今こそ世界の命運が決まる! これぞ暁光帝の決断なのです☆
ついに我らが主人公、超巨大ドラゴン暁光帝が地上に降りてきました。
いえ、地上じゃなくて海上ですね。
まぁ、些細な違いです(^_^;)
暁の女帝様は民草に何を語ったのでしょうか。
お楽しみください。
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一夜明けて男爵と愉快な仲間達が帰り道をたどっていた頃、ラナス大森林の幻獣達は淡水湖のほとりで一行の帰りをおとなしく待っていた。
あいにくの曇りだが、冷たい湖水は透明で清らか。肌をくすぐるそよ風が心地よい。
肌が鱗や樹皮で覆われている者もいるが、それはそれである。
誰もが天龍アストライアーの言葉を待ちわびていたのだ。
しかし、知らせがすぐに届くわけでもない。
いつの間にやら、皆、少しずつ語り始めていた。
「彼女の決断、それはやはり地上にはびこる人間どもの問題でしょうか。彼らはあまりに増えすぎました。その数が神々の勢いにまで影響を及ぼしています」
真っ先に花白仙女が口を開いた。
東のヒト族諸侯の国々で人気の装いを着て、黒髪を同じく東方の流行でまとめてかんざしを差している、仙術に長けた幻獣だ。若く麗しい女性の姿に見えるが、“金丹”という霊薬を飲むことで人間を辞めてしまっている。
「わたくしも会ったことはありませんが、あの方はかなりの御仁だという噂を耳にしておりますわ。今回、やはり神魔大戦への備えを決定なさったのでしょう」
上品な口調で語る、その姿は異国の姫君のように思えた。
「「「……」」」
多くの幻獣達が黙って仙女の言葉にうなずく。
大陸の東方やダヴァノハウ暗黒大陸、メヘルガル亜大陸など、それはそれは広大な地域から様々な幻獣達が大森林に遊びに来ているのだ。
これも天龍アストライアーの声明を直に聞きたかったからだろう。
神々と人間達から“暁光帝”の尊称で畏れられる彼女の存在は幻獣達の間でも特別な重みを持つのだ。
ちなみに仙女が海岸まで行かず、ここに残って待っていたのは到着してすぐ盛大にきこしめしてしまったからだ。
「はぁ……」
仙女はこめかみを押さえていて、少し青ざめていた。吐息がまだ酒臭い。
東方から大森林までの長旅から解放されて、意気軒昂、盛り上がったところで魔女や水竜から酒を勧められた。
東方の醸造酒と違う飲み口の蒸留酒がたんまり用意され、存分に歓待されたのである。
そのせいで今も二日酔いに苦しんでいるのだ。
「すると、ついに天龍アストライアーが人類絶滅の決断を下すのかい?」
まるで七色に輝く虹が喋っているようにしか見えない幼小竜、虹蜺はワクワクしていた。
同じく東のヒト族諸侯の国々で暮らしていて、人間達からは虹の化身、瑞兆として尊ばれている。
人気があるのは結構なことだが、崇められて竜神の真似をさせられるのはもうすっかり飽き飽きしているのだ。最近の人間は自分を捕まえて閉じ込めようとする始末。いい加減、鬱陶しいから絶滅してしまえとも思うようになっていた。
「人類絶滅かぁ…信仰する奴がいなくなれば祈りは失せるからね。神界リゼルザインドを兵糧攻めできるわ」
敵対勢力の兵站を妨害しようという、虹蜺の考えは明らかで理路整然として筋が通っている。
「「「それなら悪魔も見過ごせないぞ。奴らは人間の国で暗躍し、信仰心を集めている。負けじと天使も競っているから神界リゼルザインドが勢いづいているのだ」」」
有翼三首竜は翼を広げ、3つの頭についた3つの口で声を揃えた。北の大国からやってきた客人だ。手先が器用で錠前や檻を自作し、人間をコレクションするという変わった趣味を持つ。
「神々が調子に乗って再び神魔大戦の勃発か。また、僕らも巻き込まれるのかな。嫌だなぁ……」
七色の虹が不満を漏らした。神々の思惑で天使や悪魔、そして、人間が引き起こした戦争は世界中に重い負担を強いた。幻獣達もずいぶんと迷惑をこうむったものだ。虹蜺だって他人事では済まされず、天使や信者の人間に捕まり、錦の御旗として使われたもののだ。
あんなことはもう二度とやりたくない。ごめんこうむる。
「イヤ、待ッテクレ。嫌ダ。人類絶滅ハ困ル。ソウナッタラ俺達ハ何ヲ食エバイインダ?」
