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人化♀したドラゴンが遊びに来るんだよ_〜暁光帝、降りる〜  作者: Et_Cetera
<<施療院って何? そっかぁ…魔法が使えるのってエライんだー>>
129/197

金髪エルフが女神と話してます。あれ? 暁光帝が分析されちゃいますか?

かつて殺めた2柱の神々が復活していたと聞いて、我らが主人公♀暁光帝はちょっと悩みます。

「あいつら、生きてたんだ。きっちり殺しといたのにな〜。じゃ、もっかい殺しとくか?」

でも、ちょっとです。

あんなバカな連中のことを考えるなんてカナブン、いや、ビロウドコガネを集めるよりもくだらない。

よっぽどツマグロオオヨコバイの観察でもしていたほうがマシです。

暁光帝♀は忙しいのです。

さっさと次の患者の方へ向いた暁光帝♀に驚く女神オヨシノイドとエルフのナンシーです。

これは何か対策が必要なのでしょうか。


今回の<<施療院って何? そっかぁ…魔法が使えるのってエライんだー>>の章はこれにてお終いです。

今章の最終エピソードをお楽しみください。


キャラクター紹介&世界観はこちら〜>https://ncode.syosetu.com/n2816go/

 肩まで流れる金髪の妖精人(エルフ)美女ナンシーが近づき、大柄な女神の隣に寄る。

 「驚きましたよ。女神の顕現(けんげん)にもアスタさんの決定にも」

 庭に集まった貧民達に聞かれぬよう、小声で(ささや)く。

 「そうか。我を女神と知って語りかけて来るお(ぬし)胆力(たんりょく)も相当のものだぞ」

 享楽神(きょうらくしん)オヨシノイドは人間向けに口調を変える。

 ずいぶん驚いたのだが、冷静であるように(よそお)ったのだ。

 人間の前で神は尊大に振る舞う。

 それもまた人間と神の関わりの()(よう)であるから。

 「驚きはしましたが…今のを見て納得もしましたよ」

 ナンシーは自分の考えを語り始める。

 享楽(きょうらく)(つかさど)る女神オヨシノイドを相手に。

 「アスタさんにとって時間は常に“現在(いま)”なんですよ」

 ()ず、ずばり結論から()べる。

 「時間を自由自在に操作できるので“過去”なんて本当に終わってしまったことなんです。なので、どうでもいい。何なら不都合な時間を削り取ってなかったことにさえできてしまう。そして……」

 アスタの時間魔法を念頭に置いてその思考を推測する。

 暁光帝(ぎょうこうてい)の価値観が人間とは全く(こと)なること承知した上で今まで言動から彼女の考えを読み解くのだ。

 「そして、“未来”はこれからどうとでも創り出せる。アスタさんは本人の能力が物凄く高いのでそれこそ自由自在です。“過去”も“未来”も好きにできるので、常に“現在”をどうするかだけが関心事なのです」

 (あかつき)の女帝様から見れば古龍(ドラゴン)ですらその(うろこ)1枚くらいの存在でしかない。巨人(ギガース)合成獣(キマイラ)でさえ敵たり()ず、羽虫とは言わないがせいぜいカナブン程度の相手だろう。彼女を(はば)める者は存在しないのだ。

