馬車が盗賊団に襲われている!? しかも中にはお姫様が\(^o^)/ ついに定番のストーリーが始まります。暁光帝はワクワクが止まりません☆
人間達と一部の幻獣が努力したおかげでアリエノールの町もペレネー領もようやく復興の途につきました(^_^;)
でも、何もかもが上手く行くとも限りません。
世の中には意外な障害があるものなのですwww
お楽しみください。
キャラクター紹介&世界観はこちら〜>https://ncode.syosetu.com/n2816go/
海沿いの街道を春の潮風がそよぐ。
もっともさわやかとは言いがたい。
今、風に乗って血の臭いが漂い、周辺を不穏な雰囲気で満たしている。
東にラナス大森林が迫り、西に海岸を臨む街道は“英雄の町”、改め“龍の箱庭”アリエノールと中央を結ぶ流通の大動脈である。
屍導師イレーヌがこの街道を土の精霊魔法で整備してくれたおかげで、人間社会に驚くべき変化がもたらされていた。
街道の上を歩く限り、幻獣に襲われる被害が格段に減ったのである。
死女がラナス大森林に働きかけてくれたことは明らかだった。
それはとてもいいことである。
おかげで隊商の行き来も増え、物流も格段によくなった。すると街の話が商人の口に上って拡散し、滅びたと噂されていたアリエノールは一転、暁光帝から祝福された町として一気に名を馳せるようになったのだ。
多くの冒険者や傭兵が栄達を求めて訪れるようになり、町は再びかつての栄光を取り戻しつつあった。
けれどもその結果としてよからぬ輩も増えてしまったのである。
当たり前だが、幻獣には人間の区別が付かない。
朝、庭の梢でさえずっているスズメを見て、翌朝、また、スズメが梢で啼いていたとして。
それが前日の朝に啼いていたスズメと同じか、違うか、わかる人間はめったにいないだろう。
同様に幻獣は人間の区別が付かない。個々人の判別どころか、ヒトと妖精人と獣人の区別すら付かず、全部同じに見えてしまう。
屍導師イレーヌは街道を行き交う人々を無闇に襲わないでほしいと願っただけで、当の幻獣達から見れば野盗も隊商も貴族もほとんど同じなのだ。
人食いオオカミも三叉樹もせいぜい武装した兵士を『殻が硬くて食べにくい』と思うくらい。
だから、安全になった街道を利用する善良な人々と彼らを狙う悪漢の区別が付かない。
彼らは等しく幻獣から見過ごされるようになった。
そして、幻獣の襲撃が減ったことで隊商は護衛の人数を減らしてしまい、不用心になった。その分、商いの見返りも多く見込めるようになったのだが、運が悪いと野盗の群れに襲われてしまうのだ。
森に入ると幻獣に襲われるので強盗団は海辺の岩場や洞窟に潜み、隊商や旅人が通りかかると襲撃する。
今もそんな奴らが高そうな馬車に群がっていた。
一見して兵士でないとわかる、みすぼらしい身なりで武器もろくに手入れされている様子が見えない。
非道な流血沙汰が起きて街道を血の臭いが漂っている。
怪我人も少なくない。護衛らしき男達が倒れ伏し、あちこちに剣や盾が転がっている。
だが、ここに悪事を見逃せない正義漢がいた。
「ガス、雑魚は任せる! アルフィーはあの手強そうな奴を! 俺はボスを片付ける!」
「了解だぜ、親父!」
「承知!」
ベテラン冒険者ギヨームが叫ぶと仲間達が剣を抜いて盗賊どもに襲いかかった。
たちまち響く剣戟の響き。
カキン! キン! ガッ! ザシュッ!
正義の剣がきらめけば血しぶきが舞い上がり、悪漢どもがドゥッと倒れる。
思いがけない援軍に野盗どもは驚き、あわてて馬車から離れたものの、まだ得物は鞘の中。とっさに抜こうにもままならず、多くはろくに抵抗もできないまま、一方的に斬り伏せられていく。
何とか武器を構えて立ち向かった者らも勇敢な息子ガスパルと幽鬼アルフレッドには敵わない。
「たぁっ!」
「ぐわぁっ!」
ふところに入られた槍持ちは大あわてで石突きを引いたが間に合わない。若者が丸盾で槍を弾き、そのままショートソードで胸を突くと悪漢は悲鳴を上げて後ずさった。
おびただしい出血に顔色を失い、戦意喪失だ。
「ハァッ!」
気合一閃、アルフレッドが敵陣に飛び込んだ。
できる執事然とした幽鬼は短刀の二刀流である。
盗賊どもは食料とカネが目当てで集まった烏合の衆。勇ましい叫び声を聞いて思わずひるんだ。
「ギャァッ!」
「うひぃっ!?」
斬りつけられて自分の血を見ると臆病者どもは腰を抜かしてへたり込んだ。
「リャァッ!」
「くっ!」
1人だけ風格の違う盗賊はロングソードを持ち、得物の長さで自分が有利と見た。ギヨームに目をつけられるだけあってなかなかの使い手のようだ。
だが、アルフレッドの膂力は凄まじい。
墓場のイレーヌ謹製の幽鬼はニ振りの短刀でロングソードの刀身を続けざまに斬りつける。
カキン! カキン! キン! バキィッ!
