北を受け入れる姿勢だ。戦う意志があるのなら、大地を踏みしめて武器を構えるはず。
だが、彼女は違う。
初めから素手で、構えるべき武器など持っていない。ドラゴンが闘志を見せるなら四つん這いで牙を剥き出す、まさしく、あの姿勢なのだ。
つまり、今のアスタは本気である。
もはや、手を抜く気など微塵もないのだ。
「どうやって戦うのでしょう?」
目を凝らして観察するものの、ナンシーには想像もつかない。
大頭のフォモール族はアスタの15倍を上回る巨体なのだ。人間の子供など片手でひねりつぶせるし、何なら成人男性だって一撃で噛み殺せるだろう。
比喩でなく面の皮も厚くて心臓や脳など重要器官を守っている。ロングソードのような直剣であっても、急所まで刃を届かせることは不可能かもしれない。
頭から直に手足が生える構造なので本来なら急所であるはずの首も存在しない。
「素手では傷もつけられないかもしれません……」
ビョルンは青ざめた顔で口を動かす。
「アスタさんのあの顔…大きく開いた口は何かを吐き出そうとしているような……」
龍の吐息、とかか。
思いつくのは世界中で知られているドラゴンブレス、破滅の極光。
もしくはエーテル颶風か。
いずれも戦闘証明済み、太古の昔より世界中で暁光帝の偉業を実現させてきた大技だ。
大頭のフォモール族がどれほど大きくてどれほど強かろうと神々には遠く及ぶまい。太古の昔、その神々が暁の女帝様に膺懲されたのだ。
暗黒神ゲローマーは首を刎ねられ、光明神ブジュッミはエーテル颶風で吹き飛ばされた。そして、2柱とも破滅の極光を食らって肉体も魂もこの世から跡形もなく消し去られた。
その無残な殺され方は尋常ではない。それを遂行した存在こそが神殺しの怪物、“唯一無二の大いなる天龍アストライアー”なのである。
そして、目の前の童女はその怪物の変化した姿だ。
魔法が使えないとのたまってはいるが、逆に言えば魔法でない能力は使えるのだろう。その“魔法でない能力”の内にヤバイ代物が含まれている可能性が高い。
すなわち、エーテル颶風とか、破滅の極光とか。
およそ、絶望的な状況だ。
大きいとは言え、たかがフォモール族がどうこうできるわけがない。
しかも、可愛らしかった童女の顔が醜く変形していて、大きく開いた口は何かを吐き出そうとしているかのようにも見える。
腹が地面に着かんばかりの低く伏せた姿勢が諦めや敗北を意味するならむしろありがたい。
だが、違う。
点のように引き絞られた虹色の瞳と空へ逆巻く紫色のロングヘアー、耳まで裂けた口から覗く凶悪な牙の群れ。大地を抉る、白く透き通った鉤爪は例えようもなく鋭い。
アスタの顔は闘志満々で殺る気に満ちあふれている。
破滅の極光など吐かれようものならフォモール族ごと街も消し飛ばされるに違いない。
「瓦礫街リュッダ…終わっちゃうかしらね? アスタ、お願いだから頑張らないで」
「フォモール族は神様じゃないんです。アスタさん、手を抜いてください」
エルフと博物学者は口々に祈りの言葉を吐く。
神々がそれを聞いてくれないことを承知の上で。
ここまで読んでいただきありがとうございます♪
暁光帝♀、自分を見つめる男達の熱い視線に対して『ちょっとだけサービスしちゃおうかな」とサービスシーンを追加してくれる主人公の鑑☆
まぁ、ドラゴンですからね。
本性を現しちゃうとこんなもんです(^_^;)
“モンスター美少女”というか、“人化”というテーマを考える時、問題になるのが肝心のキャラクターが“只のコスプレ美少女”ということです(汗)
1990年台ですか、“ネコ耳美少女”ってのがはやりまして、青年が拾ってきた野良猫が美少女に変化するって展開が多く見られました。
確か、憶えている限りでは1980年台の末頃に少女漫画ではやったシチュエーションなんですが、一気に萌文化に取り込まれて一斉を風靡したんですよね。
百合♀×♀展開がなかったので今人的にはあんまりそそられませんでしたが、あの頃の時点ですでにキャラクターが“只のネコ耳コスプレ美少女”になってしまうという欠点が散見されていたんですよ。
でも、一部の作品はちゃんとネコ娘してました。
亜種かもしれませんが“蛇女”の漫画が萌え萌えでかっこよくて可愛らしかった憶えがあります。
そして、祈念すべき2017年!
我らがサーバルちゃんがジャパリパークに登場! 美少女動物園の概念を根底から覆してくれました♪
あ、無理……
あのキチガイ監督(褒め言葉)は“才能”なんて言葉が全く意味を持たなくなるくらいの超天才です。
冒頭の「きゃーははは! いーひっひっひ! 狩りごっこだね〜」のセリフを訊いた瞬間、刮目しました。
最初は「若手監督が冒険して無茶なアニメ造ったんだな」くらいに思ってましたが…円盤を予約しようとして「品切れ」のマークが出て唖然。
小生がお気に入りのアニメの円盤を入手しそこねるなんてレーザーディスクの頃から数えても何回あったか…
いや、1回もなかったかな(^_^;)
“ネコ耳美少女”以来のアニマル美少女って路線が大転換を起こした名作ですね。
もっとも、ああ言う本物の天才は真似すると自分が破滅します。
で、うちの暁光帝♀ですが。
まぁ、化け物ですねwwww
そもそも、ドラゴンですし、おすし。
小生は「美女」と「筋肉」と「化け物」が好きでして、しばしばそれを1つのキャラで実現しようと務めます。
暁光帝♀は「筋肉」以外が実現できたキャラですね〜
めっちゃ個人的な好みです♪
さて、そういうわけで次回は『天龍アストライアー対フォモール族! あれれ? 夏休みの子供向け映画かな?』です。
請う、ご期待!