 彼女は“過去”も“未来”も好きにできるから、“現在”にしか興味がない。

 「世界を巻き込んだ大混乱、光と闇の戦いだって今はもう終わったこと。だから、それを引き起こした奴らに責任を取らせようって発想そのものが起きないんです」

 光明神(こうみょうしん)ブジュッミと暗黒神ゲローマーが許された、いや、見逃された理由を解説する。

 アスタは終わったことについて言及しない。何かすることもない。

 かつて殺した害虫が実は生きていたくらいで暁光帝が動くことはないのである。

 「如何(いかが)?」

 ナンシーは女神オヨシノイドに問う。

 「アスタ“様”であろう。人間の分際で暁光帝を“さん”付けで呼ぶな」

 女神は威厳に満ちた朗々(ろうろう)たる声で命じる。

 けれども、エルフは臆する様子も見せない。

 「“様”呼びの方が機嫌を(そこ)ねますので」

 はっきり言い返す。

 「ほほぉ…そこまで言いよるか。アレと一朝(いっちょう)一夕(いっせき)の付き合いではないな」

 言葉の勢いに女神は感心する。旧友を“アレ”呼ばわりしてしまったが、どうやらエルフはずいぶん深く彼女と付き合っているらしいと考える。

 「いえ、昨日の午後に出会ったので一朝(いっちょう)一夕(いっせき)のお付き合いです。まぁ、命がけで観察したんでだいぶ理解は深まりましたが……」

 命ばかりか、世界の未来や街の存続なんかも一緒にかけていたと続けたかったが、話しても仕方ないと黙る。

 『理解が深まったかどうか』も実は怪しい。

 相手が暁の女帝では人間の考えなぞ及ぶわけがないとも思う。

 それでも女神の御前に立っているのだ。

 神ならぬ身の人間として言えることを言っておこう。

 「もっとも、アスタさんが2柱の神々を見逃したのは単にそこまで手間を掛けるほどのことではないと判断しただけなのだと思います。この場にもっと彼女の興味を引くものがあったので」

 説明を補足しながら運のいいことだと感心する。

 貧民達の多くは栄養状態が悪いので()せているものだ。

 しかし、今日はたまたまだろうか、体の一部がずいぶん発育のいい女性達が散見される。

 「ほほぉ…理解の早いことだ。さてはアレの正体(しょうたい)も気づいているな?」

 感情の失せた、冷たい声で女神は尋ねる。

 「私を含めて5名。けれども、そのうち1人が発狂していますね。もちろん、龍の(ドラコ)巫女(シビュラ)を除いて数えていますよ」

 アスタの正体(しょうたい)がドラゴンだと知っている人間は全部で4人。そのはずだ。

 自力で気づいた博物学者ビョルンと彼から教えられた英雄ジャクソンとその奥方様コンスタンス、そして、執政のセバスティアーノ老である。このセバスティアーノ老がアスタの正体(しょうたい)に気づいて発狂し、今では廃人になってしまったと聞く。

 他に知っている者と言えば、レスボス島のポーリーヌと悪徳のジュリエットと幼女クレメンティーナの3人だが、それぞれ、一角獣(ユニコーン)女精霊(ニュムペー)龍の(ドラコ)巫女(シビュラ)であり、3人が3人とも幻獣であって人間ではない。

 「あれほど巧妙に変化(へんげ)していても、そんなにバレているのか……」

 金髪エルフの言葉を聞いて()しもの女神オヨシノイドも動揺する。

 意外だ。

 いや、意外と言えば意外だが、当然と言えば当然かもしれない。

 そもそもが龍の闇をもたらすほどの怪物(モンスター)、太陽を(さえぎ)って国を暗闇(くらやみ)(おお)い尽くすほどの超巨大ドラゴン暁光帝だ。どれだけ巧妙に()けたところで中身は変わらぬ。言動で正体(しょうたい)が露見することも十分にありうるだろう。

 アスタの方を見やる。

 「うむ、堪能した。素晴らしい☆ 今の(・人・)は11.2ptrn(ポワトリン)に達したので魔力に換算すると8460gdr(ゲーデル)だよ」

 貧民女性の胸乳(むなぢ)()んで満足した旧友が堂々と宣言している。自分も立派な豊乳(ほうにゅう)を揺らしながら。

 饒舌(じょうぜつ)に語る口の中にズラリ並んだ牙の群れは透き通って白く、金属光沢に輝くロングヘアーは紫色の雲のように麗人の(まわ)りを舞い踊っている。銀河を散らしたような虹色の瞳(アースアイ)の輝きはとてつもない威厳に(あふ)れ、まるで後光(ごこう)が差すかのような印象を与えている。