たまらず、なまくらがへし折られてしまい。
「何だと!?」
男が驚いた瞬間には柄だけになったロングソードが残っていた。
「終わりですよ」
役に立たなくなった得物を無視してアルフレッドの短刀がきらめき、レザーアーマーの隙間を斬りつける。
「むぐぐぐ…無念……」
盗賊は自分の命を安物のなまくらに預けたことを後悔しながら倒れるのであった。
「手下はあらかた倒したぞ。降参するなら命だけは助けてやろう」
ギヨームはロングソードを突きつけながら強盗団の首魁に迫る。
「うるせぇ! 金持ちから貧乏人が奪って何が悪い!? 正義ぶったお前ら冒険者がよけいなことしなけりゃ貧しい連中だっておまんまを食えるんだ! カッコつけるのはやめてテメェらが退きやがれ!」
ひときわ大きな髭面の男は思いっきり怒鳴った。粗暴な風体でバスタードソードを構える姿も堂に入っている。
「その構えは元・兵士か。なかなかやるようだが……」
ボスの剣が意外に長く、射程の違いでこちらが不利と見たが、ギヨームはひるまない。
「あいにく悪党の屁理屈を聞いてやる耳は持ってないんだ! 逆らうようなら正義の刃の錆となれぃ!」
負けじと大声を出して威圧する。
一歩も退かない構えだ。
「グィル! 今、助太刀に!」
「おいっ、親父!」
仲間達が助けに入ろうとするも。
「要らん! お前らは馬車を守れ! 討ち漏らしがいるかもしれん!」
ギヨームは助けを拒んだ。
こういう悪党は用心深い。獲物の商人を人質に取ったり、思わぬ伏兵を隠していることもある。
何よりここが息子に勇姿を見せるところだ。
悪者がどんなに強くても一歩も退かずに立ち向かう父親の勇姿を見せねばならない。
幻獣相手ならいざ知らず、しょせんは盗賊なのだ。臆病風に吹かれてたまるか。
ここが踏ん張りどころだ。
「行くぞ!」
果敢に斬り込む。
「俺は兵士だ! 冒険者なんかにゃ負けねぇ!」
ボスもひるまず、バスタードソードを突き出す。
バン! ガキン!
ボスの剣を丸盾で受けつつ、斬りつける。
だが、敵も然る者、数合、打ち合い、剣戟の火花を飛ばしても臆する様子は見られない。
「親父……」
息子が心配そうに見つめている。
「お前は自分の心配をしろ! どこに伏兵が潜んでいるか、わからんのだぞ!」
ギヨームは息子を怒鳴りつけた。
強い。
さすがに対人戦が専門の兵士だった男だ。
幻獣相手に磨いた冒険者の技では遅れを取るかもしれない。
けれども退く気も助けを求める気も起きない。
命の危機だ。
背筋がピリピリしやがる。
死の危険が迫っていることを直感で感じ取ってしまう。
だが、これが冒険だ。
冒険者が冒険せずに何とする。
幻獣を相手にしても絶対に勝てる戦いしかしないのならそれはただの害獣駆除に過ぎない。
そんなことは百姓でもできる。
命を懸けて戦ってこその冒険者なのだ。
勇気を振り絞り、恐怖に抗うから冒険者と言える。怖いから引っ込むというのなら剣を捨てて畑を耕していればいい。
血がたぎって百姓をやっていられなかったから冒険者になったのである。
どんなに腕が立とうとも恐怖心に負けて剣を捨てた元・兵士なぞ恐るるに足らん。
「どゎりゃぁぁっ!!」
裂帛の気合で突っ込んだ。
「うぬぅっ!」
ここにきてようやくボスの目に恐れの色が見えた。
やはりこいつはかつて敵に恐怖して心が折れた卑怯者だ。
恐れることで命を拾ったのだろうが、戦場から逃げたのではもう兵士と言えぬ。
恐怖は思い切りを捨てさせ、技も鈍らせる。
どんなに肉体を鍛えても、どんなに強い力を持っていても、恐怖が得物を握る力を奪うのだ。
そのせいで一瞬、攻撃を弾くべき盾の振りが遅れた。
ザシュッ!!
