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人化♀したドラゴンが遊びに来るんだよ_〜暁光帝、降りる〜  作者: Et_Cetera
<<ついに登場! チンピラが挑む、最大最強の敵!>>
139/197

暁光帝に挑む、チンピラエリート! 世界の命運はキミの肩にかかっているぞ!!

今回はチンピラエリートのマルティーノの紹介です。

お楽しみください。


キャラクター紹介&世界観はこちら〜>https://ncode.syosetu.com/n2816go/

 路地裏で棒立ちになったチンピラエリート、マルティーノは()(かい)な麗人アスタを前にして歯噛(はが)みする。

 「臆病者どもめ!」

 護衛のいない、カネを持った女が目の前にいるのだ。どうして恐喝しないのか。

 かんたんではないか。

 いや、理由はわかる。

 チンピラにとって重要な能力は腕っぷしや魔法の技術ではない。

 強者と弱者を見分ける目だ。

 それこそが一人前のチンピラと未熟なチンピラを分ける目安なのだ。

 確かにアスタの様子は異常(きわ)まりない。

 ほんの少し目を離したら背が伸びて胸乳(むなぢ)のサイズが大幅アップしたなんて見たことも聞いたこともない。

 だが、しかし、それが何だというのだ。

 童女が筋骨隆々(きんこつりゅうりゅう)の大男になったのなら脅威が増したと言えるだろうが、立派な胸乳(むなぢ)の乙女になったのだからより好ましくなったと言えよう。

 少なくとも手に()えない強者になったわけではない。

 童女から麗人に、より美味(おい)しい獲物に変わったに過ぎないはないか。

 どうして恐れる必要があるものか。

 けれども、自分の足が動かない。

 「うぅ…勇敢なら怖くない…んだ……」

 かつて領主が唱えていた標語を口にしてみる。

 しかし、いくら力を込めても足の裏から地面へ根が()えたようにビクともしないのだ。

 まるでマルティーノの意志ではなく、その存在が()って立つ本能から来る恐怖のようにすら思える。

 「オ、オレ様はサヴェッリ家の嫡男(ちゃくなん)だった男だ…ぞ……」

 家名を口にしてまで意思を込めたものの、やはり足は動かない。

 そもそも“嫡男(ちゃくなん)だった男”と過去形である。

 残念ながら今はもう違う。

 廃嫡(はいちゃく)され、放逐(ほうちく)された。

 実はもう家名を名乗ることすら許されていない、只の“マルティーノ”である。

 「畜生(ちくしょう)……」

 悪態を()きつつ、今となっては遠い昔のように思える、“あの日”のことが鮮明に思い出される。




****************************




 サヴェッリ家は瓦礫街(がれきがい)リュッダの名門、司法に関わる名家である。

 古くから裁判官や書紀を輩出(はいしゅつ)しており、少なからぬ敬意を払われてきた。

 “敬意”、司法に関わる者にとってはこれが重要である。

 裁判の結果も議事録も尊敬される者が関わっているから信用されるのだ。

 疑われた者は司法に関われなくなる。

 それは当然のことだ。

 かつて、マルティーノがチンピラエリートになる前のこと、まだサヴェッリ家の嫡男(ちゃくなん)だった頃のある日。


 ビシッ! バシッ! ガッ! ガッ!!


 サヴェッリ邸の庭にて。

 「こいつめ! こいつめ!! オレ様を差し置いてちやほやされやがって!!」

 サヴェッリ家の嫡男(ちゃくなん)、マルティーノは全力で(むち)を振るい、蹴っていた。

 「痛いー!!」

 「やめてくださいー!!」

 「あぁぁー!」

 「うぎぃっ!」

 「……」

 ヒト奴隷達が悲鳴を上げていた。何人かはもう声を上げることすらできないほどに打ちのめされていた。

 「まぁ、大変!」

 「マルティーノ、これはどうしたことかしら!?」

 「馬鹿が! 何てことを!?」

 騒ぎを聞いて父である当主とマルティーノの母親、そして、妹が駆けつけてきたのだ。

 あまりの事態に老執事が主人達を呼んだのである。

 「えっ、あ…これは…その…あの……」

 予期せぬ出来事にマルティーノは言葉を失った。

 「お止めしたのですが、マーティンお()っちゃまが……」

 口ごもるも、『これではいかん』と老執事はキッと顔を上げて。

 「二枚目に嫉妬したお()っちゃまがヒト奴隷達を打擲(ちょうちゃく)したのです!」

 ハッキリ、きっぱり、言い切ったのである。

 それは大変なことだった。

 何人ものヒト奴隷達が倒れていて怪我(けが)(ひど)い。治療が必要だ。施療院(せりょういん)に送って何日も休ませなければならないだろう。

 「ブリトニー、シャーロット、キャロル、クリスティアナ、アビゲイルまで…それにこれはジュリアン!?」

 妹が大声を上げた。

 「6人がやられています! とりわけ、ジュリアンが顔を(ひど)く打たれていて服装でしか判別できません!」

 「むぅ…ジュリアン………」

 「あぁ、ジュリアン!」

 妹の告発に当主と母親が絶句した。

 ジュリアンは近隣でも評判の見目麗(みめうるわ)しい色男でヒト奴隷達からもてはやされていたのだ。その二枚目がボロボロにされていて、とりわけ顔には多くのミミズ()れが走っている。執拗に鞭打(むちう)たれたことは明らかだ。