 「あ…うん…別に巧妙でもないか。私よりも神々(こうごう)しくて…少なくとも普通の人間には見えないわ」

 女神が(あき)れる。

 逆によく今まで正体(しょうたい)がバレずに()んだものだと思う。

 ひとえに人々の思い込みのおかげだろう。

 神殺しの怪物がブタよりも小さく縮んで人間の街を闊歩(かっぽ)しているなどと誰だって考えもしないのだ。

 ちなみに“ptrn(ポワトリン)”とか、およそ聞いたことのない全く新しい単位である。

 「(すげ)ぇ! 8460gdr(ゲーデル)だと!?」

 「最大級(ゲルグンド)の魔法を3回も発動させてなお余るほどの大魔力だぞ」

 「どういう計算なのかしら……」

 「数値を明らかにしちゃうとごまかしが()かなくなるのに……」

 「それだけ紫の大聖女様は公明正大なのだろう」

 数値の意味を知って貧民達が騒ぐ。

 今まで(たみ)功徳(くどく)をこれほどまでに明らかにした聖女がいるだろうか。

 いや、“功徳”でなく“乳房”だが。

 「また、やってる…“ptrn(ポワトリン)”とか、珍妙な数値を定義して魔力換算してるのね。一体、どういう計算手順なのやら……」

 旧友を眺めて、ついつい、普段の口調に戻ってしまう女神であった。

 「ふぅ……」

 どうせ女性の体型やら胸乳(むなぢ)やらを計算の基準にしているのだろうとため息を()く。

 それで消費される魔力はアスタ自身から供給されるので実質的に無限。何億gdr(ゲーデル)? 何兆gdr(ゲーデル)? 超巨大ドラゴンの魔気容量(まきようりょう)がどれほどなのか、神眼を(もっ)てしても(はか)れない。

 どうせ気まぐれで計算式を定義したのだろうが、大丈夫なのだろうか。

 旧友は自分の決定を絶対に(たが)えないから、それで自縄(じじょう)自縛(じばく)の状況に(おちい)ってしまうことがままある。

 どういうことかと言えば、今、まさに起きている、あのような現象だ。

 「えぇっ!? この爆乳…乳房価値(ティッツヴァリュー)16.3ptrn(ポワトリン)の前払いに該当(がいとう)しちゃう!」

 差し出された女性の胸乳(むなぢ)にフラフラと吸い寄せられながらアスタがおののいている。

 「16てん3ぽわとりん…その、“てっつばりゅー”ってのを魔力に直すと如何(いか)ほどで?」

 「凄い数字が出てきそうだわ……」

 貧民達の息を()んで見つめ、大勢の期待が高まる。

 「むぅっ! これは1440000gdr(ゲーデル)の魔力に換算されちゃう……」

 性的な魅力に(あらが)えず、やたら盛り上がった爆乳を布地の上から()みながら麗人が(うめ)く。

 「ほら……」

 オヨシノイドは顔をしかめる。

 間違いない。

 計算式が予想外の数値を叩き出してしまったのだ。

 “144万gdr(ゲーデル)”などという数字はアスタ自身が想像もしていなかったのだろう。栄養状態の悪い貧民達の中から、そこまで立派な胸乳(むなぢ)の女性が出てくるなど予想だにしていなかったに違いない。

 時間魔法で未来が見られるのに自分に関わることは見ないようにする悪い癖が出てきてしまったのだと女神は嘆息(たんそく)する。

 これでアスタはしばらくの間、タダ働き決定だ。

 「まぁ! 私のオッパイで大勢の人々を救えるのですね」

 顔は平凡だが胸乳(むなぢ)の立派な女性はとても感激している。

 「あぁ…只、ぶら下がっているだけのお肉だと思っていましたが、紫の聖女様のご威光でみんなを救えるのならこんなに嬉しいことはありません……」

 感涙に(むせ)び泣く。

 「凄ぇ……」

 「うぉぉぉっ! オッパイだ! 我々は偉大なオッパイに救われるんだ!」

 「最大級(ゲルグンド)聖魔法の大盤振(おおばんぶ)()いだと?」

 「そんな…他の回復術師が廃業に追い込まれちまうぞ!」

 「乳房(おっぱい)経済が確立されたんだ。通貨の兌換性(だかんせい)が崩れてゆく……」

 「あぁ、おねぇちゃんのオッパイがちいさくてもママはたすかるのね!」

 「しつこい!」

 周囲の人々から歓声が上がる。

 それを見て麗人は呆然としているが。

 仕方ない。

 アスタ自身が決めたことである。

 そして、アスタは自分が決めたことを絶対に(たが)えないのだ。

 内容を曖昧(あいまい)にはしないし、確実に履行(りこう)する。とりわけ、数字については厳格で、約束を3桁の精度で果たす。それ故、暁光帝は他の誰よりも信用されるのである。

