大人達の相談。暁光帝の知らないところでいろいろな話が始まっているようです。
平和な海水浴場に襲来した恐ろしい怪物フォモール族4頭をすべて倒した、我らが主人公♀暁光帝です。
今はにっこり平和な微笑みで世界を見守っています。
なんて、主人公らしい主人公なのでしょう☆
ところが、人間達は恩知らずにもドラゴンの偉業に感謝せず、何やら相談しています。
ええ、誠実な夫にすがりついて家庭を乱す相談女のように!!
一体、世界はどうなってしまうのでしょう?
お楽しみください。
キャラクター紹介&世界観はこちら〜>https://ncode.syosetu.com/n2816go/
浜辺を少し上がった場所に為政者2人と荒鷲団が集まっていた。
「アレとか、コレとか、ヤバイ技なしで侵略者どもを撃退してくれたわ。それにしても…えげつないほどにゲロ強ぇ……」
エーテル颶風や破滅の極光、世界の終わらせてしまいそうな御業を思い描きながら、妖精人のナンシーは一息つく。
「3頭を始末してくれたわ。焚き火のそばに巨腕も這いつくばってるから、これで4頭で全部かしら…お終いよね?」
童人のキャロルが尋ねてくる。
「グギギ…凄イ成果ダガ、正直、異形妖族ヨリモアノ子供ノ方ガ恐ロシイ。何トイウぱわーダ。信ジガタイ……」
語りながら目を伏せがちな侏儒のビ・グーヒ。魔力切れの倦怠感もあるのだろうが、恐ろしい光景を見せられたショックも大きい。
「あ、あぁ…そうね。もう大丈夫よ。脅威は取り除かれたわ…はぁ…ご苦労さま」
エルフはため息を吐きながら、何とか言葉を取り繕って荒鷲団の2人に返事する。
「あれだけの戦いをやってのけたのに…アスタさんは汗の1つもかいてないし、息も全く乱れていません。完璧に平静を保っていますね。瞬きすらも……」
いや、そもそもアスタは瞬きしないかと思い直す博物学者ビョルンである。ついでに言えばあの童女は汗もかかないし、呼吸もしないのだった。
文字通り、桁外れの戦闘能力が証明された。
特殊能力のエーテル颶風も破滅の極光も使わず、アスタは素手で一方的にフォモール族を叩きのめしてしまったのである。
それも1度に3頭も、だ。
これだけの仕事を成し遂げるためにはリュッダ軍の正規兵ならどれほどの人数が必要だったことだろう。
魔法を使う、奇っ怪なフォモール族を相手に兵士達はどれだけおびえてひるんでいただろう。
よしんば、まともに戦えたとしてどれほどの被害が出ていたことか。負傷者、戦死者だって10人や20人では済むまい。
そんな強敵を3頭もアスタはたった1人で片付けてしまった。
「わかってはいましたが、さすがはぎょぉこぉて…アスタさんですねぇ」
呼称を間違いかけて目を白黒させながらビョルンは失言を取り繕う。
そんな時、背後から大勢の足音が聞こえてくる。
ダッダッダッダッ!