 「マーティン、何でこんな真似を?」

 当主、父親の声が冷たい。

 「いや、だって、父上! こいつ、モテまくりで…シャーロットもアビゲイルもこいつに夢中でムカついたから……」

 こんなヒト奴隷どものためにどうして自分が叱責(しっせき)されなくてはならないのか。マルティーノはふてくされていた。

 いや、本当に(ほお)をポッコリ膨らませている。まるで子供のように。

 これはマルティーノの幼少期からの癖であり、(いま)だに治っていないことはこの男の幼児性を示していた。

 「うむぅ……」

 自分の長男がこれほどバカなことをしたとは思いたくない当主だったが、その様子から老執事の言葉が正しいことを思い知らざるを得なかった。

 「何ということだ…罪もないヒト奴隷を鞭打(むちう)つなんて……」

 あまりのことに二の句が()げない。

 命令に逆らったとか、嘘を()いたとか、罪を犯したヒト奴隷を罰する。それは主人の義務だ。しかし、何の落ち度もないヒト奴隷を感情のままに鞭打(むちう)つことは許されない。

 卑しいヒト奴隷は人間ではない。人間として扱う必要がないどころか、人間として扱ってはならない。

 それはヒト奴隷による反乱を防止するためにも重要なことだ。

 だが、しかし、ヒト奴隷は高価な家畜でもある。

 それをいたずらに打擲(ちょうちゃく)し、傷つけることは只の浪費である。

 無駄遣(むだづか)い、それは名家の次代を(にな)嫡男(ちゃくなん)がやってよいことではない。

 「マルティーノ、お前は罪もないヒト奴隷を……」

 愛称“マーティン”呼びをやめた当主はしっかり“マルティーノ”と呼んで厳しく長男を叱責(しっせき)しようとしたのだが。

 「待って、あなた!」

 母親が止めた。

 「あぁ、母上……」

 自分を溺愛(できあい)する、子煩悩(こぼうんのう)な母親が叱責(しっせき)を止めてくれたのだとマルティーノは思った。

 やはり、ヒト奴隷など全部合わせても自分と釣り合う存在ではない。

 何しろ、自分はサヴェッリ家の嫡男(ちゃくなん)なのだから。

 誇らしさで胸が一杯になった。

 だが、しかし。

 「マルティーノ・サヴェッリ、あなたはシャーロットやアビゲイルを鞭打(むちう)ったわね?」

 母親の声は(くら)く冷たい。

 父親と同じく愛称の“マーティン”呼びをやめている。

 「だって! だって! シャーロットもアビゲイルもクリスティアナもブリトニーもキャロルも! みんな、オレ様を無視してジュリアンに夢中だったんだ!」

 激しく(いきどお)るマルティーノ。無視されることは何よりも我慢ならない。

 自分はヒト奴隷ごときが無視できる存在ではない。

 誰よりも尊重されるべきマルティーノ・サヴェッリなのだ。

 ところが、この返答に母親は目を見開いた。

 「あなた……」

 ワナワナと震えていた。

 「あぁ、兄さん…いえ、もう“兄”とは呼びたくないわね」

 妹も不快感を露わにしていた。

 「えっ、どうしたんだい、お前?」

 当主はよくわかっていない。

 だが、すでに大変なことが起きていたのだ。

 それに気づかない当主はやはり父親、家庭のことについては少しばかり(うと)いと言わざるを得ない。

 「“シャーロット”、“アビゲイル”、“クリスティアナ”、“ブリトニー”、そして、“キャロル”…どうしてあなたが女奴隷の名前を間違えずにそらんじられるのかしら?」

 母親の声は地獄の底から響くかのように重く、マルティーノの心胆(しんたん)(さむ)からしめた。

 「えっ? えっ? そ、そりゃあ、オレ様のヒト奴隷なんだから知ってて当然……」

 抗弁しかけたが、余計なことを喋るべきではない。途中で母親の意図するところに気づいて口ごもった。

 「えっ? えっ? ど、どういうことかな、お前? 息子は何かやらかしたのかい?」

 さすが父親。驚くと口ごもるのは当主も同じだった。

 「女奴隷は主家(しゅか)の男の世話をするものではありませんわ、お父様。万が一にも“間違い”があってはいけませんからね。(ひるがえ)って、当然、主家(しゅか)の男が女奴隷の名前を逐一(ちくいち)、知っているのはおかしいのです」