射程の差など問題ではない。胴の急所まで剣が届かないのならより近いところを狙えばいい。
ギヨームの剣がボスの手首を切り裂いた。篭手を付けていないボスの腕は剥き出しだったのだ。
「ギャァァァーッ!!」
激痛に物凄い悲鳴を上げてボスは思わず剣を手放してしまった。
ブシャァァッ!!
静脈から汚れた血が噴出する。
ボスは手首を押さえて無様に地面を転げ回った。
「降参するか?」
敵の首にきらめく切っ先を突きつけてギヨームが尋ねる。
「こ…降参する……」
敗北の予感に強盗団の首魁は再び心が折れた。
こうして悪は成敗されたのである。
正義の冒険者達は悪漢どもを縛り上げて、多少の手当てをしてやった。
「伏兵はいませんでしたよ」
アルフレッドが周囲に鋭い視線を巡らせる。
できる幽鬼は油断しないのだ。
これなら問題はないだろう。
後は襲われた商人の無事を確かめるだけだ。
ギヨームは馬車の方を見た。
けれども、そこには意外な光景が広がっていた。
「ガス?」
息子を見つめて驚いた。
伏兵に用心するどころか、ガスパルは馬車の扉を開いて呆然としているのだ。
「なんてキレイな女性なんだ……」
目を見開いてつぶやいている。
「あぁ? 大商人のご令嬢か…お前には過ぎたお嬢様だぞ……」
父親の勇姿を見逃したのかとガッカリしながらギヨームは自分も馬車の中を覗き込んだ。
そして、息子と同じく息を呑む羽目に。
そこにいたのはこの世のものと思えないほどに麗しき乙女。
漆黒のストレートヘアを腰まで流す、とてつもない美貌の少女が瞳を震わせてこちらを見ている。
だが、その胸乳はずいぶん控えめと言うか、真っ平ら。頭からは三角の耳が突き出し、尾骶骨の辺りから短く螺旋状に巻いた尻尾が伸びている。
そして、極めつけに車内には得も言われぬ芳しい匂いが漂っていた。
「おいおい、こいつは……」
絶句した。
話には聞いたことがある。
酒場の話題にしばしば上る、絶世の“美女”。およそめったに見られることのない豚人の特殊個体だ。
「ギヨーム、ちょっと厄介なことになりましたよ。商人がいません。こいつは隊商じゃなく、どうやら馬車の護衛も含めて無法者です…そちらのお嬢様はもしや……」
アルフレッドが困惑した表情を浮かべていた。
盗賊団が隊商を襲ったものとばかり思っていたが、襲われた方も悪者だったらしい。それも貴族や金持ちの子女を狙う卑劣な連中だったようだ。
「アルフィー、護衛の…もとい、誘拐団の連中も縛り上げといてくれ」
ギヨームは怪しい連中の拘束を頼み、自分は息子を抑えようと思った。
ところが、息子は上気した顔で“乙女”に手を差し伸べて。
「俺は…いえ、私は冒険者のガスパルと言います。悪漢どもの手から貴女を救い出した男です。結婚してください」
突如、口調を変えて意味不明の言葉を発していた。
「あわゎゎゎ!」
強盗団のボスにも強力な幻獣にもひるまないギヨームが思いっきりあわてていた。
「おいっ、ガス! ダメだ!」
「何だよ! 息子の恋路を邪魔すんなよ、親父! 俺は彼女に一目惚れしたんだ! 彼女こそが生涯の伴侶となってくれる女性なんだ!」
父親が止めるも瞳にハートマークを浮かび上がらせて息子は激しく主張していた。
この世のものとも思われぬ美貌に当てられてガスパルはすっかり“乙女”に魅了されていたのである。
「ダメだ! そいつぁ……」
ギヨームは口ごもるが、ここで黙るわけにはいかない。
息子が道を外すことを止めない父親はいないのだから。
「彼女は…いや、彼は男なんだぞ!」
全力で怒鳴った。
すると一瞬で周囲の空気が凍りついた。
「えぇっ!?」
「あの美女が男…だと……」
「俺達、オカマをさらおうとしてたのか?」
「ボス、すんげぇ身代金が取れるって話じゃなかったんですかい?」
「えっ? えっ? 俺はただ絶世の美女だからカネになるとしか聞いてないんだが…えっ? えっ?」
盗賊どもも騒ぐ騒ぐ。
しかも問い詰められたボスが目を白黒させていた。
「こんの…馬鹿野郎ども!」
ギヨームは怒鳴った。
心の底から怒りを込めて怒鳴りつけた。
疲労感がドッと押し寄せる。
だが、言わずにおれない。