「ビョルン、大丈夫か!? 兵隊を連れて来たぞ!!」
きらびやかな板札鎧ローリーカセグメンタータに身を包んだギュディト百卒長が駆けつけてくる。美女なのに黒光りする禿頭が残念なものの、今は兜で隠れている。
その後ろには100人の完全武装した兵士、百人隊が揃い踏みだ。
先ほど、博物学者が要請した守備隊が駆けつけてくれたのである。
馬には乗っておらず、全員が徒歩だ。ドラゴン城からの距離を考えれば早すぎるから、おそらく兵士達に強化の魔法を使わせたのだろう。ギュディト百卒長は部下にも魔法の訓練を課しているのだ。
筋力と足の骨を魔法で強化した軍団兵、100人が臨港道路を全力で走ってくれたに違いない。
「憎きフォモール族どもはどこだ!?」
美女が吠える。
黒い肌がたくましく、馬の毛で作られた帝国式兜の赤い飾りが華やかだ。
「あぁ…ご苦労さま。えーっと…フォモール族なんですが…アスタさんが全部やっつけてしまい…くれました」
ビョルンは申し訳なさそうに告げて浜辺を指差す。
ここからでも逆立ちして失神しているフォモール族の3頭が見える。焚き火のそばで倒れている巨腕のフォモール族も視界に入る。
「こ…これは……」
目を見開いた百卒長は唖然として立ち尽くすしかない。
「むぅ! ヒグマほどのフォモール族を4頭も…いや、しかし!」
博物学者の言葉を反芻して気持ちを切り替える。
「さすが、アスタさんですね☆」
うんうんとうなずく。
正直、連れてきた兵士達は100人という数を揃えただけで練度にも魔気容量にも斑がある。武器の扱いはともかく、大して魔法も使えない兵士もいるのだ。
強敵であるフォモール族の4頭と戦ったらほぼ間違いなく犠牲者が出ていたに違いない。
それを0に抑えられたのだ。
紫色の金属光沢に輝く髪の童女が活躍してくれたおかげで。
これは僥倖、偶然がもたらした予期せぬ幸いである。
実に喜ばしい。
獲物を取られたとか、戦いの機会を逸させられたと考えるのは愚か者のやることだろう。
「そりゃ、ボクはブタよりも小さいからね☆」
やって来たアスタはギュディト百卒長と同じようにうんうんとうなずいて薄い胸を思いっきり張る。
完璧な美少女だ。
金属光沢に輝く紫色のロングヘアーも、可愛らしい黄色のビキニも、白くたおやかな手足も、大きな虹色の瞳も、水密桃のように鮮やかな唇も、何もかもが美しい。
獣じみた唸り声や二目と見られぬ恐ろしい面相はすっかり消え失せていた。
到底、恐ろしいフォモール族どもを成敗した英雄には見えない。
「大変だったでしょう?」
「ブタよりも小さいから楽勝だったよ」
「ブタよりも小さいと何でもできるんですね」
「当然だよ。だってブタよりも小さいんだから☆」
「凄いんですねぇ」
「うむ。凄いんだよ」
「「ハーッハッハッハッ!」」
童女と百卒長は楽しげに笑い声を合わせている。
2人ともたいそう上機嫌だ。
「それは…まぁ、そうでしょうね……」
博物学者ビョルンは少なからぬ頭痛に耐えながらつぶやく。
何ともはや、アスタの言葉が真実なのだから。
“ブタよりも小さい”、常人には意味不明の修飾語だが、実は単純に“偉大であること”を示しているのだ。
彼女は空から降りただけで万単位の人間を踏み潰す、そこにいるだけで太陽を遮って都市を闇に包むほどの超巨大ドラゴンだ。そして、太古の昔、世界を乱した2柱の神を殺している。
そんな神殺しの怪物をブタよりも小さく縮めた偉業、それに比べればフォモール族の討伐など児戯に等しい。
なるほど、アスタの言う通りであって。
うなずいている百卒長は正しい。
黒い肌の美女がそのことを理解しているとは思えないが。
しかし、美女と美少女、2人が上機嫌で笑い合っているのなら何も問題ないのではないかとも思う。
とりあえず、世界は無事で。
暁光帝が暴れずにいてくれたのだから。
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波打ち際が賑わっている。
秋刀魚に人間の下半身、双頭の巨人、頭から手足の生えた単眼の怪物、3つの肉体に波がぶつかって白い泡と飛沫を立てている。