 妹が解説した。

 ことさらに“間違い”という言葉を強調して。

 「あっ!」

 ようやく、当主は気づいて顔が青褪(あおざ)める。

 女奴隷の名前を5人分、1人の名前も間違えずに言えたことは息子がそれだけ執着(しゅうちゃく)していたことを示していた。

 「マルティーノ・サヴェッリ、あなた、まさか、女奴隷に懸想(けそう)していたわけではありませんよね?」

 またしてもフルネームで息子を()(ただ)す母親だ。その視線は非常に厳しく、否定の言葉を聞く気はなさそうだった。

 「はぁ…我が兄がここまで歪んでいたとは言葉もありません。情けなくて涙が出ますわ」

 妹は本当に泣いていた。

 「ど、どうしよう…どうしよう…どうしたらいいのだっ!?」

 当主も泣いていた。混乱して泣きながら騒いでいる。

 「ま! ままままま…まって!!! 待ってくれ! それは……」

 ようやく母親の誘導尋問に引っかかって心のうちを白状させられたと気づいたマルティーノは何とか猶予(ゆうよ)をもらおうと足掻(あが)いたが、もはや後の祭り。

 「はぁ…マーティンお()っちゃま……」

 老執事もため息が止まらない。

 「女奴隷に恋する兄…なんて(おぞ)ましいことかしら」

 嫌悪の情を()き出しにして妹が憎々しげに吐き捨てた。

 瓦礫街(がれきがい)リュッダは言うに及ばず、エレーウォン大陸のほとんどの国々には身分制が()かれている。

 とりわけ、ヒト奴隷の身分は家畜に等しい最下位と厳しく規定されているのだ。

 そう、ヒト奴隷は人間ではない。

 高価な家畜だ。

 それ故、ヒト奴隷を人間として扱ってはならない。

 これは『人間を殺してはいけない』という殺人の規定と同じくらい重大な決まりであり、誰しもが承知している常識である。

 当然、ヒト奴隷との色恋(いろこい)沙汰(ざた)は絶対の禁忌(きんき)

 女奴隷と情を通じた男はそれを破ったことになる。

 言うまでもないが、“畜生と交わった人間”は吐き気をもよおす堕落そのものなのだ。

 想像することさえ不愉快だが、犬猫や牛馬と交尾した人間を思い浮かべればそれに近いだろうか。

 (おぞ)ましい。

 「うぅぅ……」

 ようやく立場を理解したマルティーノだった。

 このままだと自分は“家畜と交わった人間”にされてしまう。

 「い、いや、違う! ち、違うんだ! ま、まだ、やってない! み、み、みす……」

 『未遂(みすい)だ』と言おうとしてあわてて口をつぐむ。

 “家畜と交わろうとした人間”も“家畜と交わった人間”も大して変わらない。罪は同じだから罰も同じだろう。

 非常にまずい事態だ。

 ここから何とか切り返す手段はないものかとキョロキョロ(あた)りを見渡した。

 けれども、そんな都合のよいものが見つかるわけがない。

 そんな苦境に追い打ちが掛けられる。

 「マーティンお()っちゃまは…常日頃(つねひごろ)から私達にイヤらしい視線を向けていました」

 「『人知れず、夜の(しとね)に来てくれれば(うま)いものを食わせてやる』と何度も何度も誘われました」

 女奴隷達から重大な告発がなされたのだ。

 「う、嘘だ! く、口さがない女奴隷が…う、う、嘘を言ってるんだ!」

 マルティーノが必死で抗弁するも。

 「マーティン、あなたはいつもそうやって……」

 「息子よ、私は失望したぞ」

 「お兄様の浅はかさにはニワトリも呆れますわ」

 「そうやってどもるのは嘘を()くときの癖ですぞ、マーティンお()っちゃま」

 周囲の視線は冷たい。

 とりわけ、両親と妹の視線に凍りつく。

 そして、重大な告発がなされた。

 「お()っちゃまは! 女奴隷の湯浴(ゆあ)みを(のぞ)いては前かがみになっていましたよ!!」

 女奴隷がいかにも気持ち悪そうな表情で叫んだのだ。

 「あ…ぐぅ……」

 マルティーノはひるんだ。

 色男のヒト奴隷ジュリアンのことは散々鞭打(むちう)って半殺しにまで追い込んだが、女奴隷は“(あと)のお(たの)しみ”に配慮して手加減したのだ。それが(たた)って元気に告発されてしまった。

 自業(じごう)自得(じとく)、大変な誤算だ。

 「最っ低!!」

 「お()っちゃま! (じい)は情けのうございますぞ!」

 「こいつが私の息子であるわけがない!」

 「産むんじゃなかった……」

 評価は散々だった。




 瓦礫街(がれきがい)リュッダで、健全な男女が全裸のヒト奴隷を見ても顔を赤らめることはない。

 それは全裸の銅像を見て驚かないのと同じ反応なのだ。

 『ヒト奴隷は人間ではない』、それは住民の心の奥底までに刻み込まれている。

 これは社会の秩序の一端を(にな)う身分制、それもとりわけ奴隷制の根幹に関わる重要な命題なのである。

 なぜか。

 奴隷の反乱を抑止するためである。

 ヒト奴隷と主人の家族の間の線引きは重要だ。これが曖昧(あいまい)になると見目麗(みめうるわ)しい男女の奴隷に家人が籠絡(ろうらく)されて結婚などという事態も起こりうる。