 「最大級(ゲルグンド)の聖魔法500回分って……」

 女神も開いた口が(ふさ)がらない。

 いや、旧友と違って1桁の精度でしか計算していないが、貧民達にとっては500回が600回でも大した違いはないだろう。

 手足の欠損、過酷な環境下で生じた狂気、不治(ふち)(やまい)、果ては死者の蘇生、ありとあらゆる不幸が治る。

 もとい、直る。

 何なら、家族との別離や恋人との仲違(なかたが)い、友人達の間に()かれた不和の種といった人間関係の問題すらをも消されてしまう。

 ありとあらゆる不幸が“初めからなかったこと”にされるのだ。

 驚異の時間魔法がもたらす影響は(はか)り知れない。その恩恵を何百回も無料で受け取れるとなれば大騒ぎになる。今はヒトやドワーフ、エルフやホビットなどのヒト型種(ヒューマノイド)ばかりだが、いずれ、蟻甲人(ミュルミドーン)蜥蜴人(リザードマン)半魚人(マーフォーク)などの強力な非ヒト型種(ナル・ヒューマノイド)もやってくるだろう。

 「大騒ぎになるなぁ……」

 嘆息(たんそく)が止まらない女神だったが。

 「暁光帝が降りたのにこの程度の騒ぎで()んでいるんだから僥倖(ぎょうこう)かしら」

 通常、超巨大ドラゴンが降りたなら、万単位の人間が踏み(つぶ)されて死ぬ。山は崩され、谷は埋まり、川は断たれ、荒れ果てた耕地からは作物が()れなくなる。

 亡国の危機だが案ずることはない。彼女が降りた時点ですでに国家は崩壊しているのだから。

 後には絶望した人々が流民(りゅうみん)となって泣き叫ぶのみ。

 それは純然たる破滅。

 突如、天から降りてきて破壊と殺戮の雨を降らす、彼女はまさしく忍び寄る天災だ。

 それでいて何もかも踏み(つぶ)した暁の女帝様ご本人は悲劇に気づいてすらいない。森に入り込んだ人間が足元の落ち葉とその下の豊かな生物層を踏み荒らしたことに気づかないように。

 そんな、避けられないはずの天変地異(てんぺんちい)がこの程度の騒ぎで()んでいるのだから凄い。

 「えぇ、そうね……」

 まぁ、アスタも忙しくなって余計なことをできなくなるからいいかもしれない。

 口に出せない考えを心のうちに秘める。

 思いがけない幸運、僥倖であると思い直す。

 どこか疲れた女神の視線の先で不幸な人々が、(いな)、かつて不幸だった人々が騒いでいる。

 「ありがとうございます! ありがとうございます!」

 「健康を取り戻したのでまた働けるようになりました☆ もう娘や息子に(たか)らなくて良くなったのです♪」

 「()けろ、アントニオ! そいつは俺が…俺が……おぉぅっ!? ここはどこだ? 施療院(せりょういん)? 奴はどこに行った? なんで夜中だったのが昼間になってんだ? うわぁぁぁ、(こえ)ぇぇー!」

 「兄貴ィ! ()き腕を取り戻せたんで宿願が果たせやすぜ! さぁ、あの野郎をぶちのめしに行きやしょう! 紫の聖女様、ありがとうごぜぇやす!」

 「あぁ…ママのびょうきがなおった☆ おねぇちゃんのオッパイ、ちいさいのに……」

 「えぇ、えぇ、そうでしょうとも、そうでしょうとも! とりあえず、まぁ、ありがとうございます、紫の聖女様」

 「えっ? あれ? 私はどうしてここに? えっ、娘達が大きくなってる? なんで? どういうこと!?」

 強力無比な時間魔法で願いを(かな)えてもらった民衆は口々に礼を()べる。

 記憶ごと時間を巻き戻された患者(ほんにん)が何もわからなくて困惑していたりもするが、些細なことだ。実際、付き添いの友人や家族は大いに喜んでいる。

 それでも治療を求める人々の列は()えず。

 大勢がアスタの(まわ)りに集まってきている。

 「紫の聖女様、俺は歯が痛いんです!」

 「紫の聖女様、お腹がジクジクするって母が泣いているんです!」

 「紫の聖女様、生まれつきブサイクな上、足が臭いんで全然モテません!」

 「紫の聖女様、父がずぅっと酔っ払ったままで働いてくれません!」

 「紫の聖女様、素敵な恋人に(ひど)い言葉で(ののし)られ、フラレてしまいました!」

 「紫の聖女様、お母さんとお父さんと妹と兄さんと兄さんのお嫁さんと赤ちゃんが山賊に殺されちゃったんです!」

 「紫の聖女様、もっと(ひど)い目に()ってる不幸のチャンピオンがいないか、探してくるッス! あ、いいんッスよ☆ オレっちはお人好(ひとよ)しの親切な快男児(ナイスガイ)ッスから♪」

