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人化♀したドラゴンが遊びに来るんだよ_〜暁光帝、降りる〜  作者: Et_Cetera
<<おののく周辺諸国! 瓦礫街リュッダで何が起きているのか!?>>
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帝都、壊滅! それは暁光帝からのプレゼント☆ ボク、超・がんばったんだからね!!

前回までのあらすじ〜

人間♂勇者:「ぐわぁっ!」

人間♂僧侶(髭&ハゲ&まっちょ):「なんて強力なバ○クロスだ!?」

暁光帝♀:「今のバギク○スだではない。バ○じゃ」

人間♂勇者:「バカなっ!? 今のが只のバ○だと!? なんてぇ強さだ!」

人間♂僧侶(髭&ハゲ&まっちょ):「こんな奴を相手にして勝ち目があるのか!?」

暁光帝♀:「あ、ごめんww バ○でもないわww 只、飛び立っただけwww」

人間♂勇者:「うはっwwww OKKKKKKKKwwwwwwww」

……

………

うん、だいたい、こんな感じでしたね。

でも、何で海外の冒険ファンタジーだと僧侶♂は髭でハゲでまっちょで棍棒なんでしょう。

回復魔法が使えて、出血させない武器で殴り殺すバトルキャラなのは国産ファンタジーの僧侶♀と同じなんですけどね〜

いや、そもそも、海外産だと僧侶♀がいないか。

そういうわけでアプタル朝オルジア帝国は帝都が完全に消滅したので滅亡しちゃいました\(^o^)/

物語は現代(中世ナーロッパ)のヴェズ朝オルジア帝国へ移ります。

まぁ、いいや。

今回も美少女&美女の出番はありません(>_<)

オルジア皇帝“アルシャク”(ピーター・カッシング似のおっさん)とオルジア宰相“ティリダテス”(クリストファー・リー似のおっさん)、2人が難しい顔して緊急事態について相談します。

ね、面白そうでしょ?

面白そうに思えますよね?

絶対、面白くしますから読んでくださいぃぃぃぃ!!!(血の叫び)

そういうわけで、お楽しみください。


キャラクター紹介&世界観はこちら〜>https://ncode.syosetu.com/n2816go/

 後世(こうせい)の歴史家は語る。



 全ては皇帝アプタル8世の野心と愚かさから始まった、と。

 帝都オルゼポリスの復興費用をせしめようとフキャーエ竜帝国に迫り、そのために天才召喚士の利用を思いついたのだ。

 佞臣(ねいしん)讒言(ざんげん)に惑わされたアプタル8世は野望の実現のため、(いさ)める忠臣を退(しりぞ)けて愚行に及んだ。

 召喚魔法により、超巨大ドラゴンを呼ぶという愚行に。

 その結果、呼び出された暁光帝が帝都に降りて、皇宮(こうぐう)が消滅し、愚行に及んだアプタル8世も死んだ。

 暁の女帝は呼び出しておいて自分を歓迎しない人間に激怒し、エーテル颶風(ぐふう)によって帝都を破壊し尽くし、臣民を鏖殺(おうさつ)した。

 只1人、勇気を振るって礼を尽くし、事情を説明した宰相(さいしょう)だけは女帝の(おぼ)えめでたく命を救われた。五体投地した彼は恐怖におののきながらも大声を張り上げて女帝に訴えたのだ。

 おかげで一族郎党(ろうとう)は許されて、龍鱗(りゅうりん)(たまわ)り、その後のヒト族を任された。



 暁光帝の、この新たな偉業は“オルゼポリスの喜劇”と呼ばれる。

 “悲劇”ではない。

 “喜劇”だ。

 膨大な犠牲だけを見れば間違いなく悲劇だが、後の歴史家達は『悲惨でありながら愚かしくも滑稽(こっけい)な人災』と評価しており、これについては意見が割れない。

 皇帝アプタル8世は。

 わざわざ遠くから暁の女帝を呼んで。

 自分の都を破壊させ。

 自分の(たみ)を殺させ。

 ヒト族の希望である、偉大な国を滅ぼしてもらったのだ。

 ついでに本人も踏み(つぶ)されて果てた。

 これが喜劇でなくて何なのだ。

 少なくともこの事件に関してだけは全責任がアプタル8世にあり、暁光帝は巻き込まれただけで責任を問われるべき立場にもいない。

 遠くから呼ばれて、訪れてみたら、呼んだ本人はくたばっていて、事情を尋ねても答えてもらえず、ないがしろにされた。そんな仕打ちを受けたら暁の女帝でなくても激怒するだろうし、怒りのあまり、エーテル颶風(ぐふう)くらい(はな)つだろう。