 これが物凄く危険な事態を生みかねない。

 “結婚”というものは集団の結びつきに強く関わる。

 ヒト奴隷と主家(しゅか)の家人が結婚してしまえば、ヒト奴隷の一家と主家(しゅか)姻戚(いんせき)関係になり、ヒト奴隷の発言力が一気に増してしまう。ヒト奴隷の一家には親戚や友人がいるからそちらの勢力も高まってしまう。

 そうなれば力を得たヒト奴隷の家族が強い支持を得て、その一族郎党が団結して主家(しゅか)、ひいては国家に弓を引く事態、すなわち、奴隷の反乱が起こりうる。

 いや、可能性の話ではなく。

 歴史がそれを証明している。

 そういった過程(プロセス)()て奴隷の反乱が起き、滅びた国家は枚挙(まいきょ)(いとま)がない。

 このようにエレーウォン大陸に()いて“恋愛”や“結婚”は間違いなく兵器の一種なのである。

 実際、ヒト奴隷に関わらなくても、大陸国家の場合、二国それぞれの王室と王室が婚姻で結びつきを強め、大国や強力な同盟に成長することが珍しくない。

 ことほど左様(さよう)に恋愛や結婚は重大な結果に結びつくものなのだ。

 『ヒト奴隷は卑しく(けが)らわしい』、『人間でないヒト奴隷は主人の体に触れてはならない』、このような差別や偏見にも実は立派な論拠がある。忌避感(きひかん)なく、肌と肌が触れ合ってしまえば自然と奴隷と主人の垣根(かきね)を越えて想いが(はぐく)まれることもあるだろう。

 荒唐無稽(こうとうむけい)な小説や演劇の話なら『あぁ、ロマンチックだね』『胸打たれるファンタジーですわ』で済むが、現実の家庭でそんなものが実現してしまっては洒落(しゃれ)にならない。

 身分違いの恋愛は奴隷の反乱を引き起こし、国家の崩壊に繋がりかねないのだ。




 緊急事態であったが、サヴェッリ家にとって幸いなことに問題もその解決方法も下手人(げしゅにん)もわかっていた。

 「マルティーノ・サヴェッリを廃嫡(はいちゃく)し、家名を剥奪する。お前は二度と再び“サヴェッリ”を名乗ること、まかりならん!」

 当主は(おごそ)かに命じた。

 嫡男(ちゃくなん)としての立場と名を取り上げ、サヴェッリ家の悪評が立つ可能性を断つのだ。

 「お父様はまだ甘くていらっしゃる。いけませんよ。愚兄はサヴェッリの家名を(けが)したのですから、きっちり罰して汚名を(そそ)がねばなりません」

 妹が当主の決定に異論を挟んだ。

 「えっ!? これでもまだ甘いのか……」

 娘に否定されて凹む父親だ。

 「名前と地位を奪うだけでは飽き足りません。市民権を剥奪して奴隷商人に叩き売るのです。特価販売(セール)3割引き、いや、5割引きでお得感を出しましょう」

 妹はどキッパリ安値を提示した上で兄の奴隷落ちを支持するのだった。

 「えっ? えっ? オレが奴隷に? ど、どうして! り、理不尽だ!!」

 (ども)りながらマルティーノは抗議したが。

 「お兄様、いえ、マルティーノ! 女奴隷と濡れ場を演じたかったのでしょう? それならあなた自身が奴隷に身をやつせばよろしくてよ! 奴隷同士、好きなだけまぐわいなさいな!」

 「それはいいな。もう息子とも思わん。奴隷同士で子をなせば財産が増えて未来の主人にも喜んでもらえることだろう。引っ立てい!」

 「承知しました。マーティンお()っちゃま…いえ、ヒト奴隷マルティーノ、奴隷商人の店に行きますよ」

 あっさり、処遇が決ってしまう。

 「うわぁぁぁぁっ!!」

 老執事は意外に力が強く、あっさり羽交(はが)()めにされてしまうと小柄なマルティーノでは手も足も出なかった。

 そのまま、他の家来(けらい)もやってきて引きずり出されてしまう。

 「産むんじゃなかった……」

 最後に母親に吐き捨てられてマルティーノの運命は決まったのだった。




 色欲(しきよく)(まど)い、女奴隷に懸想(けそう)して名家の血を(けが)そうとしたマルティーノは(すみ)やかに奴隷商人の店に降ろされた。

 奴隷商人は目を輝かせた。

 放逐(ほうちく)されたとは言え、名家サヴェッリの嫡男(ちゃくなん)だった男だ。十分な教育を受けて文字の読み書きや計算もできる。いやが上にも期待が高まるものだ。

 しかし、奴隷商人を待っていたのは絶望だった。

 マルティーノの自尊心(プライド)は山よりも高く、どれだけ鞭打(むちう)っても自分の境遇をわからせることができなかったのである。

 とにかく強情で、いくら『お前はサヴェッリ家を追放されたのだ』と教えてやっても納得しない。真っ赤に焼けた焼きごてを肩に押し当て、奴隷の焼印(やきいん)を押してやっても認めない。