「オークの若君はヒトの美女にそっくりだが…男なんだぞ!!」
もう一度怒鳴りつけた。
英雄の町アリエノールの冒険者にはオーク族もいる。
そういう連中との付き合いはあるが、浮いた話はついぞ聞いたことがない。
その理由、真相を知ったときは天地が引っくり返りそうなるくらい驚いたものだ。
大柄で筋肉質、イノシシのような牙を生やす、乳房のないブタのような獣人と思われがちなオークだが、獣人とは全く違う人種だ。
浮いた話を聞かない理由はかんたん。
彼ら、やたらたくましく粗野なオーク達は全員が全員、性別“女性”なのである。
単弓類から進化した彼らは一般的な哺乳類と異なり、授乳する習性も生理機能もなく、そもそも女にだって乳房がないのだ。
そして、単為生殖もできるオークは繁殖に異性を必要としない。また、その多くが戦闘狂であり、そもそも恋愛にあまり興味を示さない。
だが、オーク族に男がいないわけではなく、それはあまりに希少なので部族全体の共有物として大切に囲い込まれているのだ。
そんなオーク男性の若い個体こそが“オークの若君”、一般的な醜いオークとは似ても似つかない美貌を誇り、長い黒髪と華奢な肉体を持ち、そして、芳しい匂いを漂わせる絶世の“美女”なのである。彼らは誰よりも大切にされ、オークは自分達の“若君”を守るためなら部族の最後の1人になってまでも戦うのだ。
信じがたいことにそれを拉致してきた愚か者どもがいたらしい。
若君を奪われたオークは部族を上げて死にものぐるいで探すだろう。
犯人は間違いなく八つ裂きにされる。
こんなことに関わりを持ってしまったら間違いなく身の破滅だ。
「お前はその女性と結婚できない。男同士…いや、そもそもヒトじゃないんだから異類婚姻だぞ」
同性婚どころか生物として綱レベルで違う。子供は望めないし、教会も神殿も認めないから結婚式だって上げられない。
「おとなしく諦めて元の部族に返すんだ」
必死で説得した。
ところが、愚息は諦めない。
「嫌だ! 生まれて初めて女に…もとい、男に心ときめいたんだ! 命に変えても俺はこの恋を成就させる!」
ガスパルはオークの若君を抱き寄せて叫んだ。
「むぅっ!!」
いや、誰だって同性に心ときめくのは初めてだろうにと父親は唸った。
愚息も自分も冒険中はろくに体を洗っていないから体臭がきついはず。
それでオークの若君が嫌がるかと思いきや。
「オークなんて大きくてゴツくて臭くて野蛮だから嫌いです。ボクだってさわやかなヒトと結ばれたい」
そう言って豚耳を震わせながらさめざめと泣くのだった。
「うわっ、女にしか見えん。ぺったんこだが……」
女の涙は武器である。
それをまざまざと思い知らされてギヨームはひるんだ。
いや、こいつは男なのだが。
「おいっ、ガス! 惑わされんな! 女が泣くのは男が暴力を振るうのと同じだと教えただろ? 落ち着くんだ!」
あわてて息子を叱ったものの、その程度で若者の感情が落ち着くわけもなく。
「そうだ! 運命の恋人達は結ばれる運命にあるんだ!」
ガスパルは同じ単語を重ねながら目を輝かせている。
「まずいですよ。このままでは戦争になります…若君が奪われたと聞けばオーク達は命がけで戦うでしょう」
さすがにアルフレッドも落ち着いてはいられない。
オーク男性は華奢で小柄で戦闘能力など皆無に等しい。社会的地位どころか、人間としての権利すらなく部族の共有物である。
だが、それが彼らの武器なのだ。
女に守られなければ生きていけない、か弱いオーク男性はゴツくてたくましいオーク女性からとんでもなく大切にされている。
寿命はヒト族と変わらないが、歳をとっても容姿が衰えず、死ぬまで部族全体を魅了し続ける。オークの若君や父君が涙を流せばただでさえ野蛮なオークは興奮して手に負えなくなる。激高して目を血走らせ、泣かせた“敵”を全力で滅ぼしにかかるのだ。
もしも、若君がヒト族にかどわかされたと知れればその部族だけでなく、オーク全体がアリエノールに対して敵対しかねない。
「オカマのために殺し合いとか勘弁してくれ……」
血に染まる町の幻影を見てギヨームはゾッとした。
幽鬼の言葉は世迷い言ではない。
大いにあり得る未来なのだ。
