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だから妊娠してないんだってば!  作者: 朧幻影
一章 ウールリアライナ領地編
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第五話 裏では




「王子様、あの方は誰ですか。そもそもなぜこのようなところに……心配しましたぞ。朝王子様のお部屋に伺いましたら、蛻の殻でした。慌てて屋敷全体を探しましたが、どの部屋にもおられませんでした」


 歩きながらヘンリックが尋ねてきた。

 屋敷、というのは来賓用に用意された屋敷のこと。本来、国中から集まった貴族たちはそちらの屋敷に泊まる予定で、一部のもの以外は全員その屋敷にいる。


「飲みすぎて夜中厠に行ってたら、何故か朝起きたらあの部屋にいた。で、誰なのかは、知らん」


「……王子様、ふざけている場合ではありませんぞ。どこの馬の骨とも知らぬ娘を娶ってはなりませぬぞ。キアロ公爵、ガルクカム候爵などが納得すると思いますか」


「ほっとけ。俺の婚約相手は自分で選ぶ権利くらいは有るだろう」


「格というものがありましょう。ご自分が今おられる場所ぐらいは把握していましょう。この屋敷、ウールリアライナ家のですね」


 相変わらず、こういうところはネチネチだな、宰相は。要はこう言いたいんだろう。此処はウールリアライナ家の屋敷だ。此処にいるものは高貴とは程遠く、下賤な者ばかり。と。


「王族として、傷物にした責任こそ取らねばならぬと思うが?」


 俺の言葉を聞いた宰相は、沈黙した。

 なにか言いたげではあるが、口に出せずにいる。

 それもそうだろう。王族として民の道標とならねばなりませぬ。言わば民の手本だ。王族が勝手な振る舞いなどをすれば、民も同じ振る舞いをする。

 自身が前には立たぬが、誰かを前に立たせようとする者の戯言など、誰が信じよう。


 ――俺は常に戦場の最前線に立ってきた。誰かを死なせたくなかったからだ。皆が俺を信じて付いてきた。戦場では、身分の高貴や下賤など関係ない。




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