数学教師 羽田 将仁
俺は昼休み有梨華先生に呼ばれていた。理由は1つ宿題の再提出だった。
返されたプリントを放課後までに終わらせた。
そして放課後もう一度提出する為に職員室へと向かった。
職員室に入るときはいつも緊張する。
ドアを数回ノックして部屋に入る。
「失礼します。2年4組 星月 太陽です。有栖川先生に宿題の再提出に来ました。」
そして有栖川先生の机に向かった。
すると有栖川先生は隣の席にいる男の先生と談笑していた。
この男の先生は羽田 将仁 女子生徒から人気のある数学の先生だ。
整った顔立ちに爽やかな笑顔を見せる。
「やあ、星月くん。学校の生活はどうかな?」
「普通ですね。」
「そうかい。所でまた君は日本史の宿題再提出なのかな?」
「はい。恥ずかしながら。」
「まぁ頑張ってくれ。有栖川先生に世話を焼かさないようにね。」
「ちょっと!羽田先生そんなこと言わなくてもいいじゃないですか。」
有梨華先生はその場で立ち上がって大声で言った。羽田先生も少し驚いている。
「ごめん。そういうつもりじゃないんだ。星月くんと有栖川先生の為を思っていったのさ。」
「羽田先生の言う通りでしたし。」
羽田先生の言い方はあまり好きではなかったが正論でもあったと思う。俺的にも有栖川先生にあまり迷惑はかけたくないと思った。
「星月くん。私は迷惑になるぐらい世話焼かせて欲しいなー。」
有栖川先生は優しく微笑んだ。
「有栖川先生は星月くんのことお気に入りなのかな?僕も気に入ったよ。星月くんよろしく。」
羽田先生は立ち上がって俺に手を差し出した。
爽やかに笑って握手を求めていた。
俺はその握手に応えて力強く握手を交わした。
そして一礼して部屋から出た。
教室に戻りリュックに今日の宿題を入れて俺は教室を出て家に帰る。静かに正門を出ると羽田先生が立っていた。
「さようなら」
俺は先生に挨拶を交わして通り過ぎようとした時先生は俺の肩を掴んだ。
「星月 太陽。君は有栖川先生のことをどう思っているのかなー?」
「どうって、優しくて良い先生だと思いますよ。」
「そうか。有栖川先生はな内心君のことを紛らわしく思っている。職員室でもいつも君の悪口を言っている。」
「え?」
俺は先程まで爽やかさのあった羽田先生の雰囲気が一瞬で崩れたことに恐怖を感じた。
そして有栖川先生の本当の気持ちを知って俺は悲しくなった。俺に向けてくれた笑顔は全て偽りだったと知ると悲しくなってきた。
「有栖川先生は君のことが大嫌いなんだ。そして僕に好意を抱いているのさ。」
「有栖川先生が....」
「だから君は有栖川先生に近づかないで欲しいな。僕も有栖川先生もそれを望んでいる。なんなら話しかけないで欲しいな。僕の"有梨華"に近づくな。」
羽田先生は強く言い切るとその場からゆっくりと去った。俺は家に帰りたくなかったのでその日は電話して涼の家に泊めさせてもらった。