あまりのことに幽霊女中と屍導師はびっくり仰天☆ 暁光帝もニホンミツバチの熱殺蜂球に同じくらい驚いてますぉww
我らが主人公(仮)墓場のイレーヌはインターネット小説投稿サイトで人気の悪役職業ネクロマンサーです♪
そりゃ、お姫様をさらって高笑いしたり、邪悪な研究に勤しんだり、悪巧みをして世界征服を企んだり、村人をゾンビに変えてほくそ笑んだり、忙し…くはありませんでした。
ちょっと変わったネクロマンサーなのです。
何しろ、普通に街に中でゾンビを商っているくらいですから。
高笑いする練習もしてませんし、ゾンビ商売の顧客である村人に危害を加えるなどありえません。
顧客を殺して高笑いする商人とか、そっちの方が派手かな? いや、商売上がったりで破産しちゃうんでしょうけれどwww
そういうわけでイレーヌは真面目に商品開発と販売ロケ色の開拓に勤しんでいたわけですが!!
何と顧客が商品の誤った使い方で怪我をしてしまいました(>_<)
困ったものです。
電子レンジが発売された時、濡れた飼い猫を乾かそうとして置きてしまった悲劇が思い出されますね(>_<)
はてさて広場はどうなってしまうんでしょう?
あ、我らが真・主人公の暁光帝は物語に関われないので夢惑星エランの反対側でニホンミツバチを観察してびっくり仰天していますwww
世界を揺るがすラスボスを本気で動揺させるニホンミツバチ、凄ぇ☆
お楽しみください。
キャラクター紹介&世界観はこちら〜>https://ncode.syosetu.com/n2816go/
墓場の隣の屋敷、地下室に設えられた巨大な水晶玉の前でイレーヌとサロメが呆然として立ち尽くしていた。
「ご主人様、これは!?」
「知らないわよ!」
幽霊女中が詰問し、屍導師は当惑するしかなかった。
「シャルル・ロシュフォール、なんてことしてくれてんのよ!?」
死女は親指の爪をガジガジ齧りながら苛立たしげにうろついた。
「はぁ…『ゾンビに噛まれると噛まれた奴もゾンビになる』って謳い文句を知ってる?」
ため息を吐きながら尋ねた。
「いえ、それは“謳い文句”じゃなくて“警告”でしょう。それも間違っていますわ。正確には『生ける死骸に噛まれると噛まれた奴も生ける死骸になる』ですよ」
サロメは眉をひそめて訂正した。
そもそも屍従者は生ける死骸と違う。
それは超自然現象の1つだ。魔気“負の生命力”と“ξ-ⅳ”の2つが同時に印加されて魔力場が発生した時、たまたまそこに人間の死体があると“生ける死骸”という不死の怪物が発生する……
……こともある。
物事は単純ではない。
実は他にも色々条件があり、必ずしも発生するわけではないが、そういうことが多いとは言える。
「生ける死骸は負の生命力を好むので彼らが徘徊する場所も発生の条件が整っていることが多い。そういう場所で人間が死ぬと死体が生ける死骸になりやすいとは言えますが……」
不満げに語った。
確実ではない。運任せだし、期待通りの性能を持った個体が生まれるという保証もない。
つまり、この現象は再現性に乏しいのである。
それに生ける死骸による襲撃を獣害と考えれば不安は募るだろうが、現実にはオオカミやライオンに襲われることの方が多くてずっと危険だ。
「わたくし、ご主人様の造られる屍従者を野良の生ける死骸などと比べられるのは不愉快ですわ」
強い不満を示した。
サロメにとってイレーヌは極めて大切な存在だ。それこそ自身の半身と言っていいほどに。
未だに成仏しない理由でもある。
ところが、当の屍導師は。
「今、墓場のイレーヌから♪ ゾンビを買うと♪ もう一体ついてくる♪」
楽しげに宣伝文句を歌った。
「軍で制式採用ともなれば使用環境はどうしたって戦場になることが多いだろうし、死体は大量にあるんだからその場で商品が商品を産む……」