 願いも()えず、祈りと言葉が紫の聖女に降り注ぐ。

 おかげでアスタは休む暇もない。

 もとい、そのせいでアスタは休む暇もない。

 「あっぴゃー! 忙しすぎる! 最終調整者よりきついよ、これ!」

 悲鳴を上げる。

 しかし、自分の決めたルールは曲げられない。

 故意に魔力の消費量が多い魔法を選んで144万gdr(ゲーデル)の前払いを減らそうとするものの。

 「紫の聖女様のためならわたくしを(ささ)げます!」

 発育のよい、とりわけ胸部の発育のよい女性がやってきて胸乳(むなぢ)を差し出すと。

 「あわゎゎゎ! なんで? デカい! 予想外の大きさ!」

 抵抗(むな)しくアスタが立派な胸乳(むなぢ)に吸い寄せられていく。

 「むみぃー! この乳房価値(ティッツヴァリュー)はぁぁぁっ!?」

 無情な数値の公表と共に民衆の間から喝采(かっさい)()く。

 「うぉぉっ! (すげ)ぇ!!」

 「お姉さま! 素敵です! そのオッパイにずっとついていきます☆」

 「あぁ…私のムダ肉がこんな役に立つなんて……」

 感激する女性に大勢が感謝の言葉を()べる。

 大騒ぎだ。

 「あ…うん…そうね。そうなるわよね…どうして今日に限って立派なお胸の女性がたくさん来ているのかしら?」

 考えつつも、オヨシノイドは旧友が自縄(じじょう)自縛(じばく)の沼に沈んでゆく様子を眺めている。

 長い付き合いだからこういうことは何度も見てきた。

 どうすることもできないし、どうにかしてやることもできない。

 アスタなら時間魔法で約束を取り消すこともできるのだが、そういうことを決してやらないのもまたアスタなのだ。

 約束は絶対である。



 世界の危機そのものである超巨大ドラゴン暁光帝。

 誰にもへりくだらず、何者も恐れず、只、自由に空を飛ぶ。



 …飛ぶのである。

 …のであるが、しかし。

 自分の()いたルールには縛られる。

 それだけは決して破れない。

 「あっぴゃー! まだいる! まだこんなにいるぅー!」

 施療院(せりょういん)の庭に悲鳴が上がる。

 それは歓喜か、あるいは絶望か。

 「……でち」

 (あるじ)を見つめる幼女の目はいつもよりもわずかに大きく見開かれていた。

ここまで読んでいただきありがとうございます♪


はい。これにて今回の章『施療院って何? そっかぁ…魔法が使えるのってエライんだー』はお終いです。

読者の諸姉諸兄の皆様、お疲れ様でした。

楽しんでいただけましたでしょうか?


前の章『モンスター襲来!? 海水浴場の平和はボクが守る☆』から引っ張った“暁光帝の固有魔法”ネタの展開でした。

まだ、謎も残っていますが、それは次の章で♪

お楽しみに〜


龍の巫女クレメンティーナ、5才児も活躍してくれましたね。

主の暁光帝♀がアレなんで従者の方がしっかりしないといけません。

暁光帝♀が“ドラコシビュリファイ”なんて魔法を開発したわけですが、他人に使わせるばかりでして。

雲上を亜音速で飛び続ける超巨大ドラゴンに巫女なんて要りませんからww

今の今まで本人は使ったことがありませんでした。

こう言う性格でああ言う生活ですしね。

本人からすると主人と従者って関係にもならないのでしょう。

この魔法、実は「巫女は主人であるドラゴンに絶対服従する」ってゆー機能がオプションでついてくるんですが。

当然、つけてませんwww

あくまでも町のいじめっ子を懲らしめられる力を与えたかっただけですからwww

じゃあ、何であんな極悪魔法も使えるようにしたって?

