何か、見られてました(´・ω・`) あまりのことに暁光帝を観察する2人が悩みますw
次々に倒れる仲間達、野蛮はフォモール族に襲われた海水浴所に人々の悲鳴がこだまする…とか、悲観していたら。
ついに我らが主人公、暁光帝♀が立ち上がりました☆
戦え、最強ドラゴン! ボクらの街を頼んだぞ!
…とか、お願いする間もあらばこそ、あっという間に強敵フォモール族をぶちのめしてしまいました。
強敵だと思った? 残念! 雑魚でしたwww
見ていた人々は唖然としています。
一体、何が起きたんでしょう。
お楽しみください。
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海岸を上がった、少し離れたところからアスタを観察していた2人、妖精人のナンシーと博物学者ビョルンは呆然としていた。
『童女アスタが人間と幻獣のどちらに味方するのか?』、これこそが最大の問題であったが、良い方向に解決された。アスタは浜辺で暴れる異形妖族の方を攻撃してくれたのだ。
「けれども、どうしてアスタさん自身が“親切な奴ら”と評するフォモール族を攻撃してくれたんでしょうか?」
さっぱりわからないと当惑するビョルンである。
「アスタにとってフォモール族は味方のような口ぶりだったけれどね…たぶん、“親切な奴ら”という言葉の意味そのものが違うんでしょ」
推測するもエルフには童女の考えがわからない。
「はっきりわかっていることはあの娘が暁光帝であるということだけよ」
それは人間と価値観を共有しないということを意味する。
『人の心がない』はしばしばわかりやすい批判として使われるが、それは人間を相手に言ってのこと。ドラゴンに言っても通じない。そもそも馬車を襲って商人を頭からボリボリ齧っている翼飛竜に『お前は人の心がない』と非難しても無意味だろう。
今、そこにいるドラゴンが次に何をするかなど予測不能である。
今後も童女の動向からは目が離せない。
「それにしても……」
目の前で繰り広げられる勝負に目を奪われる。
「あれは…あの動きは……」
博物学者も童女の戦いに魅入られていた。
ギュディト百卒長との勝負も第二演習場で行われた精鋭部隊との演習も直に観たわけではない。ナンシーから伝え聞いただけだ。だから、話に聞くのとこうしてアスタの活躍をこの目で観るのでは全然違うと思い知った。
「演習場では手加減していたんだわ、思いっきり。リュッダ海軍の精鋭部隊が相手だったのに……」
口をポカンとバカみたいに開けていたエルフも何とか言葉を絞り出す。
『能力をレベル2に制限した』『魔法が使えない』『その辺を歩く普通の大人と同じくらいの力しか出せない』と聞かされていたが、それを“レベル3”、一段階だけ能力を解放しただけでこの有様だ。
動きがもう有り得ない。速すぎて肉眼で追うことが難しく、何とか、動作の起点と終点を見つけられるくらいだ。だから、瞬きしている間にもう別なところへ移動している。目を開けていても一瞬で姿が消えて、次の瞬間には別なところへ現われているようにさえ見えるのだ。
その上、魔法が全く効かない肉体だ。屋台を切断したフォモール族の豪水魔流、水属性の幻獣らしく、とびっきりの威力と連射性だったが、アスタに全く効果がなかった。
第二演習場でリュッダ海軍の精鋭部隊と演習したときにはしっかり火炎魔球で焼かれていたのに。
「ううん。あれもよく考えてみると変だったわ。一張羅のワンピースと下着を燃やされてすっぽんぽんの裸ン坊に剥かれたのにアスタはどこか誇らしげだったわ……」
思い出して語るナンシーに。