夢見る乙女の表情を見せて。
「屍従者の自己増殖による大量生産ができれば顧客からお買い得に思ってもらえるんじゃないかな、と…ね」
地下室の土壁の遠く向こうに栄光の景色を思い描いた。
胸に勲章を着けた、太ったおっさん達から称賛される自分の勇姿を。
戦場では敵も味方も屍従者ばかり。
凱旋パレードも屍従者が行進し。
民衆は歓声を上げて屍従者を迎え。
生身の兵士は転職して安全な暮らしを手に入れて。
危険な戦場から遠ざかれたことをゾンビに感謝し。
墓場で厄介者の無縁仏が再利用されて神職も嬉し涙を流し。
誰も死ななくなった戦場はより多くの屍従者を求めて。
イレーヌの商売は大繁盛☆
兵士の要らない安上がりな戦争をやりまくれて王様も貴族も大感激。
世界は平和と繁栄を享受する。
そんな未来である。
「ウェ、ウェ、ウェスト医師か♪ ナデールか♪ パ、パ、パラケルススか♪ フランケンシュタイン博士か♪ みぃーんな、悩んでおっきくなったぁー♪ (おっきいわぁ♪)(大物よぉ♪) 俺もお前も大物だぁー! 人生をでっかく生きる男達に墓場のイレーヌ謹製ゾアンゾンビ! 新・発・売☆」
突然、著名人の名を挙げつつ、中折れ帽をかぶって歌い出した。途中で蹴りを繰り出すのも忘れない。何か色っぽい亡者女中のお姉さんが合いの手まで入れてくれている。
「宣伝用の歌まで作って大々的に発表する予定だったのよぉー!!」
イレーヌ、血の叫びだった。
どれほど期待していたのか、想像するにあまりある。
「あー、こげなことなってもうたんすけど?」
呆れて幽霊女中は巨大水晶玉を指し示した。
そこには阿鼻叫喚の地獄絵図が映し出されている。
「実戦投入はしないって確約されていたのよぉー!」
イレーヌは唇を噛んだ。
シャルル・ロシュフォールに騙されたことが悔しくてならない。いや、意図的に騙したのではなく本人の見通しが甘かっただけなのだろうが。
しかし、原因は兄であるアルマンの暴走であり、そんな家族の行動を読みきれなかった状況判断の甘さである。嘘を吐いたのでなくとも不誠実な顧客だとのそしりを免れ得ない。
死女は悔しげに拳を握りしめる。
「この売り込みが成功すれば国家も軍人も民衆も屍従者の素晴らしさに気づいて三者とも繁栄する…死霊術師が讃えられる素晴らしい世界が来るはずだったのよ」
何もかも取らぬタヌキの皮算用に終わってしまった。
思い描いていた未来が潰えて、美貌の死女は地下室の床に手を着いて落ち込んでいる。
しかし、いつまでも膝を屈したままではいられない。
「まずい! このままでは大変なことになるわ……」
顔を上げ、水晶玉に映る広場の様子を眺めた。
「獣化屍従者は敵に倒された分だけ増えて数が減らないのを売りにしようと思ってたんだけど、急いでたから調整不足で……」
『今、墓場のイレーヌから♪ ゾンビを買うと♪ もう一体ついてくる♪』の謳い文句を思い出しながら考える。
「オマケに制限かけてない!」
シンプルに断言した。
「えっ、『制限かかってない』ってことは…いくらでもオマケがもらえてしまうってことですか?」
サロメは状況の危険性がようやくわかってきた。
「オマケがいくらでももらえる、つまり…あの獣化屍従者が無限に増えてしまう!?」
主がやったことの意味が理解できた。
『1本買ったらもう1本』どころか、『1本買ったら好きなだけオマケつけてやる、持ってけドロボー!』とやってしまったのだ。
なるほど、やたらとこだわっていた茸化屍従者はオマケを生み出させるための目玉商品というわけである。
しかし、それは非常に危険な状況をもたらすのではないか。
不安になってきた。