 破滅の極光(カタストロフバーン)を吹かれなかっただけマシかもしれない。

 その結果、その場にいた20万人ほどが吹き飛んで大都市が跡形(あとかた)もなく消滅した。

 暁光帝から見ればこんな出来事なのであろう。

 超巨大ドラゴンに比べれば人間はゴマ粒ほどもなく、存在に気がついてもらえたかどうかさえ怪しい。

 大国であり、ヒト族の盟主であったオルジア帝国が滅亡したことは国際社会に衝撃を与えたものの、降りてきた暁の女帝に踏まれて滅んだ国など歴史家でも数え切れない。

 そもそも、国家としての要件を満たすこと自体が曖昧(あいまい)であり、都市と国の中間のような集合体や大きな街まで含めたら歴史家がどれだけ時間を(つい)やしても議論は尽きないだろう。そして、気まぐれに降りた暁光帝の足元にあった国々など一体、誰が数えているのだろうか。

 だから、国際情勢の激変としては大いに世界を騒がせたが、事件そのものについては誰も疑問に思わなかった。

 帝都オルゼポリスは運が悪かったのではなく、為政者が自分で彼女を召喚したというのは奇妙(きみょう)奇天烈(きてれつ)であったけれども。

 国家が(みずか)ら明らかな滅亡を選択したという事象は非常に珍奇なのだけれども。

 オルジア帝国の滅亡そのものは珍しくも何ともなかったのだ。

 何もかも全て悪いのは暗愚の王、アプタル8世。

 これが後世の評価である。

 こうして人類史上、最低最悪の愚か者は誰かという問題は解決された。

 そして、同時に最高の勇者もまた決まった。



 それは魂を(おか)宇宙的(コズミック)恐怖(ホラー)(あらが)う、真の勇気を持った男。

 暁の女帝様の御前(おんまえ)に土下座して、震え上がって失禁しながらも気を失わず、見事、謁見(えっけん)を果たした、天下無双の名宰相。

 後にオルジア人をまとめて国家を再興(さいこう)し、ヴェズ朝オルジア帝国の初代皇帝となったチシュピシュ・ヴェズ、尊称“神君(しんくん)チシュピシュ1世”である。



****************************



 初夏の太陽はようやく南中した。ヴェズ朝オルジア帝国の砂漠が最も()える時間だ。閲覧場(えつらんじょう)にも強い日差しが差し込み、国宝の“壁”を紫色の金属光沢で輝かせている。

 「さすがに(まぶ)しゅうございますな」

 宰相は手をかざして龍鱗(りゅうりん)(はな)つ紫の光線から目を守る。

 「うむ。だが、(ちん)はこの輝きに救われる(おも)いぞ」

 安堵(あんど)する皇帝。

 歴史上、オルジア帝国の興亡(こうぼう)にはしばしば暁光帝が関わっているのだが、このヴェズ朝に限って言えば損失よりも利益が大きい。

 「滅亡したアプタル朝であるが、別にご先祖様が玉座(ぎょくざ)簒奪(さんだつ)したわけではない。アプタル8世が勝手に滅びただけである」

 強くうなずく。

 「オルゼポリスの喜劇の後、神君(しんくん)チシュピシュ1世は帝都の外でほそぼそと生き延びていたオルジアの(たみ)をまとめ上げて国を(おこ)し、竜帝国とも渡り合って援助をせしめ…もとい、勝ち取ったのだ」