「「「何という代物だ……」」」
あまりの異様さ、あまりの大きさに見上げて絶句するお金持ちのおっさん達である。
「こんな怪物が実在して我々を襲ったとは……」
「この魚みたいな奴は水の魔法で屋台を切り刻んでいたぞ」
「巨人は連接棍棒を振り回していたな。勇敢な冒険者を殴りつけたんだ」
「おお、1つ目の怪物の何と大きいことだ。梟怪熊よりもデカいぞ。この腕で小さな女の子を掴んだのか。よくぞ、あの娘はやってくれたものだなぁ」
「凶暴な3頭とも、あの“ブタよりも小さいアスタ”が仕留めたのだろう。大したものだ」
「あぁ、本来、百人隊が出動するような仕事だぞ。よくもたった1人でやり遂げたものだ」
「あの娘こそ、本物の英雄だね☆」
フォモール族に驚き、討伐した童女を褒め称える声が次々に上がる。
お金持ちだからおっさん達は金儲けには人一倍関心があるので、当然、自国の力量はよく理解している。周辺諸国との諍いや街道の治安の状況は金になるのだ。
だから、もしも、瓦礫街リュッダの百人隊がこのフォモール族達と戦っていたら、街にどれほどの損害が出たか、そして、軍にどれだけの人的被害が出たか、ある程度の予測がつく。それにともなって消費される経済的損失も。
そこで目の前の事態を値踏みする。
「あの娘からはカネの臭いがしますなぁ」
「うふふ…あの娘を利用すれば中央の貴族からどれだけ巻き上げられることか、楽しみでなりません」
「イヒヒ、貴方も思いつきましたか。そうです、あの娘は戦争の鍵となり得る。儲かりますぞ」
ほくそ笑んで取らぬタヌキの皮算用を始める者さえいた。
例えば、凶暴な幻獣を撃退するのに冒険者や軍隊に頼らなくても良くなるのだ。
先ほどの戦いでアスタは余力を見せていたからフォモール族以上の幻獣にも対応できるだろう。優秀な冒険者をたくさん雇うカネを節約できる。
また、軍事的にも有用だ。どんな大軍だって指揮官を討ち取ってしまえば混乱させられる。文字通り、目にも止まらぬ速さで駆け抜ける童女ならどう頑張っても止められまい。敵将の首級を挙げて
リュッダ軍に勝利をもたらすことだろう。
その活躍を金銭に換算すると凄い額になるに違いない。
そして、この金儲けを実現することに当たって障害は全くないのだ。
なぜなら。
「後はどうやってあの子供を利用するかですがね、いかにも田舎から出てきたという感じで素直そうだ。うふふふふ……」
「嘘を嘘と見抜けそうにない、頭の悪そうな顔をしていますよ。ククククク!」
「騙されやすそうな子供だから簡単に引っ掛けられることでしょう。イヒヒ……」
「いっそのこと、適当に借金を負わせて奴隷に落としてやればいい。みんなで所有するのです。ホホホ!」
「共有されて無限にカネを生み出す奴隷兵器ですか…素晴らしい♪ うひょひょひょ☆」
「けれども、そこまで無理に働かせたらあの娘が死んでしまうかもしれませんなぁ…へへへへ!」
「構いません、構いません。あのアスタという子供が疲れ果てて死ぬまでこき使ってやりましょう。これも瓦礫街リュッダのためですよ。ケケケ!」
「街が守られ、我々は儲かる…そうです。子供1人の犠牲でみんなが助かる。全ては最大多数の最大幸福のため…素晴らしいことですよね。アハハ!」
お金持ちのおっさん達は好き勝手に喋りながら、互いに敵を作らぬまま金儲けできるような仕組みを考えている。
飛鳥尽きて良弓蔵る。狡兎死して走狗烹らる。
空を飛ぶ鳥が尽きれば良い弓も要らなくなって蔵にしまわれる。ずる賢い兎が死に絶えれば素速い狗も要らなくなって割烹料理の具材として煮られてしまう。
強敵である4頭のフォモール族が討ち取られ、勝ったと思い、ことわざ通りにアスタを用済みと考えている。童女を騙して奴隷の身分に陥れ、利用してやろうと企んでいるのだ。
何たる厚顔無恥か。
助けてもらった恩も忘れて、非情にも童女を金儲けの道具に仕立て上げようと企てているのだ。
非道い話だ。
もっとも、それは仕方ないことでもあった。