「軍事パレードがあんな有様じゃ…世の中に商品があふれちゃう。そうなったら需要が失せて亡者市場は崩壊しちゃうわ」
死女はアリエノールの町から人間が消え失せ、屍従者ばかりが徘徊している様子を思い浮かべて当惑していた。
そうなったらイレーヌの商品を欲しがる者がいなくなってしまう。
「えーっと…それって人類絶滅の危機ってことになるんじゃ?」
「そうとも言うわね」
これまた幽霊女中に尋ねられて、これまた死女はシンプルに答えるのだった。
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広場では観客が逃げ出していた。
商人も奴隷も職人も冒険者も、大人も子供も老人も、とばっちりを食ってはたまらないとばかりに全力で走っている。
それはそうだろう。
もともと、平和的な軍事パレードだったのだ。そんな場所で危険な目に遭うほどの理不尽はない。
誰も彼もが必死の形相で足を動かしていた。
そして、広場の中央ではアルマン部隊とシャルル部隊の勝負に決着がつこうとしていた。
1頭が倒されれば2頭が立ち上がり、2頭が斬られれば4頭が咆える、獣化屍従者の頭数は減る数よりも増える数の方が多い。
みるみるうちに数でも逆転し、数で逆転すると士気でもシャルル部隊が勝った。
形勢が不利になれば生者は恐怖に駆られるが、死者に恐怖はないのである。
死者は死なない。
足を斬られて動けなくなった者も茸化屍従者が胞子を振りかけると直った。肉体の治療ではなく、死体の修復だが、その程度の違いはどうでもいい。
獣化屍従者の軍団は膨れ上がり、アルマン部隊を飲み込んだ。
そして、最後に絶叫が響く。
「俺はミシェル・ロシュフォールの嫡男なんだぞ! 助けてくれ! 父上! ちちうえぇぇぇっ!!」
それは自意識ばかりが肥大化してしまい、指導者に必要な資質を培えなかった、哀れな男の叫びだった。
広場の壇上から状況を見つめていた辺境伯の耳にも叫びが聞こえた。
「アルマン……」
息子を失った父親が唖然として立ち尽くす。
悲しみで言葉もない。
しかし、やがて激情に駆られた。
無能な、愚かな、哀れな、息子。
自分の無能さに気づけないほど愚かだった、哀れな哀れな息子。
なぜ、誰も理解してくれなかったのか。
なぜ、誰も理解してやれなかったのか。
悲しみで胸が張り裂けそうだ。
この悲しみを、この怒りを、どこにぶつければいい?
だいたい、あのシャルルが悪い。
兄を差し置いて弟が出張るなど言語道断。
自分もそんな妹弟達のせいで余計に苦しんだ。あいつらが偉そうな真似をしなければ無実の乙女を陥れて殺さなければならなくなるなんてこともなかったのだ。
「あいつは俺を追い込んだ妹弟と同じなんだ……」
悲しみと苦しみが胸中を渦巻き、激情に駆られて短慮を引き起こしてしまう。
「シャルルの率いる化け物どもは神敵である! 者ども、シャルルを討て! 奴を討った者を後継者に指名するぞ!」
喉が張り裂けんばかりの絶叫が広場に響き渡った。
途端に野望に駆られた有象無象どもが目の色を変える。
諦めていた後継者の地位が手に入るかもしれない。
そのたった1つの希望が候補達の野心に火を着けた。
「うぉぉぉっ!」
「逆賊シャルルを討て!」
「兄殺しの弟だ!」
「神敵を逃すな!」
候補者達はそれぞれの部隊に命じて突撃させた。
「おぃっ、お前達も行かんか!」
父親ミシェルも自分の近衛兵を差し向けた。
ものすごい数のヒト兵士がシャルル部隊に突撃する。
「ガオォォォッ!」
「クヮァァァッ!」
「キー! キー!」
「ワォォォーン!」
猛獣兵士も吼え返した。
部隊の規模ではまだ他の後継者候補の方が圧倒している。
だが、シャルル部隊の大半は獣化屍従者。朽ちぬ死者の軍団だ。
