夏の浜辺は恋の舞台☆ 暁光帝は意中の殿方を振り向かせられるのでしょうか!?
散々、荒鷲団を苦しめた双頭のフォモール巨人ををぶちのめした、我らが主人公♀暁光帝はすっかり気分が良くなってしまい、最終調整者の役割を放り出してしまいました。
その可愛らしい指を天龍の鉤爪に変えて不敵に笑います。
ああ、残る1頭のフォモール族をぶちのめすつもりのようですね。
もしや、ついに血の惨劇が繰り広げられてしまうのか!?
もはや【残酷な描写あり】タグなしでは作品を公開できなくなっちゃう!?
大変です。主に作者がwww
お楽しみください。
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浜辺の砂地に童女が這いつくばっている。
腹が地に着くか、着かないか、ギリギリのところまで伏せているのだ。
まっとうな市民から見たら恥ずかしい格好だろう。
だが、アスタは気にしない。
これが当たり前の、本来の姿勢なのだから。
両手両足の爪先は変形していて程よい長さの鉤爪と化していた。
だから、後は駆けるだけだ。
四足で。
ボウッ!!
砂地が爆発した。
か細く艶めかしいだけに思われた手足が凄まじい膂力を発揮して地面を蹴り、小さな身体を途方もない速度で驀進させる。
ザザザザザッ!!
大量の砂煙が吹き上がる。あどけない指に生えた凶悪な鉤爪が砂地を深々と削っているのだ。
砂煙は家の屋根ほどの高さにまで舞い上がって視界を遮る。
疾走する砂塵の先端にアスタがいる。
しかし、速すぎて肉眼ではその姿が見えない。
手足の動きはおろか、本体すらも霞んでしまって影も捉えられぬ。
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キャロルとビ・グーヒは強敵を一瞬で倒した童女に驚いたままだったが。
「ふひぇぇぇっ!!」
「グギギェエ!!」
あまりのことに悲鳴を上げる。
家屋をすっぽり覆うほどの砂煙が発生して童女が消えたようにしか見えない。
何が起きたのかと2人は目を凝らすものの、大量の砂塵が舞うばかりでわからない。
「魔法? 魔法なの? 姿が消えちゃう魔法なの?」
キャロルが混乱してあわてふためくも。
「ギャ! ギャ! 魔法ジャナイ! 魔力ノ気配ハナカッタ!」
何とか落ち着きを取り戻したビ・グーヒは魔法の専門家として全力でアスタの動きを察知しようと努めている。
無理だったが。
「ソンナ…本当ニ目ニモ止マラヌ速サダト……」
唖然として立ちすくむ。
向こうを走る砂塵を目で追いかけるが、視線が先端に追いつくことさえできないのだ。
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有機硫黄化合物が潮の香りとして強烈に鼻をくすぐる。
砂浜を少し上がったところに、腐りかけた海藻の束が黒ずんだ山を作り、その中をフナムシの群れが蠢いている。大きな二枚貝が口を開き、打ち上げられた魚と一緒に死骸を晒している。
都会的な感性の持ち主であればゾッとするような光景だ。
そんな場所で十数人の有力者らが駆け回っている。
奇っ怪な異形妖族が暴れるさなか、もちろん、遊んでいるわけではない。
「グガオォォォッ!!」
1頭だけ残った、大頭のフォモール族が吠える。大きな1つ目をギョロギョロ動かして逃げ回るおっさん達を追いかけているのだ。
「やーい! やーい……」
囃し立てて逃げ回る金持ち達だが、その声には徐々に張りがなくなってきている。
逃がすべき妻子はすでに遠くへやった。
それでもここで頑張っているおっさん達。
理由はそれなりにある。
おっさん達は瓦礫街リュッダの有力者で。
有力者に成り上がるためには経験と知識と縁故が必要で。
それらを積み重ねて集めるにはある程度の年月が必要で。
