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15/16

前夜

———ゆかり視点———


2人で手を繋ぎながら、ピアノ教室についた。


中に入ると、外の騒音とは隔離される。


これでゆうくんも楽になるかな?

と見てみると、すごくほっとしたような表情をしているゆうくんがいた。


「楽になった?」

「うん。ここ、すごく綺麗な場所だね。」


ピアノ教室は、左右にたくさんの部屋が並んでいて、その中にグランドピアノやアップライトピアノが1台ずつ入っている。

確かに綺麗ば場所だけど、ゆうくんの言っている”綺麗”は、たぶん、漏れ聴こえてくるピアノの音のことを行っているんだろうな。


たくさんあるピアノ部屋から、それぞれ少しずつ、ピアノの音が漏れている。

防音室といっても、完璧に防音されるとこばかりじゃないからね。


「ピアノの音は、混じっても灰色にならないの?」

「ならないみたい。びっくりしてる。」


さて、これからどうしようかな…と思っていると


「ゆかり!ゆうくん!一緒に来たのね。いらっしゃい。」


あやの先生が部屋から出てきた。

レッスン途中の休憩かな?


「あと30分くらいで今のレッスンが終わるから、そこの椅子にでも座ってちょっと待っててね。ゆかり、あなたはちょっと来なさい」


「? わかった。」


ゆうくんを壁際の椅子に座らせて、あやの先生と話す。


「あなた、ゆうくんの目が真っ赤じゃない!泣くほど嫌がったのに連れてきたの!?」


「違う違う!いろいろあったんだって!道路と電車が辛いとか、ナンパされたりとか!私のせいじゃない!」


「安心した…、美少年を無理やり連れ去って、いかがわしいことをしているのかと冷や冷やしたわよ。」


「いかがわしいことは…たぶん、大丈夫…」


ちょっと目を逸らしながら言う。

電車でずっと抱きしめてたのはセーフだよね…?ベンチで抱きついてたのもゆうくんからだもんね…セーフだよね…?


「え、ちょっと。気をつけてよ?流石に小学生との恋愛は応援できないからね?」


「わかってるよ。そんなんじゃないって。」


そうなんだよね。

いや、恋愛感情とかじゃないけども!


「て、ゆうくんいなくなってる!」


「あ、ホントだ!教室の外には出てないと思う!探そう!」


私と先生がバカな話をしている間に、

ゆうくんは、今後の人生を大きく変える出会いを果たしていた。


“世界を塗り替える音”と称されるまでに成長するゆう、その生涯にわたる友であり、良き理解者であり、音楽を愛する仲間であり、そして何より()()()()()()()()()()()()との、出会いである。

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