 せいぜい、『オレ様はサヴェッリ系の嫡男(ちゃくなん)だ』が『オレはサヴェッリ家の嫡男(ちゃくなん)だった』と過去形になるくらいだった。

 反抗的な嘘つきで隙あらばサボる、この男は筋金入(すじがねい)りの穀潰(ごくつぶ)しだったのである。

 そこで最後の手段として奴隷商人はマルティーノを去勢することに決めた。男の象徴を切り取ることで勢いを()げば少しは素直になるだろうと期待したのだ。

 ところが、去勢の手術道具を見たマルティーノはすぐさま自分の運命を悟り、物凄い絶叫を上げた。

 「ぎゃぁぁっ! 嫌だぁー! 男を辞めたくないぃぃぃっ! オレ様は男なんだぁぁっ!!」

 自尊心(プライド)だけは山よりも高いが、全くの根性(こんじょう)なしで我慢を知らない。とりわけ、痛みには敏感ですぐに逃げ出す痛がり屋だったのだ。

 あまりの絶叫に奴隷商人が耳を押さえているうちに火事場の馬鹿力で革紐(かわひも)を引きちぎって逃げ出したのである。

 奴隷商人は追わなかった。

 もともと、サヴェッリ家から無料で降ろされた奴隷だ。

 追いかけて捕まえる手間を考えると惜しくもない。

 ()らない家畜など逃げたところでどうでもいいのである。




 こうしてマルティーノは奴隷崩れ、“三下(チンピラ)”となった。

 山よりも高い自尊心(プライド)が邪魔して乞食(こじき)になれない。強情な性格が災いして奴隷も務まらない。力も度胸もない臆病者だから盗賊になれるわけもない。考えることも苦手な愚か者だから詐欺師になるなど夢のまた夢。

 小柄で、押しも強くないので弱者にしか威張(いば)れない、それでも名家の出身なのでそれなりに教養があり、とにかく意識だけは高い。

 そんな男がチンピラ長老に出会い、修行の末、チンピラエリートになるのは必然の流れであった。

ここまで読んでいただきありがとうございます♪


そういうわけで〜〜〜

拙著『人化♀したドラゴンが遊びに来るんだよ』の世界観では明確に「ヒト奴隷は人間でない」と規定しております。

正直、ネット小説の人気ファンタジーを読んでいて物凄く違和感を感じたのが“奴隷”の扱いでした。

それこそ『十五少年漂流記』や『トム・ソーヤーの冒険』、『英雄コナン』、『ロビンソン・クルーソー』、『三銃士』などなど欧米の小説にどっぷりハマっていた小生からすると非常に強い違和感を覚えます。

昔の欧米の小説には奴隷が当たり前のように存在しました。

でもね、「奴隷と主人公の恋愛」なんて見たことがありません。

この辺は日本人と欧米の人々の感覚の違いんでしょうね。


かつて、元寇の時、台風で破壊された元の軍船から逃げ出した生き残りが3千人ほどいたそうで。

子供の時分、小生はそれがどうなったのか、酷く気になったものです。

で、調べてみたら。

当時、捕虜の扱いに困った鎌倉幕府の武士達は砂浜に彼らモンゴル兵の捕虜をズラリ並べて全員の首を刎ねてしまったとかwwww

全員、死刑!

これがローマ帝国や大英帝国だったら敵軍の捕虜は全員が奴隷ですね〜

はてさてどっちが悲惨なのやら?

「生きて虜囚の辱めを受けず」、鎌倉幕府はモンゴル武人の誇りを守ってやったのでしょうか。

いやいや、奴隷にされても生きていられる方がいいのか。

まぁ、その辺の議論は色々あるでしょうが、日本人が奴隷の扱いに疎いことは明らかです。


だから、人気のネット小説ファンタジーでも「奴隷は不当に扱われるかわいそうな人間」って感覚で描写されてるんですよね〜〜

これがめちゃくちゃ違和感ある。

ローマ帝国どころか、古代エジプト文明、ギリシアの都市国家ポリスの頃から奴隷の反乱で滅びた国家は数知れず。

奴隷の人権を尊重して人間扱いした国家が滅亡することは歴史が証明しています。

だから、「奴隷を人間として扱ってはならない」、これが大原則、大陸国家の常識なんですね〜〜


ケネス・ロブソンの冒険小説“ドック・サヴェジ”シリーズの『モンスター』って作品がありまして。

こちら、奴隷制が一応廃止された後の米国小説なんですが。

主人公のヒーロー、ドック・サヴェジがサーカスの見世物小屋で酷い扱いを受けて檻に入れられていたピンヘッド族の土人、3名に出会うシーンがあるんですよ。

我らがヒーロー、ドックは3人の土人達に大変同情するんですが。

奴隷扱いを責めてサーカスの興行主に抗議したり、実力で彼らを解放したりはしません。

もちろん、スーパーヒーローですからドックは非常に強く賢いのでどちらも可能です。

でも、「かわいそうだな」と思うだけですwww

酷い?