規模で劣るシャルル部隊を大勢が取り囲み、襲いかかるも、倒れるそばから新たな獣化屍従者が立ち上がる。
辺境伯と後継者候補の部隊が数で勝るものの、シャルルの部隊は退かない。
戦局は膠着状態に陥った。
ペレネー辺境伯ミシェル・ロシュフォールは戦況を眺めているうちに激情が治まり、少しずつ冷静さを取り戻し始めた。
「奴らはゾンビだったのか…じゃあ、墓場のイレーヌが関わっているな」
増殖の仕方を観察していると正体がわかった。
加えてはっきりした特徴があることからイレーヌ製だということも判明した。
腐敗や外傷の痕がなく動きがなめらかで全体にゾンビらしくないのがイレーヌ製品の特徴なのだ。
「まずいな……」
つぶやいた。
イレーヌ製品が頑丈で強力であることはよくわかっている。
自軍の兵士長が愛用していて馴染みがあるのだ。
今は膠着した戦局だが、このままではシャルル側が盛り返してしまうかもしれない。
「兵士では厳しいかもしれん。やはり、餅は餅屋か…セバスチャン!」
家令を呼んだ。
「今すぐ冒険者ギルドへ応援を依頼するのだ。『広場で幻獣の集団暴走が発生したので大至急、対処されたし』とな」
歳を食ってもさすがは軍人、判断が早い。
家令は一礼すると混乱する戦況を尻目に広場を後にするのだった。
辺境伯の再従姉妹の夫であるギュスターヴ・アンリ・デ・ラ・バルテレミーは当惑していた。
領主の後継者レースからは脱落したのだから、もう家に帰って休みたいと思っていたのに当の領主からとんでもない宣言が飛んできた。
飛んできたのだけれども。
小心者のギュスターヴはやはり家に帰って休みたかった。
そもそも鬼嫁に脅されて渋々、名乗りを上げたのだ。
だから、自分の部隊だけ連れてさっさと帰ろうとしたのだが。
「ギュスターヴおじさん!」
突如、声をかけられた。
「おぅっ、シャル坊! そこにいたのか!」
振り返って妻の再従兄弟の次男を見つけた。
血縁関係からすれば遠縁というか、もはやただの他人だが、ギュスターヴにとってシャルルは赤ん坊の頃から知っている可愛い少年だった。
今は青年だが。
「がんばったな。でも、大変だな」
優しく声をかけて肩を抱いてやる。
「おじさん……」
緊張の糸が解けたのか、シャルルは涙声で顔をクシャクシャにした。
遠い親戚のおじさんと子供という、血縁上はほぼ無縁の他人だが、付き合いが長い。
鬼嫁に苦しめられる凡庸で気弱な男は実力主義を唱えて子供に厳しい教育を施す領主に批判的だった。
また、無能な兄に上から押さえつけられながら父親の無茶を聞いて才能を磨く少年は人格識見も立派に育ち、恐妻家の親戚にも同情的だったのである。
2人は昔から仲が良いのだ。
「大丈夫。ワシは味方だ。お父さんもちょっと頭に血が上っているだけだよ。さぁ、行こう」
「ありがとう、おじさん……」
2人は寄り添って広場から逃走を図った。
幸いなことに強力な猛獣兵士がしんがりを務めてくれている。ライオンにトラ、そして、4頭のサイだ。2本足で歩く猛獣がこれだけいれば敵のヒト兵士は近づいてこれないだろう。
「シャル坊は凄い兵隊を集めたものだなぁ」
ギュスターヴは感心しつつ、しみじみ褒めた。
やはり、この青年は凄い。周囲からの重圧に耐えて努力し、研鑽を積み、己を鍛え、広く縁を結んだ。その努力がこのように強力な部下達を得させたのだろう。
「おじさん、ありがとう☆」
この人物相手ならシャルルは素直に感謝の言葉が返せる。
凡庸とバカにされているが、ギュスターヴは優しくて包容力のある男なのだ。
「あの者らは獣化屍従者。墓場のイレーヌがもたらしてくれた僕の信頼できる部下ですよ。彼らは決して裏切ったり……」
『…逃げたりしません』と続けたかったが、できなかった。
鎖帷子の胸から尖った金属の穂先が飛び出していたのだ。