「服が燃えたのが誇らしかったんでしょう。おそらくあのワンピースは人化の術を使う際におまけで生み出した魔法の服だったのです。考えてみれば、暁光帝が生み出した魔法生成物がファイアボールくらいで燃えるはずがありません」
ビョルンは状況から考えられる理由を語る。
「それを無理やり、“火を着けられると燃える”ような性質を付加したのでしょう。だから、上手く行ってファイアボールで燃えたワンピースが嬉しかったんだと思います」
恐るべき可能性が提示された。
あの時、アスタは意図的に燃やされたのだ、と。
「そんな!? それじゃあ……」
ナンシーはあることを思い出す。
ヴェズ朝オルジア帝国の宮殿に保管されている“鱗”のことだ。
あれは暁光帝の鱗。
如何なる武器でも如何なる魔法でも傷つけられず、何百年経っても保管されたときのまま紫色の金属光沢で輝き続ける奇蹟の逸品だ。
「ドラゴンの鱗…なのね」
それは絶対不可侵の孤高の八龍が鎧だ。
「ええ。“龍鱗”、おそらく、アスタさんの皮膚はあれと同じ性質を持っています」
ビョルンは専門家として意見を述べる。
「ご存知ですか。最近、帝国の宮廷魔導師が“女帝様の鱗”で実験しました。土魔法で巨岩をぶつけたのです。しかし、それはくだんの“鱗”に衝突する直前に消滅してしまいました」
前代未聞の実験に学者の間で大変な話題になったものだ。
土の精霊魔法は魔力場の効果で巨岩を生み出して操作し、対象に叩きつけて破壊する。しかし、それは暁光帝の鱗に命中する直前に消え去った。巨岩の衝突を受けるわけでなく消滅させた“鱗”には魔法の効果そのものを打ち消す能力があったとしか思えないのだ。
「それはどんな魔法を打ち込んでも効かないわけです。命中するその直前に龍の鱗は魔法を打ち消してしまうのですから」
肩をすくめてみせる。
さすがは暁の女帝。その規格外の頑丈さ、信じがたいほどの無敵っぷりにはため息を吐くしかない。
「第二演習場で精鋭部隊と戦っていたアスタさんはそれなりに緊張していたのでしょう。手加減というのは気を使いますからね。人間の魔法に関心があったようですし」
推測を語る。
しかし、今のアスタの動きを観る限り、あながち、あてずっぽうな考えとも言えないのではないかと思う。
「なるほど、考えてみれば……」
ナンシーは想像する。
無敵の童女が人間の珍しい魔法を味わわんがために龍鱗の効果を意図的に弱めている様子を。
きっとドキドキワクワクしていたに違いない。
実際、精鋭部隊の3人娘が放ったファイアボールに嬉々として燃やされていたようだし、その後の喜びよう、上機嫌っぷりからもうなずける話だ。
間違いない。
できるだけ多くのダメージを負うよう、童女はわざと魔法を喰らっていたのである。
「それなら…今のアスタは素の状態ってことね。あぁ、人間が相手じゃなくなって日頃、よく見る仲間…幻獣が出てきたんで手加減をやめちゃったんだわ!」
ついつい声が上ずってしまう。
今までのアスタは戦闘で物凄く手を抜いていた。それはだらけていたということはなく、気合を入れて本気で手加減していたということだ。
リュッダ海軍の精鋭部隊が使ったアクアボールで頭を覆われたり、風魔法のウィンドカッターを本気で避けてみたり、上級魔導師3人係のファイアボールで燃やされてみたり。
ギュディト百卒長にも真面目に殴られていたんだろう。
考えてみれば笑える話だ。48発、いじめっ子のパトリツィオ少年はアスタを必死で力いっぱい殴っていたのである。暁光帝を殴る、この世にあれほどの無意味な行為があるだろうか。
ところが今、人間ではない、幻獣が現われて襲いかかってきた。
暁光帝にとっては見慣れた幻獣が。
それでアスタはすっかり気が抜けてしまい、一切の手加減をやめてしまったのだ。