美食家の足の目の怪が激しく抗議した。ダヴァノハウ暗黒大陸からやってきた真っ黒な肌の怪人は人肉料理をこよなく愛する美食家として知られている。
コレクションするだけで人間を食べない有翼三首竜とはそういう理由で意見が合わないのだが、人食いオオカミや人食いライオンからの支持は多い。
もっとも今回ばかりは利害が一致したらしい。
「「「うむぅ…俺らも人類絶滅は困るな。天龍アストライアーに考え直してもらえないものか」」」
有翼三首竜は3つの頭の全部が意見を統一していた。
確かに人間を愛好する人食いの美食家や生き血を吸う吸血鬼など、人類絶滅によって食生活の変化を迫られる者は少なくない。
「神魔大戦を止めたければ人類絶滅なんてまどろっこしいことにかまけず、いっそのこと、神界と魔界を強襲してしまえばいいのです。神々と天使、暗黒神と悪魔、その両方に迫るのですわ」
東方の姫君のような姿ながらその提案は過激だ。問題の根本的な解決を図るべく、花白仙女が提案したことは大勢を納得させる意見だった。
「そうね。最近、神々の増長は目に余るわ」
「天使が人魚達に立ち退くよう言ってきたのよ。あれって人間の港を建設するのに邪魔だったかららしいわ」
「実力主義とやらを唱え、『森で腕試しだ』って冒険者をけしかける悪魔のせいで大勢の三叉樹達が焼かれたわ」
「酷い……」
「天龍アストライアーは虐げられた幻獣のために立ち上がるのだわ」
森精霊や水精霊ら、麗しの女精霊達も口を揃えて憤慨し、神々の横暴を非難するのだった。
「しかし、それならよ……」
ラナス大森林で最強の幻獣、水竜ガルグイユは重々しく言葉を連ねる。
「人類と神々の両方を相手にすんなら幻獣の側も相当、気合を入れないとなぁ。今までのようにそれぞれがバラバラで好き勝手にやってたら負けちまうぞ」
少し厳しい言葉で告げた。
神々と天使、暗黒神と悪魔、それに人類、彼ら全てと戦うには幻獣達がお互いに協力し合い、事に当たらねばならないと言っているのだ。
全体を組織化させねばなるまい。
それも人間のように。
「「「ってこたぁ、儂らも“役職”っつーもんをあてがわれなくちゃいけねーのか」」」
「地位ヲ得テ名誉デ着飾ルノカ…マルデ人間ミタイダゼ」
「“勇者”とか、“伯爵”とか、“商人”とかかい? 面倒くさいなぁ……」
有翼三首竜が3つの口でぼやき、足の目の怪が感心し、虹蜺は不満を漏らした。
普段、好き勝手に暮らしている幻獣達は社会性に乏しい。
けれども、天龍アストライアーが天下に号令したならば心を1つにして世界の大変革を実現すべく邁進することになるのだろう。
それほどまでに彼女の威光は強烈なのだ。
「そうなったらあちこちのトップに立つのは俺ら、竜種になるだろうな」
水竜は嘆いた。
もう今まで通りの生活は送れないかもしれない。
自分達、竜種が指揮して巨人や合成獣ら、強力な幻獣の軍団を率いることになるのだ。
「そっかぁ…こっちでも錦の御旗にされちゃうのかぁ……」
ついつい、下をうつむいてしまう虹蜺だった。これだけ目立つ竜種では祭り上げられる運命から免れがたい。仕方ないとも言える。
「俺達ガ人間ノヨウニ身分トカ役割トカニ縛ラレルヨウニナルノカヨ、厄介ダナァ……」
物凄い不満顔で足の目の怪がこぼした。
面子や建前のために働きたくはない。
だが、しかし、もしも彼女がそうせよというのならやらねばなるまい。
「ヤレヤレ、ナントモハヤ難儀ナコトダガ仕方アルマイ……」
肩をすくめた。
幻獣は自由だ。何者にも縛られない。
けれども、天龍アストライアーは正しいことしか言わないし、彼女の判断は魔女バケモノ連盟の利益に連なる。
要するにお得だということだ。
そうするのが合理的ならばそうすべきだろう。
「増長した神々への制裁、人類の絶滅、それらを実現するための官僚制の導入か…大変そうだけど、全部、彼女の心づもり1つなのですよね……」
1つ、2つ、3つと指折り数えながら花白仙女は今後、起こりうる事件を示した。
「彼女のことだから、吸血鬼や人食い美食家の皆さんのことを考えて人類絶滅とまで行かなくても大幅に数を減らして“絶滅寸前”くらいで打ち止めにしてくれるかもしれませんわ……」
ため息を吐いて。
「…そうね、人間達はゴールデンハムスターくらいには減らされることでしょう」
