野原 苺
今日もいつも通りの高校に来て俺は席に座ってぼーっと空を眺めていた。
「太陽おはよう。」
俺に声をかけてきた女子は幼馴染の野原 苺だ。祖父が亡くなった日からインフルで休んでいた。春にインフルは中々珍しい。
「苺おはよう。」
苺は男女共に大半が苺ちゃんと呼んでいてかなりの人気者だ。俺とは保育園の時からの縁だ。偶然にもずっと同じクラスだった。まさか高校も同じ志望校だとは今だに信じられなかった。
「ねぇ太陽...話聞いたよ。おじいちゃん亡くなったんだよね?1人暮らし大丈夫?」
苺は俺が祖父とずっと2人暮らしいをしていたことは知っている。よく遊びに来てたぐらいだからだ。それに苺は祖父を自分の祖父のように慕っていた。
「ああ。大丈夫だよ。1人でいることには慣れてるから...」
「ダメだよっ!そーだっ私がこれから1週間に何回か泊まってあげるっ。私料理も洗濯も何度もできるからさ。」
「いいよ。申し訳ないし。」
てか有梨華先生と紗奈蘭さんのことがバレると厄介だから家には来て欲しくないのが本音だ。
「むーっ。遠慮しなくていいのにっ!」
「本当に大丈夫だから。言ってくれるだけで嬉しいから。ありがとう。」
「そこまで言うならやめておくけど...明日お弁当は作って持ってくるから。それぐらいいいでしょ?」
苺からの熱い視線を感じる。
多分このまま拒否し続けても引かないと思った俺は頭を縦に振って了承した。
「やったね。じゃあ明日作ってるからね。楽しみに待っててね。後、他にも私が力になれるようなことがあったらどんどん言ってね。」
苺は優しい。俺は今まで何度も苺に救われた。友達と喧嘩になっても仲介をしてくれたり複数の男子と口論になっても俺の味方をしてくれていた。
祖父の次に俺の味方になってくれる人だ。
「いつもありがとう苺のお陰で俺は何度も救われた。感謝してる。」
「ううん。私は太陽の味方だから....いつも...これからもね。だって私は...太陽の..将来のおよ..ゴニョゴニョ」
最後の方がよく聞こえなかったが苺はこれからも味方でいてくれる。この関係性が最高だ。
苺が味方でいてくれるお陰でこれからも良い生活が送れるような気がする。
そして授業が始まると苺は自分の席に戻った。
1限目の授業は日本史だ。つまり有梨華先生の担当だ。
有梨華先生が教室に入ってくると男子からの黄色声が飛び交う。
それだけ人気者だということになる。
男子の視線が有梨華先生に集まり俺も視線が少し先生にいっていた。
そしてふと視界の端に苺が写った。苺は俺の顔を見てほっぺたをぷくっと膨らませて見ている。
(なんか怒ってる?)
女子の気持ちは俺には理解できないようだ。