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真実はまだ分からない

「何かの勘違いじゃない?この世には自分の顔に似た人が3人はいるって言うしね。」

有梨華先生は澄ました顔で言った。動揺もせず至って冷静だ。


「いや、これは絶対俺ですよ!そんな言い訳通用しませんからっ。」


「わ、私は何も知らないからっ。」

有梨華先生はそう言い切きると部屋から急いで出て行った。俺はそれを追う。


「待ってくださいっ!先生は絶対何か知っているはずですっ!教えてくださいっ」

俺は家中を走り回り有梨華先生を追いかけた。


「私は何も知らないのっ!」


有梨華先生は中々体力がある。走っても一定の距離から縮まらず追いつけない。

と思っていた時有梨華先生は扉の角に足をぶつけてバランスを崩した。

「きゃっ!」


「有梨華先生危ないっ!」

俺はその場で滑り込み有梨華先生をキャッチして滑った。


「いてて。大丈夫ですか?先生」


もにゅ


「この柔らかい感触って...」


もにゅ...もにゅ


「有梨華先生のおっぱい?」


「た、太陽くん。揉むのだめぇ。」


「す、すいません。」

俺は急いで手を離した。有梨華先生をキャッチした時に謝っておっぱいを触っていたみたいだ。


「ばか。もう仕方ないから教えてあげるよ。あの写真のこと。」


「お願いします。」


俺と有梨華先生は和室に戻り向かい合うように座布団の上に座った。


「私と太陽くんは昔会ったことがあるんだよ。でも片手で数えるぐらいしか会ってないし10年ぐらい前だから太陽くんはもう覚えていないかな。」


「すいません。全く記憶にありません。」


「だよねー。気にしないで。私が太陽くんと会うことになったきっかけは学園長先生つまり太陽くんのおじいちゃんなんだー。」


「祖父が?」


俺は祖父から全く話を聞いたことがなかった。俺と有梨華先生が会ったことがあるなんて1度も言っていなかった。


「私はね学園長先生の教え子だったの。学生時代勉強しかしていなかった私を色々と世話を焼いてくれてたの。」


「有梨華先生にそんな時が。」


「昔は無口だったからよく学園長先生が話し相手になってくれて勉強の相談もしたの。そしてある日孫に会って欲しいって言われてね。」


「もしかしてそれで俺と会ったんですか?」


「うん。そうだよ。」


俺は今日初めて聞いた話に衝撃を受けていた。今でも事実だということを完全には受け切れていなかった。

「ちなみにねこの写真は私と太陽くんが最後に会った日なの。私が県外に転校するって日に太陽くんが大泣きしてその時に撮った写真なんだよ。」


「そ、そうだったんですか。」

俺の忘れていた過去のことを蒸し返されて少し恥ずかしくなった。穴があったら入りたいってやつだ。


「あっ、もうこんな時間。続きはまた今度ね。」


「また教えてください絶対に!約束ですよっ!」


「うん。そうだっ太陽くんがテストで良い点取るたびに教えてあげよっかなー。」


「それはずるいです。」


「冗談だよ。また時間がある時にねっ。」

有梨華先生は右目でウインクした。

俺は自分の知らない昔の話をたくさん聞きたいと思った。

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