人類の行く末を予言してみせた。
「ソイツァ、シンドイゼ…イツモ腹イッパイ食イタイトカ贅沢ハ言ワネェカラ、タマニャァ太ッタ商人ノ肝クライハ食ワセテモライテェナァ」
「ヒト、ヒト、ヒト、ヒトノチ、イッショウゴンゴウ☆ オナカイッパイノミタイ。クゥ〜〜ン……」
楽しみが奪われてしまうのではないかと足の目の怪や人食いオオカミ達が青ざめている。
しかし、神魔大戦のような大戦争が再び起きる可能性を考えると早急に何かしなければならないことは明らか。
今、この瞬間にも彼女の決断が求められているのだ。
唯一無二の、大いなるアストライアーの決断が。
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大森林の深奥、生い茂る木々に遮られて木漏れ日も差し込まない場所だ。
妖人花とハミルトン男爵と樹木人はえっちらおっちら森の中を進み、ようやく戻ってきた。
「うむ、喜ぶんじゃ、男爵! 今日も空は曇り、お主の憎き太陽は雲に隠れて出てこないぞ!」
吸血鬼の友人が森の外に出ても活動できることが嬉しい。老木が嬉しそうに話した。
「ようやく戻ってこれたわぁー」
半裸の美女も楽しげだ。いや、花びらのスカートも葉の胸当ても肉体の一部なのだから、実は半裸ではなく全裸である。
やがて、森を抜けると淡水湖のほとりへ出た。
「お帰り」
「お帰りなさい」
水竜ガルグイユや魔女ら、ラナス大森林の重鎮達が迎えてくれた。
「「「ただいまー」」」
一行、3頭が元気良く応える。
人間社会では“地獄の魔境”と恐れられているが、一行にとっては安らげる場所だ。
人食いオオカミ、三叉樹の群れに人食い蔓草、人食いウズムシに人食いヒモムシ、それに魔人茸や毒人茸らお化けキノコ達、森は凶悪な幻獣が数多く徘徊している。もっとも、それは人間から見ての話であり、同じ幻獣である男爵らにとっては無害な隣人でしかない。
冒険者の天敵であり、遭遇するだけで死を覚悟しなければならないくびりシダだって、すれ違うときに挨拶するだけの無口な隣人くらいの認識だ。
実際、先ほどすれ違ったが、男爵らは軽く会釈しただけだし、くびりシダも葉と枝をしならせつつうねってみせただけだった。
「それで天龍は何と言ってたんだ?」
普通に話すと見上げるばかりで首が痛くなるような、大きな水竜が尋ねてきた。
「そこはぜひとも伺いたいものね。あの天龍アストライアーが世界をどう変えようとしているのかを」
大陸東方からやってきた、花白仙女が真剣な表情で口を開いた。
他の面々も落ち着かない。
「……」
魔女は黙って見ているが、倒木に腰掛けて組んだ足を入れ替えている。顔には出さないが、相当、気になっている様子だ。
天龍アストライアーの一言で世界の行く末が左右される。
それは誰だって気になるだろう。
他にも樹高の高いトレントや美しい女精霊の樹精霊や水精霊も一行に注目している。
わざわざダヴァノハウ暗黒大陸からやってきた足の目の怪や獅子女王もいる。
果たして彼女は何と言ったのか。
世界の命運を決するというその言葉に注目が集まっている。
幻獣の未来や、如何に?
信仰を絶ち、兵糧攻めで神々を追い込むべく人類を絶滅させるのか。
神界と魔界への二正面作戦で強襲を仕掛けるのか。
幻獣社会に官僚制度を導入して神々と人類に対抗できる勢力として育てるのか。
何もかもが彼女の決断にかかっているのだ。
淡水湖のほとりに集まった幻獣達の視線がことごとく男爵に集まっていた。
これにハゲ頭の吸血鬼は大いにひるんだが、何とか気力を振り絞って語りだす。
「うぅむ…アストライアーの言葉なんだけどね、物凄くシンプルだったんだよ。言ったことをそのまま伝えてみるから…みんな、心して聞いてほしい」
自分に集まる視線にたじろぎながらも男爵は口を開いた。
「『2以上の任意の整数は一意的に素因数分解される、これが証明されなければならないよ』と、彼女は言っていたんだ……」
語りながらどんどん困り顔になってゆく。
ここまで読んでいただきありがとうございます♪
世界の未来について幻獣達はとても心配していました。
エレーウォン大陸の人口が急激に増大して人々の祈りが増えると神界リゼルザインドが活気づき、神々が騒ぎ出しました。
再び神魔大戦が起きる予感?