「例えば冒険者ごっこで父親が小さな子供を相手に怪物の役をやる時のように……」
想像する。
・父親:『がぉー! 怪物だぞぉー!!』
・子供:『でたな、かいぶつめ! ゆうしゃ、あたちがやっつけてやるでち!』
こんなやり取りの後、子供が小さな拳で殴りかかると、父親は子供が怪我しないよう全力で筋肉を弛緩させ、わざと当たって、のけぞって。
・父親:『うわぁっ! やられたー!』
・子供:『あくはしぇいばいちたでち!』
…と、平和を取り戻す結末で終える。
小さな“ゆうしゃ”は拳を傷つけることなく怪物を退治するのだ。
こんな光景が頭に浮かんだ。
「アスタは懸命に身体を緩ませてなるべく多くのダメージを負うようにしていたっていうの……」
リュッダ海軍の精鋭が赤子として扱われたのか。呆然とする。
「おそらく…そういうことでしょうね。変な言い方ですが、アスタさんは凄く緊張してだらけていたのですよ」
ビョルンは暁光帝の偉業について想いを巡らせる。
百万の大軍を殲滅して気づかず、大陸の最高峰を蹴飛ばして縮め、マラソンの邪魔だと大山脈に風穴を空けた。そんな超巨大ドラゴンが人間の街に遊びに来て、小さな童女に変化したのである。
自分から見れば小さくてか弱い人間を傷つけぬよう、死なさぬよう、それはそれは気をつけていたに違いない。
「だらけて気を抜くと強くなるって……」
エルフは呆れ果てて、二の句が継げない。
「いいえ、これからはそういう事にならないかもしれません…あれを見てください。今や、アスタさんが本気ですよ……」
博物学者の声が震える。
視界に入った絵面が夢だと思いたい。
アスタの肉体に著しい変化が生じたのだ。
いつの間にやら、あどけなく可愛らしい指が凶悪な形に変形していた。
指の第一関節の先が伸びて白く透き通った鉤爪に変わっている。材質はアスタの口にズラリ並んだ牙と同じだろう。
あれは天龍の鉤爪。
今まで素手だった童女がついに武装したのだ。
「あ…あぁ…人化こそ解かなかったものの…アスタさんは戦うつもりですよ、本気で」
窮地に頼もしい味方の登場だ。
それなのに声も手足も震えが止まらない。
恐怖である。
本物の恐怖である。
「アスタさん、言ってましたね? 『思いっきり引っ掻いてみたいものだよ』って…彼女は殺る気満々ですよ」
幼いクレメンティーナに語りかけていた言葉が嫌でも思い出される。
暁光帝の鉤爪はこれからどんな惨劇を生み出すのだろうか。
ビョルンは地の底へ引き込まれるような感覚を覚え、震えることしかできなかった。
ここまで読んでいただきありがとうございます♪
人間達が暁光帝♀の意図と能力について議論しました。
頑張って推測していますが、人間ですからね。なかなかドラゴンの心情はわからないものです。
ああ、そういや、国語の問題でしばしば「この作品を描いた作者の心情を答えなさい」ってのがありましたっけ。
いやぁ、傲慢かつ難解な問題でしたね〜
皆さんはネット小説を読んで作者の心情とかわかりますか?
小生にはちょっと無理です。
推測はできても当たっているかどうかわかりません。
まぁ、そのへんは数学も同じ?
半径rの球の体積vは4πr³/3であるとか、表面積Sは4πr²だとか、中学で習いましたが、「どうしてそうなるのか」は教えてくれませんでしたねwww
高校の定積分の区分求積法でようやくこれら公式の正体がわかって「えぇぇぇっ!」とか思いましたっけ。
理不尽ですね。
そう、暁光帝は常に我々の隣りにいるのです(^_^;)
さて、そういうわけで次回は『暁光帝♀、イキる! 誰が最強かわからねぇ頭のワリィ奴、さっさとかかってこい! 3秒で星にしてヤる☆』です。
請う、ご期待!