その結果、もう若くない中年男と老人ばかりになったわけである。
そして。
皆、自分と家族のことしか考えないくらいには利己主義者だけれども。
縁故の関係上、利己主義が過ぎると謗られては明日からの商売に差し支えるので、仲間を思いやるくらいには博愛主義者の振りをしなくてはいけなくて。
頭でっかちのフォモール族は大きくて力強いが動きは鈍いので、罵倒して誘い出し、おっさん達が交代で囮になっているのだった。
ところが、妻子を逃した後に判明したのだ。
ここにいるおっさん達で順繰りに囮をやっていると最後の1人が確実に食われることに。
そんなことはやる前に気づけと言われそうだが、皆、やっている最中は夢中で気づかなかった。
このままでは最後の1人が死刑台への片道切符を受け取ることになってしまう。
誰だって死にたくない。
それなら囮役を務めた者から順繰りに逃げ出してしまえばよいのだが、そうすると最後の1人は食われてしまって、やはり逃げ出せない。
それだけなら『あぁ、可哀想に』とワニの空涙を流しておけば“利己主義者だけれども博愛主義者の振り”くらいはできるだろう。
けれども、これには重大な問題が付随してしまう。
怪物に食われてしまう哀れな最後の1人の前に囮役を務めた者は間違いなく“仲間を見捨てた最低の利己主義者”になってしまうのだ。
おっさん達がなりたくないのは最後の1人の前の囮役だったのである。
だから、皆、必死で走る。そして、怪物に捕まりそうになると博愛主義者の振りをする偽善者が新しい囮役を務めてくれる。おかげでフォモール族を釣る作戦が成功していたのだ。
しかし、ここに来て新たな問題が生じてしまった。
金持ちのおっさん達が息切れを始めたのである。
普段から運動不足で、上流階級としての箔を付けるために美食に耽ってきたおっさん達はブクブク太ってしまい、今も膨れた三段腹をぶるんぶるん揺らしながら走っていた。
でかすぎて鈍い大頭のフォモール族を引きずり回すくらいには走れていたおっさん達だったが、その差が徐々に詰まってゆく。
「ウガァッ!!」
「うひぃっ!!」
怪物の雄叫びにおっさんの悲鳴が重なる。
厳しい。
このままでは誰かが最後の1人になってしまう。
「どうしよう…」
「あぁ、シニョール・カッポーニが追いつかれてしまうぞ!」
「もう見捨てるしかないのか!?」
嘆きが場を支配する。
だが、そこで。
「シニョール・カッポーニを見捨てたのは誰だ!?」
犯人探しの一言が響くと。
「ぐうぇぇぇっ! 助けてくれ! シニョール・マッチョッキ!」
最後の1人になりかけたおっさんが商売上の付き合いがある奴に声を掛ける。
「えええええっ、私!? くっ…畜生! やーい! やーい!!」
最後の1人を見捨てた最低野郎になりたくないマッチョッキさんがフォモール族を挑発して新たな囮役を引き受けた。
こうして作戦は遂行されてゆくのだが。
「はぁはぁはぁ……」
マッチョッキさんはすでに息切れしつつあり。
「エカル! グヒョヒョヒョヒョ! エカル!」
怪物はすこぶる元気だ。
作戦が破綻するのは時間の問題だった。
マッチョッキさんは最後の1人になってしまうのか。
海水パンツ一丁で転がるように走りながら膨れた三段腹が揺れる。太腿も腕も余りまくった肉が踊っている。美食が育てた体重が膝に来て、足元がおぼつかない。
このまま食われてしまうのか。
「えーっと、えーっと……」
マッチョッキさんは必死で次にバトンを渡すべき相手を考えるも、商売上の薄っぺらな付き合いで友人を演じてきただけだからとっさに名前を思い出せない。
思いつかなければ怪物の昼飯になってしまう。
何という悲劇!
誰もマッチョッキさんを助けられないのか。
しかし、そこへ盛大な砂煙が走り来る!
ズザザザッ! ザッシャァッ!!