「ぐふぉぉっ!?」
転がるように前に進んで振り返ると。
「やった…やったわ! これでアンタが次の領主よ!」
辺境伯の再従姉妹でギュスターヴの鬼嫁が血染めの槍を握りしめていたのだ。
「お…おばさ…ん……」
すっかり血の気の引いた顔でシャルルは優しかった親戚を見つめた。
「ゴメンね、シャル坊。私は領主の妻になりたいのよぉー」
喜悦の色を隠そうともせず。
「辺境伯の再従姉妹の夫ギュスターヴの妻が逆賊シャルルを討ち取ったのよぉー!!」
鬼嫁は手柄について叫び、名乗りを上げた。
「そ、そんな…お前……」
ギュスターヴは言葉が続かない。
あわてて止血しようと青年に駆け寄ったものの。
「来るな!」
シャルルから血反吐とともに拒まれてしまった。
「こ…こんなことが……」
無能な兄に振り回され、殺されそうになったから反撃しただけなのに。
父親から討伐命令を下され、親戚に命を狙われ、ようやく見つけた味方に裏切られ、背後から襲われるとは何たる不遇。
いや、これが人間か。
屍導師イレーヌは嘘を吐かなかった。
契約を守った。
幻獣だから。
嘘を吐かない。
嘘が吐けない。
だが、人間は裏切る。嘘を吐く。騙す。
それが人間だ。
そして、人間である自分も今、兄を討った科で親戚から裏切られ、断罪されようとしている。
このまま無様に果てるのか。
「ち…畜生……」
悔しくてならない。
夢やぶれて無念のうちに斃れるとしてもまだ何かやれることがあるはずだ。
「ぐ…ぐ……」
出血が酷く、息をするのも苦しい。
考えることもままならない。
残された時間はわずかだ。
このまま父や親戚の望むままに死んでなるものか。
せめて敵に一矢報いねば。
敵だ。
敵は誰だ?
背後から自分を突いたこの女は何者だ……
名前は……
ダメだ……
失血が多すぎて頭が回らない……
だが、このままでは終わらぬ。
最後に思い浮かんだイメージは花のように可憐な屍導師の笑顔と自分を裏切った醜い人間達の顔だった。
残りの力を何とかかき集めて指揮棒を掲げる。
「人間を殺せ! 皆殺しだ! 世界中の人間どもを皆殺しにしろぉぉぉっ!」
シャルルは倒れ伏す前に絶叫した。
血の泡を吹き出しながら。
「……以上、僕、シャルル・ロシュフォールが…命…ずる……」
声を絞り、何とか最後まで言い切ると野心家の青年は目を見開いたまま倒れた。
すると、見よ。
ゾウが、ライオンが、トラが、サイが、ワシが、オオカミが。
二足歩行の猛獣達が真っ直ぐに倒れ伏した主を見つめるではないか。
そして、間髪入れず。
「「「「ハイ、ゴ主人様!」」」」
感情のこもっていない声で獣化屍従者達は応えたのである。
ここまで読んでいただきありがとうございます♪
美貌の死女イレーヌが歌って踊るエンターテイナー回でした\(^o^)/
歌詞に出てくる“ウェスト医師”、“ナデール”、“パラケルスス”、“フランケンシュタイン博士”、著名人らに登場してもらったつもりですが、一部はちょっとマニアックな出自かもしれませんね。
<<ウェスト医師>>
我らがハワード・フィリップス・ラヴクラフト作品『死体蘇生者ハーバート・ウェスト』から人気マッドサイエンティスト、ハーバート・ウェスト医師ですね。
回帰小説のマッドサイエンティストとしてはフランケンシュタイン博士の後輩に当たるでしょうか。
博士との違いは単純に“量”です。
とにかく物凄い数の死体を蘇らせて悦に入っていた、非常にわかりやすい人格破綻者です。
常に生命の神秘の探求に余念がなく、友人こそいたものの、フランケンシュタイン博士と違って結婚はしていません。
現代科学の申し子という設定ですが、まぁ、タイトル通りのゾンビ製作者ですね。
原初のネクロマンサーということで名前を挙げさせていただきました。
