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人化♀したドラゴンが遊びに来るんだよ_〜暁光帝、降りる〜  作者: Et_Cetera
<<施療院って何? そっかぁ…魔法が使えるのってエライんだー>>
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次はどんなおっさんなのやら…おやおやまぁまぁ、暁光帝はこういう患者を待っていたんですよ♪

いい気になって暴れた結果、大変なしっぺ返しを食らった若者達ですが、我らが主人公♀暁光帝の働きで一命をとりとめました。

よかった、よかった。

暁光帝♀は次の患者を待っています。

でも、ちょっと気が重い。

どうせ、次の患者もおっさんでしょ?

もしくは兄ちゃんか、爺さんか、坊っちゃんですよね?

できれば「チェンジ!」と言いたいところだけれども、医者は患者をチェンジできませんwww

まぁ、諦めて治療したげましょう(´・ω・`)


お楽しみください。


キャラクター紹介&世界観はこちら〜>https://ncode.syosetu.com/n2816go/

 そして、無能な若者達に代わって2人の母娘が現れた。

 「紫の聖女様、お願いします。哀れな娘を助けてください。娘は生まれつき目が見えないのです」

 母親は涙を流しながら懇願(こんがん)する。

 「はい。幼い頃の事故で私の目は失われてしまいました。もうすっかり慣れましたが、(めし)いて家族に迷惑を掛けることに心苦しさを感じます。そこで是非(ぜひ)とも紫の聖女様のお情けにすがりたく……」

 目を閉じたまま、娘もまた懇願(こんがん)する。

 もっとも当の本人、聖女(アスタ)は聞いていない。

 「うむむむ…なんと見事な☆」

 両の(まなこ)が凝視する先は娘の胸乳(むなぢ)。なかなかに栄養状態がいい。それは貧民の子とは思えないほど豊かに成長していた。

 「私は…もう眼球がありません。それでも私は目が見えるようになり…ましょうか……?」

 声が震える。

 希望と(あきら)めが相半(あいなか)ばしているのだ。

 「うん、生命の樹(セフィロト)を見たからキミの眼球が両方ともないことも失ったのが赤ん坊の頃だってこともわかってるよ。大丈夫、全く問題ない。おカネも()らない。只、その代わり……」

