えっ、人間達が恐れおののいている? うん、まぁ、苦情はラナス大森林へどうぞ。言われたことをやっただけの暁光帝は何も知りませんにょ。
今回の異変について神々はどう思ったのか。
あ、いつもどおりですぉ☆
青ざめて右往左往していただけですwww
それもこれも神界の腐敗と怠慢が原因\(^o^)/
だって、人間達が「神様、ゾンビが反乱を起こしたので助けてください!」「神様、ゾンビに齧られて痛いです!」と祈り懇願してきたのに…「たかがゾンビだろう」「ワシがやらなくても他の神がなんとかするだろう」と捨て置いたので問題が拡大してしまったのですからwww
そりゃ、「一週間後に、暁光帝が降りる」の一報を受けてからあわてたって間に合いませんぉwww
そういうわけで神々の悩みは尽きません。
さらなる大異変が地上を襲います。
さぁ、どうなることやら……
お楽しみください。
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神々は嘆くばかりだったが、天使や悪魔は働いた。
やるべきことをやるために。
各地の神殿や教会に神託を降ろしたのだ。
これで大勢の巫女や預言者が口を揃えてゾアンゾンビの真実を広めた。
ゴール王国の南、南ゴブリン王国との国境に近いペレネー領で何が起きたのか。
どなたが降りて何をおやりあそばされたのか。
それでペレネー領がどうなってしまったのか。
何が原因でどういう結果がもたらされたのか。
暁の女帝様が行った新しい偉業について津々浦々に告知されたのだ。
その結果がもたらした衝撃がとてつもない。
王も奴隷も等しく誰しもが“ペレネーの大破壊”に震え上がった。
暁光帝の“初期化”しあそばされた土地がどうなったのか、その意味を考えればどんな愚者でもわかる。
理解できる。
もっともわかりやすい破滅の形だ。
とてつもなく恐ろしい。
その言葉の意味が体の芯まで凍えつかせる。
暁光帝の新たな偉業は。
何の罪で引き起こされたのか、を。
どのような罰が下されたのか、を。
そして、暁の女帝様がご決断の前では人間など存在の意味すらないのだということを。
人々は思い知らされた。
そして、世界が恐怖におののいているとまたしても暁光帝が地上へ舞い降りた。
ペレネー領に接して少なからぬ被害を受けた隣の領、そこで暮らす人々は真っ平らに均された土地を前に呆然としていたのだが。
ある日、目の前で真っ更の地面から木々がニョキニョキ生えてくる様子を目の当たりにした。
それでみるみるうちに森が出来上がっていった。
いつの間にやらラナス大森林が再生していたのだ。
まるで何事もなかったかのように元通りに。
ゴール王国は蜂の巣をつついたように大騒ぎで何が起きたのか誰にもわからない。
だが、すぐにまた神託が降りた。
各地の巫女や預言者が口々に言う。
『暁の女帝様から恩寵を賜り、ペレネーの大地は復活させられた』、と。
これぞ、またしても人間達と神々の心胆を寒からしめた、暁光帝の新たな偉業“ペレネーの大再生”である。
それは全き奇蹟であった。
ただの1日でペレネー領を含む大地が蘇ったのだ。
神界リゼルザインドに再び激震が走った。
「これは!? これが魔法なのか!?」
「魔法じゃ。正真正銘の大魔法じゃ」
「無から有を生み出す大魔法“物質創造”…だが、これほど大規模に…これほど広範囲に…これほど精緻に…ありえん!」
「森と谷と山と湖を創り出してなお全ての動植物をゼロから蘇らせたんだ。しかも、小さな羽虫やアリまで…神力だってここまではできないぞ」
「不可能よ! どんな神にだって悪魔にだって…いえ、たとえどんなドラゴンにだってできることではないわ!」
「現実を見ろ。彼女はできるんだ。できるから彼女なんだ」
「なんて恐ろしい……」
不老不死、永遠不滅の神々の神力を以てしても叶わぬ偉業が成し遂げられた。
破壊に続く再生。
またしてもとてつもなく大規模な偉業が顕されたのだ。
それは以前の偉業“ペレネーの大破壊”と同じか、それ以上に神々をおののかせた。
同時に『なぜ?』という疑問を湧き起こす。
どういう気まぐれで暁の女帝様は初期化された大地を再生なさったのだろうか。
本人から聞く以外の方法で解明不可能な謎だと思われたその動機だったが、意外にも早々と判明した。
龍の大図書館の魔法掲示板に記された書き込みが発見されたのだ。
それはとある幻獣達の組織からもたらされた文章だった。
【ラナス大森林の東にあった遺跡はアンデッドモンスターの文化を象徴する貴重な建物であったにもかかわらず、天龍アストライアーはそれを軽んじて初期化してしまった。これはアンデッドモンスターに対して酷い偏見を抱いていることの証左に他ならない。この件について天龍は異論のあるやなしや? 早急に返答をいただきたい】
ずいぶんと大げさで強引な長文だった。
発言者の名前は“全国アンデッド地位向上連盟ペレネー支部”となっている。
それに対する返答は極めて短い。
【まさか! 全部、直すよ! 今すぐ元通りに!】
いかにもあわてて書き込まれたらしい発言は署名こそなかったものの、誰が書いた文章であるかは明白だった。
紫の飾り文字は初期値で規定されている最高責任者、龍の大図書館の創設者にして管理者の筆頭である天龍アストライアーの発言に他ならない。
「彼女を従わせる組織が存在するだと!?」
「この全国アンデッド地位向上連盟とはどういった組織なのじゃ?」
「何でも…『常日頃、根拠のない差別や偏見にさらされている不死の怪物の地位を高めるために日夜、活動している組織』なのだとか……」
「う〜〜ん…あまり凄そうには思えませんわ。実は大したことないのでは?」
「いやいや、侮ってはならん。彼女を従わせる組織なのだぞ」
「それにしてもアンデッドとか、幻獣の中でも地位が低い者どもだろうに…そんな連中が彼女に影響力を及ぼすなんてとてもとても……」
「だが、現実に彼女はこの組織の言うことを聞いているのじゃ。これが意味するところは……」
一昼夜に及ぶ喧々囂々の議論がかわされた結果、『謎の組織“全国アンデッド地位向上連盟”は暁光帝の名代が集まった諮問機関ではあり、その珍妙な名称は忌憚ない意見を集めるための巧妙な隠蔽工作なのである』という結論に落ち着いた。
以降、神界リゼルザインドでは『アン連、恐るべし』が世界について議論する上で暗黙の前提になったことは言うまでもない。
ここまで読んでいただきありがとうございます♪
“ペレネーの大破壊”と“ペレネーの大再生”が人間とゴブリンと神々に及ぼした影響を描いてみました(^_^;)
あ、もちろん、これらの名称は暁光帝が名付けたものではありません。
そもそもあのドラゴン、地方の名称すら知りませんしwww
何しろ、本人は「ラナス大森林の辺りにP−−T境界みたいな大量絶滅を起こしかねない悪党がいるので退治してほしいと頼まれた」くらいにしか理解していませんwww
さて、そういうわけで次回は『大変! 人間達が大騒ぎしていますよ! 龍を退治しに派兵してくるかも!? あ、それは是非とも見てみたいものですね♪ 暁光帝は興味津々です。』です。
請う、ご期待!