最後は物凄く悲惨な最後を遂げましたが、まぁ、自業自得ですね(^_^;)
もちろん、作品そのものは小生が何度も読み返した名作ですね。
人気のクトゥルフ神話は欠片も出てきませんが(>_<)
こればかりは科学者の話なので邪神の皆さんにはお帰り願うしかありません(ToT)
でもホラー小説としては秀逸の出来だと思います(^o^)
<<ナデール>>
クラーク・アシュトン・スミス著『イルーニュの巨人』から。
投稿したときはまんま「イルーニュ」というは地名でだったんですが(^_^;)
さすがにまずいので本日2023年12月28日、何とか術者の名前を調べて修正しました。
妖術師ナデール、年老いた肉体を捨てて死体を集めて造った巨人に魂を移し替えたネクロマンサーで、十人の弟子が入ったかごを首から下げていました。
こちら、小生が初めて見た“死体で造られた巨人”です。
ゾンビと言うよりも死肉で造られたフレッシュゴーレムのたぐいでしょうか。
家屋敷を踏み潰し、城を破壊して暴れる屍の巨人に領主も軍隊も右往左往!
世界の危機だぞ! どうなる!? どうする!?
その最後も大変印象的でこちらも名作だと思います(^o^)
<<パラケルスス>>
伝説的な錬金術師であり、魔術師である…実在の人物です(^_^;)
まぁ、ホムンクルスを創造したって噂もあるので今回、死女イレーヌの尊敬する著名人の1人に挙げさせていただきました。
実在の魔術師なら個人的にはアレイスター・クロウリーの方が好きなんですが、本人の伝記よりもサキの『ザ・ベスト・オブ・サキ』に頻繁に登場する貴族の若者“クロウリー”の印象が強いんですよね〜〜
パラケルスス自身は真面目に錬金術を研究していた感じ。
立派すぎてちょっと作中には登場させづらい。
<<フランケンシュタイン博士>>
メアリー・シェリー夫人の超有名作品『フランケンシュタイン』からヴィクトル・フランケンシュタイン博士です。
彼の創造物である“怪物”はしばしば側頭部からネジを突き出してボロを着た頭頂部が平らな巨漢というイメージで描かれ、その名もまんま“フランケンシュタイン”と称されますが、原作だと名前がありません(>_<)
小生もハマープロのハリウッド映画から入った口ですので原作を読んだときはびっくり仰天しました。
とんでもない名作です\(^o^)/
幼少時に母親の死を体験してショックを受けた少年が長じるに連れて学才を示すも生命に対する異常な探究心を併せ持ってしまったため、“死者の蘇生”という禁断のテーマに取り憑かれてしまい、ついには死体の手足をつなぎ合わせて“理想の人間”を創り出すという…神への挑戦と言える実験に手を出してしまい……
あ、実験は成功(?)しましたが、理想のイケメンのはずがちょっとズレて不気味な大男ができてしまいましたとさ\(^o^)/
まぁ、科学の探求にはよくあることですね(^_^;)
こうして生み出された実験体“怪物”はブサイクだったので博士に見捨てられてしまいました。
“怪物”は住所不定無職の成人男性(死体)として冷たい世間をさまよい歩き、だんだん博士を恨むようになりました。(←当たり前だ)
そして、ついには復讐心に目覚めてしまいました\(^o^)/
その頃、自作品である“怪物”のことをすっかり忘れたフランケンシュタイン博士が青春を謳歌して美女と結婚すると言います。
この話に激怒した“怪物”は結婚式のその日に博士の邸宅を襲い、花嫁を括り殺してしまいます。
「今日まで復讐のため、俺を捨てたお前を追いかけてきた」「だが、今日からはお前が復讐のために俺を追いかけるのだ」
こう言って“怪物”は博士の元を去ります。
フランケンシュタイン博士は自分の罪と創造物から返ってきた罰に衝撃を受け、花嫁の死体を抱きかかえて慟哭。