 途中で言葉を言い換える。

 実際、“神君”と(たっと)ばれるチシュピシュ1世は帝国の歴史に並ぶ者なき最高の名君であった。

 周辺のヒト諸国を併呑(へいどん)し、亜人どもを平定して、超大国であるフキャーエ竜帝国の使者をもおののかせた。

 しかも彼はそれら大事業をほぼ(いくさ)なしでやり遂げたのである。

 これが偉業でなくて何だろうか。

 神君は各地の有力者どもを帝都オルゼポリスに呼び、女帝様の(うろこ)を見せたのだ。

 そこにそびえ立つは紫色の金属かと見まごうばかりの巨大な“壁”。

 世界で唯一、ここにしか存在しない、暁光帝の鱗だ。

 一目(ひとめ)で本物と見抜いた者は腰を抜かして驚いた。

 疑った者には魔法でも道具でも武器でも自由に打たせて傷一つ付けられないことで思い知らせた。

 後は言葉で説得するのみ。

 神君チシュピシュ1世が如何(いか)にして暁光帝との謁見(えっけん)を果たしたのか。

 どれだけ暁の女帝がオルジア帝国を信頼してヒト族の支配を任せたのか。

 それ故、貴国は我に従うべきなのだ、と。

 懇切丁寧(こんせつていねい)に教え(さと)してやったのだ。

 これは効果覿面(てきめん)、ほとんどの者が皇帝の権威にひれ伏した。

 わずかに逆らう気配を見せた者らとて暁光帝の鱗を(いただ)いたオルジア帝国に挑むほどの士気は保てず、皆、軍を退()いたのだった。

 その上、フキャーエ竜帝国の使者もたぶらかし、莫大な援助を巻き上げて復興の費用をせしめた。

 つまり、口八丁(くちはっちょう)手八丁(てはっちょう)で多くの者らを丸め込んで新たなオルジア帝国を築いたことになる。

 おかげでチシュピシュ1世はほとんど戦争に至ることなく、ほぼ話し合いだけで新たな帝国を再興(さいこう)できたのだ。

 故に神君は“無血の弓取(ゆみと)り”と(うやま)われ、前人未到の偉業を成し遂げた。

 暁光帝の鱗は事ほど左様(さよう)に絶大な権威をもたらしてくれる宝物だったのである。

 「ご先祖様は偉大な詐欺師(さぎし)であった。故に(ちん)も神君の名を汚さぬよう、りっぱな仕事を成し遂げねばならぬ」

 皇帝は力強くうなずく。

 ご先祖様を“詐欺師”呼ばわりしているが、これは不敬に当たらない。神君チシュピシュ1世はそのように自称する変わり者だったのだ。

 『(へい)詭道(きどう)なり』

 『故に、敵は(あざむ)いてこそ』

 『味方もおだてて(だま)して(はや)らせて』

 『よって、詐術は王道なり』

 ずいぶん、極端な思想の君主であった。

 もともと、歴代のオルジア帝国は『豊富な兵器と兵数を(そろ)えた大軍を(もっ)て正面から敵を叩き(つぶ)す』ことを戦闘教義(ドクトリン)とする軍事大国だった。そして、そんな贅沢(ぜいたく)が許されるほどに人口が多く、軍馬や兵器も豊富だったのだ。

 けれども、当時は疫病禍によって人口が激減した上、暁光帝のマラソンで帝都が半壊していた。そして、オルゼポリスの喜劇で帝都は完全に消滅し、オルジア陸軍も全滅させられてしまっていた。

 もはや、伝統的な戦闘教義(ドクトリン)が実現できなくなっていたのである。

 この辺の事情も半分くらい暁光帝のせいであるが。

 このような事情でオルジア帝国も変革を迫られ、チシュピシュ1世は防衛戦に主軸を置く戦闘教義(ドクトリン)を採用した。そして、領土拡大は恫喝(どうかつ)外交に、内政は権威主義に、それぞれ頼ることにした。