 珍しくアスタが口ごもる。

 「えぇっ!? 治るんですか!? 私の目が!? それでしたら!」

 「何でも差し上げます! 何でもやります! 遠慮なく何でも言ってください!」

 母娘は興奮して喋る。

 「じゃ、オッパイ()ませて♪」

 「喜んで☆」

 麗人の要求に一瞬のためらいもなく答える娘であった。

 「!?」

 母親は何を言われたのかわからず、当惑していたが。

 このやり取りを聞いて騒ぎ出す貧民達だ。

 「えぇぇぇっ!?」

 「紫の聖女様はカネがなくてもオッパイを()ませればどんな治療もしてくれるらしいぞ!」

 「何だと!? カネが()らない!?」

 「それだけでいいのか!」

 「なんて心の広い方だ!」

 「いや、待て! 男だから俺はオッパイないぞ…どうしたらいいんだ?」

 「服の下に枕を詰めればオッパイに見えないか?」

 「アタシもオッパイが大きいからこれで2人分(ふたりぶん)、亭主の怪我(けが)と娘の病気を治してもらうよ!」

 「玉と竿(さお)ならあるんだが、それじゃ駄目かな?」

 「死ね!」

 「うわぁーん! おねぇちゃんのオッパイがちいさいからママをなおしてもらえないぃー!」

 「えっ? こら! なんてこと言うのー!」

 大騒ぎだ。

 貨幣経済に挑戦するかのごとく、女性の胸乳(むなぢ)()ませることを対価とする、全く新しい価値観の登場である。

 「これほどの傷ですが…大丈夫ですか?」

 騒ぎを尻目に娘が両目を開く。

 そこには何もなかった。

 ただの真っ暗な穴だ。

 (ととの)った、綺麗な顔に2つの穴が()いている。

 幼い頃に眼球そのものを摘出する事故に()ったのだろう。両目のあるべきところはポッカリ()いた眼窩(がんか)(みにく)くも恐ろしい傷痕(きずあと)になっていた。

 「ひっ!」

 「これは…(ひで)ぇ……」

 「なんて(むご)い……」

 娘の不幸を見て周囲から幾つも悲鳴が上がる。

 けれども、真正面から見せられたアスタは驚く様子もない。

 只、少しだけ不快そうな表情を見せる。

 「赤ん坊の頃の傷じゃ、ボクの魔法は使えないな」

 わずかに口を(とが)らせる。

 「えっ、聖女様の魔法でも治せないんですか」

 娘は不安そうだ。

 「いや、ボクにとってちょっと都合が悪いだけさ…どうということもない。ボクのが使えなくてもノヴァニクスのが使えるから大丈夫」

 “ノヴァニクス”、それは孤高の八龍(オクトソラス)が1頭である白龍の名前だ。

 周囲の人々には謎めいた固有名詞にしか聞こえない言葉を使いつつ、麗人はこともなげに(こた)えて。

 「じゃ、治すねー…ん☆」

 左手を娘に向けて、手のひらを開く。白く透き通った角が輝き、(たぐい)(まれ)なる魔力が現実世界に干渉し、ありえない現象を引き起こす。

 (から)っぽの眼窩(がんか)魔幹(まかん)が設定され、すぐさま構築された魔力場(まりきば)が損傷した視神経を再生させ、超スピードで細胞を増殖させ、眼球を発生させる。同時に大脳の未発達な視覚野(しかくや)も正常な状態にまで成長させる。

 ポッカリと()いた真っ暗な穴でしかなかった娘の眼窩(がんか)が急速に埋まる。完全に正常な眼球によって。

 だが、娘の目は真っ黒な煙のような(かたまり)(ふさ)がれている。闇の精霊魔法“闇の(ダーク)目隠し(ブラインド)”だ。

 本来は敵の視界を阻害して行動を妨げるための魔法である。しかし、この場合はいきなり強い光を見て目を傷めないよう、アスタが闇魔法で娘の眼を保護したのである。

 しばらくして、娘の眼を(おお)っていた闇魔法が薄れてゆく。

 「もう大丈夫。ゆっくり目を開いてね」

 麗人は優しく声を掛ける。

 すると。

 「まぁ! 貴女(あなた)が…紫の聖女様なんですね!」

 感極(かんきわ)まった娘が声を上げる。

 その視界に紫に輝く金属線が踊っている。雪のように白い肌と強い意志を(たた)える虹色の瞳(アースアイ)が印象的だ。

 「見えます…生まれて初めて…光を得ました。なんと美しい……」

 両の(まなこ)からとめどなく涙があふれる。

 「聖女様、この素晴らしい世界を照らす光を授けてくださったことに感謝します」

 滂沱(ぼうだ)の涙とともに感謝の意を伝える。

 「うむ、うむ、うむ。そうだね、キミも世界の美しさに気づいたのだね。そうだよ、世界は素晴らしいんだよ☆」

 アスタは同好の士を得て大いに喜んだ。

 「じゃあ、()ませてねー♪」

 「さぁ、どうぞ☆」

 光を戻してくれた聖女に()われて娘はためらうことなく胸乳(むなぢ)を差し出す。


 もみもみもみもみもみ!


 アスタの方も全くためらう素振りは見せず、娘の巨乳に(つか)みかかり、()み始める。

 決して強くなく、それでいて刺激的に、そして、優しく。

 「あ! あぁん☆」

 娘がわずかな嬌声(きょうせい)を漏らす。

 正直、『聖女様は豊乳(ほうにゅう)なのだから自分の胸乳(むなぢ)()めばいいのではないか』と思わないでもない。それでも余計なことを言わないのは恩義を感じているためだ。

