暁光帝が健康のために走り込んだら大変なことに!? だけど人間達はがんばりますよ。
お久しぶりです。ずいぶん投稿が遅れました(>_<)
実は2023年2月13日に大病を患い、2023年2月14日から2023年3月9日まで入院していたのです。
危うく聖バレンタインデーに異世界転生するところでしたぉ\(^o^)/
あ、失敗しましたwww
心臓病で死亡して異世界転生は無理なようです(^_^;)
試してみた本人が言うのだから間違いありませんwww
世の中、早々うまくいかないものですね。
ええ。正直、そのまま逝きたかったんですよ。
そりゃ、銀髪美少女吸血鬼に転生してファンタジー世界でいんぐりもんぐり楽しく暮らしたいじゃありませんか。
でも、本作品の執筆が気になって地獄の底から舞い戻ってまいりましたww
ええ、マジで地獄の苦しみを味わいましたぉ♪
皆さんも異常な胸焼けにお気をつけください。
それはもしかしたらただの食べすぎではなく心臓病かもしれません。
小生みたいに……
……と、まぁ、辛気臭い話これくらいにしまして続きでございます。
実は退院してすぐに執筆再開と行きたかったんですが、入院中に色々思いついてしまいまして。
初期プロットのまま、バトルシーン満載のアクション展開に進むのもつまらないかな、と(^_^;)
そこで前の章<<ついに登場! チンピラが挑む、最大最強の敵!>>でちょこっとで描いた暁光帝の苦労話を広げてみました。
そういうわけで今回は番外編みたいな感じですかね。
いつもどおり主人公は暁光帝ですが、出番はあんまりありません。
人化♀する前の暁光帝なので登場するとお話が終わってしまうんですよ〜
なので、主人公(仮)は風変わりな2人、ダブル主人公であります☆
時間軸もメインのお話よりかなり前で。
舞台も瓦礫街リュッダではなくゴール王国の地方都市です。
西暦千年に達しないくらいのフランスがバイヨンヌ地方がモデルですね〜
例によって例のごとく、暁光帝が無茶苦茶した後の土地を人間達が同行する過程で様々なトラブルが起きて〜
暁光帝の代わりに主人公(仮)が奮闘する、みたいな?
きっと面白くなりますので…ってゆーか、しました。短い章のつもりで描いたら28万文字越えちゃいましたが、すでに完成はしています。
3回音読して校正も一応終わってますい。
後は予約投稿するだけ…
よほどのことがない限り、本章の最終話まで無事に投稿しきれることでしょう。
ちなみに“よほどのこと”に著者の健康上の理由は含まれません。
救急車で運ばれ、危篤で「ご家族に連絡を」言われたのに手術したらあっさり治りましたwww
その後、総合病院で半年ほど検査検査の繰り返しでしたが「冠状動脈が3本とも血栓で詰まって心筋梗塞だったのと肺水腫を併発して低酸素血症だった以外は健康」というお墨付きをもらいましたぉ☆
ええ、まぁ、作者本人が万能スキル【重病に罹ってもHP1で生き残る】持ちだったようでwwww
不思議!
いや、実は胃世界で魔王を倒してから現実世界に戻ってきた主人公(笑)だったのかもしれません(^_^;)
…と、ゆーわけで☆
お楽しみください。
キャラクター紹介&世界観はこちら〜>https://ncode.syosetu.com/n2816go/
それは人化した彼女が瓦礫街リュッダに来るずっと前の話。
久しぶりに会った孤高の八龍が2頭、緑龍テアルと白龍ノヴァニクスは意気投合し、手慰みに開発した農業革命を人類に広めてしまった。
それが禁忌であることを彼女達は理解していたのだが、久々に同好の士と出会ってついつい盛り上がってしまったのだ。
他者から理解されづらい趣味を持つ者同士が出会うとよくあること、世の常である。
だが、そんな他者から見れば他愛のない出来事が世界に重大な影響を及ぼす。
そんなことが起きてしまうのもまた世の常である。
疫病や戦乱でおおむね荒れていたエレーウォン大陸の人口はたちまち増加に転じてしまった。
そう、“しまった”のである。
人口が増えることは人間社会のみに限って考えれば必ずしも悪いことではない。
むしろ良いことだと言える。
しかし、世界は人間だけが暮らす場所ではなく、また、その影響は様々だ。