 実際、それで国家が運営できるくらいに暁光帝の鱗には権威があり、チシュピシュ1世の話術は説得力があったのだ。

 神君は言ったものだ。

 『わたくしは稀代(きだい)の詐欺師。神も国も(たみ)も騙し、嘘で平和と繁栄を(あがな)います。やってみせましょう。兵がなくても馬がなくても』

 その言葉の通り、国力の(とぼ)しい中、新たなオルジア帝国の(いしずえ)を築いた名君であった。

 「ええ。神託で『彼女の(うろこ)を手放せ』と迫られたときも見事な切り返しでしたな」

 宰相は微笑(ほほえ)む。

 神々としては()まわしい神殺しの怪物から下賜(かし)された鱗など断じて認めがたい。当然、『捨てろ』『捨てろ』の大合唱で教会も神殿もかまびすしいことだった。

 神々の怒りにおののいて貴族も神職も震え上がり、国家として鱗の廃棄もやむを得ないかという雰囲気になったところで。

 『では、(たまわ)ったものをそのように扱うのは不敬に当たらないか、暁の女帝様に(うかが)うとしましょう』

 そのように切り返したチシュピシュ1世であった。

 途端(とたん)に沈黙する神々。

 恐ろしい神殺しの怪物の名を聞かされてはたまらない。

 うるさく騒いでいた神託はピタリと止まり、龍鱗を手放させようと画策した神々の意志はくじかれたのだった。

 「いやはや、愉快(ゆかい)痛快(つうかい)舌先(したさき)三寸(さんずん)で神々をも黙らせた。なるほど、つくづく稀代の詐欺師でありますなぁ」

 宰相は()んだ。

 「しかし、笑ってばかりもいられません。瓦礫街リュッダで起きた緊急事態について詳細をご説明します」

 真顔になる。

 「…」

 皇帝も押し黙り、真剣な表情で臣下であり親友でもある宰相を見つめる。

 「()ず、領主ビアズリー伯爵からの公式見解として『リュッダ港に近い火山島に暁光帝の巣が確認された』と通達されました」

 恐るべき『暁光帝、降りる』の一報はこのような内容を含んでいたのだ。

 光魔法による大陸全土への緊急通信はおいそれと使えるものではない。それは暁光帝に絡むような重大な緊急事態についてのみ許される。

 「どうも彼女は隠れたつもりでいらっしゃるようなのです。姿を見せず、火口から目だけ(のぞ)かせて(ふもと)の村を観察していらしたらしく」

 あの超巨体を隠し通せるわけがないのだが、暁の女帝様ご本人がそのつもりで行動しているようにしか思えない。

 実際、大笑いするドラゴンの、雷鳴のような笑い声が聞かれた。しかも火山島の火口からはみ出した紫色の金属光沢に輝く巨大な六翼も目撃されていた。それなのにその威容はいささかも見せず。

 非常に()(かい)なことではあるが、暁光帝が火山島に隠れたつもりになっていることは明らかだ。

 「また、これは我が方のスパイからも報告が上がりまして…火山島が幾何学的に完全な円錐台(えんすいだい)の形状に改造されていることがわかっています」

 「何と!?」

 宰相の口から告げられた恐るべき特徴に皇帝はおののく。

 世の中、幻獣(モンスター)の中には様々な者がいる。それは孤島や火山を改造するほどの化け物だって他にいるかもしれない。だが、“幾何学的に完全な形状”にこだわるような怪物は暁光帝だけだ。

 かつて、くだんの超巨大ドラゴンが月を訪れて築いた大宮殿も幾何学的に完全な形を成している。

 幼少のみぎり、先帝から光魔法の望遠鏡を与えられて初めて見つめた月面にそれを見つけた時の衝撃は計り知れない。そして、告げられた『月の大宮殿もまた暁の女帝様が偉業ぞ』の言葉は皇帝の心情に強烈な印象を与えていた。

 月面に築かれた暁光帝の大宮殿には星型多面体や正多面体、真球などの立体が完全に対称な配置を見せていたのだ。

 なるほど、暁の女帝様は幾何学的に完全な形状にこだわるのだろう。

 「そして、スパイによれば…3日前にリュッダの街を襲った、街全体が闇に()まれて星空のない夜がやってきたという…昼に夜が来る現象。これもまた暁の女帝様に関わりがあるのではないかと」