幻獣達はこれに対して様々な算段を話し合います。
もっとも、全ては暁光帝の心づもり一つ。
果たして彼女の決定やいかに!?
……ってな感じに展開しましたが、まぁ、そこは我らが暁光帝です。
今後の展開にご期待ください☆
あ〜…ここまで執筆が遅れたのは心筋梗塞と肺水腫と低酸素血症の合併症ってゆー大病の大盛り詰め合わせセットを食らっていたせいもあるんですが。
あ、ちなみに二度とごめんです(>_<)
3年前にドクゼリ食らって中毒起こして死にかけましたが、今回はマジできつかったし。
地獄の苦しみフルセットコース(オプション全部のせ)でしたね(ToT)
インスタグラムにアップロードしたい…かな。
あ、総合病院そのものは超快適でしたよ。
生まれて初めて救急車に乗って生まれ始めて入院しましたが、それまで病院にかからなかったことを公開するレベルで素晴らしい体験でした。
もちろん、地獄の苦しみフルセットコース(オプション全部のせ)を味わった後の入院生活の話ですけどね。
で。
「やばい!このまま異世界転生する?」と案じていたときに一つだけ心残りだったのがPlayStation5ですwwww
入院する直前に購入したんですよね〜
PlayStation4『聖剣伝説3』とか、PlayStation5『ヴァルキリーエリュシオン』とか、『フォースポークン』とか、プレイしていました(^o^)
昔からスクウェアエニックス作品には親しんできましたからね。
インターネット上では散々な評価で不安もあった『フォースポークン』がとんでもなく面白くて驚きました。
結局、80時間超プレイしてようやくストーリークリアしましたが、遊べる要素がたくさんあってまだまだプレイできそうです。
おそらく、半分くらいしかまだやってませんわ。
これ、アクションRPGじゃなくてアクションゲーム…ですかね?
やたら新鮮なアクションを楽しませてくれました。
ストーリーも終盤でどんでん返しがあって面白うございました。
いや、欠点がないわけじゃありませんよ。
主人公のアルフレイが20歳の身長180cmの黒人女性☆
…なのに色気0のコスチュームで生足も巨乳も魅せてくれません(ToT)
全員が女性のボス達もエロさ皆無のおばちゃんばかりで…
『閃乱カグラ』とまでいいませんが、もうちょっとこう(・人・)揺らすとかできなかったものでしょうか(>_<)
国産ゲームでは貴重な黒人女性、しかも身長180cmならバスト1メートル超を期待せずにはいられない!
まぁ、『聖剣伝説3』のアンジェラが貴重な(・人・)成分を補給してくれましたのでそちらを♪
いやぁ、ゲームの表現力も上がりましたね〜〜
ファミコン以前のテニス? ピンポン? 一台のゲーム機に一本のゲームしか入っていない頃とはエライ違いですわwww
まぁ、ファミコン時代の2DCGドット絵ちびキャラの良さもあるとは思いますけどね〜〜
今後も『ドラゴンズドグマ2』や『グランブルーファンタジー:リリンク』、『Stellar_Blade』が控えていますから健康に気をつけてしっかりプレイしていきたいものです。
いや、その前に『人化♀したドラゴンが遊びに来るんだよ』の校正作業があるんですけどね(>_<)
うちの場合、自作をひたすら音読5回です(ToT)
もうちょっと効率的にできないものかと思いますが、今のところ、これくらいしか手がありません。
やたらめったらふりがなも振らないといけませんし。
いや、そういうのを書いたお前が悪いんだろうと言われたらそれまでですが(^_^;)
“足の目の怪”と書いて“アイガムハ”と読んでもらわないといけません。
これが“かっぱ”なら一発で読者にイメージしてもらえますがね〜
こんな珍しい幻獣じゃ……
でも、“唐傘お化け”は“からかさおばけ”とふりがな振らないといけませんから、こういう校正作業はSFやファンタジー作品の宿命?
さて、そういうわけで次回は『また妙ちきりんなことを言っているとみんな、困っていますよ。いや、そう言う反応にこそ暁光帝は困るんですけど?』です。
請う、ご期待!