今は海水パンツ一丁だが、普段は上等な服を着ていて、上品な言葉遣いで喋り、仲良く商売をしている上流階級だ。それら全て、上等な服も、上品な言葉遣いも、仲がいいのも、カネを儲けるためにやっていることだ。そのために喧嘩せず、長く、利益を出し続けるための行動を心がけているのだ。
一発狙いの野心家ではない。
危ない賭けに打って出て刹那的に生きる犯罪者でもない。
金儲けの種を見つけたらお金持ち同士で仲良く機会を分けて利益を追求する。なるべく長い間、安定して儲ける。
立派な商売人なのだ。
良い、悪いの話ではない。
そうして来たからおっさん達はお金持ちになれたのだから。
これからもそうするに違いない。
「みんな、仲良く健やかに。助け合って長く長く幸せになりましょうね。うふふふ……」
カッポーニさんは海水パンツからはみ出した腹を垂らしている。
「素晴らしい世界が始まりますね♪」
同じく膨れた腹を震わせてマッチョッキさんも賛同している。命を助けてもらったのにアスタを騙して利用しようとしているのだ。
その行いは間違ってはいない、ことになっている。
光明神の教えなのだから。
良かれ、悪しかれ、この街は光明教団の勢力が強く、その思想、その価値観が広まっていた。
『みんな、仲良く健やかに』、『助け合って末永く幸せに』、これらの教えの下、長い間、瓦礫街リュッダは繁栄してきたのだ。
そして、それは勇者ジャクソンに解放された今も続いている。
平和と協調、すなわち、個人主義を嫌って集団主義を声高に叫ぶ。そんな光明神ブジュッミの教えが商業ギルドの上級会員という集団を育ててしまったのである。
救けてもらったことを忘れて童女を騙して奴隷の身分に落とそうと企むような、恩知らずで卑怯な集団を。
果たして、光明神の教えは正しかったのか。
非常に疑わしい。
そして、今、救けた者らからアスタは裏切られようとしている。
純真な童女は嘘が吐けず、嘘を見破る目も持たない。このままでは“立派な商売人”にたやすく欺かれてしまうことだろう。
哀れ、アスタは奴隷の身分に落とされてしまうのか。
夢も希望も理不尽に奪われてしまうのだろうか。
ここまで読んでいただきありがとうございます♪
大事件が解決して海水浴場に平和が戻りました。
よかった、よかった。
でも、お話は続きます。
今度は味方だった人間達が相談を……
はい。光明神の教えに問題があるようです。
ここでまとめてみますと…
光明神ブジュッミ:平和を尊んで集団主義を標榜して個人主義を嫌う。
暗黒神ゲローマー:競争を尊んで個人主義を標榜して集団主義を嫌う。
光の神は「みんな仲良く」「互いに助け合って末永く幸せに」と謳います。
闇の神は「他人に頼らず」「互いに競い合って強くなれ」と謳います。
それぞれ、言っていることはけっこう当たり前でして、別に暗黒神が悪というわけではありません。
これって昔ながらの思想の潮流なんですよね〜
例えばインドのヒンドゥー教とペルシアのゾロアスター拝火教って元は同じ1つの宗教だったって話がありまして。
厳しい修行と個人間の競争を嫌ったインド人はヒンドゥー教を選び、逆に平和を唱えてばかりで集団の和を押し付けられたと感じたペルシア人はゾロアスター拝火教を選んだらしい。
実はこの手の思想の潮流ってずっと続いているんですよね〜
多くの思想がこの手の価値観を元に分類できます。
ヨーロッパの近代化でド派手に繰り広げられた宗教戦争、あれ、歴史の授業で習いましたが、とにかくわかりにくい。先生は「わずかな教義の違いでカソリックとプロテスタントが争った」としか、説明してくれず、学生は「そんなことで殺し合いをするなんて白人は本当にバカなんだ」としか思いませんよね。
日本人にはわからない?
いえ、ちゃんと説明すればわかるんじゃないでしょうか。
カソリックを「金儲けなど個人間の競争を抑えるための身分制を支持する思想」、プロテスタントを「聖書の教えのみを信じるべしとの建前の下に伝統的な身分制を否定して、経済活動の自由、すなわち個人間の競争を尊ぶ思想」と解釈し直せば、どうでしょう?