 どこの世界にカネを受け取ることなく失われた眼球を再生してくれる治癒師(ちゆし)がいるのか。

 回復魔法が使える者は少ないし、聖魔法が使える者はもっと少ない。だから、どんな神殿でもどんな教会でも魔法による治療は基本的に有料なのだ。

 ましてや、失われた手足や眼球の治療には途方もないカネがかかる。信心への褒美(ほうび)であっても、だ。神殿も教会も多額の寄進という形で対価を求める。それが支払えないから今の今まで(めしい)でいたし、これからもそうだろうと思っていた。

 だから、光を(あきら)めていた。

 それを紫の聖女様は特別に『胸乳(むなぢ)()ませるだけでよい』と言ってくれたのだ。

 とんでもないレベルで超・破格である。

 この恩を返さねばならぬ。

 そのためなら胸乳(むなぢ)を触らせるくらいなんでもない。

 「あぁ…ふん……」

 優しく上品な愛撫に思わず声が漏れてしまう。

 成人女性が他の女性の胸乳(むなぢ)に手をかけて()みしだく光景は非常に扇情的で、人々の心を激しくざわつかせる。

 「ふむぅ…存分に堪能させてもらった♪ もういいよ☆ ありがとう」

 満足したアスタが感謝の言葉を()べる。

 心から。

 誠実に。

 「はい。こちらこそありがとうございました」

 娘は礼を言って立つ。

 もう目が見えるのだ。母親に手を引いてもらう必要もない。

 「紫の聖女様、ありがとうございます! ありがとうございます!」

 母親も礼を重ねて涙を流している。

 長年、(めしい)の娘を抱えて聖魔法のレベルにもくわしく知るようになっていた。

 手足や眼球の欠損は最高位の聖魔法でなければ治せない。いわゆる、最大級(ゲルグンド)の魔法だ。個人でそれを発現できる者はヒト族にはおらず、妖精人(エルフ)族や茸人(マタンゴ)族といった魔法の得意な人種でなければならない。

 そのレベルの奇蹟(きせき)をたった1人で発現させたアスタは間違いなく大聖女であるに違いない。

 そんな偉人が娘のために、カネも取らず、只、胸乳(むなぢ)()むだけで失われた眼球を取り戻してくれたのだ。

 どれだけ感謝しても感謝し足りないだろう。

 母と娘はもはや信仰に近い崇拝の念を(いだ)いていた。

 「す…(すげ)ぇ……」

 「えぐり取られた目玉を2つとも元に戻したわぁ!」

 「なんてぇ奇蹟(きせき)だ!」

 「ありがてぇ、ありがてぇ……」

 「あぁぁ…大聖女様よ! 本物の大聖女様の到来よ!」

 「みんな、見ろ! 今、この時、享楽神(オヨシノイド)様が奇蹟(きせき)(たま)われたのだぞ」

 「あれが大聖女様か……」

 「おぉ…生きて、生きて…この目で大聖女様の降臨を()の当たりにできるとは……」

 「祈りましょう、奇蹟に」

 「オヨシノイド様! オヨシノイド様!」

 口々にアスタを(たた)え、人々は神に祈る。

 光の神ブジュッミに向かってではない。ここは享楽神(きょうらくしん)オヨシノイドの神殿なのだ。

 だから、皆、女神に向かって祈っている。



 「むぅ…別にボクはオヨシノイドの下でとぐろを巻いているわけじゃないんだけど?」

 不満げなアスタだが、つぶやいただけだったので誰も聞いていなかった。



 ただ1人、金髪のエルフだけが眼を皿のように丸くしている。

 「そんな…今のは暁光帝(ぎょうこうてい)の固有魔法じゃない。只の…いや、最大級(ゲルグンド)の聖魔法“大いなる再生(リジェネレイト)”!」

 非常にショッキングだった。

 今までの流れからして、当然、アスタはあの不可思議な固有魔法を使うものだと思っていた。

 でも、盲目の娘は気勢を上げて(うた)うことも()(かい)な仕草で踊ることもしなかった。

 一言で言って治療は普通。

 いや、最大級(ゲルグンド)の聖魔法という時点で個人がおいそれと発現できるものではないのだが。

 ヒト族の回復術師なら何十人も()る大規模な集団魔法なのだ。けれども、そこは(あかつき)の女帝様だ。超巨大ドラゴンの魔気容量(まきようりょう)はほぼ無限だろうし、1人であっても余裕で発現できてしまうのだろう。