世界は龍がもたらす変化に耐えきれない……
……こともある。
そんなこんなで人口が増えれば信者も増える。
信者が増えれば、祈りも増える。
祈りが増えれば、神々が喜ぶ。
祈りは神々の糧であり、信仰は神々の勢いだからだ。
2龍がもたらした“手慰み”は世界に新たな歪みを生ぜしめようとしていた。
『勇気が必要だ』
そんな国是を掲げる国家がある。
ゴール王国。
偉大な王が野蛮な異人種を平定して打ち立てた偉大な国家なのだ。
昔々、広大なエレーウォン大陸の西端に無人の土地ができたことがある。
そこは大陸の西端。以前からヒト族、獣人族、侏儒族、豚人族が勢力争いを繰り広げていた。その上、エングレス島の妖精人族や茸人族までも介入してきて、それはそれはかまびすしい場所であった。
けれども、ようやく偉大な女王が現れてゴブリン族を統一、その地に強大な国家を築き上げたのである。
その勢いは留まることを知らず、際限なく広がってゴブリン王国は大いに繁栄した。
ところが、あまりに広大な領土を治めることの無理を悟ったゴブリン女王は南北に国を分けて娘達に統治させた。北ゴブリン王国と南ゴブリン王国の誕生である。
これによりゴブリン達が文明化され、国民が定住して安定した生活を送るようになるとゴブリンの勢力はますます強大になった。
それまで人口と団結力を背景に一大勢力を築き上げていたヒト族は非常に困惑し、このままではエレーウォン大陸の西から追い出されるのではないかと危惧するほどの事態になった。
実際、獣人達は早々に北へ逃げ、エルフやマタンゴもエングレス島へ引っ込んでいたほどだ。
ちなみに野蛮なオーク達は散々に打ち負かされて大陸の西端から追い出されていた。
ところが、ある朝、天空の彼方から現れたドラゴンが北ゴブリン王国へ降り立った。
たかが、竜1頭と侮るなかれ。
巨大な六翼で太陽を遮り、王都を龍の闇で覆うほどの超巨大ドラゴン、暁光帝だったのである。
彼女がご降臨なされた時、国破れて山河もなくなる。
実際、一瞬のうちに王都は壊滅した…というか、跡形もなく消し飛んで山谷も森も平らに均された。栄光の北ゴブリン王国は瞬く間に滅亡してしまったのだ。
そして、暁の女帝様は巣作りも早々に走り出した。
専門家が規定し、冒険者ギルドが恐れる、いわゆる“古龍”がその鱗1枚にしかならないほどの超巨体は余裕で高山をひとまたぎするほどに大きい。そんな彼女が超音速で走り、エレーウォン大陸を往復したのだ。
一日で。
夕方、北ゴブリン王国の、かつて王都だった廃都に戻ってきた暁光帝は暗くなる前に眠り。
翌朝、早くに目を覚ますと軽くストレッチして淡水湖の湖水を飲むと超音速で走り出し。
山も、谷も、森も、湖も、立ちふさがる障害をことごとく破壊しながら疾走し。
正午に大陸の東端に達するとそのままUターンして。
夕方、西端の巣に戻る。
そんな健康的な生活を23日間、続けたのだ。
世界史に燦然と輝く偉業、“暁光帝のマラソン”である。
彼女が走り抜いた足跡のおかげで大陸を横断する長大な交易路が確立されて、安全で実り多い貿易が可能になり、取引される物量は桁違いに増えた。これが食料の偏在を防いで悲惨な飢饉を抑制したことは多くの歴史家達が口を揃えるところである。もちろん、人々の行き来が盛んになって東西文化の交流も豊かになり、文明の発展に寄与したことも評価されるべきだ。
だが、それらの功績と同じく罪過も大きい。数え切れないほどの人々が踏み潰されて果てたこと、多くの国家が滅亡して膨大な数の流民が生まれたこと、それらの被害もまた甚大であった。
歴史的に公平な視点に立てば、功績ばかりでなく、その罪過も数えられねばならないだろう。
いずれにせよ、彼女の行いだ。
彼女の偉業は常に功罪が背中合わせであり、この“暁光帝のマラソン”もまたその常の1つであることは言うまでもない。
何はともあれ、人間達の思惑に関わらず、エレーウォン大陸の西端に人間の住まない無人の土地が生じたのだ。
問題はその後である。
暁の女帝様が爽やかな青春の汗を流して、再び天空の彼方へ飛び去った後も長きに渡り、人々は酷く恐れおののいた。
エングレス島の勢力、エルフもマタンゴも大陸に近づかない。
