6 お芋好きなのよ
お読みいただきありがとうございます
「う…身体が怠い。しかもめっちゃ腹減ってる…。」
目覚めるともう既にお日様は高く、お昼近かった。
私は昨日の夕方倒れ、今までずっと死んだ様に眠っていたらしい。
これは、きっと、調子に乗って魔法を使い過ぎた所為に違いない。
そして未だ体調は優れない。
栄養失調気味なのは否めない…。
前世の記憶からすると、単なる眠りすぎという気もしないでもないが、元々ひ弱な身体で、初めての体験である魔力というものの使い過ぎの可能性が高い。
因みにこの貧乏領には医者はいない。
お母様も身体が弱くて、なす術なくお亡くなりになっている。
では、我が領で病人や怪我人が出た時はどうしているのか?
命がけで森などに分け入り、必死に薬草を探すのである。
強い魔物の生息する場所程、効果の高いものが採取できると言われている。
薬草の中でも、色々な種類があり、運が良ければ、どんな病にも効く万能薬を作り出せる薬草が見つかる事もある…。
そんな凄い効果のある薬草は伝説級の万能薬草と言われ、一説ではドラゴンの住処に生えると伝えられているそう。
そりゃ…無理だったでしょうね。
結果、お母様は万能薬草が見つからず、間に合わなかった。
その時、私は既に7歳で物凄く泣いた記憶だけある。
お母様はとても美しい人だった。
結婚の申し込みの殺到する中で、何故か父様を選んだ。
生前のお母様曰く、一番優しくて誠実だったと。
貴族は一夫多妻制が認められている。
申し込んで来た貴族は父様以外、全て正妻、側室、側妾が既にある人達ばかり。
その傾向は身分が高い男程女好き。
お父様は未だに母様の事が忘れられない様で、後妻も迎えようとしなかった。
お父様は、身分は男爵でそんなに高くないけれど、若く、優しく、誠実でそこそこイケメンの部類に入るのではないだろうか。
ま、ちょっと、騙されやすいかもしれないけれどね。
だから、私が守らなくちゃ。
この貧乏領をせめて普通クラスの男爵領へ。
私も美味しいもの食べたいし。
とにかく栄養失調は勘弁してほしいよ。
領民の皆の食糧事情も改善してあげたい。
とにかく!
借金まみれじゃどうにもならないもんね。
麦以外にも特産品を考えないとね。
だって、同じもの同じ畑に植えても良くないらしいし。
どうしてこんな事を考えているか?
それはね…フライドポテトが食べたいからよ!
ジャンクフード大好きだったんだもん。
それ思い出しちゃったんだもん。
ポテチもね!
侍女のイリーナがベッドまで運んで来てくれた、いつもの麦がゆを虚しく口にしながら私は思った。
こんな食事じゃ、栄養とれんわな!
圧倒的にタンパク質やビタミンが足りてないよ!
さっさとやる事やって、ジャガイモとか食用油をさがさねば。
芋食べたい!芋〜っ!サツマイモもいいわね!
怠い身体に鞭打って、村の畑に向かった。
ブックマーク&評価ありがとうございます!