ほら、ずいぶんとわかりやすくなってきませんか。
そりゃ、互いに絶対許せない系だとわかりますよね。
伝統的な身分制を否定されて「生まれで個人の身分を決定するなんてズルやめろ!」「この世は実力なんだ、弱肉強食なんだ、競争しろ!」なんて言われたら既得権益を享受してきた層だけでなく、単純に争いを嫌うタイプの人々も「干渉してきやがって! あいつら、許せねぇ!」と考えたのかもしれません。また、伝統的な教会の権威を否定されて旧来の文化に馴染んできた層が反発することもあったでしょう。
それで、追い出されたプロテスタントの一派ピューリタンが新大陸アメリカ合衆国で全力で経済活動に興じた…自由主義経済圏の発展ですね。
その潮流がヨーロッパに残り、経済活動の自由≒金儲けの自由を尊んだユダヤ教徒、すなわちユダヤ人が金儲け≒資産運用に走った。
ヨーロッパで伝統的なカソリックが嫌った金儲けですよ。
最近じゃアニメや漫画でも人気の七つの大罪の1つ、グリードこと “強欲”、すなわち金銭欲ですね。キリスト教はこの金銭欲を嫌っていましたから、経済活動に勤しむこと自体が“罪”だったわけです。
それで第一次大戦後のインフレと不況で失業した人々が金儲け≒資産運用に走るユダヤ人に反発、新しい社会主義政党であるナチ党が興り、ユダヤ人排斥に動いた…と。
ドイツでナチ党の反ユダヤ思想を容認する動きがあったことも、ロシア帝国で反ユダヤ感情が強くなったことも、“身分制の否定”や“個人間の競争の奨励”を嫌った…ってことなのかもしれません。
そして、現在まで続くインド亜大陸の身分制である“カースト制”…これは個人間の競争を嫌うインドの傾向が顕著であることが原因なのでしょうかね。
生まれで身分を決定し、その後の競争を抑制する…以て、社会の安定を図る、と、まぁ、古代インド人の知恵…なんですかねぇ。
「インド旅行すると人生観が変わる!」なんて話は何度となく耳にしていますが、この辺なのかもしれません。
ヨーロッパの封建制やインドのカースト制度、生まれで庶民と貴族と神職といった身分が決まる…「なんて理不尽な!」と思いますか。
これら、身分制はたしかに理不尽なんですが…楽なんですよ。
想像してみてください。
先生:「キミはパン屋に生まれたから将来はパン屋になるんだ」
学生:「へぇ、そっか。じゃあ、もう勉強しない。パン焼くわ」
ね、気楽でしょう?
女性は必死で化粧しなくてもよく、男性は無理に勇ましいことをやらなくても結婚できます。身分制は異なる身分から配偶者を求めたりしませんからね。親が嫁/夫を探してきてくれます。
ね、気楽でしょう?
その代わり、自由がありません。
自由競争は悪なんです。
「みんな仲良く」「互いに助け合って末永く幸せに」って思想の下では“みんな”すなわち集団の和を乱す自由競争は許されません。
そう考えると…
光明神ブジュッミ系:ヒンドゥー教、キリスト教カソリック、ギリシャ正教、フランスのユグノー虐殺、共産主義など。
暗黒神ゲローマー系:ゾロアスター拝火教、キリスト教プロテスタント、英国の市民革命、資本主義など。
…こんな風に分類できるんじゃないでしょうか。
この手の思想の潮流、争いの原因って要は「国家は国民を支持するためにあるシステムである」という考えと「国民は強力な国家を実現するための要素である」という考え、すなわち“国家論”、これのぶつかり合いなのでしょう。
要するに「ニワトリが先か、卵が先か」って話ですねwwww
けっこうわかりやすい話ではあります。
考えてみてください。
どうして国家は衰退して滅ぶんでしょう?