獣人は北方に引っ込んだまま。
南ゴブリン王国は全国民が南部に疎開して震え上がり、もちろん、同胞の仇を討とうなどという無謀な輩は1人もいなかった。
ずいぶん前に追い出されたオーク達は超音速で駆けるドラゴンがどこから来たのかを知って絶対に大陸の西端に近づこうとはしなかった。
暁光帝に軍隊を差し向けることは大嵐や大地震を軍事力でどうこうしようと考えるくらいに愚かしい。
かつて起きてしまったデティヨン海の悲劇やドゥンキルヒンの悲劇を引き合いに出すまでもなく、百万の大軍を一瞬で殲滅させた戦績が彼女にはある。
軍の“戦績”というか、龍の“被害記録”だが。
かつて愚かにも挑んだ者達が歴史書に記されている。
それは全く以て悲劇でしかなかった。
地平線を覆い尽くすほどの大軍で迫ったのに気づいてさえももらえなかった。六翼の羽ばたき1つで全軍が吹き飛ばされ、またたく間に殲滅させられたのだ。
碧中海の覇権を巡って二大強国が衝突したこともあった。その時は突如、深海から飛び上がった彼女の羽ばたきでそれぞれの大艦隊が一瞬で壊滅してしまった。それだけで大戦は終結し、強国の一方は滅び、残った方も衰退して数代を経た後に滅亡してしまった。
彼女の御前では大軍も個人も関係ない。人間など王も奴隷も等しく無意味なのだ。
“暁光帝のマラソン”、その後はとにかく誰もが震え上がって逃げ惑っていた。
誰も自分から進んで死にたいとは思わなかったのだ。
恐ろしい。
とにかく恐ろしい。
ただ、そこにいるだけで免れがたい破滅をもたらす超巨大ドラゴンの脅威に神々は沈黙し、悪魔は股の間に尻尾を挟んで震え、人々は息を潜めて隠れることしかできなかったのである。
もちろん、一部に『もう大丈夫だ』との声も上がってはいた。
けれども、『じゃあ、お前が確かめてこい』と言われると皆、口をつぐんでうつむいてしまった。どれだけ為政者が心を奮い立たせようとも民がついてこないのだ。
ところが、そんな時勢の中にあって1人の英雄が叫んだのである。
それはヒト族ゴール人の王であった。
彼は津々浦々で繰り返し唱えた。
『今こそ勇気が必要だ』と。
かくして若く血気盛んな王は配下の命知らずどもを率い、かつて北ゴブリン王国だった土地へ進出したのだ。
亡国に人間は残っていない。
無人の荒野を突き進み、暁光帝の巣、すなわち王都の跡地が空っぽであることを確認した。
これはとてつもなく重要な情報であった。
すでに暁の女帝様は天空の彼方に去って久しかったのだが、神々も含めて誰もそれを知らなかった。
知ろうとしなかったのだ。
それだけ彼女が恐ろしかったことの証左でもある。
兎にも角にも若き王は女帝様の不在を確認した。
そして、もはや彼女は戻ってこないだろうと考え、国民を引き連れて北ゴブリン王国を征服した。
無人の土地を乗っ取ったのだから、“征服”というよりも“空き巣”だったのだが。
それでも無血の国盗りは偉業である。
こうして滅びた北ゴブリン王国の跡地で新たに“ゴール王国”が興った。
いち早く、乗り込んだことが功を奏した。
暁光帝の恐怖は非常に根深い。何年もの間、南ゴブリン王国は乱れたままで国勢を取り戻した後もすぐさま北伐という方針は執れなかったのである。
もちろん、エングレス島の勢力も北へ逃げた獣人達もオーク達も恐れおののいたままだった。
真の恐怖はそうかんたんに失せるものではないのである。
おかげでゴール王国の国情は安定し、南の国境は高いペレネー山脈と辺境伯の兵士に守らせることができた。
やがてゴブリン達は相手が暁の女帝様でないことに気づき、それならとようやく捲土重来に動き出した。
ゴブリン軍は奮闘したが、北伐の願いは叶わず。
ヒトによってゴブリンは追い払われたのだった。
そして、いくたびかの戦争を経てもゴール王国は厳然として存在し続けていた。
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ゴール王国が山々を境に南ゴブリン王国と国境を接するペレネー領は戦の絶えない地域だった。
それ故、ゴール王はそこを武勇で知られるロシュフォール辺境伯に任せ、領地の中央都市に特別な権限と地位を与えたのである。