それでも復讐を遂げんと“怪物”を世界の果てまで追いかけます。
そして、北極点まで追いつめたところでろくな装備をしていなかった博士は寒さにやられて凍え死んでしまいます(←当たり前だpart2)
“怪物”は博士の死体にすがりついて嘆き、「神の真似をして俺を造ったお前は罰を受けた」「今度はお前を罰した俺が罰を受けるべきだろう」、そう言って難破船(木造)の建材を積み上げてその上に横たわり、火を着けます。
こうしてフランケンシュタインの“怪物”の肉体は炎に焼き尽くされて悲劇は幕を閉じたのでした………
あ〜〜〜…めっちゃめちゃとんでもないレベルでの名作です\(^o^)/
ラストシーンはギリシア神話の英雄へーラークレースの最後を彷彿とさせ、悲劇の“怪物”がオリュンポス12神のように星座になることを暗示しているのでしょうか。
凡百の作品では勝ち目のないレベルで超・名作ですね。
中学だか、高校だかの時分に読んで小生は酷く衝撃を受けました(^o^)
正直、バッドエンドのお涙頂戴な悲劇は嫌いですが、これは好き☆
ホラーだからかな〜〜
あ、自分じゃ絶対に描けないのでwwww
うちの『人化♀したドラゴンが遊びに来るんだよ』にこの手のどシリアスなエピソードを挿入しようと試みるほど自信過剰じゃありませんにょ(^_^;)
ちなみにその後に作られたフランケンシュタイン映画はひと通り見ましたが、あ〜…勝ち目ありませんね〜〜
原作が名作過ぎてちょっと及ばない。
だから、初めからわかりやすいホラー映画として制作するってのが正解なのでしょう。
フランケンシュタイン博士の“怪物”は死体を継ぎ接ぎされて造られているので、ゾンビと言うよりもやはりフレッシュゴーレムに分類すべきだと思います。
まぁ、この“フランケンシュタインの怪物”ばかりは小生も手が出せません。
ここまでハイレベルにまとめられた物語のキャラクターはいじりようがないんですよね〜〜
ましてや、他の作品に登場してもらっても浮くばかりです。
クロスオーバー不可能?
『幽霊城のドボチョン一家』や『怪物くん』の“フランケン”、カプコン対戦格闘ゲーム『ヴァンパイア』シリーズの“ビクトル”、この辺りはハマープロ制作のハリウッド映画準拠でわかりやすくてよろしいかと。
ちなみに今回のゾアンゾンビのアイデアはこちら原初のアンデッドモンスター“フランケンシュタインの怪物”ですね。
博士が掘り出した死体を継ぎ接ぎして理想の人間を創ろうと試みた狂気の実験により生み出された“怪物”はブードゥー教のゾンビやジョージ・A・ロメロのリビングデッドと違い、複数の死体から成ります。
やはりアンデッドモンスターと言うよりもフレッシュゴーレムなのでしょうか(^_^;)
何はともあれ、墓場のイレーヌ、こちら“著名人”にあやかってCMソングまで作っていましたwwww
今後、披露する機会はあるのやら(^_^;)
そして、とんでもないことになりました。
バカ親父が激高&短慮の末に自分の息子を討伐するように下命して……準主役シャルル・ロシュフォール、死亡(>_<)
その上、今際のきわにとんでもない命令を発令してしまいました。
いい具合に破滅への一本道を突き進んでくれましたぉ☆
ちなみに今回のお話でちょうど折返し地点に成りますwww
『人化♀したドラゴンが遊びに来るんだよ』<<歴史です。産めよ、増やせよ、地に満てよ!? ゾンビ地獄じゃぁぁ!!>>の章は全部で44話☆
こちらがその第22話になるわけですwww
さて、そういうわけで次回は『大ピンチ! 人類が絶滅しちゃう!? 暁光帝は漸減するヨーロッパライオンの方が気になるんですが、それは……』です。
請う、ご期待!