パッと思いつく限りでもヨーロッパのいろいろな国々が興っては滅び、興っては滅び。
とりわけ、中華王朝なんてどれだけ生まれては滅ぶのか。毎回、最後の方は幼帝が即位して政治が腐敗して反乱が起こって皇帝が討たれる。
中国の歴史は金太郎飴www おまいら、幼児を皇帝に祭り上げんなwww
そういうわけで歴史を概観すると……
進取の気質に富んだ立派な英雄が旧弊を打破を掲げて革命を起こし、既得権益を享受する層を一掃して暗君を倒し、新たな国家を打ち立てる。英雄は王となり、英雄の仲間達は貴族として新生国家を支える。
すると、人々は英雄を称賛して新たな王国で希望に満ちた生活を享受する。
けれども、それやっても百年くらいでやっぱり貴族は腐敗して政治が乱れて暗君が政治の中枢を担って…
はい、最初に戻りますwww
これって光明神ブジュッミ系と暗黒神ゲローマー系の思想がくるっくる入れ替わってるだけなんですよね〜
既得権益を享受して「みんなで幸せになろうよ」「いつまでも仲良く平和に」って考える暗君とデカダンな貴族は光明神ブジュッミの系列。
「生まれで身分を決めるんじゃねぇ!」「生まれに関わらず互いに競争して実力を示せ!」って考える革命派の若者達は暗黒神ゲローマー系列。
1,「腐敗した貴族どもを打倒し、実力のあるものが評価される国を打ち立てるんだ」と暗黒神ゲローマー系列の英雄と仲間達が国家を興す。
2,「競争を押し付けられると息苦しい」「優れた英雄と仲間達の子孫は尊重されるべき」と光明神ブジュッミ系列の貴族と王家が唱えて社会は安定期に入る。
3,「優れた英雄と仲間達の子孫は高貴な生まれの貴族である」「国民が競争するとか不和をもたらしかねないから商業ギルドを作って競争を抑制しよう」と自由競争を排する貴族が腐敗して、英雄の子孫である王家も無能な暗君を立てるようになる。
4,はい! おめでとう! 1に戻ります\(^o^)/
自由競争を重んじる実力主義、平和と調和を重んじる集団主義、これらの思想が人間を通じて交互に実現されて歴史と文化が作られていゆく。
理想と現実? 車の両輪?
こうして血を流しながら人類は進歩した?
しかも、その間、カソリック、プロテスタント、ギリシャ正教、共産主義、自由主義、etc、etc…言葉ばかり複雑になって、互いに自分が正しいとあ〜でもないこ〜でもない議論を重ねて、複雑怪奇に……
学ぼうとする人々には「おまいは○○教の本質がわかっていない」と煙に巻いて……
へ〜、あなた様の思想ってそんなに奥が深いんですか?
偉そうにのたまう割にはン千年前からあんまり変わってないように思えるんですけど?
ええ、まぁ、そう考えると人類、何千年も前から同じような価値観の相違でずーっと争ってきたわけでwww
実はあんまり進歩してないのかもしれませんねぇ……
ああ、みんな大好き、“男尊女卑”☆
「男は強いから女を守らなくちゃいけない」「女は弱いから家事をして子供を育てて家を守るべき」って思想、正式名称は“五障三従の教え”と言います。
古代インドの王様が言い出したことですねwww
こいつがヤバイのは人種差別と根っこが同じだからです。
人間を“生まれ”という努力ではどうしようもない基準で評価する人種差別と同じく、“性別”というこれまた努力ではどうしようもない基準で評価するのが男女差別w
思想としての根っこは同じですよね〜〜
性別という“生まれ”で人間を規定して役割や職業を制限するわけですから、五障三従の教えは「みんな仲良く」「互いに助け合って末永く幸せに」の光明神ブジュッミ系列ですね。
男女で個人の役割を規定して「社会に出てきつい仕事をするのは男」「家にこもって子育てするのは女」とやるわけでww
小生が大正ロマネスク嫌いなのはこの五障三従の教えがやたらとはびこっていたからですぉwww
でも、いいんです。
現実の世界で、現実の宗教や現実の政治システムがどう運営されていようと小生の物語『人化♀したドラゴンが遊びに来るんだよ』には関係ありません。
要は現実の歴史と構造が物語の世界設定のモデルになりうるか、これだけですからねw
そして、物語の骨子を形作る思想のぶつかり合いを設定するにはこういう伝統的な思想の潮流が役立ちますからww
あぁ、そういうわけで正直な話、小生は政治オタクが嫌いです。
同じオタクでも連中は考え方の基準がまるで違います。