まぁ、そういう時代の作品だったってことでしょう。

ドックは奴隷が酷い扱いをされていることに同情しましたが、そこで思考停止してしまいます。

奴隷を解放しようとはしません。

それは奴隷という家畜を主人から奪う行為、つまりれっきとした犯罪だからです。

小説でも映画でも菜食主義者が牧場から牛を脱走させたら犯罪ですよね?

実際、そういうシーンが菜食主義者の独善や思い上がりとして描写されることがしばしばあります。

同じことでケネス・ロブソンの冒険小説“ドック・サヴェジ”シリーズでは勝手に奴隷を解放したら、その奴隷の所有者に対して犯罪を犯したことになってしまうんです。

つまり、ヒーロー小説の主人公であるドックにとってさえも「奴隷は人間じゃない」んですよ。

ずばり、「奴隷は高価な家畜」なんです。

当時のニューヨーク市民にとってはそういう感覚だったんでしょうね〜

だから、「奴隷のピンヘッド族達を解放してあげよう」という発想そのものが起きなかった。

「奴隷だって人間なんだ」とは考えられない。現代日本の感覚とは明らかに違う。

それはそういうものなのですからww

でも、小生はケネス・ロブソンの冒険小説“ドック・サヴェジ”シリーズの『モンスター』って作品が大好きです☆


現代日本の価値観で昔の名作を批判するようなことはしたくない。

小生は『エルマーとりゅう』も『カッレくんの冒険』も『ツバメ号とアマゾン号』も『ドリトル先生航海記』も『ムーミン谷の彗星』も全部、大好きですから。

現代日本と異なる当時の価値観を「面白いなぁ」と思うだけです。

それを「間違っている」とか「正しい」とかやるのは政治マニアに任せます。

オタクは作品を「面白いか」「つまらないか」で判断する。

「正しいか」「間違っているか」で判断するのは我々のやることではないでしょう。

作品をそういう感覚で評価するようになると甘えが生じます。

「オレ様の作品は正しい」とか、「あいつの作品は間違っている」とかね。

そういう価値基準で自作を描いたり、よそ様の作品を批評するようになると一番大切な「面白いか」「つまらないか」の観点が抜けてしまいます。

それは本当に恐ろしゅうございますからね(>_<)


そういうわけで。

人気のネット小説ファンタジーに奴隷と主人公の恋愛シーンがあると萎えます。

物凄く。

別にそれを「間違っている」とは断じて言いませんが。

強い違和感を感じてしまう。

ナーロッパ作品の中で騎士団長がタバコを吹かしていたら「えっ?」って思いますよね。

裏切り者がおもむろに懐からリボルバー拳銃を抜いて王様を撃ったら「はぁ!?」ってなりますよね。

物語の展開以前の話でダメダメです。

タバコは新大陸から伝わったものですから大航海時代以降だし、連発できる拳銃は無煙火薬が発明された近代ヨーロッパ以降ですから。


もちろん、悪役令嬢モノなら18世紀ヨーロッパが舞台なのでさほど違和感がありませんけどね。

ぶっちゃけ、悪役令嬢モノって光栄のフーパーファミコンソフト『アンジェリーク』がデフォルトの世界観ですよね? あの作品から“乙女ゲーム”ってジャンルが生まれたわけですし。あれって根っこが『ベルサイユのばら』ですからフランス王宮のゴタゴタがモデルなのでしょう。

18世紀フランスならタバコや銃が登場してもぎりぎりおかしくないことはない…くらいでしょうか。

まぁ、ルイ16世が腰に拳銃をぶら下げてタバコを吹かしながら登場したらギャグですけどねwww

そんでもってフェルゼンに銃弾をぶちかまして追い払い、マリー・アントワネット王妃に「お前はオレの女だ!どこにも行くな!」っつったら歴史が変わってしまいますぉww


だけど、いくら悪役令嬢モノであってもドラゴンをマスケット銃を構えた戦列歩兵が迎え撃っちゃダメでしょww

なので、「主人公が自分の買った奴隷と恋に落ちる」とか、「色香に狂った奴隷商人が獣人少女に隷属の首輪をつけてほくそ笑んで性奴隷にする」とか、そういうシーンを見かけるとめちゃくちゃ萎えます。

こういうのは「奴隷だって人間なんだ」って感覚から生まれてくるんでしょうが。

ええ、まぁ、こういうのは現代日本の感覚ですからね。

現代日本から中世ナーロッパに転生した主人公ならこう考える方が正しいんでしょうが。

でも、それならどうしてナーロッパ原住民までそんな主人公☓奴隷カップルを祝福してるんですか?wwwww

やっぱり違和感を覚えますね(^_^;)