当惑するおっさん達の間に一迅の風が舞い降りる。
「やぁ! ボクが来たよ!!」
元気な声が響き渡り、堂々と立つ1人の童女が現われた。
初夏の陽光を浴びた紫色のロングヘアーが金属光沢に輝いて目に眩しい。黄色の女児用ビキニは髪の紫に映え、フリル満載でとても可愛らしい。クリクリと愛らしい虹色の瞳も相まってすこぶるあどけない子供と言ったところだ。
だが、しかし。
「「「「誰?」」」」
居並ぶおっさん達の感想はほぼ一様にこれだった。
「ウガ?」
1つ目のデカ頭も戸惑っている。
「むみー」
これにはアスタも参る。圧倒的に知名度が足りていない。
本来の姿なら一発で天龍アストライアーとわかってもらえるので、一瞬、人化を解いてやろうかとも考えたが。
「うん、それは駄目だね」
解いたら街を踏み潰してしまうと思い直す。
童女は細やかな心配りのできるドラゴンなのだ。
こういう時はどうするべきか。
もちろん、しっかりわかっている。
知恵も知識も経験も並ではないのだから。
「ボクは…」
言葉で説明するのだ。
そのための言葉である。
けれども、しかし。
「あぁ、ブタよりも小さいアスタだ!」
「そういや、さっき騒いでいたな」
「そうか、あれがブタよりも小さいアスタか」
「ブタどころか、普通の子供よりも小さいんじゃないか?」
説明する前におっさん達の間から声が上がる。
どうやら、先ほどの名乗りを聞けるほどに暇だったらしい。仲間が怪物に追われて必死で走っていたのに悠長なことだ。
もっとも、利己主義者に見えないようほどぼどに博愛主義者の真似をする偽善者であるわけだから、それくらい悠長でいいのかもしれない。
「むぅ…」
けれども、童女は不機嫌だ。
“アスタ”と呼び捨てにされた。実に不愉快だ。
だが、合戦の名乗りで自分を“ブタよりも小さいアスタさんなり!”と呼称するのは物凄く間抜けな感じがする。
駄目だ。
名乗りの最中に自分で自分を“さん”付けで呼ばわるのはとても頭が悪そうだ。
これは早急に片付けなければならない問題ではないか。
考え込む。
自分はあれやこれや心を配ってやっているのだから少しは尊重して欲しい。ちっぽけな連中からあーだこーだ言われながらも丁寧に対処してやっているではないか。
「うむ…だけど……」
ここで自分が尊重されるようになったら人間相手でも最終調整者をやってやらなければいけなくなるのではないか。
それは面倒だ。
すこぶる面倒だ。
せっかく遊びに来たのだから最終調整者なんてやりたくない。
「やらなくて済むなら呼び捨てでもいいや」
あっさり気持ちを切り替えるアスタであった。
暴れる怪物の傍らで棒立ちのまま考え込んでいる。
「あぁ、大丈夫なのか、あの娘?」
「あんなに小さい子では一瞬で殺されてしまいそうだ」
そんな童女を見て無駄にハラハラしているおっさん達だ。
「アスタさん、お願いですから頑張らないで!」
「貴女が頑張るとみんな死んじゃうからお願い、アスタ!」
為政者2人も案じている。
全く別の意味でだが。
おっさん達は『こんな小さな子供が危ないところへ来て』と案じ、為政者2人は『だらけてしまったアスタがつい本気を出して怪物もろとも人間も殺しちゃうんじゃないか』と案じていたのだ。
そんな時、真の危機に見舞われていた人物がいた。
「うひぇぇぇっ! たす…助けてくれぇ! アスタさん!」
大口を開けたフォモール族に追いかけられるマッチョッキさんである。
あろうことか、大声で童女の名を叫んだ。
「ブタよりも小さいアスタさぁぁん!」
もう絶叫である。
みっともない。
いい歳した大人、街の有力者が小さな童女に助けを求めているのだ。
しかし、もはや背に腹は代えられない。薄っぺらな友情に頼っていると死んでしまうのだから、今は耳にした名に頼るべきだ。
「よろしい。このボクに任せたまえ☆」
呼び捨てされなかったので機嫌良く引き受けるアスタであった。緊急事態のようなので挨拶が省略されたことも許してやる。
こうなったら本気を出してあげよう。
大きく一歩を踏み出し。
「やーい! やーい!!」
力強く叫んだ。
「グギ?」
怪物は一瞬だけアスタを見たが、すぐに視線を戻し、マッチョッキさんを追いかけ始める。
理由は単純で、小さな童女よりも太ったおっさんの方が美味しそうだからなのだが。
「な…何だと!?」
この事象がアスタの精神に少なからぬダメージを与えている。
怪物が自分ではなくマッチョッキさんを選んだ。
信じがたいことだが、魅力で負けたのだ。
たかが人間に、この天龍アストライアーが。
「むぅっ!」
このようなことは断じて受け入れがたい。
自分の何がいけないのか。
自分に何が足りないのか。
考える。
「うひぃっ! お助けぇー!!」