そこへさらなる絶望が付け加えられる。
「後、この件について我々の助力は期待しないように。ご主人様は人間同士のいさかいに介入したがりません」
アルフレッドが耳元でささやいたのだ。
「うぇっ!?」
言われてギヨームは目の前が真っ暗になった。
なるほど、幼馴染みは屍導師という幻獣であり、人間同士の争いに巻き込まれることを好まない。
そして、どんなに野蛮で凶暴でもオークは人間なのだ。彼らは親から生まれて育ち、子を生し、いずれ歳を取って死ぬ。明らかに幻獣ではない、見かけがヒトと違うだけの人間だ。
この件についてイレーヌの手助けは期待できないだろう。
「いや、ダメだ! ダメだ! お父さんはそういう乱れた関係を認めないぞ!」
大あわてで止めに入るが、2人は聞いてくれない。
「キミは俺に遭う運命にあったからヒト族の誘拐団にさらわれたんだよ」
「まぁ、そうなんですか……」
見つめ合う2人。
年齢も若く、お似合いに見える。
お似合いに見えるが両方とも男だ。
「うわぁ…男同士で手を取り合ってる!」
「いや、男同士以前にオークとヒトだぞ」
「でも、なんて美しい……」
「だが、それって変態だろうに……」
「むぅ…男同士も“あり”なのか……」
「世の中、乱れてるなぁ」
縛り上げられた盗賊どもでさえ見惚れていた。
どうやらオークの若君が発する匂いはヒト男性にもそれなりに効果があるようだ。
頬を赤らめて男が男と見つめ合う。
それをむくつけき男どもが憧憬の念を込めて見つめている。
何とも面妖な光景であった。
「やれやれなんともはや……」
さしもの幽鬼も困惑の表情を隠せない。
どうやら面倒なことになりそうだ。
嵐の予感で頭が痛くなり、アルフレッドは天を仰ぐのだった。
ここまで読んでいただきありがとうございます♪
ついに描いちゃいました☆
お姫様が乗った馬車を襲う盗賊を正義漢が退治する!!
これぞ、最近のインターネット小説投稿サイトで人気のファンタジー定番のテンプレートストーリー♪
でも、まぁ、う〜〜〜ん……エドガー・ライス・バロウズの『火星のプリンセス』やエドモンド・ハミルトンの『キャプテン・フューチャー』シリーズでも似たような展開はありましたから、最近のテンプレと言うよりも“古典的な展開”と言っていいのかもしれませんね。
さて、そういうわけで典型的なヒロイックファンタジーの展開です♪
ファファード&グレイマウザーも英雄コナンも野獣王ターザンも似たようなことやってますからね。
まさしく!!!
でも、お姫様は男でした\(^o^)/
お笑い小説ですからね、こんなんばっかりですわwwww
オークの設定を考えたとき、面白そうだからと単弓類から進化したとか、単為生殖とか、矮雄とかを盛り込んだときからこういう展開にできるかなと考えていましたwwww
単弓類は恐竜よりも古い種でディメトロドンとかエダフォサウルスが好きでした。
背中にでっかい帆をかけたトカゲみたいな奴ですww
で、オークの何がマズイって牙があるんですよね〜〜
牙がある、つまり異歯性があるんです(^_^;)
異歯性は哺乳類に典型的な特徴で一般的な爬虫類や両生類にはありません。
つまり、恐竜の歯は全部が牙か、全部が臼歯で怪獣みたいな特別な牙というものはなかった…ということになります。
……なので特別な牙を持つオークは哺乳類ということになりますが!!!
それじゃつまらない。
センスもワンダーもあったもんじゃありません。
センス・オブ・ワンダーを追求するには哺乳類以外の種を導入せねば…というわけで単弓類にしましたwwwww
後、今回の<<歴史です。産めよ、増やせよ、地に満てよ!? ゾンビ地獄じゃぁぁ!!>>章にはまともなアクションシーンがろくにありませんでしたからね。
無性に描きたくなったので冒険者達に活躍してもらいました。
ようやくまともなバトルシーンが描けました(^o^)
さて、そういうわけで次回はこちら<<歴史です。産めよ、増やせよ、地に満てよ!? ゾンビ地獄じゃぁぁ!!>>の最終話『復興した街で人間の王は何を思う? だから、暁光帝は知りませんにょ。好きにやればいいと思いますぉ☆』です。
請う、ご期待!