ここまで小生が駄文に付き合っていただいた諸姉諸兄ならもうお気づきでしょう。

「性奴隷」って言葉自体がロマンあふれる美少女PCエロゲーム文化から生まれているんですよね〜〜

いや、だってそうでしょう。

「性奴隷」って単語…もう麗しい♀奴隷といんぐりもんぐりする気満々でしょ。

あー、それやると国家が滅びますよ(^_^;)

その麗しい♀奴隷にだって親兄弟姉妹がいるんですから。

えっ、それは♀奴隷の親兄弟姉妹に奴隷商人が復讐される展開なのかって?

まさかwww

♀奴隷に懸想した奴隷商人の一家が奴隷の家族と姻戚関係になってwwww

タガが外れたわけですから、奴隷商人の息子や娘、親戚も奴隷一家の美男美女と恋をしてwwww

主家が奴隷の家族に乗っ取られるんですよwwwww

そして、いずれは力を持った奴隷の一族の反乱で国家そのものが滅んでしまうwww

だから、もしも好色な奴隷商人がかわいそうな獣人少女を性奴隷にしたら。

カッコイイ騎士に非道を責められて断罪されるのではなく。

主家の人間、息子や父親の手で「当主が乱心した」とされて、奴隷商人は蟄居させれちゃうんです。

いや、もしかしたら、こっそり暗殺されるなんて展開も十分にありえます。

だって、奴隷と情を交わしたんですからwww

万が一、そんなことがバレたら「あの家は犬畜生と交わるゴミカスの集まりだ」って評判が立っちゃいますからね。

何が何でも隠し通さなくちゃいけないんですよ。


ましてや、村人や町の住人が「あの奴隷商人は獣人の美少女を性奴隷にして夜な夜な酒池肉林に耽っている」なんて恐れられる…なんて展開にはなりえません。

「あいつ、奴隷と交わったらしいぞ」なんて噂が立った時点で奴隷商人の家が焼き討ちに遭うんですよwww

それこそ魔女狩りよりも酷い、吸血鬼であることがバレた一家なみに襲撃されますね。

「腕利きの用心棒を大勢抱えている奴隷商人は村中から恐れられていて誰も逆らえないんだ」って展開なら?

いいえ。

村人全員が松明に火を着けてスキやらクワやらを掲げて集まってきたら用心棒も逃げ出しますよ。

どうしてここまでやるのかって?

奴隷を人間扱いすることが、奴隷と恋に落ちることが、国家を蝕む寄生虫と通じること、すなわち、“裏切り”だからですww

古代エジプト、ギリシア、ローマ帝国の頃から奴隷は敵軍の捕虜がなるものでした。

屈強な奴隷ってのは基本的に元・軍人なんですよ、敵軍の。

それと情を交わしたら?

敵軍の捕虜と内通してるってことになっちゃうんですwww

だから。

奴隷商人が奴隷を虐待していても、何なら、殺しちゃっても罪に問われません。

奴隷≒敵軍の捕虜、って図式ですからね。

せいぜい「もったいないことをする奴だ」と呆れられるくらいです。

何しろ、奴隷は敵軍の捕虜ですからね。わざわざ殺すのも面倒だから生かしておいて労働を担わせているだけで、それを虐待して殺したいならご自由にって話ですわ。

でも、奴隷商人が麗しい女奴隷と情を交わしたら、それは明確な“裏切り”に問われちゃいます。

そういう意識があるからこそ、中世ヨーロッパでも、西部開拓時代のアメリカ合衆国でも、奴隷と主人のロマンスなんてのはありえなかったわけです。


このように「奴隷は人間じゃない」んですよね(>_<)

それどころか、「奴隷を人間として扱ってはならない」んです。

国家の滅亡を招くから。

人権問題じゃないんですよ。

この辺は綺麗事じゃやってられないヨーロッパ大陸国家の事情から来てるんですね。


後、“隷属の首輪”ですか。

これも国産PC美少女エロゲーム文化から生まれたロマンアイテムですが。

最初、ネット小説のファンタジー作品で見かけた時、びっくりしましたよwww

「奴隷商人がかわいそうな獣人の美少女を拉致して隷属の首輪を付けて性奴隷にする!」とか……

なんて…

なんて……

なんて………

なんて良い人なんでしょう!?

えっ? だってそうでしょう?