 宰相は重々しく告げる。

 「昼に夜が来る…だと!?」

 目を見開く皇帝。

 「そうです。昼に夜が来る…この()(かい)な現象を聞いてオルゼポリスの喜劇を思い起こさずにはいられません」

 宰相は想像を巡らせる。

 当時、超巨大ドラゴンの六翼が天空を(おお)って陽光を(さえぎ)り、帝都を闇に包んだ現象である。“龍の闇”は暁光帝だけが引き起こせる、非常に恐ろしい現象だ。それを見て生き延びられた者は少ない。

 同じ現象が瓦礫街リュッダを襲ったのではないだろうか。

 それで住民が無事なのは不思議だが。

 もしかするとそれは暁光帝が隠れ潜んでいるつもりになっていることが関わっているのかもしれない。

 「ふむ…ふむ…ふむふむ、ふむ! 間違いない。暁の女帝様はすでに地上へお降り遊ばされているぞよ」

 皇帝は確信する。

 これだけ情報が(そろ)っているのだ。

 暁の女帝様がやって来たに違いない。

 「はい。それでは現状を分析しましょう」

 真剣な顔で宰相は考え込む。

 「地上に降りていらした理由は何か? これから何をなさろうとされているのか? 何より、何故(なぜ)、お隠れ遊ばされているのか? できれば、その(あた)りを明確にしとうございますが……」

 いろいろ考えて皇帝に助言するのが仕事だが、博物学者ではないからドラゴンについては専門外である。しかも、孤高の八龍(オクトソラス)についてはほとんど何も知らない。

 とりわけ、暁光帝の行動は予測不能なことで有名だ。どこの空でも見かけないと案じていたら、海の底から飛び出してきたとか、月面で宮殿を築いていたとか、とにかく神出鬼没(しんしゅつきぼつ)である。

 何を食べるのか、何を欲しがるのか、何を恐れるのか、その辺についてはドラゴン研究家の間でも議論が割れる。

 性格は傲慢(ごうまん)猛々(たけだけ)しく、激高(げっこう)すると神や悪魔ですら(あや)めてしまう。他には23という数や雷雲を好むらしいとか、どうでもいい不確かな話ばかりが聞かれる。

 宰相が持っている確かな情報は『人間とは全く異なる精神構造(メンタリティ)を持つ』くらい。

 ほとんどわからないから、意見したくても判断材料に欠ける。

 ならば、専門家に意見を(うかが)いたいところだが、不用意に『暁光帝、降りる』の一報が流れることは(あや)うい。それだけで内乱が起きてしまうことさえあるのだから。

 「う〜む……」

 宰相が悩んでいると。

 「ふむ…暁の女帝様は遊びにいらしたのだ」

 突如、皇帝が意外な意見を口にした。

 それも自信満々で。

 「おぉっ! それは!…いや、お恐れながら、何を根拠にそのようなお考えに?」

 皇帝に言葉に驚きつつ、宰相は首を(かし)げる。

 当然だろう。

 あの恐ろしい暁光帝が地上に降りてきたのだ。殺戮(さつりく)と破壊の化身がもたらすは破滅以外の何物でもない。それなのにどうして『遊びに来た』などと言えるのだろうか。