 例の固有魔法ではない、アスタにとっては児戯(じぎ)に等しい、低級な手法であるのだ。

 だから、問題はなぜ聖魔法リジェネレイトなのかということになる。

 恐ろしい疫病も半ば腐り溶けた手足もアスタは自分の固有魔法で治療していた。それこそ自信満々、余裕綽々(しゃくしゃく)で、だ。

 ところが、今回に限り、聖魔法を使った。

 それも『赤ん坊の頃の傷じゃ、ボクの魔法は使えないな』という怪しげな発言の(もと)で。

 その後に『ボクにとってちょっと都合が悪いだけ』とも言っていたから、何かしら不都合があったのだと思われる。

 だが、しかし、暁の女帝様が御自(おんみずか)ら操作なされる万能の固有魔法に何か差し(さわ)りがあったのだろうか。

 「いいえ。あったから…何か問題があったから聖魔法リジェネレイトで代用したんだわ……」

 考える。

 今までの患者と(めしい)の娘の何が違ったのかを。

 天然痘(てんねんとう)(かか)った少女、人食いグモに()まれて死にかけた冒険者4名、そして、眼球を失った娘。

 彼らを(へだ)てる違いは……

 「“報酬”ね」

 1つ、思いつく。

 カネではないが、アスタは盲目の少女にだけ『オッパイ()ませて』と対価を要求していた。

 おそらく、この対価が鍵だ。

 つまり、固有魔法を使うと、何らかの理由で対価を支払ってもらえなくなるのではないか。

 だから、アスタは聖魔法リジェネレイトで娘の眼を治療したのだ。

 けれども、この推測が正しかったとしても疑問が残る。

 「アスタの固有魔法もリジェネレイトも完璧に患者を治療するわ。この2つに違いはない…どうして固有魔法では都合が悪かったの? 報酬をもらえない理由は何?」

 悩む。

 言うだけのことはあり、アスタは間違いなく“始原の(アーク)魔導師(メイジ)アストライアー”だ。恐ろしい疫病も瀕死の重傷も治してしまう。それこそ跡形(あとかた)もなく、だ。痘痕(あばた)傷痕(きずあと)も残さない。

 完璧な治療である。

 患者は治してもらえさえすれば不満を言わない。とりわけ、苦しんでいる間は全財産だって差し出そうと思うものだ。ましてや、支払うべき対価が乳房である。実質的には無料、ただ同然だ。

 「それなのにどうして…どうして固有魔法では報酬がもらえなくなるの?」

 思いっきり考え込んでみてもさっぱりわからない。

 そのせいでビョルンの言葉が思い出されてしまう。

 『はぁ…暁光帝(ぎょうこうてい)の意図を()(はか)ること自体がそもそも人間には不可能なのですよ』、そう言いながら博物学者はため息を()いていた。

 『それでも』と思う。

 それでも眼の前に人化(じんか)した超巨大ドラゴンがいて、人間の街を闊歩(かっぽ)しているのだから、暁光帝(アスタ)の考えを理解しようと努力するべきだ。

 たとえ、不可能であっても。

 ナンシーは(なか)ば悲壮な考えに(ひた)りつつも事態を観照する。

ここまで読んでいただきありがとうございます♪


暁光帝♀が目玉をなくした薄幸の乙女を治したげました。

訂正:暁光帝♀が目玉をなくした薄幸の巨乳の乙女を治したげました。

ここ、大事☆

図らずも百合ん百合んになりましたかね。


描いてる最中は気づきませんでしたが、校正作業中に「あれ?これ、百合かな?」と気づき……

まぁ、「百合である」とのたまえるほど大層な代物でもありませんが(^_^;)

ちょっとだけ【ガールズラブ】タグが息を吹き返しました♪


さて、そういうわけで次回は『哀れなドワーフが泣いています。この世の終わりみたいな顔をして。あぁ、その手の悩みなら暁光帝が本職ですよ(^_^;)』です。

請う、ご期待!

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