海岸にはしばしば半魚人族が訪れた。彼らは地上に対して領土的な野心を持たないが、水陸両生の戦士と付き合うことに武力が不要とは言い切れない。
空き巣の真似事で自国の領土を奪ったヒト国家を侏儒達が許すわけもなく、北伐を唱える南ゴブリン王国も意気軒昂だ。
そんな状況下でペレネー領の中心都市は築かれた。
都市を囲むラナス大森林は豊かな恵みをもたらしてくれるが、人食い蔓草や三叉樹と言った凶暴な幻獣がはびこっていて採集には冒険者の力を借りなければならない。
いずれにせよ、争いの種には事欠かない。ペレネー領は紛争の絶えない土地なのだ。
傭兵に冒険者、勇者に英雄、荒事への対処に長けた者にとっては活躍の機会が多い場所である。
何しろ、参加に資格も試験も必要ない。
実戦で生き残ればいいだけだ。
兵士になりたければ傭兵として戦場で活躍すればいい。修羅場を生き抜けば自然と兵士長の目に止まり、こちらから頼まなくてもお上から宮仕えのお誘いがやってくる。
冒険者も同じだ。よくある依頼を受けてラナス大森林に出かけ、頼まれた動植物を採集し、生きて帰ってくるだけでいい。いずれ、冒険者ギルドの方から冒険者登録証をくれる。
勇敢な兵士が異人種の攻撃から町を守り、優れた冒険者の活躍が町に富をもたらす。
力こそ正義。
力とは修羅場を生き残る気概と能力なのだ。
非常にわかりやすい基準である。
それ故、領主も役人も冒険者ギルドも清廉であり、腐敗とは縁がなかった。
嘘を吐いて実力を偽る卑怯者は幻獣や敵兵に殺されてしまう。
誰しもが実力で測られ、力なき者は去るしかない。
領主は自ら最前線で将器を見せ、兵士達は勇気と力を領主に示すことで出世を果たす。
冒険者はラナス大森林の最奥に向かい、そこに棲むと噂されるドラゴンを討伐せんと心を逸らせた。そして、その道行きで得られた貴重な動植物や鉱石を町にもたらした。
吟遊詩人は彼らの活躍を歌い上げて喝采を浴びた。
勇者と讃えられた人物は軽んじられることなく、正当に評価されて英雄となり、非常に尊ばれた。
嘘いつわりのない、真実の英雄譚が紡がれるのだ。
吟遊詩人の歌は人気を呼び、ゴール王国を越えて大陸中から実力者がここに集う。
また、ここでしか手に入らない貴重な物品を求めて商人も集う。
こうして英雄の町“アリエノール”は大いに栄えた。
北の町外れに無縁仏を祀った墓地がある。
町の外からやってきた傭兵や冒険者は皆、根無し草で出自も定かではなく、親類縁者はいないことが多い。彼らが死ぬとたいがい無縁仏にされてしまう。だから、その亡骸を葬るための専用の墓地が必要なのだ。
もはや土の下に埋められた死者がどんな人物だったのかはわからない。
人種も宗教も故郷も不明。
だから、この墓地なのだ。
神々は必ずしも仲が良いとは限らず、光の神と闇の神のように表立って対立している神々だっていらっしゃる。だから、本来、異なる宗教の信者が同じ墓地で眠ることは望ましくない。
だが、死者に『お前はどんな神様を拝んでいたのか?』と聞いても答えてはもらえない。それ故、身寄りのない遺体はここに埋められているのである。
陰鬱な場所だ。
そんな町外れの墓地のそばにこれまた陰鬱な一軒家がある。うす気味の悪い黒い蔦に覆われて、隙間から覗いている壁は黴かと疑われるような青黒い気生藻が涙が流れるように這っている。
静かな馬小屋の馬はいなないたことがなく、皆、凍りついたように動かない。まるで馬の彫像のようだ。
家人の多くは目が虚ろでその肌は死人のように青白い。すれ違っても挨拶せず、ただ、黙々と命じられた作業をこなす。
そこには代々、墓地に関わる者、埋葬された亡骸を必要とする者が住んでいた。
死霊魔法、いわゆる“死霊術”を操る、呪われた死霊術師である。
ここまで読んでいただきありがとうございます♪
はい。思いっきり状況説明でしたー\(^o^)/
さすがに物語が進まなすぎてお話にならないので本日はもう一本投稿させていただきます。
さて、そういうわけで次回は『墓場の隣に亡者の館、真夜中に響き渡る絹を裂くような美女の悲鳴…暁光帝もホラーが大好きなのです♪』です。
請う、ご期待!