“奴隷の首輪”は装着させた相手の自由意志を奪い、自分の奴隷にすることができる、何でも言うことを聞かせられるってゆー、エロゲーのロマンアイテムです。

で。

この奴隷商人、苦労して手に入れた“隷属の首輪”を獣人の美少女に使うだけなんですよwww

“性奴隷”、要は自分に“妾”にするためだけにwww

純愛ですかwwww

純愛ですよねwwww

いやいや、使う相手が違うでしょう。

本当の極悪人だったら隷属の首輪を国王に使います。

国王を隷属させて操ったら次は王室一家、その次は家臣団に使う。

国家の中枢を掌中に収めることができるわけで。

国盗りですぉ\(^o^)/

国家を乗っ取り、国民全てを奴隷にして世界征服に乗り出しますね。

隷属の首輪を量産して周辺諸国を征服し。

逆らう者は片っ端から投獄して拷問の末に処刑し。

目を背けるような悪逆非道の限りを尽くす。


もしも奴隷商人が極悪人だったら。

そうしない方がおかしい。


そもそも“隷属の首輪”って精神干渉系の魔法を封じ込めた、凶悪なアイテムです。

あぁ、この場合の“凶悪な”ってのは“非道な”という意味ではなく、“物語を破綻させかねない非常に危険な”って意味ですぉwww

だって、そうでしょう。

たかが、奴隷商人であっても国盗りを成功させてしまえる極悪アイテムです。

この隷属の首輪さえあればたやすく世界を征服できてしまう。

ヤバイなんてもんじゃないレベルで物語を破綻させかねない劇物です。

どんな強力な魔王よりも危険な代物ですわ。

そもそも精神干渉系の魔法、とりわけ、相手の精神を縛り、人格を書き換える投射型テレパシーは様々なSF作品で描き手が「扱いには慎重を期さねばならない」と身構えてきた設定です。

敵が使っても味方が使っても物語を破綻させかねないから。


そうですね。描き手が安直に使えば……

勇者:「精神干渉/投射型テレパシー! 魔王、お前の人格を書き換えてやったぞ!」

魔王:「ハハー! 勇者様! ワシは心を入れ替えました! これから迷惑をおかけした被害者の皆様方に謝罪&賠償の旅に出ますぅ〜!!」

……となって物語は一巻の終わり。

終わっちゃったよwww

一番盛り上がるはずのクライマックス、最終バトルアクションシーンが3行で終わってしまふwwww

「いやいや、隷属の首輪は世界に1本しかない貴重なものなんだ!」って意見もあるでしょうが。

だったら、美少女ヒロインに使うなよwwww

そこで好色な奴隷商人なり、大魔王なり、その所持者が隷属の首輪を使う対象は権力者、ズバリ国王でしょ。

せめて、一軍の司令官にでも使わないと割に合わない。

つまり、隷属の首輪にふさわしいのは美少女ではなくおっさんですwwww

いずれにせよ、“隷属の首輪”という極悪アイテムを美少女ヒロインに使うって選択肢そのものが物語の腐らせてしまう。

もちろん、ギャグ小説や官能小説ならいいですよ。

ギャグ小説や官能小説ってそういうものですから。

そもそもの話、“僕らの国民機”NECのPC9801時代に生まれたエロゲー文化で作品を盛り上げたロマンアイテム“隷属の首輪”をそのまんまの形で平成令和のネット小説ファンタジーに持ち込んだから無茶苦茶になるんです。

あれはエロゲーやギャグ漫画、官能小説だから存在が許されるんであって一般の作品にそのままの形で持ち込んじゃいけません。

ギャグ漫画のツッコミで使われる「16t」書かれた巨大ハンマーみたいなものでしょう。

ギャグ漫画ならキャラがぶん殴られてもぺしゃんこのせんべいに変わるだけで済みますが、シリアス作品で使ったら血まみれフレッシュトマトになって周囲から「ヒト殺し!」と非難される鬱展開まっしぐらですよww

「16t」書かれた巨大ハンマーがギャグ漫画の専用アイテムであるように“隷属の首輪”もエロ作品の専用アイテムなんです。

なので、“隷属の首輪”は描き手がよほど扱いに慎重を期さないと物語が破綻してしまう。

出すからには「一個しか存在しない」「ヒロインにしか効かない」「貴族や王族などの国家の中枢を担う人々には効かない」くらいに効果を限定しないといけない。

とんでもなくヤバイ代物ですね。


一応、拙著『人化♀したドラゴンが遊びに来るんだよ』でもいずれ登場させる予定ではありますが、かなり限定されたアイテムというか、おそらくエロゲーに登場していた頃の効果はない状態で登場させると思います。

そういうわけでこちらの世界観に於いてヒト奴隷と普通の住民が恋愛関係になることはありません。

普通の住民がヒト奴隷を人間として扱うこともありません。

「ヒト奴隷は高価な家畜である」が一般的な常識ということになります。

なので、マルティーノ・サヴェッリ以外の登場人物がヒト奴隷の裸を見ても赤面することもありません。

この辺は中世ヨーロッパのファンタジー小説におにぎりを食べるシーンが登場しないことと同じです。


まぁ、中世ナーロッパなのにブラジャーは登場しますけどねwwwww

(・人・)は特別なので☆


さて、そういうわけで次回は『暁光帝は路地裏で遊びます☆ 犯罪者達は何を望むのかな? さぁ、願いを言え。』です。

請う、ご期待!

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