 「お(ぬし)にも帝国の切り札を見せる時が来たようだ」

 皇帝は一冊の手帳を取り出す。

 「それは!?」

 宰相も風の(うわさ)に聞いたことがある。

 ヴェズ朝オルジア帝国の帝位継承には秘密がある、と。

 表の戴冠式(たいかんしき)が終わった後、裏で特別な儀式が行われるらしい。

 それは一体、何なのか。

 秘密の儀式をやり遂げた者は真なる力を得て、()るぎ得ぬ皇帝になるのだと囁かれている。

 目の前に示された手帳がそれに関わるものなのだろう。

 「うむ。これは朕が(みずか)ら書き写した写本である。初代皇帝チシュピシュ1世の手記を、な」

 重々しい言葉で語り、手帳を示す。

 「なるほど…秘匿(ひとく)されてきた帝位継承の儀式は写本でしたか」

 宰相はそれをまじまじと観る。

 それは別に珍しくも何ともない、ありきたりな革の表紙の手帳だった。

 「朕も驚いたぞよ。まさか、秘密の儀式が手帳を書き写すだけだったとはな」

 力強くうなずく。

 先帝が崩御(ほうぎょ)する時、皇帝に遺言として託されたのだ。手記の原本とそれを書き写すことが真の帝位継承だと。

 「けれどもオリジナルの手記を読んでその内容に度肝(どぎも)を抜かれたものぞ」

 手帳の内容こそが帝室に伝わる一子相伝(いっしそうでん)の秘密である。それを知る者が広大な領土を支配するオルジア帝国の皇帝になれるほどに重要な情報なのだ。

 皇帝自身と皇帝が信頼する宰相だけが内容を知り、原本を(じか)閲覧(えつらん)できるのは皇帝のみ。

 それほどまでに重要な秘密とは一体(いったい)、何か。

 「今の今までお主にも教えなかったのはある条件を満たしていなかったからである」

 「むぅ…その条件とは?」

 「『暁光帝、降りる』の一報よ」

 「何と!?」

 宰相は恐る恐る写本に手を伸ばす。

 「拝見させていただきます」

 何ということだ。

 帝国にとって亡国の危機とも言える、緊急事態『暁光帝、降りる』の(しら)せがなければ宰相にすら公開されない情報がここに(しる)されているのである。

 「この手記に…帝国の切り札が……」

 宰相は(はや)る気持ちを(おさ)え、震える手で手帳をめくる。

 高鳴る胸の鼓動は恋する乙女のように彼の心を駆り立てるのだった。

ここまで読んでいただきありがとうございます♪


こちら、拙著『人化♀したドラゴンが遊びに来るんだよ_〜暁光帝、降りる〜』はアクション百合ファンタジーでして。

基本的に可愛らしい美少女と可憐な乙女がキャッキャウフフして、時々、悪漢をやっつけて爽快なアクションシーンを披露する、痛快娯楽作品です。

ホントですよ。

で。

今回、その「時々」ですな。

うん、珍しく「時々」な『歴史です』シリーズなんですよ。

はい。

それで汚ゲロ男シリーズ&スペクタクル大怪獣活劇に相成っちゃいました(^_^;)

まぁ、「時々」、こんなこともあります。すみません。

では、今回、活躍してくれた主人公パーティーをご紹介しましょう。

・宰相チシュピシュ(レナード・ニモイ似のおっさん):主人公(仮)。廃人と化した親友を見て嘔吐。

・忠臣の1人(ウィリアム・シャトナー似のおっさん):窓から目を逸らそうと頑張ったが、一瞬、視界に入れてしまい、嘔吐。

・老大臣:がっつり窓を見てしまい、SAN値直葬。盛大に嘔吐&誤嚥により死にかける。廃人、待ったなしww 新記録達成ww

・兵士長(ジョニー・ワイズミュラー似の兄ちゃん):若く健康だったが、意外に賢かったようで窓を見て発狂&漬物の壺をかぶる。原作版のグレイストーク卿は秀才なんですぉw

・チェッカー好きの老人:暁光帝を直視してSAN値直葬。幸いにして昼食前だったので嘔吐は回避したけれど胃液噴出\(^o^)/

・私兵の皆様:兵士らしくSTR極振りでINT低かったから発狂回避。よかったねww

全員♂で1名を除き、おっさんorじいさんwww

今回、超巨大ドラゴンに挑むも、主人公以外はゲロ吐いてのたうち回っていただけなのであんまり役には立っていませんwww

まぁ、勇者パーティーなんだから、そういうこともあるさwww

ちなみに宰相チシュピシュの能力値は……

人種:ヒト♂

名前:チシュピシュ・ヴェズ

職業:オルジア宰相(上級魔導師)

身長:1.71[m]

体重:71[kg]

体重偏差:1.01

(・人・):なし

魔気容量:45[gdr]

魔気回復量:0.026[gdr/s]

最大までの回復時間:1730.77[s]=28.846[min]

腕力:0.95

速度:8.15[m/s]

備考:風の精霊魔法、回復魔法を上級レベルで習得。詐術、語学、観察眼に優れる。

……こんなステータスです(^_^;)