政治オタクは物事を「正しいか」「間違ってるか」で考える。
いいんじゃありませんか。
それで社会運動にのめり込んで現実の社会を変えてゆく。
有意義だし、社会の進歩につながることでしょう。
でも。
押し付けてくるな。
小生ら、普通のオタクは漫画読んでアニメ見て、笑ったり泣いたり。
そして、小生ら、普通のオタクは物事を「面白いか」「つまらないか」で考える。
政治オタクの喧伝する「正しい考え」にはあんまり興味ないんです。
その「正しい考え」で面白いものが描けるのなら必死で学びますけどね。
あんまり、面白くならないでしょwwww
例えば、【ガールズラブ】を嗜好する人々、百合好きの中にも現実の政治や社会運動に絡めて「もっとフェミニズムを理解すべきだ!」と唱える一派がいましたっけ。
連中の心の中には“正しい百合”が存在していて、「フェミニズム運動に準拠して」「女性作家が描く」、そういう作品が“正しい”んだそうですww
ん〜〜
貴卿らがその手の作品を“好き”なのはとてもいいんじゃありませんか〜
でも、小生らはそれを“正しい”とは思いません。
小生らは作品を“面白いか”、“つまらないか”で判断するんです。
“正しい”とか、“間違っている”とかは…まぁ、あんまり考えませんね(^_^;)
その辺、“正しい百合”論者の方々は好きにしてください。
そういう作品を高尚だと思うのも、自分は意識が他より高階梯にあると思うのも結構ですよ。
只、貴卿らが貴卿らの手で描いた面白い作品を見せてくれない限り、小生は貴卿らの“正しい百合”には感心しませんよ。
ああ、ちなみに。
「フェミニズム運動を理解しないで」「男性作家が描く」作品は“間違っている”んだそうです(^_^;)
最初、あの主張を聞いたときはのけぞるほどぶったまげましたっけwwww
オタクがオタクを差別する。
「おまいはフェミニズムを知らないから」「おまいは女性じゃないから」、だから、「おまいは百合を描いてはいけない」んですってよ、奥さん。
うわぁ……
百合好きが高じて政治オタクになった?
“正しい百合”論者には驚くばかりですよwww
かつて、ガールズラブ界隈を荒らしまくって多くの百合好きを当惑させた“正しい百合”論者はおそらくポリコレ、ポリティカル・コレクトネスって奴の走りだったんでしょう。
小生はポリコレを激しく嫌悪します。
作品を「面白いか」「つまらないか」で評価する創作界隈に「正しいか」「間違ってるか」という異質な価値観を持ち込む姿勢を感心できないからです。
そして、懸念します。
ポリコレの価値観は創作姿勢としては甘えになりかねない。
「あのヒトの作品はつまらないけれど正しい」「このヒトの作品は面白いけれど間違ってる」…こんな評価を下されてしまいかねいのです。
ゲームでも、漫画でも、アニメでも、つまらないけど正しい作品が氾濫したら界隈そのものが衰退してしまう。
ポリコレをかざす輩は。
その作品が「面白いか」「つまらないか」という創作の世界に「正しいか」「間違っているか」という異質な価値観を持ち込む無作法な闖入者です。
明らかに駄目ですね。
場違いです。
もしも、最近の言葉を用いることを許していただけるのならば。
「スレ違いなので逝ってよし」ですww
あれ? 最近は“逝ってよし”使わなくなりました?
そういうわけで光の神の教えだからといって正しいわけでもなく。
また、瓦礫街リュッダでは悪の教えとされる暗黒神ゲローマーの暗黒教団も別にそんなに悪いわけではありません。
ついでに言うと、世界征服を企む悪の原点、暗黒教団のトップである“魔王”もそこまで悪人ではありません。単純に“個人主義”と“実力主義=個人間の競争の奨励”を標榜しているだけで、魔王の勝利条件は世界中の人間を暗黒神の信徒とすることです。
別に魔王は世界を滅ぼそうとは考えていません。
そっちは破壊神の仕事ですね。
あ、作中ではまだ出てきていませんが破壊神、ちゃんといます。
いつも常に“世界の破壊”を志向して、ついにそれを実現しようと暴れだしたため、破壊神は世界の何処かに封印されてしまいました。
…
……
…………
ええ、まぁ、破壊神は“世界の破壊”を志向しただけです。
実現しちゃってるのが我らが主人公♀暁光帝ですね\(^o^)/
さて、そういうわけで次回は『わぁい、団体さんのお着きだぁ☆ いえ、暁光帝が招いたわけではありませんにょ。』です。
請う、ご期待!