そんなことをしている間にもフォモール族がガチガチと歯を鳴らして獲物を追い詰め、マッチョッキさんが食われそうになっているのだが。
「そうか! やはり言葉が足りなかったのか!」
ようやくアスタの中で1つの結論が下された。『やーい!』などと貧弱な表現だからバカにされて無視されたのではなかろうか。
このフォモール族は言葉の通じない乙種2類であるが、それだけで油断してしまったのかもしれない。戦いごっことは言え、“敵”を軽んじていたのではなかろうか。
挑発は気合である。
笑いと同じ。
他人を笑わせるには芸の巧拙にばかりこだわってはならない。何がなんでも笑わせてやるという気概が必要不可欠なのだ。
それなくして笑いは成り立たない。
挑発もまた同じ。
他人を怒らせ、こちらを追いかけて来させるには、何がなんでも怒らせてやるという気概が必要なのだ。
言葉が通じないからと安易に『やーい!』『やーい!』など、在り来りの文言でからかうだけにとどめてしまった。だから、無視されたのだ。
「むぅ……」
アスタは唇を噛み締めた。黄色い子供用ビキニを着て。
これはいけない。
本来の姿、雲を衝く天竜アストライアーの巨体であればそこにいるだけで注目されたものだ。
しかし、今のアスタはブタよりも小さい。
ブタよりも小さいから、その辺のブタよりも注目されなくて当たり前なのだ。
けれども、肉体の迫力によってのみ衆目を集められていたなどと、この天竜アストライアーが認められるものか。
大衆の耳目を集めるのも、幻獣を惹きつけるのも、自分の精神と知性によるものでなければならぬ。
「よし!」
アスタは決意を固めるとしっかりした足取りでフォモール族を睨んだ。
「おいっ、そこの不っ細工な目玉野郎!! おまい、息が臭いぞ! 腐った大玉め!!」
天地を揺るがすような大音声で怒鳴りつける。
ピタリ
目玉フォモール族の足が止まる。
「グガゥ…ウヌ、ケツカレ?」
意味不明の唸り声を吐いて血走った目が童女を見つめる。
このフォモール族は頭が悪く、人語を解さない。それでも悪口はわかる。その言葉に込められた敵意と気合は感じられたのだ。
童女は手を緩めない。
「おまいは死んだブタの昼寝の夢のような奴だな!!」
睨みつけて呼ばわる。
「罵倒の連発だ」
「凄い…語彙が豊かだぜ」
「よくもあれだけ悪口が並べられるものだなぁ……」
おっさん達も感心している。
「あぁ! あぁ! ありがとうございます! さすがはブタよりも小さいアスタさんだ!」
追い詰められて食われる寸前だったマッチョッキさんが転がるように駆けてゆく。
息も絶え絶えで、足もガクガクして力が抜けている。何とか、首の皮一枚が繋がって命を拾った状態である。
ここまで読んでいただきありがとうございます♪
こちら、ネット小説投稿サイトには楽しい作品が数多く掲載されていて、小生も好みの作品を探して楽しむのが習慣になっています♪
先日も素晴らしい新作を見つけ出して読んでいたんですよ。
この『見つけ出す」という発見がまた楽しいんですよね〜
特定のタグを組み合わせて検索、後は実際に読んでみて…と。
それは異世界転生した♀主人公がファンタジー世界を冒険しながら旅をするという個人的に最も好みの作品でして♪
しかも、仲間になったモンスターが美少女に変化して主人公♀とキャッキャウフフするという超最高サービス展開です☆
素晴らしい。
こういう作品を見つけ出しは読み込んでいたから半年も更新が止まっていたのではないかという疑問は横に置いておいて。
うちの『人化♀したドラゴンが遊びに来るんだよ』ですがww
主人公♀がロリビキニ着て海水浴場で遊んでいると…野太いおっさんの悲鳴が!
モンスターに襲われるおっさん達!
三段腹を揺らして逃げ惑うおっさん達!
怪物に食われそうになるおっさん達!
それでも悪巧みに興じるおっさん達!
駆けつけた主人公♀によって間一髪のところを助けられるおっさん達!
やはり、ギャグ小説にはバカなおっさんですね。
美少女じゃ過激なギャグはしづらいのでこうしておっさん達が体を張って笑いを取りに行ってくれるのです。
んんんんん〜〜〜
何か、違うかもしれません。
あっ、救出されたおっさんが美少女になる展開はありませんwww 気持ち悪いのでwwww
いえね、最新の流行は小生もきちんと把握しているのですよ(^_^;)
まぁ、それはそれ。
いや、正確には「よそはよそ、うちはうち」って奴ですね。
男子大学生やら高校生♂がTS異世界転生する物語が好みですが、自分じゃ描けないのでネット小説投稿サイトで漁ってるわけですし。
自分は自分の筆で勝負です。
だいじょうぶ。
面白い作品に仕上げますよ。
さて、そういうわけで次回は『やべぇ! 暁光帝がノリノリみたい! どうする? どうなる? 瓦礫街!?』です。
請う、ご期待!