意外と足、速ぇなww 逃げ足かww

男盛りの初老なので体力はまずまず。だけど、戦闘系の技術は皆無で風魔法も演説のための拡声に使う程度ですね。

こちら、チシュピシュさんのステータス表は小生が小説のキャラクター設定する時に必ず作るものでして。

もちろんエルフのナンシーや我らが主人公♀童女アスタの分も作ってあります☆

こ〜ゆ〜のってキャラの動きを想像する時にいろいろ便利なんですよね〜

体重偏差は1が標準でそれより大きいと太り気味、小さいと痩せ気味です。

最大までの回復時間は人間でだいたい30分。野戦を考えるとこのくらいが妥当じゃないかなぁ…って感じで設定しました。

当然、十分な休息を取れる安全な環境での魔気回復量ですぉww

個人的な好みでこの彼こそが英雄ですね。暴力に頼らず、知恵と決断力で勝負する。

胸には大志を抱き、そのためにはゲロまみれになって、土下座して、恐怖にブルブル震えて、命も賭けて、無様を晒して、恥もかいて……それでも最後の最後で大逆転、目的を果たす。

ヒーロー像としては普通すぎましょうか(^_^;)

美少女ヒロインなら余裕綽々で華麗に戦うのが華ですけどね〜

まぁ、男は傷つき倒れながら何度でも立ち上がり、泥臭く試練に立ち向かってなんぼですわ。


ところで、暁光帝♀ですが、呼ばれたんで来ました。けれども……呼んだ奴が見当たらなくて困惑していたら、親切な奴から事情説明があったので一応、納得して帰りました。

暁光帝♀:「呼んだ?」

人間♂:「呼んだ奴はおまいが踏み潰したぞ」

暁光帝♀:「あ、そぉ…次に呼ぶ時は気をつけてね」

人間♂:「ああ」

暁光帝♀:「んじゃ、帰るねー」

人間♂:「うひぃっ!?」

暁光帝♀:「気をつけてねー」

人間♂:「うぼゎぁっ!」

以上、お終い。解散!

こんな感じでしたとさ。

この後、緑龍テアルの巣を訪れてめちゃくちゃ愚痴りました(^_^;)


まぁ、他に暁光帝♀側としては「着陸した時のエネルギーどうなるのよ?」って話もあります。

巡航高度が1万メートルで巡航速度が亜音速250[m/s]として暁光帝♀の体重が○○○○○○○○○○○○[kg](女性キャラなので秘密)だから…うん。やべぇ。洒落になんねぇわwwww

曇天って設定だから、層積雲なので位置2000[m]ですね。そこまで巡航速度で降りたと仮定して、その後は100秒掛けて地上までゆっくり降りたとすれば速度は20[m/s]だから運動エネルギーがEk=1/2・mv^2なので……

1/2・(暁光帝♀の体重○○○○○○○○○○○○[kg])・20^2=……何か、凄い数字来たー!

うん、ヤバイ数字なのでマグニチュード表示しよう、そうしよう。

マグニチュード6.75\(^o^)/

震源? 地表だよwwww

地割れじゃ済まないwwwww

重力魔法、使っといてよかった〜〜〜

でも、離陸のときには重力魔法使わなかったんですよねwwww やべぇwww

暁光帝♀が層積雲まで1秒で飛んだと仮定して、めっちゃ雑に計算すると……

マグニチュード9.42\(^o^)/

これを地表でwww

チシュピシュさん、よく生き残れたわwww

……

…………

…ってか、何やったって死ぬよね、この運動エネルギーの数値的にww

うん、龍燐のご利益で助かったってことにしときましょう☆

龍燐、凄ぇww


さて、そういうわけで『歴史です』編は終わり、次回は現代(中世ナーロッパだけど)編です。

ヴェズ朝オルジア帝国の皇帝と宰相が瓦礫街リュッダにやってきた超巨大ドラゴン暁光帝♀に対処すべく大活躍!!

…するかもしれません。

皇帝と宰相は偉大なご先祖に負けないくらい頑張れるでしょうか。

請う、ご期待!

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