これまた次章のお楽しみに♪


描いていて、暁光帝♀のイメージがたびたび童女に戻ってしまい、苦労しました。

口調が変わっていないのでついつい童女の姿を思い浮かべてしまうんですよね。

もちろん、今は豊乳を弾ませる絶世の麗人です(^_^;)


あ、(・人・)の定義ですが……

無乳<微乳<貧乳<美乳<豊乳<巨乳<超巨乳<爆乳<だらしない爆乳<魔乳

……という不等式が成立しております。

ちなみに魔乳まで行くとゼナ・フルゾムなので個人的には「ないわー」となってしまいます(涙)

ご参考までにどうぞ。


新キャラの女神オヨシノイドは初期プロットだと登場する予定がなかったんですが、この章はアクションシーンがなくて、とにかく会話劇だけで物語が進んでしまうので、変化を出したくなりまして。

人間の側はエルフのナンシーもギュディト百卒長も博物学者ビョルンも充実していますからね。

幻獣の側にも主人公♀とジュリエットとポーリーヌがいますから、神々の側で物語を紡いでくれる女神オヨシノイドがいてくれると助かるのです☆

初期の頃からキャラクターだけは設定していたんですが、名前の“オヨシノイド”は酒の神デュオニュッソスの逆さ読みという適当っぷりです。

ところが、小生がギリシア文字を読み違えてしまいまして(汗)

どうせ適当だから「まぁ、いいや」となりました(^_^;)


さて、暁光帝♀が定義した謎の量“ティッツヴァリュー”と魔力への換算式は以下の通りになります。


<<乳房価値と魔力の換算>>

この件に関してはMKS単位系とcgs単位系が混在する。バストサイズや身長の表記はcgs単位系で、体重の表記はMKS単位系である。ただし、実際の計算はすべてMKS単位系に揃えねばならない。単位の次元は密度の定義などがあってそろっているので乳房価値ティッツヴァリューは無名数である。

ptrn=4π*B1*T/(B0*w^(1/3))・log[60/52.5](B1/B0)

MP=0.129*ε^ptrn

ただし、B0は胸囲アンダーバスト[cm]、B1は胸囲トップバスト[cm]、Tは身長[cm]、wは体重[kg]である。

また、πやεは常数であり、それぞれ円周率3.14159265358…とネイピア数2,718281828459045…である。

作中での計算は最初、身長155[cm]体重52[kg]でトップバストB1=86[cm]のアンダーバストB0=68.5[cm]の女性について為され、乳房価値が

4*pi*0.86*1.55/(0.685*(52^(1/3)))*log(0.86/0.685)/log(0.60/0.525)

ans = 11.163

であり、魔力に換算すると

0.120*exp(4*pi*0.86*1.55/(0.685*(52^(1/3)))*log(0.86/0.685)/log(0.60/0.525))

ans = 8455.0

である。また、次の爆乳女性が身長162[cm]体重57[kg]でB0=77.5[cm]でB1=105[cm]の女性について為され、乳房価値が

4*pi*1.05*1.62/(0.775*(57^(1/3)))*log(1.05/0.775)/log(0.60/0.525)

ans = 16.299

であり、魔力に換算すると

0.120*exp(4*pi*1.05*1.62/(0.775*(57^(1/3)))*log(1.05/0.775)/log(0.60/0.525))

ans = 1.4378e+06

に達する。

単位はそれぞれ乳房価値ptrn(ポワトリン)と魔力gdr(ゲーデル)である。


この計算式、ポイントは貧乳の平均値 60/52.5という比を底として“B1/B0”というアンダーバストから見たトップバストの比の対数を取ることで(・人・)を評価していることですね。

この部分があるから男性のティッツヴァリューはほぼ0になっちゃいます。

男性の場合、 B1/B0、すなわち、アンダーバストから見たトップバストの比がほぼ1ですから、その対数はほとんど0になってしまうからです☆


この計算式、ちょっと適当にでっち上げたんで厳密には無名数になりませんね(>_<)

体重の立方根をとって身長との比を求めることで密度の概念を踏まえればほとんど無名数と変わらないとは思うんですが……

まぁ、お笑い小説ですしおすし(^_^;)


さて、そういうわけで次回は『ついに登場! チンピラが挑む、最強最大の敵!』です。

まぁ、しばらくはまた執筆に勤しみますがww

気長にお待ちくださいませ〜

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